ヤンキー聖女ちゃんは拳で異世界を救う。
王都グランディア、大聖堂。
国中から集められた魔力が、巨大な魔法陣に注がれていた。
「聖女召喚の儀、開始!」
大司教ガブリエルの声が響く。
魔法陣が輝きを増し、天井まで届く光の柱が立ち上った。これは王国に伝わる最古の儀式。滅亡の危機に瀕した時、異世界から救世主を呼び寄せる禁断の術。
五百年ぶりの発動だった。
「来たれ、選ばれし聖女よ!」
光が弾ける。
誰もが息を呑んだ。
現れたのは――
「……あァ?」
黒髪ロングに金メッシュ。高い位置で結んだポニーテールが揺れる。目元には派手な赤いアイライン。耳には十字架のピアスが三つずつ。
制服のスカートは明らかに規定より長く改造されており、口にはガム。
そして何より、その目つきの悪さ。
赤い瞳が、周囲を睨み回す。
「なンだここ。教会? キッショ」
吐き捨てるような口調。
大司教の顔が蒼白になった。
「せ、聖女様……どうか、この国を――」
「は?」
ガムを噛む音が、静寂の聖堂に響く。
「誰が聖女だコラ」
場が凍りついた。
玉座に座る老王は目を見開き、隣に控える騎士団長は剣の柄を握りしめ、金髪の若き勇者は口をパクパクさせている。
「あの、えっと……」
勇者が恐る恐る声をかけた。
「君が、召喚された聖女様だよね?」
「アタシは七星ユリア」
ユリアは鼻を鳴らした。
「てめぇらの都合で呼んだんだろ? 用件だけ言えよ。帰りてぇんだ」
「し、しかし……」
大司教が震える手で、古文書を開く。
「聖紋が……確かに、七つ星の聖印が……!」
確かに、ユリアの胸元――改造制服の第二ボタンあたりに、淡く光る紋章が浮かび上がっていた。
七つの星が円を描く、歴代最強の証。
「マジかよ……」
騎士団長が呻いた。
「伝説の七星聖女が、こんな……」
「あァ? こんな、なんだよ」
ユリアの視線が、騎士団長を射抜く。
「ビビってんじゃねぇぞオッサン。アタシは喧嘩なら付き合うぜ?」
「いえっ、滅相もございません!」
騎士団長が慌てて頭を下げる。
勇者が咳払いをした。
「あの、ユリアさん。状況を説明させてもらえますか?」
「……チッ」
ユリアは舌打ちしながらも、腕を組んで聞く姿勢を取った。
「五分だ。五分で終わらせろ」
勇者は額の汗を拭いながら、説明を始めた。
この世界は今、魔王の軍勢によって滅亡の危機に瀕している。
半年前、突如として現れた魔王ザルヴァトールは、圧倒的な力で大陸の三分の二を制圧。
人間の軍隊は次々と敗北し、最後の砦である王都グランディアも、今や包囲されている。
「それで、俺が異世界から勇者として召喚されて……」
「待て待て」
ユリアが手を上げた。
「てことは、お前も召喚組か?」
「はい。三ヶ月前に」
「で、負けてんのか」
「……はい」
勇者の顔が曇る。
「魔王軍の呪獣には、特殊な呪いがかかっていて。俺の聖剣でも倒せるんですが、呪いを浄化できなくて……それで、聖女様を――」
「だから聖女じゃねぇっつってんだろ!」
怒鳴り声が聖堂に響いた。
ユリアは髪をかき上げる。
「いいか、アタシは普通の高校生だ。喧嘩は強いけど、魔法なんて使えねぇ」
「でも、聖印が……」
「知らねぇよ! 勝手に刻まれてんだよ!」
その時。
――ゴォォォン。
遠くで、鐘が鳴り響いた。
警報の音。
騎士が駆け込んでくる。
「魔王軍です! 東門に呪獣の群れが!」
勇者の顔色が変わった。
「くそ、またか!」
聖剣を抜き、走り出す。
