命を預けるものだから。
「登録は以上となります。お疲れ様でした。」
「ありがとうございました。」
冒険者登録を無事に済ませてジークとアリシアの元へ向かう。周りの視線が少し気になるなあ。やっぱり子供がここにいるのは場違いなんだろうか。
「無事に登録出来たか。よし、じゃあ武器屋に急ごう!」
ジークは待ってましたと言わんばかりに立ち上がるとギルドから出て武器屋へと向かう。その後ろをアリシアとついていく。
「リエル、けっこう注目されてたね。」
「子供が登録するのは目立ちますか?」
「まあね。でも、アリスが冒険者になってからは子供を理由に絡まれたりとかギルドで半端な扱いを受けることも無くなったわ。」
アリスが活躍するよりも以前は武闘派集団の色が濃く、見た目で舐められるとぞんざいな扱いを受けることもあったそうだ。今はそんなこと無いそうだが、いわゆる世紀末みたいな感じだったのかな。
「見た目で実力を判断するのは三流のすることだな。 さて、着いたぞ。ここが王都で随一の品数を誇る武器屋だ!」
冒険者ギルドから歩いてすぐのお店で二階まで武器を置いてるそうだ。
「ジークさんいらっしゃい。今日も剣を見に?」
声の方へ視線を送ると背の低い男性がいた。物腰柔らかい雰囲気で優しそうな人だ。この人が武器を作ってるのだろうか。
「ああ。剣を買うのはこいつだ。まだ身長も無いから、ちょうど良いサイズのものがあれば嬉しいんだが。」
そうゆう事なら。と言い残して、その人は店の奥に消えていった。
「あいつはこの店のオーナーのビルバ。あいつはドワーフだけど自分では武器を作らない。武器が大好きで色々なところから武器を仕入れてるんだ。店には珍しい武器が沢山あって、ここは見てるだけでも楽しいぞ!」
ジークはそう言いながらお店の武器を眺めている。剣だけに限らず様々な形状の武器があって、たしかに見てるだけでも楽しい。
「お待たせしました。通常より小さいサイズで扱いやすいものを選んでみました。どうぞ手に取ってみてください。」
そう言ってビルバがカウンターに剣を並べていく。シンプルなデザインから綺麗なもの、奇抜なものや禍々しいもの。本当に色々ある。
「これはフレイムリザードの皮や骨それにフレイムバードの魔石で作られた炎属性の剣です。」
ほう。武器は魔物から取れる素材で作られてるのか。なんだかモ◯ハンみたいだな。
「綺麗な刀身が特徴のこの剣はスノーシードラゴンの骨格にスケルトンルーパーの皮と魔石で作られてます。魔力を込めると刀身がほとんど見えなくなる特殊な性質をもってます。」
「ナイフの大きさに近いこちらはパープルマンティスの鎌をポインズンビーやカースフラワーから取れる毒に漬け込んだ剣で、切った相手を猛毒に犯します。誤って自分を傷つければ自滅しますので要注意です。」
剣の知識が濃い。
話の内容は興味深いけど一気に説明されると理解するのが大変だ。あと最後の黒っぽいナイフは恐ろしいな。そして何十本にも及ぶ剣の説明も残りひとつとなった。
「最後はアーマークロコダイルの尻尾とキバ、それにマッドフロッグの魔石を使った剣です。地属性との相性がいい剣ですね。」
見た目は細長いノコギリって感じかな。地属性か。相性はこれが一番良さそうだな。そう感じて最後に紹介されたギザギザの剣を手に取る。
「この剣は切られたら痛そうですね。」
「削るように切るというイメージの剣ですね。少し特殊な形状ですが慣れると強力なダメージを与えることができますよ。」
色は地味だけど強そうだし。見た目の割に重さもそれほどなくて扱いやすそうだ。
「決めました!これをください!」
「ありがとうございます。こちら金額が3万メルとなります。」
3万メル!持たせてもらった殆どのお金が飛んで行ってしまう。武器って高いんだな。ちなみに前世と比較すると1メルで10円ぐらいの感覚だ。
「俺たちの命を預けるものだからな。ハンパなものじゃ駄目だぞ。」
確かにな。武器をケチって戦闘で死亡なんてお粗末な結果は避けたい。ジークの言葉に妙に納得しながら支払いを済ませる。受け取った剣を携えると、やっと冒険者らしくなって来たと実感するのだった。