鼻歌をお供に
掲載日:2016/06/05
夜は昔から嫌いだった。
みんなが寝静まって静かな中、私だけが眠れずにいる。
そんな夜がどれほど長い事か。
眠れない私はそのまま大人になり夜が嫌いだった子どもは夜道を歩く事を趣味にすることにした。
寝静まった街を歩くことは、この世界で動いているものは私だけのような、そんな錯覚を覚えるのだ。
深夜の街を歩く間は何もかもが許される。
寝ている人の邪魔をしなければちょっとくらい鼻歌を歌ってもいいし大人がスキップしても冷たい目で見られない。
居場所のない恋人達は密やかな逢瀬を行うことができるし、寂しがりの少年達もコンビニの前で寂しさを埋められる。
人々が寝静まった街の中私は今夜も夜道を歩く。
小さく鼻歌を口ずさみながら。