騎士団も続いた。
ユリアは一人、聖堂に残される。
「……マジかよ」
ガムを吐き出し、拳を鳴らした。
「面倒くせぇな、おい」
王都東門。
城壁の向こうから、黒い霧が押し寄せていた。
呪獣。
魔王が創り出した、呪いの化け物。
狼のような姿をしているが、その体は黒い瘴気で覆われている。触れれば命を削り、倒しても呪いは残る。
「来るぞ! 陣形を保て!」
騎士団長が叫ぶ。
だが、呪獣の数は多すぎた。
城門を突破し、なだれ込んでくる。
「聖剣解放――光よ!」
勇者の剣が輝き、呪獣を斬り裂いた。
一体、二体。
だが。
「ぐあっ!」
黒い瘴気が勇者の体を包む。
呪いだ。
聖剣で倒せても、呪いは消せない。
「勇者様!」
騎士たちが駆け寄るが、次々と呪いに侵される。
絶望的な状況。
その時。
「――チッ」
舌打ちが響いた。
振り返ると、ユリアが立っていた。
制服姿のまま、両手をポケットに突っ込んで。
「雑魚にやられてんじゃねぇよ」
「ユ、ユリアさん! 危険です、逃げて――」
「うるせぇ」
ユリアは前に出た。
「弱ぇ奴が、泣いてんの見るとよ」
ポケットから手を出し、拳を握る。
「ムカつくんだよ」
呪獣が、ユリアに飛びかかった。
黒い爪が、彼女を引き裂こうとする。
だが。
「遅ぇ!」
ユリアの体が、残像を残して動いた。
次の瞬間、彼女は呪獣の懐に入り込んでいる。
「――浄化ァッ!」
拳が、呪獣の腹に突き刺さった。
ドゴォッ!
鈍い音。
呪獣の体が吹き飛ぶ――
いや、違う。
黒い瘴気が、爆ぜた。
光に変わる。
聖光が奔流となり、呪いを打ち消していく。
「な、なんだ……!?」
騎士たちが目を見開く。
呪獣は絶叫し、灰となって消えた。
ユリアは拳を振り払う。
「一匹」
そして、次の呪獣を睨んだ。
「次、誰だ」
呪獣たちが、怯んだように後退する。
だが、その目は狂気に染まっている。
一斉に飛びかかった。
五体、六体――
「まとめて来んのか」
ユリアは笑った。
「上等じゃねぇか!」
踏み込む。
拳を振るう。
一発ごとに、聖光が爆ぜる。
「浄化! 浄化! 浄化ァッ!」
連打。
ただ殴っているだけ。
だが、その拳は確実に呪いを打ち砕いていた。
「――結界」
ユリアが低く呟いた瞬間、赤い光が彼女を中心に広がった。
違う。
光ではない。
威圧だ。
圧倒的な力の差を、本能に叩きつける。
呪獣たちが、動きを止めた。
「今だ!」
騎士団長が叫ぶ。
騎士たちが一斉に斬りかかり、呪獣を次々と倒していく。
ユリアが倒した呪獣には呪いが残らない。
だから、安全に倒せる。
「すごい……」
勇者が呟いた。
「これが、聖女の力……」
「だから違ぇっつってんだろうがぁ!」
ユリアの怒鳴り声が戦場に響く。
だが、その拳は止まらない。
次々と呪獣を浄化していく。
十体、十五体――
ついに、最後の一体が灰になった。
静寂。
王都を包んでいた瘴気が、霧のように晴れていく。
騎士の一人が、呆然と呟いた。
「……殴って、浄化した」
「回りくどいの嫌いなんだよ」
ユリアは鼻を鳴らした。
「魔法とか、めんどくせぇ」
勇者が駆け寄る。
「あ、ありがとうございます! あなたがいなければ、僕たちは――」
「別にてめぇらのためじゃねぇ」
ユリアは視線を逸らした。
「たまたま、暇だっただけだ」
だが、その頬はわずかに赤い。
騎士団長が膝をついた。
「聖女様……いえ、ユリア様。どうか、我々に力を!」
「……チッ」
