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無限の巡力で人類最強!? ハイパワーロボットでステルスダンジョン攻略!!  作者: 弓屋 晶都


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第33話 信頼

「どうだい? 話はまとまったかな?」


不意に近くで聞こえる声。


俺が顔を上げれば、道角支局長がにこやかに立っていた。


「おっと、お嬢さんには挨拶がまだだったね。私は門川支局の支局長を務める、道角 敢だ。この度はモンスター討伐への協力本当にありがとう。攻略隊を代表して礼を言わせてもらうよ」


「あ、えっと、柊木 菜々㮈(ひいらぎ ななな)です。こちらこそ、昨日はポーションをありがとうございました」

「いやいや、あの一本でまさかボスまで倒してもらえるとは思わなかったからね、対ボス戦の費用としては最小額だったよ」

そう言う道角さんがにこやかに尋ねる。

「それで、今回の件は引き受けてもらえそうかな?」


サラッと言ってくれるけど、1000人近い人の命を預かる話なんだよな……。

何より、俺はまだ350メートル上空に人々を運べて、なおかつ柊木さんの処理能力内で作れそうな建築物を思い描けずにいた。


「いや、えーと……」

俺が返事に悩む間に、柊木さんが「はいっ、頑張ります」と答える。


「柊木さん!?」


「そうかそうか、頑張ってくれるか、それは頼もしいな」

「いや、待ってください、俺はまだ――」

「こちらも無茶を言っているのは分かってるからね、巡力ポーションはもちろん、事故の際にこちらの操作系能力者で避難者の落下を防ぐ手筈は整えておくよ」


う。先に言われてしまった……。


道角さんは俺の書き殴った図面の束を手に取ると言った。

「君達が真剣に向き合ってくれてるのは良くわかった。こちらでもできる限りのことをするし、有事の際の責任は私が取る。他に必要なものがあればいつでも声をかけてくれ」


道角さんに肩をポンと叩かれて、俺は仕方なく「はい」と答えた。


道角さんが姿を消すと、叔父さんが心配そうに声をかけてくれる。

「啓くん、大丈夫かい……?」

今からでも断るなら、僕が断ってあげようか。なんて顔に書いてある。

「うん、まあ。やるだけやってみるよ」


責任は取るからやってみろなんて言われたら、できるとこまでやるしかないよな。


道角さんはすぐに昨日と同じ高いタイプの巡力ポーションを5本持ってきてくれた。

巡力ポーションは回復ポーションとは違ってコンカー以外で欲しがる人は少ないが、それでも、この5本で何十万するんだ……と思ってしまう。


「それで、薙乃さんは何を困ってるんですか?」

柊木さんが不思議そうに尋ねる。

「それって、返事をしてから聞くことか?」

俺はゲンナリと答えてから、現状を説明する。


話を聞いた柊木さんが「私……お返事を早まったかも知れません……」と呟いた。


遅いよ! 遅いんだよ、それに気づくのが!!


全く……。

彼女のこの変な瞬発力には救われるばかりじゃないな、と認識を改める。



「……どうするんですか、薙乃さん」

「俺が聞きたいよ!」

柊木さんは難しそうな顔をして考えはじめる。

「うーん……、350メートルの高さを……上り下りする……」

「いや、下りはしなくていいんだけどさ、上れればそれで……」


……うん? 最近聞いたな。350メートルを上り下りする……。


東京タワーじゃなくて……。


「「スカイツリーのエレベーター!!」」

俺たちは互いに指を差し合った。


「そうだよな、少し前に学校の研修旅行で行ったよ」

「行きましたっ!」

「そんで乗ったよな、350メートルの高さを50秒で移動する、分速600mのエレベーターに」

「そ、そこまではわかりませんが、ひとクラス全員乗れて、いっぱい乗れるなあって思いました」

「ああ、確か40人乗りだった。ダンジョン内には雨も風もないし、その辺の計算はいらないな」

俺はロボの下にいた叔父さんに声をかける。

「叔父さん! スカイツリーのエレベーターに関する資料があったら持ってきてほしい、あとロープーウェーの資料も!」

俺の言葉に、叔父さんは「うん、わかった!」と立ち上がる。


なんで気づかなかったんだろう。

俺たちは今まで2回もエレベーターを改造していたくせに。


下から上まで全員が一気に通れる道を作ろうとするから難しかったんだよ。


避難者には老人も子どももいる。

カゴに入れてロープで運ぶのが一番早くて安全じゃないか。

それに、これなら全体面積もコンパクトに済む。

ロープの長さを思うとそれなりではあるが、今まで考えていた建築型に比べれば圧倒的にコンパクトだ。


これなら柊木さんの処理能力でもなんとかまかなえるだろう。

早速設計の概要を思い浮かべながら、それでもやはり、今回も彼女に多少の無理を強いることにはなるな……と気づく。


「柊木さん、これでも結構、組み立てる時はキツイと思うよ……?」


「大丈夫ですっ、頑張りますっ!」

柊木さんは胸をドンと叩いて、軽くむせた。


……本当に大丈夫か? という思いを飲み込んで、俺も言う。

「ああ、頼りにしてるよ」


結局いつも、俺は柊木さんを頼りにしているし、彼女ならそれに応えてくれると思ってしまっている。


ああそうか。

重めに信頼されてるのは、俺だけじゃなかったな。


苦笑を浮かべた俺に、柊木さんはニッコリほほえんだ。




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