始と終-告白・軌-
3月15日。
木下元は高校を卒業した。
さて、どうしようか。
今、俺は、机に向かっている。
何故かといえば、そう、進路だ。
俺は机に白い紙を目一杯に広げて考え込む。
一応、大学受験は受けたが、結果発表日がまだだ。
普通なら、卒業前に結果が発表されるのだろうが、遅すぎる。
結果が分からないと進路も考えれない。
その後、考え込んだものの、全く浮かばず、そのまま就寝した。
翌日、まさかの結果発表日。
俺は足早に会場へ向かう。
会場に着くや否や、早速、番号を見渡す。
俺の受験番号は3690。
一列、一列、順番に確認する。
すると、7列目に俺の番号があった。
「やった・・・合格した」
歓喜の声が漏れた。
とりあえず確認もしたし帰ろう。
そう思い、振り返った瞬間。
「痛っ」
誰かとぶつかったみたいだ。
こけた相手に、「大丈夫ですか?」と声をかける。
よく見るとその相手は女子だった。
「大丈夫です・・・」その子はそう言いながら立ち上がり、この場を去った。
何故だろう、彼女の顔に見覚えがあった。
誰かに似ていた。と言う方が正しいか。
はて、誰だろう。
少し考え込む。
すると、「・・・夏江・・・!」
驚く事にさっきの子は俺の初恋の相手、佐々木夏江に似ていたのだ。
しかし、夏江はもう・・・。
夏江は、数年前に亡くなっていたはずだ。
きっと、別人だ。
そう思いながら、俺は帰路を辿った。
大学の入学式当日。
俺は足早に大学へ向かった。
そして、大学の玄関前でクラス表を確認した。
3組か・・・。
誰か知り合いはいるだろうか。
そう思い、3組の欄を見渡していると、
「佐々木冬紗・・・」
ま、まさか、この前会った女の子か・・・。
「あ、貴方は」
その時、後ろから声がした。振り返ってみると、そこにいたのはこの前会った女の子だ。
「あの時以来ですね」
俺は冷静にそう言った。
「早速で、失礼だが。君の名前を教えてくれないかな」
続けてそう訊いた。
そうすると彼女は「佐々木冬紗です」と言った。
「あ、貴方は?」
彼女はそう聞き返してきた。
「木下元です」
俺はそう答えた。
そうすると彼女は少し明るい表情になった。
「やっぱり、貴方が元さんでしたか・・・!」
彼女は急にそう言ってきた。
何故、俺の名前を。
「佐々木さん、なんで俺の名前を知っているんですか?」
俺は完全に敬語になり、そう訊いた。
彼女は少し改まり、こう言った。
「はじめまして、元さん。私は貴方の初恋の相手、佐々木夏江の妹です」
やはり、夏江の・・・。
俺の予想は的中していたらしい。
「どうりで、夏江に雰囲気が似ていたからまさかと思っていたんですよ」
「そうですか?ああ、そうだ貴方に伝えたいことがあったんです。少し、場所を変えましょう」
彼女はそう言いながら俺の手を強引に引っ張り、歩き出した。
しばらく歩いて、公園に着いた。
まだ朝だから誰もいない。
「さて、元さん。単刀直入に言いましょう。姉は生きています」
「・・・は?」
俺は困惑した。
夏江が生きている?いや、そんなことがあるわけない。
「夏江が・・・生きているだって?まさか、そんなこと・・・」
「では、あそこに向かいましょう」
そう言って、冬紗は俺の手を引っ張り歩き出した。
俺は道中にいろんなことを考えていた。
夏江・・・。
夏江はあの時、手術が始まる時、「ごめんね」って言った。
俺は手術がの結果を知らなかった。
聞くのが嫌だったから、逃げた。
もし、失敗していたらと思い、怖くて逃げた。
自分は臆病者だった。
そして、数分歩いて着いた先は病院だった。
「病院・・・」
「さて、行きましょうか」
冬紗はそう言って、病院に入り、受付を簡単に済ませて、エレベーターに乗った。
「4階に姉がいます」
「・・・・」
どうしたものか、ここまで冬紗が言うのだ、あの手術は成功していたのだろうか。
まだ、信じ難い。
ともかく、行ってみなければ。
4階に着いた。
冬紗はスタスタ歩いて、個室である403号室に入った。
部屋の中には、2人の女性。ベッドには一人の女性。
ま、まさか。
「夏江なのか・・・?」
恐る恐る、呼ぶ。
そうしていると、ベッドの女性は起き上がり、こちらを振り向きながら、
「久しぶりやね、元君・・・」
涙声になってそう言った彼女は数年前に死んだはずの夏江だった。
俺は少し走って、ベッドのそばまで行った。
「な、夏江・・・!生きていたんだね・・・。という事は、手術は成功したのか・・・」
「そう、あの日、手術は成功した。でも、思った以上に体自体の回復が遅くて、まだ入院してるんや」
そうか、成功してたんだ。よかった。
俺の目からは涙が溢れ出た。
「夏江、本当に良かった・・・」
「うん、ただいま。やね、元君」
お互いに泣きながら抱き合った。
これは『軌跡』だ・・・。
その後、俺は大学を辞めた。
そして、夏江と毎日話していた。
数か月後。
夏江は退院することになった。
「よかったね、体回復して」
「だいぶ時間は掛かってしもーたけどね」
二人でそんなことを話しながら、病院を後にした。
「あ、そうだ」
「ん?どないしたん?」
俺はふと、思い出した。
「今日は、アイツの二回忌だ・・・」
後書き。
なんか、書いてると楽しかったですw
多分、まだ続きますよ!