ユリアは面倒くさそうに髪をかき上げる。
「聖女って呼ぶな。ムカつく」
「では、なんと……」
「ユリアでいい。それか――」
少しだけ、笑みを浮かべる。
「七星の姐さん、とかな」
騎士たちが顔を見合わせた。
そして。
「七星の姐さん!」
「姐さん、ありがとうございます!」
口々に叫ぶ。
ユリアは満足げに頷いた。
「よし。じゃあ次はどこだ」
戦いの後、ユリアは城壁の上に座っていた。
夕日が、王都を赤く染めている。
「……ここ、結構綺麗じゃん」
呟きながら、新しいガムを口に放り込む。
足音が近づいてきた。
振り返ると、勇者だった。
「あの、邪魔してもいいですか?」
「勝手にしろ」
勇者は隣に座る。
しばらく、沈黙。
「……ユリアさんは、元の世界に、大事な人とかいますか?」
「あァ?」
ユリアは眉をひそめた。
「なんだよ、急に」
「いや、その……俺、こっちに来て三ヶ月なんですけど」
勇者は苦笑する。
「まだ、元の世界のこと、忘れられなくて」
「……そりゃそうだろ」
ユリアはガムを噛みながら、空を見上げた。
「アタシだって、帰りてぇよ。明日、期末テストなんだ」
「えっ、マジですか」
「マジだ。数学とか絶対赤点だわ」
二人で笑う。
ふと、勇者が真顔になった。
「でも……ユリアさんは、強いですね」
「あァ?」
「その、心が。俺なんて、召喚されてすぐ泣きそうになったのに」
「……別に」
ユリアは髪をいじった。
「アタシだって、最初はビビったわ。変な服着たジジイに囲まれてよ」
「ははは」
「でもよ」
ユリアは拳を握る。
「ビビってても、何も変わんねぇだろ。だったら、やれることやるだけだ」
その時。
城壁の下から、小さな声が聞こえた。
「……ねぇ、お姉ちゃん」
見下ろすと、小さな女の子がいた。
七歳くらいだろうか。ボロボロの服を着て、頬に傷がある。
「んだよ」
ユリアが声をかけると、女の子は怯えたように後ずさった。
「あっ、ごめん」
ユリアは慌てて声のトーンを落とす。
「……なんか、用か?」
「あの……」
女の子は涙目で、小さな声で言った。
「お母さんが、動かないの」
勇者の表情が変わった。
「案内してくれるか?」
女の子は頷き、二人を路地裏に案内した。
そこには、女性が倒れていた。
服には、黒い染みが広がっている。
呪いだ。
「くそ……呪いが、体に回ってる」
勇者が歯噛みする。
「俺の浄化魔法じゃ、間に合わない……!」
「どけ」
ユリアが前に出た。
「アタシがやる」
「でも、呪いを浄化するには――」
「うるせぇ、黙ってろ」
ユリアは女性の手を握った。
そして。
「――祝福」
気合いの声とともに、淡い光が溢れた。
温かい光。
誰よりも優しい光。
女性の体から、黒い染みが消えていく。
呼吸が、安定する。
「……お、お母さん!」
女の子が駆け寄り、母親に抱きつく。
女性はゆっくりと目を開けた。
「……あなたは」
「別に」
ユリアはそっぽを向いた。
「たまたま、通りかかっただけだ」
女の子が、ユリアの服を引っ張った。
「ありがとう、聖女さま」
その瞬間、ユリアの顔が真っ赤になった。
「せ、聖女じゃねぇっつってんだろ!」
「でも、お姉ちゃんが助けてくれたんでしょ?」
「そ、それは……」
ユリアは視線を泳がせる。
「……弱ぇ奴が、泣いてんの見ると。ムカつくだけだ」
女の子はきょとんとして、それから笑った。
「お姉ちゃん、優しいね」
「うるせぇ!」
ユリアは立ち上がり、そそくさと歩き出した。
