表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
空振り美食道〜大根一本で魔王と勇者を飼い慣らすまで〜  作者: 向陽葵
【第3部:魔王の裏庭と、禁断の大根編】

この作品ページにはなろうチアーズプログラム参加に伴う広告が設置されています。詳細はこちら

84/90

重力の空振り:リヤカー、星の海へ(前半)

「……みんな、苦しくない? ……空気、空振りで、ここに閉じ込めておいたから」


 高度三万メートル。空の色はもはや青ではなく、底知れない闇へと変わっていた。  エリカたちが乗っているのは、魔王が城の尖塔を改造し、勇者の聖剣で補強した、全長五十メートルの『超弩級巨大リヤカー』。その荷台には、エリカが地上から持ち込んだ「漬物石(巨大な黄金の塩の塊)」が鎮座している。


「エリカ殿、間もなく『大気の壁』を抜けるぞ! ここから先は重力の呪縛が解け、我々の魔力も未知の挙動を示すはずだ!」  魔王ベルゼ・ブートが、宇宙服代わりの漆黒の結界を纏いながら叫ぶ。


「……重力。……お相撲さんみたいに、重いんだよね。……じゃあ、投げ飛ばせばいいんだね」


 エリカが巨大リヤカーの先端に立ち、虚空を見据えた。  そこには、月の光を浴びて銀色に輝く「宇宙の道」が見えていた。深淵大根の根っこが指し示した、母星へと続く道だ。


「……はぁぁぁぁぁっ!!」


 ――一回目、空振り。  エリカは、リヤカーが今まさに突入しようとしている「真空の境界」を、手刀で真横に薙いだ。  ドォォォォォォン!!


 大気圏外にわずかに残るエーテルが、エリカの空振りによって超圧縮され、巨大な「反重力のクッション」を作り出す。


「二回目、三回目ッ!!」    エリカの連続空振りが、宇宙空間の「無」を叩き、推進力を生み出す。  命中率「2」。星々には一撃も当たらない。  しかし、彼女が「宇宙そのものを空振る」たびに、リヤカーは物理法則を嘲笑うような速度で加速し、背後に青い大地を置き去りにしていく。


「信じられませんわ……真空中で『空振り』を成立させるなんて……! 物理学の教科書が、私の胃袋と一緒に溶けてしまいそうですわ!」  カトリーヌが、宇宙の無重力で浮き上がるトマトを必死に回収しながら叫ぶ。


「……あ。……見て。……月の中に、大きな葉っぱが、見える」


 エリカの指差す先。  銀色に輝く月面の一部が、緑色のオーラを放っていた。それは、地上の大根など比較にならないほど巨大な『月面大根』の葉だった。


 だが、そのリヤカーの前に、宇宙を漂う巨大な岩石の群れ――小惑星帯アステロイド・ベルトが立ちふさがる。


「……お肉を叩くときの、ミートハンマーみたい。……全部、潰して、平らにするね」

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

↑ページトップへ