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空振り美食道〜大根一本で魔王と勇者を飼い慣らすまで〜  作者: 向陽葵
【第3部:魔王の裏庭と、禁断の大根編】

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72/90

魔王領への不法侵入(前半)

「……空が、グレープジュースみたいな色。……あんまり、美味しそうじゃないね」


 帝都を離れ、人類未踏の地『暗黒大陸』へと足を踏み入れたエリカ一行。  目の前に広がるのは、禍々しい魔力を放つトゲだらけの森と、その奥にそびえ立つ、空を突き刺すような魔王城だった。


「エリカさん、ここからは冗談抜きで死の世界です。空気を吸うだけで肺が凍り、土を踏めば魂を吸われると言われる場所なんですから!」  リノが防護魔法を何重にも張りながら叫ぶ。


「……大丈夫。……土が硬いなら、柔らかくすればいいだけだよ」


 エリカはリヤカーを引き、ドロドロと溶岩のように煮え立つ川の前に立った。  橋はない。あるのは、こちらを獲物として見定める、巨大な『人喰いカボチャ(デス・パンプキン)』の群れだけだ。


「ヒャハハハ! 人間だ! 久しぶりの生肉だぁ!」  カボチャたちが土の中から飛び出し、鋭い牙を剥いてエリカに襲いかかる。


「……勝手に動くカボチャ。……煮物にする時、楽そうだね」


 エリカは『大根丸』を構え、深く腰を落とした。  借金から解放され、迷いのなくなった彼女の構えは、もはや自然災害に近い威圧感を放っている。


「……はぁぁぁぁぁっ!!」


 ――一回目、空振り。  エリカは、カボチャの群れの「ちょうど頭上」を薙いだ。    ドォォォォォォン!!


 直接当たってはいない。だが、空振りの凄まじい風圧がカボチャたちを地面に叩きつけ、同時に周囲の猛毒の霧を吹き飛ばして、清浄な空気のトンネルを作り出した。


「二回目、三回目ッ!!」  さらに空振りを重ね、エリカは衝撃波で煮えたぎる川を「物理的に割った」。


「リノ、今のうちに! ……あ、カボチャさんは、後で使うからリヤカーに乗せておいてね」


「エリカさん、あれ『魔王軍の斥候せっこう』ですよ!? 食材扱いしないでください!!」


 阿鼻叫喚の声を上げるカボチャたちを横目に、エリカは悠々と魔王城の「裏口」へとリヤカーを進める。  その門の先には、魔王すらも恐れて近づかないという、漆黒の土壌に埋まる『深淵大根』が、怪しく黒い光を放っていた。


「……見つけた。……あれが、私を呼んでる大根さんだ」

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