誤解だ。それも誤解だ。
「唄……?」
唄は前田さんに銃口を向けたまま、
震えていた。
「ひっ…ちょっ…」
前田さんは凄く怯えていた。
「唄…!どうしたんだ?!なんで…」
俺も状況がのみこめなかった。
すると後ろから西田さんが駆けつけてきた。
「あなた達、なにやってるの?!」
「お、落ち着いて唄くん!!」
前田さんは唄を説得しようとしているのか?
「ご…誤解なんだよ!」
「…?」
唄のからだの力が少し抜けたようだった。
「前田さん、説明して下さい…」
俺はいつもは唄がやる役になっている気がした。
「僕は、部屋に置いてある銃を遠くから見ていたんだ。そこで銃に数字が刻まれているのに気づいて、その数字について僕じゃわからないから唄君と相談しようと思って銃を持って唄君の部屋に入ったんだ…。」
「なるほどね。銃を持って前田さんが部屋に入ってきた事で唄君は殺しにきたと勘違いしたのかな?」
「ホントですか…?前田さん。」
俺は困惑しながらも確かめる。
「本当だよ!信じて!!」
その時、唄が銃口を下げた。背中を丸め、ヘナヘナと地面に座りこんだ。
「なんだ…。そういうことだったんですか…。ならもっと早く…」
唄は落ち着いたみたいだった。よかった。本当に。
「もうやめて下さいよ!ホントに焦っちゃったじゃないですか!」
「まぁまぁ。よかったじゃないですか、なにもなくて。」
「よかった………。」
前田さんすげぇ汗かいてる。
「危なかった…。」
唄。よく撃たなかったよ。
みんな凄い疲れた様子だった。
「皆さん、夕食です。ホールに集まってください。」
放送が流れた。その瞬間前田さんは顔をあげ、目を輝かせた。
ごめん。何回目かわからんが、ここは◯国ホテルかぁ!!!それはもう豪華豪華。フランスとかのオシャレ料理。なんだっけ。
なんでフランスとかの料理って小さかったり少ないのに高いのかな〜とあまり富に恵まれずに育った俺は思った。だってそうじゃね?
夕食を済ませると、俺は唄を部屋に呼んだ。
「翔斗〜入るよ〜」
「うぇーい」
ドアを開け、唄が入ってきた。
「はぁー今日は凄い疲れたなー」
「そりゃそうだろ。こんな日誰も体験したことないだろ。」
それから2人でどうでもいい事を話した。
前田さんの容姿とか、みんなで帰りたかったとか、西田さんとか…べ、別に変なことなんか話してないんだからね!///
「そういえば、前田さんが言ってた銃に刻まれていた数字ってなんだったんだ?」
「あぁ…聞く?それ」
「お、おう一応。」
「その数字の意味は、45口径だった。」
「ぷふっ!そんなことかよ!!」
「そうなんだよ。呆れるよね。」
「そんなことで危うく死ぬところだったな!危ないわー」
そして話題は2人の出会いにうつった。
「唄が引っ越してきたんだよな。中学2年だっけ?それで俺が気を使ってめっちゃ話しまくってたらいやいや友達になってくれたんだよな」
「そうそう…。めっちゃしつこかった!!…でもそれがあったから今があるんだよね。」
「そうだぞ!俺のおかげだな。」
「いやいや。いつの間にか幼馴染とか言ってるしさ。幼馴染ってもっと長い期間一緒にいるものじゃない?」
「まぁいいだろ!幼馴染並みに仲いいんだしさ。」
「…。まぁいいか、そうだね。」
「うんうん!」
2人で寝転がっていると俺らは寝てしまった。明日帰れる。やっといつもの24時間に戻れるのだ。
俺は、夢に蛇が出てきた。
息を潜め動き、なにかすぐ近くの獲物に鋭い眼光をやる、凶暴な蛇。その蛇に捕食される夢を。
次も是非読みにきて下さい!!!
ありがとうございました!