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婚約解消いたしまして。

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よろしくお願いします。

「婚約を、解消したい」



 前触れもなく唐突に、婚約者にそんなことを言い出されたエリシュカ・アーデルハイドは、しかし驚愕も怒りも抱くことはなかった。

 ただ、頭を下げたまま動かない婚約者――レーナクロード・シルヴェストルを静かに見つめ、それから顔を上げるように促す。


 『聖騎士団長・レーナクロード・シルヴェストルは、異世界の少女と恋に落ちた』。

 巷でそんな噂が流れているのを知ってから、近いうちにこんな日が来るだろうとエリシュカは思っていた。だから、レーナクロードの申し出に驚くこともないし、怒りを覚えることもない。

 エリシュカとレーナクロードは確かに婚約関係にあったけれど、二人の間に恋も愛も存在しないことは、エリシュカ自身がよく分かっていた。


 幼馴染で、家族のようなものだった。情はあったけれど、それは恋にも愛にも変化しなかった。ただただ、名前ばかりの婚約者だった。

 この婚約が、互いの家の利益重視で結ばれたものだったら、それでもエリシュカは苦言を呈するくらいはしただろう。

 お互いに結婚適齢期は迎えている。いつ婚約が結婚になってもおかしくはない頃になって、突然に婚約解消を言い出されても、双方にとって疵にしかならない。


 けれど、この婚約が解消されることによって、エリシュカの生家も、レーナクロードの生家も、不利益を被ることはない。それを知っていたから、エリシュカはレーナクロードに何も言うことはないと思っていた。



「おじ様とおば様には、話を通しているの?」



 顔を上げたレーナクロードにそれだけ確認する。彼が頷いたのを見届けた時点で、エリシュカにとってこの話は終わった。


 彼が婚約解消を言い出したのが、噂通りに『異世界の少女』と心を通わせているからでも、それ以外の理由でも、エリシュカには関係ない。


 エリシュカの今後に影響があるのは、レーナクロードとの婚約が解消されたという一点のみなのだから。



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