表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
空振り美食道〜大根一本で魔王と勇者を飼い慣らすまで〜  作者: 向陽葵
【第2部:帝都追放? 借金まみれの美食旅】

この作品ページにはなろうチアーズプログラム参加に伴う広告が設置されています。詳細はこちら

39/90

背負うのは剣と借金と大根(前半)

帝都の夜明けは、常に活気と希望に満ちている――はずだった。  北門の門前、まだ朝靄あさもやが立ち込める中、そこには帝都始まって以来の「奇妙な一団」が立ち尽くしていた。


「……ねえ、リノ。これ、本当に全部持って行かなきゃダメかな?」  エリカが指差したのは、特注の巨大な木製リヤカー。そこには、優勝賞品の『雪どけ大根』三百六十五本が、見事なピラミッド状に積み上げられている。その総重量、優に数百キロ。


「当たり前です! 借金八万アウルの私たちが、この大根を捨てて何を食べろと言うんですか! これは私たちの『移動式備蓄基地』です!」  リノは涙目で、リヤカーの車輪に注油をしていた。


「……あたし、プロの盗賊なんだけどな。なんで大根満載のリヤカーを引いて、国境を越えなきゃいけないわけ?」  ミラが頭を抱えて呟く。彼女の腰には、戦利品のナイフではなく、大根の皮を剥くための「予備の包丁」がぶら下がっていた。


「ガッハッハ! いいじゃねえか、ミラちゃん。これこそ冒険だ! 帝都の連中も、あの競技場を壊したエリカがまだ市内にいると知ったら、暴動が起きるからな。……な、マーカス?」 「……俺はただ、聖騎士団に目をつけられたから、ほとぼりが冷めるまで逃げたいだけだ……」


 一行が門を抜けようとしたその時。  白馬に跨り、白銀の甲冑を輝かせたあの男が、行く手を塞ぐように現れた。


「……アルトリウスさん」  エリカが身構える。また修理費の追加請求か、あるいは投獄か。


「……案ずるな。今日は捕縛に来たのではない。……陛下よりの勅命だ」  アルトリウスは、厳かな手つきで一通の書簡を差し出した。 「『破壊の娘エリカとその一行。貴公らの負債は多大なり。よって、各地に現れる魔物の討伐、および未開の地の特産品の献上をもって、その借金を相殺することを許可する』……とのことだ」


「……特産品? 食べ物のこと?」 「そうだ。帝都では味わえぬ伝説の食材を、宮廷に届けるのだ。……そして、私はその『監視役』として、不定期にお前たちの前に現れることになるだろう」


 アルトリウスは馬を翻し、エリカを鋭く見据えた。 「死ぬなよ、エリカ。お前が死ねば、誰がこのクレーターだらけの街を直す費用を払うのだ」


「……うん! 頑張って美味しいもの見つけて、全部食べて……じゃなくて、半分くらい届けるね!」


 こうして、一人の剛力娘と三人の不運な仲間たち、そして三百六十五本の大根を乗せたリヤカーは、果てなき借金返済の旅路へと一歩を踏み出した。  目指すは、南の湿地帯に生息するという、肉より美味い伝説の巨大キノコ『ハライッパイ・ダケ』。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

↑ページトップへ