たった一つの案
やる気が出てきたのですぐ投稿しました。
翔斗と唄は生き残れるのでしょうか?
どうしてこんな事になる。
唄と殺し合うなんておれには出来ない。
おれが死のう…。でも死ぬのは怖い。死にたくない。
こんな事になるなら、決勝なんてこなければよかった。
ホールに入ると向かい側から唄がやってきた。すると唄はおれに向かって軽くウインクをした。なにか案を考えついたのか…?
「1回戦の武器は刀です。中央の台に置かれている刀をとってください。」
台には日本刀がふたつ置かれていて、その日本刀に鞘はなく刀身がむきだしだった。明らかに未使用の輝きを放っていた。
2人で刀をとる。
唄「…いいこと思いついた。」
翔斗「…?」
唄「…戦っているふりをしながら話す。間違っても殺さないでよ?」
唄は笑った。
余裕があるんだ。さすがは唄だ。
「では、始めます。制限時間は5分間。戦闘開始!!」
おれは足を踏み込み、唄に斬りかかった。
あくまで『ふり』だ。
唄はそれを刀で受け止め、つばぜり合いの状態になる。
唄「僕達が城の中に入った時の扉があるでしょ?」
翔斗「ああ。」
唄「あの扉の左右に小さな扉があった。他の人が戦っている隙にあそこから出るんだ。ここからは推測だけど、外に僕達をここまで乗せてきた車があるはず。大男は車の中で待機しているはずだよ。」
翔斗「どうしてそこまで言い切れる?」
おれと唄は一度離れ、再度斬りかかる。
唄「勝利したチームの人達を帰すために待機しているはず。大男を後ろから襲い、車の鍵を奪ってそのまま脱出…。これが僕が考え出した脱出手段なんだけど、僕にかけてみない?」
翔斗「…かけるよ。それしかないだろ。だけど今この状況をどう乗り切る?引き分けはないんだろ?」
唄「説明きいてなかった?チームとしての引き分けはないって事だよ。しかも、制限時間は5分間って言ってた。このまま5分間乗り切ろう。」
翔斗「おう…。ただ、2人とも無傷ってのはおかしいよな。」
すると唄はおれに刀をかすめる程度に当ててきた。
翔斗「いってっ…!」
唄「ごめんね、翔斗。僕のことも斬って。」
斬る?かすめる程度に?そんな調整できるのか?誤ってザックリいった場合…。よく唄はそんな微調整ができたな。
翔斗「悪い!唄!!」
おれは思い切って刀を振った。
刀は唄の右腕をかすめた。
ホッとしたその時、ブザーが鳴った。
「お疲れ様でした。1回戦の結果は引き分けです。刀を台に戻して下さい」
唄「3回戦目に扉の左右に集合ね。誰にもみられないように…!」
翔斗「わ、わかった。」
本当にこれで上手くいくのだろうか。
部屋に戻り、横になって頭の中でイメージしながら考えていた。
翔斗に上手く伝えられた。
これで大丈夫だろう。部屋に戻るとお疲れ様っと西岡さんが声をかけてくれた。
西岡さんと平井さんは同じ予選会場からきたようだが、カップルではないようだった。
斎藤「君…。今の戦い、本気で殺り合ったか?」
唄「…はい。ただ、親友なのでまだ心に迷いがありました。」
この斎藤という人は相当頭がきれるようで、すぐにいろいろな作戦をだしてくれた。斎藤さんには注意しないと翔斗との脱出作戦がばれてしまうだろう。
斎藤「そうか。次は頑張ってくれよ。」
唄「はい。」
鈴木さんは部屋にきてから一度も喋っていない。ずっとすすり泣いていた。2人の関係はもう今日で終わってしまうんだ。もう二度と会うことが出来なくなってしまうんだ。そう考えると、自分だけ脱出するなんて…と考えてしまう。
僕達の脱出作戦は、本当に正しいのだろうか
なにが正しいのか。
それは正義とはなにかと同じですね。
2人の脱出作戦は正しいのか。
他の人達をおいて、同じチームの人達を見捨てて、自分達だけが逃げる。
人間、結局は自分が一番なんですね。




