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雨降り少女
「……だれ?」
「お嬢さん、どうして下を向いているのですか?」
「…雨が降ってるから」
「雨ですか…いつから降っているんですかね、雨は」
「気づいたら降っていたのよ…この雨は私にしか降らないの、それにきっと止まないわ。酷いわよね?」
「…それはどうでしょう、俯いてばかりいないで、周りを見てみて下さい」
「何故?」
「物は試し、ですよ。もしかしたら皆平等に雨は降ってるかもしれないですよ。」
「…わかった。」
「どうですか?」
「…あっ……」
「見えましたか?」
「…降ってました。」
「そうですか」
「でも、止まないなら意味はないわ」
「そんな事ありません。そろそろ止むんじゃないんですかね」
「……そうかしら」
「はい…あ、ほら」
「!」
「綺麗な虹ですね」
「そうね…」
「これで暫らくは俯かなくてすみますね」
「でも、またいつか雨が降ってしまうわ」
「なら、この少しの晴れ間を楽しみましょう。その方が楽しいですよ」
「……」
「もし、また雨が降ったのなら今度は傘を持ってきますよ。そしてまた、虹を見ましょう」
「……まぁ、悪くないわね」