二節:殺し屋フォクスとの出会い
「亰ー!はやくー!」
土御門亰、高校一年生の金融会社の娘。
「先行ってて!あたし忘れ物した!」
亰は友達の若菜と別れたあと教室に戻るとなにかを探しはじめた。
「えっと…どこだっけ…?」
亰は首を傾げながら教室だけでないところもさがす。
アレはどこにいったのか。
「んー…。でてきてよー!」
一人叫びながらもアレを探しつづける亰。その時。
「…やっと見つけまシタ!」
「!?」
後ろを振り向くと…アレをもった青年があらわれた。
「それを返して!あたしの大切なものなの!」
すると青年は穏やかに微笑み…アレ…「砂時計」をわたしてくれた。
「ありがとう。あなたは何ていうの?」
するとその青年は一言「フォクス=メゾロッソですよ」と言って、亰を抱きしめた。
「!?」
「…土御門亰さん…か。」
フォクスは亰をまじまじと見たあとに、いきなり鋼の剣を出し、亰にこう言った。
「…自分は殺し屋デス…が、貴方を護らなくてはなりません」
フォクスは複雑な表情で笑いながらいう。…殺し屋が…護る?
「どういうこと…」
「ドュアル童話、かみかくしを知っていますか?」
知ってるもなにも。
有名だから…。亰は小さいときはよくそれを読んでいた。
「貴方は、そのかみかくしに逢った少女の生まれ変わりデス。」
・・・・
「…は?」
亰は砂時計をおとしそうになったもののなんとかそれを制止する。
待て、こいつは一体何を言っている?
あんなのたかがお伽話…。
「いえ、あれは本当にありました」
「心読まないでよ!」
気にしないでくださいとフォクスが笑うと亰は反対に質問をした。
「…じゃああれは…伝記?」
「まぁそうですカネ。おや?信じますか」
悪戯混じりのフォクスの顔をみた亰はそれを無視して言葉を続けた。
「信じなくもない…かな。…フォクスが護ってくれるなら。それでいいや。」
教室で談笑する二人。するとフォクスは「じゃあ行きますか」というなり亰の身体を抱き抱え教室から飛び降りた。
「フォクス!?ちょ、人見てる!」
「ハッハッハッ大丈夫デス。きっとね」
フォクスは亰を家に降ろすと亰の家の屋根にあがり昼寝をしはじめた。
それをみている一つの闇が傍にあるのも知らずに…。