勇者が笑いながら後を追う。
「ユリアさん、照れてますね」
「照れてねぇ!」
「でも、顔真っ赤ですよ」
「う、うるせぇ! てめぇ、ぶっ飛ばすぞ!」
二人の掛け合いが、夕暮れの王都に響いた。
その夜。
王城の作戦会議室。
「明日の夜明けに、魔王軍本隊が王都に到達します」
騎士団長が、地図を指し示す。
「おそらく、魔王ザルヴァトール自身が出陣するでしょう」
「……マジかよ」
ユリアは椅子に座ったまま、足を組んだ。
「ラスボス直々かよ。チートすぎんだろ」
「今まで、魔王と戦って生き残った者は誰もいません」
大司教が沈痛な面持ちで言う。
「圧倒的な魔力と、不死の肉体。そして何より――」
「絶望の呪い、だろ?」
勇者が続けた。
「魔王の周囲にいるだけで、希望を失い、戦意を喪失する。そんな話を聞きました」
「最悪じゃねぇか」
ユリアは舌打ちした。
「でも、やるしかねぇんだろ?」
「……はい」
老王が立ち上がった。
「七星のユリア殿。どうか、我が国を――いや、この世界を救っていただきたい」
「チッ……」
ユリアは髪をかき上げる。
「別に、てめぇらのためじゃねぇからな」
そして、拳を握った。
「ただ、ムカつくんだよ。弱ぇ奴を虐めるクソ野郎が」
その瞬間、胸元の聖印が輝いた。
七つの星が、まるで呼応するように光を放つ。
「魔王なんて、ぶっ飛ばしてやる」
翌朝。
王都の城門前に、黒い軍勢が現れた。
数え切れない呪獣と、骸骨兵士。
そして、その中心に――
「――来たか」
魔王ザルヴァトール。
漆黒のローブに身を包み、赤い瞳で王都を見据える。
「人間どもよ。降伏するなら、今だ」
その声は、空気を震わせた。
絶望の波動が、王都全体を包む。
騎士たちが、膝をつき始める。
勇者でさえ、剣を握る手が震えている。
「く、そ……体が……」
「弱ぇな、お前ら」
ユリアだけが、平然と立っていた。
「この程度で、ビビってんじゃねぇよ」
彼女は城門を開け、一人で歩き出した。
「ユリアさん、危険です!」
「うるせぇ」
ユリアは振り返り、笑った。
「アタシは喧嘩なら、負けねぇんだよ」
そして、魔王の前に立つ。
「よォ、魔王とやら」
「……ほう」
魔王は興味深そうにユリアを見た。
「我が呪いに侵されぬとは。貴様が、召喚された聖女か」
「聖女じゃねぇっつってんだろ!」
ユリアは怒鳴った。
「アタシは七星ユリア。てめぇをぶっ飛ばしに来た!」
魔王は笑う。
「面白い。だが、貴様ごときが――」
「うるせぇ!」
ユリアの拳が、魔王の顔面に突き刺さった。
速い。
誰も見えなかった。
だが、確かに。
魔王の体が、吹き飛んだ。
「――ッ!?」
魔王軍が、騒然となる。
魔王は地面に叩きつけられ、ゆっくりと立ち上がった。
「……見事だ」
口元から、黒い血が流れている。
「五百年ぶりに、痛みを感じたぞ」
「そりゃどーも」
ユリアは拳を鳴らした。
「次は、もっと痛ぇの行くからな」
「ならば――」
魔王が手を掲げる。
「全力で相手しよう!」
黒い魔力が、空を覆った。
呪獣が、次々と現れる。
百体、二百体――
「結界」
ユリアが呟いた瞬間、赤い光が爆発的に広がった。
威圧。
圧倒的な力の差。
呪獣たちが、動きを止める。
「今だ、行け!」
勇者が叫んだ。
騎士団が一斉に突撃する。
ユリアは魔王に向かって走った。
「浄化ァッ!」
拳が、魔王の腹に突き刺さる。
聖光が爆ぜる。
「ぐ……ああああっ!」
