レストー夫人(三島芳治)
たまたま本屋で表紙買いした漫画です。
『この学校では
毎年二年生が「レストー夫人」という演劇をする
7つのクラスで同じ劇を違う台本にし
7種類の「レストー夫人」を上演する
なにかの実験なのかもしれない』
(本文より)
とても静かに展開する群像劇。一つの劇、「レストー夫人」を完成させる為の生徒達のやり取りである。
台詞や説明は少ない。が、そこに込められた意味やメッセージは強烈で、夢中になって何度も読んだ。短編書きとして、敗北感を刻みつけられた作品。
何故こんなに魅力的なのか、上手く説明できない。劇的な展開で観客を引き込むのかと言われれば、そうではない。何というのか、ただそこにある物語。それが妙に鮮烈に映るのだ。
絵は一歩間違えば破綻しそうな危うい絵。それがいい。「しょくいん室」などの表示が何とも子どもっぽさを含んでおり、とても柔らかい空気。その中に少年少女の生き様、というか精神の根幹部分の話という重い話がぽんと乗せられる。
かなり人を選ぶとは思うが、はまる人はどはまりするはず。取り扱い注意だが、お勧めです。是非一読を。
最後に。
志野さんは素敵だ。
今どきの絵ではないし、もしかしたら「訳わかんない話!」と切って捨てられてしまうかもしれないけども、こういう作品が世に出てきてくれることは私にとってはとても嬉しいことなんです。悔しいんですけどね、作品がすごすぎて。




