表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
空振り美食道〜大根一本で魔王と勇者を飼い慣らすまで〜  作者: 向陽葵
【第3部:魔王の裏庭と、禁断の大根編】

この作品ページにはなろうチアーズプログラム参加に伴う広告が設置されています。詳細はこちら

76/90

魔王領開拓史:衝撃波で耕す100万ヘクタール(前半)

「……みんな、種持った? ……いくよ。……瞬きしたら、……おいていくよ?」


 魔王領の荒野に、エリカの声が響く。背後には、戸惑いながらも大量の野菜の種を抱えた魔王軍の兵士たち、そして「畑仕事も法の執行のうちだ」と自分に言い聞かせるザイルが並んでいた。


「エリカ殿、準備は整った! 我が軍の精鋭たちが、貴殿の風を待っているぞ!」  魔王ベルゼ・ブートが、なぜか麦わら帽子(魔導強化済み)を被って号令をかける。


「……はぁぁぁぁぁっ!!」


 ――一回目、二回目、連続空振り!!  エリカが大地ではなく、その「十センチ上の空間」を地面と平行に薙いだ。  ドゴォォォォォン!!  猛烈な真空の引き込み現象が発生し、カチカチに固まっていた暗黒の土が、まるで巨大な波のように一斉にめくれ上がった。


「三回目、四回目ッ!!」  エリカはリヤカーを掴んだまま、爆風の反動で荒野を音速で駆け抜ける。彼女が通り過ぎた後には、完璧に耕され、空気がたっぷりと含まれたフカフカのうねが、地平線の彼方まで出来上がっていた。


「今だ、種を蒔け! エリカ殿の風に遅れるなッ!!」  魔王の叫びに合わせ、兵士たちが空振りの余波による「微風」に乗せて種を散布する。


 しかし、その平和な農作業を妨げるように、大地の底から不気味な震動が伝わってきた。


 ギチギチギチギチ……ッ!!


「……あ。……土の中から、……悪い匂いがする」


 地割れから姿を現したのは、体長数メートル、鋼鉄のような外殻を持つ巨大なバッタの群れ。伝説の食害獣『アビス・ローカスト』。一晩で国一つの作物を食い尽くすと言われる、農業の天敵だった。


「ぬおっ!? これは古代の害虫! 我が庭の深淵大根すら食い荒らそうというのか!」 「……ダメだよ。……それ、私の大根。……私の、ご飯」


 エリカの瞳から光が消え、調理の殺気が「害虫駆除の殺気」へと切り替わった。


「……五度目の空振り。……まとめて、堆肥たいひになれ!!」

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

↑ページトップへ