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無限の巡力で人類最強!? ハイパワーロボットでステルスダンジョン攻略!!  作者: 弓屋 晶都


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第29話 司書

道角さんに脱出ルート作りを依頼された俺は「柊木さんが目を覚ましたら相談してみます」と答えた。

それと、俺達が脱出ルートを作る際には、巡力回復ポーションをもう何本か支給してもらう必要があることも合わせて伝えておいた。

道角さんは、今回一緒にダンジョンに潜っている6人の操作系コンカー達がそれぞれ何ができるのかをざっくり説明した。

6人は多いな……。普通は3人ほどのはずだ。

通常の倍の人数を連れて来て、それでもまるで届かないほどの高さか……。


探索型コンカーの調べでは、あのゲートまではざっと350メートルほどもあるらしい。

スカイツリーほどではないが、東京タワーよりは高いのか……。



***


あちこちが大破した図書館の1階は、崩れる事がないよう操作系コンカーの皆さんが補修をしていたが、それも終わるとすっかり静かになった。

避難所になっている2階3階からは大勢の人の気配を感じるが、上も今は落ち着いているようだ。


今頃叔父さんはどうしているだろうか……。

叔父さんに俺たちの無事を伝えておきたかったが、作業中のコンカーさん達は忙しそうで伝言は頼みきれなかった。


柊木さんは今も静かに寝息を立てている。

俺は一人で黙々と脱出ルートをどうしようか考えていた。


そこへ、昼間に迷子の放送をかけてくれた司書さんが通りかかった。


俺がいるロボの周辺は立入禁止区域にされて、周りにはポールとロープが立てられている。

ロボにもブルーシートがかかっていたが、司書さんはこちらが気になるのか隙間からチラチラ覗こうとしていた。

どうやら、俺たちが助けた避難者の話から、あれがロボットらしいというウワサは広がっているようだ。


「すみません。司書さん、今大丈夫ですか?」

「わっ!? えっ!?」

声をかけられた司書さんがとび上がる。

ここには誰もいないと思っていたんだろうか、うっかり驚かせてしまったようだ。


「あれ……? 君は車椅子の少年かい?」

よかった、司書さんも俺のことを覚えてくれていたようだ。

「そうか、あの時の君たちが助けてくれたんだね」


優しく微笑む彼に、俺は紙と鉛筆と高層階建築についての本を持ってきてもらえるようにお願いする。

4~5階程度の高さなら階段なり坂なりで道さえ作れば済むだろうが、流石に300メートル以上もの高さを、これだけの人数が安全にのぼるためには、俺の今の知識だけではどうしようもない。

ダンジョンには電波も届かないしネットで調べることもできなかったが、幸運なことに、ここは知識の宝庫である図書館だ。


司書さんは俺の頼みを快く引き受けてくれた。

「建築関係の本棚が2階でよかったよ。1階の本達はほとんどが吹き飛んでしまったからね」

司書さんはそう言って、悲しげに微笑んだ。

彼にとってここは大切な場所だったんだろうな。


「他に、僕にできる事はないかい?」

司書さんの申し出に、俺は有り難く甘えた。

3階にいるはずの叔父さんに、俺達の無事を伝えてほしい、と。

司書さんは叔父さんの名前をメモすると「必ず伝えるよ」と足早に立ち去った。



スマホの時計はそろそろ19時になろうとしているが、ずっと明るいこのダンジョンでは夜を感じとれないな。

それでも確かな疲労感が、俺の体力的な活動限界が近い事を伝えている。


まあ今日は、朝から本当に色々あったからな……。


叔父さんは、きっとあれからずっと、俺の無事を祈っててくれたんだろう。

長いこと待たせてしまって、悪かったな……。


そう思うと同時に、さっきの苛立ちが蘇る。

いやでも俺の方がずっとずっと長いこと待たされてた……っつーか騙されてたからな?


前に叔父さん言ってたよな。

俺が「トイレで巡力流すのって変じゃないか? 他のみんなもそうなのかな……?」って聞いたら「僕もそうだよ」って。そんで俺はコロっと騙されたんだよな。

ああそうなのか。って。そういう体質なのかな、なんてさ。

まあ叔父さんも爺ちゃんからのコンカー家系だし、あれは嘘じゃなかったとしても、知ってたなら「普通はそうじゃないよ」って話くらいしてくれてもよかっただろ!?


「くそっ……」

それでも、俺を騙していた皆の顔を思い浮かべると、両親も、叔父さんも、皆俺に微笑みかけてくれてるんだよな……。


父さん母さん叔父さんが、俺をどんなに大切にしてたかなんて、わかってる。


俺には幼い頃、自分の巡力を受け止めるだけの体力なかったってことも、理解してる。


両親がいなくならなければ、徐々に指定量は上がっていただろうし、俺にずっと隠すつもりじゃなかったことも分かってはいるよ。


でもさ……。





「……啓くん」


いつの間にか俯いていた顔を上げると、そこには真っ赤に目を腫らした叔父さんが立っていた。




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