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少年、設定を頑張る

誤字脱字、些細な感想からアドバイスなど様々な御意見を頂けたらと思います。


今まで居たひたすらに青い空間が一変し、僕は眩い光に包まれていた。

青だった空間は白く変わり、自分の姿も半透明になっている。


――キャラクターメイキングを開始します。理想の自分を思い浮かべて下さい。


 現実の僕は黒髪で、男にしては少々低めの慎重だ。

顔だって特徴的なところがないのが特徴といってもいいくらい平凡で『あー、あの人に似てる!この間すれ違った知らない人!』と言われることが多い。


「ゲームの中でくらい、ちょっとは格好良くしてもバチは当たらないよね……?」


聞いている人はいないと分かっていながらも小さく呟いた。


思い描くのはファンタジーの世界を旅する自分。

髪は透き通るような金髪で瞳は翠眼、顔立ちだって掘りの深く鼻筋がハッキリとしている。

慎重も現実の自分とは違って10cm以上は高いんだ。


――現実の身長との相違を検知、ゲーム内動作に対して違和感を覚える恐れあり。


……そういう所は世知辛いのね。

その後に続く説明には、無理に違う体積の器で行動した乗り物に乗って行動している感覚に近いそうだ。

そのため普段と違う感覚に酔う、VR酔いという症状がでるという。

極端な変化でなければ、よほど酷い状態にはならないようではあるが、せっかくの冒険でVR酔いに悩まされでもしたら面白くないと思い、渋々現実と同じ身長にした。


――貴方が夢を掴むための力を選択してください。


 アナウンスが流れた後、僕の目の前にウィンドウが現れる。

両手を広げても足りないほどの大きさのウィンドウには様々な単語が並んでいる。


これ全てがスキルであり、膨大な量があるそれ1つ1つに細かい説明は為されていない。

名前を見て一目で分かるような二刀流や大剣使い、鍛冶師などがある一方で、読破や並行計算など関係のあるのか分からないものまで様々だ。


「ん~……どれにしよう、こんなにあると悩むなぁ」



ひたすら下へ下へとスクロールしていくと1つの単語が視界に飛び込んできた。


「……生存本能」


 この言葉に僕は惹き付けられた。

他にも暗黒魔術等、見るからに強そうなものは幾らでもあったのだが生き残れなければ意味が無い。

それに自分の身体を実際に動かして戦うとなると、自分がどんな武器を使って、どのように立ち回るのかが未だに思い浮かばないのだ。

今の段階で武器を決めてしまうよりも、手に馴染むものを冒険をしながら見つけたいという思いもあった。



――設定完了、これより降り立つ地を選択してください。


 少々キャラメイクに時間がかかってしまったが、それでも僕の気持ちは冷め切らず、出身国となる土地の説明に目を走らせる。


この世界の主要都市となる3つの内の2つ、東国イースタウン西国ウェンランド

東国の街並みは現実の中世をモチーフとした気品を感じさせる石造りの都だ。

都市の周りは森に囲まれていて、そこからのモンスターの侵入を防ぐ為高い城壁で囲まれている。


対して西国は緑と水の都だ。

東国と比べ、街並みも穏やかで木造建築が多い。

その周辺は草原となっていて様々な動物が暮らす一方、不穏な行動をする団体が根城とする地域などがあるようだ。


数瞬の後、僕は東国を選択した。

やはりファンタジー好きとしては中世風の街並みは外せない。

なんとも言えないワクワク感があるのだ。


――全ての設定が完了しました。これより貴方の冒険が始まります。では、良い夢を。


 最期のアナウンスが僕の頭の中へ響いたあと、僕の身体が足の先から色づいていった。

その色素の波は透明だった僕の身体を這い上がるかのようにせり上がってきた。


その波が顔の方までやってきた。


 僕は眩しさに一瞬視界を失い、次に閉じていた瞳を開けると目の前には煉瓦の壁が覆う地下室のような景色が広がっていた。

壁にかけられた蝋燭の光が淡く辺りを照らし出している。


「うわぁ……本物のお城みたい……」


石材独特の重圧感に圧倒されていると外に続いているであろう木製の扉が小さな悲鳴のような音を立てながら開いた。


どうやら誰かが入ってくるようだと、この世界へ来て初めての他人との遭遇に僕は身構えた。


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