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第7話「忌」

「駄目だ!」

 考えるよりも先に叫んでしまった。

「駄目って……奏汰くんが行きたかった場所、よね……?」

「ど、どうしたの? 何か急用だったり……? だったら、私とママだけで行く?」

 狼狽する俺にふたりが驚く。それもそうだろう、泣いたり叫んだり自分でも情緒不安定かよって思うぐらいだ。だけど、いまはそうじゃない!

「今日は……っ……駄目だ! 夕立が来るんだ! だからやめよう、出掛けるのも禁止だ……っ!」

 あの日アウトレットモールに向かったふたりは走行中の雷雨に見舞われ、車ごと土砂に呑み込まれた。

 気まぐれにつけたテレビのニュース速報がフラッシュバックする。網膜に焼き点いてしまったんだろうな、忘れるなんてできない。

 夜になっても朝になっても帰宅せず安否も分からないふたりが災害に巻き込まれ死亡したという連絡が飛び込んで来るまで……俺は気が気じゃなかった。

 次の記憶は、無言の帰宅。俺のケータイに残された画質の粗いデータがふたりの遺影になった。痩せ細り朽ち果て、損壊した亡骸。

 棺桶で眠るのは肉片の母と臓器を抜かれた姉。俺の家族だったもの。

 俺の……日常だったモノ。

 ここが夢の中だろうが、ふたりに気が狂ったと思われようが、俺は今日この日のドライブを止めさせたい。だか、苦しげに……ふたりに訴えた。


「一生のお願いだ……今日は、家に居てほしい」


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