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それはカブトムシの匂いがした
「貴方に……これを」
後光が射したような金髪で碧眼の少女の手に握られた一本の茶色物体。妙に質感があり、オマケに丁寧なラッピングがされたそれはまるで。
まるで木刀。それもお土産用の木刀。ハラキーリ日本の伝統的修学旅行土産の木刀。無駄に木を切り倒し、地球温暖化に努めた逸品の木刀。てか木刀。木刀以外に考えられるとしたら、めっちゃ磨いた殺傷能力的に叩き潰すことへ特化した木の枝。もしくは鰹節の亜種。
「貴方に……これを。さあ」
金髪碧眼の少女はゆったりとした白いワンピースを揺らしながら、そのゆったりとしたワンピースに揺られるがまま、こちらへ。
「この伝説の剣。『エクスカリバー』を持って……逃げて下さい」
俺は木と……『エクスカリバー』を受け取って、金髪碧眼の少女を見下ろすと。
「ワタシ、ニホンゴ、ワッカリマセェン」
俺は木と……えくすかりばー(やっぱり木刀)を明後日の方向へ投げ捨てた。