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異世界旅商人の通帳  作者: 黄昏の罅
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1ページ目







「すまないね、清水君。うちも不景気で……」



社長は本当に済まなそうに私に向かって頭を下げてくれるがそもそも、社長のせいではないのだから、謝る必要は無いと思う。


そんな事より、社長の頭の方が心配ですという言葉をすんでのところで飲み込んだ私は、ある意味優秀じゃないか。


社長に両親が残した巨額の遺産と株があるから問題は無いという旨を伝えると頭を下げて社長室を後にした。






こうして私、清水 玲奈は本日付けで仕事をクビになったのだ。


何故こんなにも他人事のようで能天気なのかと言うと、稼ぎがいい旦那がいて、元々この仕事は趣味だったから。



な訳もなく。趣味として嗜んでいた株のバイヤーが今の仕事の収入を大きく上回る頃には

私の中で仕事が趣味で株が本職になっていたのだ。


贅沢しなければ一生暮らせるだけの蓄えは有るし、現在所有する株も数え切れない程ある。


これからはもっと株に本腰を入れて取り組んでいく予定で、再就職するつもりは無かった。


むしろ、株取り引きをしながら趣味のゲームとラノベ読破、アニメにマンガ三昧な生活を予想してにやけた。


二十二のいい歳した大人がと思うかもしれないが、こればかりは仕方が無い。


旅行と冒険に挑戦大好きな両親から生まれた一人娘の私はその性質をしっかりと受け継ぎ、色々な意味で可愛がられてきた。


その為か両親の武勇伝や勇者なんかが活躍する小説には心が弾むのだ。


今はもう一人暮らしだが、両親が生きていた頃はあちこち旅行に行ったものだ。


株取り引きはその時に両親がお小遣い稼ぎとしてやっていた。

そんな思い出達を懐かしみながら歩いているといつの間にか家に付いていた。


ポストに入っていた新聞と旅冊子を読みながら順調に稼げたら世界を旅するのもいいかもしれない、と思う。


ネット環境さえあれば株取り引きは携帯一つで問題なく行えるのだから。



「便利な世の中になったものですね」



誰に言うでもなく一人で呟くと今日の振り幅を見るためにパソコンを立ち上げた。

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