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気合を入れすぎたことは認めよう。それでも昼夜逆転はないと思う。
ようやく目が覚めた私の目に入った時計の時刻は午後八時。
自分のお腹の音で起きるという失態を犯した。
流石に仕事がないからと言ってたるみ過ぎだろうと自嘲的な笑がこぼれる。
それでもパソコン画面に佇むキャラは最高の仕上がりだった。
寝惚けながらもよく手元が狂わなかったものだと我が事ながら思う。
アイディアが舞い降りた時点で男だったが、偉大なる美形の前には性別なんて無力だ。
ちなみに私はバイでは、両刀ではない。ただ、綺麗なものは愛でようと思うし、サラリと賞賛の美句が漏れるものだ。
女性とは褒めて愛でるためのものである。そんな父の教えは私の人格を築いた。
男よりも女にモテる。外見は普通でも口だけは達者。
これは好きな女の子を私に取られた?男の子が私にいってきた言葉。
その通りだと納得してしまったけど、もはや癖のようなもの。今更直せないのだ。
ちなみにその彼は一月後に元カノと縒りを戻したという噂を聞いた。当時中学生。
子供のお付き合いなんて所詮はそんなものだ。
お風呂に入りタオルを首にかけて赤ワインを仰ぐ。
贅沢にも年代物を開けたのはこの至高のキャラの完成祝い。
随分と気分が良くなり、鼻歌を歌いながらコートを着て外に出る。
もう時間は九時半だが、酔っている私には関係ない。
コンビニで安いワインを数個買うと楽しげに帰り道を歩いた。
後ろに着いてくるほの暗い何かには全く気が付かなかった。