魔王の体から、呪いが剥がれていく。
「な、なんだこれは……我が呪いが……!」
「てめぇの呪いなんて」
ユリアは笑った。
「アタシの拳で、全部ぶっ飛ばしてやる!」
連打。
浄化、浄化、浄化。
拳を振るうたびに、聖光が輝く。
魔王の体が、徐々に透明になっていく。
「馬鹿な……我は、不死の……」
「不死? 知らねぇよ」
ユリアは最後の一撃を放った。
「――浄化ァァァッ!」
拳が、魔王の胸を貫いた。
爆発的な聖光が、空を覆う。
「ぐああああああああっ!」
魔王の絶叫が響き渡り――
そして、消えた。
黒い魔力が霧散し、呪獣たちが灰になる。
静寂。
王都を包んでいた絶望が、晴れていった。
「……勝った?」
誰かが呟く。
「勝ったんだ!」
「魔王を倒した!」
歓声が上がる。
騎士たちが、ユリアの名を叫ぶ。
「七星の姐さん万歳!」
「聖女様万歳!」
「だから聖女じゃねぇっつってんだろうがァ!」
ユリアの怒鳴り声が響いた。
それから一週間。
王都に平和が戻った。
ユリアは城の庭で、ガムを噛みながら空を見上げていた。
「……そろそろ、帰れるのかな」
呟く。
足音が近づいてきた。
振り返ると、あの時の女の子だった。
「お姉ちゃん!」
「おう」
ユリアは手を上げた。
「母ちゃん、元気か?」
「うん! お母さん、もう大丈夫だって!」
女の子は笑顔で、花束を差し出した。
「これ、お礼」
「……おう」
ユリアは花束を受け取る。
そして、女の子の頭を撫でた。
「元気でな」
「お姉ちゃん、どこか行っちゃうの?」
「ああ。アタシ、ここの人間じゃねぇから」
女の子は涙目になった。
「寂しい……」
「泣くなよ」
ユリアは笑った。
「アタシは、弱ぇ奴が泣いてんの、嫌いなんだ」
「……でも」
「大丈夫だ」
ユリアは女の子の涙を拭いた。
淡い光が溢れる。
祝福。
「てめぇは、もう弱くねぇ。だから、笑ってろ」
女の子は頷いて、笑顔になった。
「ありがとう、聖女さま」
「……」
ユリアは顔を背けた。
頬が、真っ赤だ。
「……うるせぇよ」
その夜。
大聖堂で、帰還の儀式が行われた。
「ユリア様」
大司教が頭を下げる。
「本当に、ありがとうございました」
「別に」
ユリアはポケットに手を突っ込んだ。
「たまたま、暇だっただけだ」
勇者が前に出た。
「ユリアさん。俺、あなたのこと、一生忘れません」
「おう」
ユリアは拳を差し出した。
「元の世界に帰っても、負けんなよ」
「……はい!」
二人は拳を合わせた。
そして、魔法陣が輝き始める。
「では、お元気で――」
「待った」
ユリアは振り返った。
「一つだけ、言わせろ」
全員が、息を呑む。
ユリアは笑った。
「――アタシのこと、聖女なんて呼ぶなよ。七星の姐さんだ」
その言葉を残し、ユリアは光に包まれた。
――そして。
七星ユリアは、元の世界に帰還した。
気づけば、自分の部屋。
ベッドに座り、窓の外を見る。
「……夢、だったのかな」
呟きかけて。
胸元を見た。
そこには、淡く光る聖印。
七つの星が、まだ刻まれていた。
「……マジかよ」
ユリアは笑った。
そして、新しいガムを口に放り込む。
「まあ、いいけどな」
拳を握る。
明日も、いつも通り。
喧嘩して、怒鳴って、でも誰かを守る。
それが、七星ユリアの生き方だ。
――聖女は今日も、拳で世界を救う。
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