苦を乗り越え、休息
意見を元にし、少し展開を遅らせました。
田中さんの横に血のついたナイフが落ちている。これはおかしくないか?自分の中でフルに頭を使って考えた。
自分で自分を刺したならナイフが刺さったままになるんじゃないか?
しかも田中さんは心臓部を刺されて死んでいる。なおさらおかしいと思った。
「田中さん…ありがとう…そしてごめんなさい…」
「田中さん…」
皆は気づいてないようだった。
「待って下さい!!」
「翔斗…?」
皆驚いていた。
「…おかしくないですか?」
おかしいのは俺の方だ。人が自分の命を犠牲にして他人を救ったというのにその死を否定しようとしているのだから。
「自分で自分を刺したならなぜナイフが床に落ちているんですか?しかも神田さんは心臓を刺されて死んでいるんですよ?なら尚更おかしいと、自分は思います…。」
皆沈黙した。気まずい。そりゃそうだ、俺がおかしいからな。静寂の中最初に声を発したのは唄だった。
「翔斗、自分で自分を刺すのはためらいがあるでしょ?田中さんはとても生きたがっていたし尚更だよ。そんなに深く刺せなかったんじゃないかな。
そして、傷が浅いまま倒れ、刺さっていたナイフが抜け、大量失血で亡くなった…。」
「そうよ、田中さんの死を無駄にすることは避けないと。きっと相当の覚悟があったんでしょう。」
俺は悩んだが、皆の言うことに賛成することにした。そうだ。自分が田中さんの立場だったら今の俺の意見には頭にきてただろう。
「もう、この事は忘れましょうよ…。」
前田さんも口を開いた。
俺はもう皆を信じようと決めた。
「じゃあもう私達は終了に向かって突き進むだけね。部屋に戻りますか。」
「「はい!」」「……。」
部屋に戻ってきた。もうスタートから2時間はたったかな?時計もないので時間がまったくわからない。お腹空いた…。
というかその前にトイレ行きたい。唄がさっき行ったんだよな。あいつに聞こうと思い俺は部屋を出た、が、そもそも唄の部屋すらしらない。
とりあえず呼ぶことにした。
「唄ぁぁぁぁぁぁぁぁ!!!!!」
すると皆が走って部屋からでてきた。
「どうしたの?!?!」
あ、これ勘違いさせちゃった感じ?
「翔斗!?どうしたの?!」
う、唄もか…。
「ト…トイレの場所…どこ?」
「「「え?」」」
いやぁぁぁぁ!俺が悪いの?!だって部屋知らないもん!勝手に部屋入ってあんなことやこんなことされてたら困るもん!
「なんだそんなことか…それならあっちにある扉だよ。」
「すいませんっしたぁぁぁぁ!!!」
走って逃げて…用を足しにきた。
トイレに入って一言、めっちゃ綺麗。なにここ○国ホテル?行ったことないけど。床は大理石。壁も大理石。こうなると便器も大理石か?
今回のゲームだけにここまで作ったのか?
もしかしたら今までもこのゲームはやられてきてたのか?もしかしたらこれからも…
いや、もう重い事は考えないようにしよう。俺達は田中さんのおかげでこのいかれた24時間から安全に脱出できるんだ。
俺はトイレを済ませ部屋に戻った。
暇なので唯一部屋に置いてあるテレビをいじってみる事にした。つくの?これ。
「電源これか?」ポチッ
『最新のニュースです。先日未明…』
ついた。でもコードはない。ほんとどうなってんだこれ。残り時間をこいつで過ごすのか…。
1時間ぐらいたっただろうか。だいぶお腹がすいてきたなぁー飯どうすんだろ、と思ったと同時に放送が流れた。
「皆さん、ホールに集まってください。」
なにかと思い出て行くと、沢山のテーブルの上に沢山の料理が用意されていた。
だからさっきも言ったけどここは○国ホテルか?なんだこの料理!凄い豪華、華やか。
皆目を輝かせている。特に前田さん。ホームレスだからそりゃそうか。
「唄っ!見ろよあれ!!」
「うん!凄いね!あんなの食べたことないよ!!」
「凄いわ…」
モニターが降りてきた。
「昼食の時間です。そこにあるもの全てあなた達のものです。たくさん食べてくださいね。ゲームでお疲れでしょうから。」
「ありがたいな、おっしゃ!食うぜーーーーーーーーー!!!」
味も見た目も最高。
俺達はほとんど残さず食べ尽くした。
「さぁ腹も満たされたし戻るかー」
「そだねー」
部屋につき、横になった。急に眠気が襲ってくる。
俺達は僅かな犠牲をバネに安全ルートを突き進んでいた。もう、このままいつもの24時間に戻れると信じて。
ありがとうございました。
次も見に来てくださいね。