第58話.マン・フォー・ホール ホール・フォー・マン
第6章、黄金井絵美編、最終回です!
ここまで20万字、ご愛読ありがとうございました!
R15版の方は、しばらく休載を挟みます。
次回第7章の更新開始は、8/24(日)になります。
当作品のR18完全版を、8/9(土)から連載開始予定です。
ノクターンノベルズ,カクヨムで公開予定です。
宜しければそちらの方にも目を通して頂ければ幸いです。
「絵美、何でお前がココに···」
予想外な人物の登場に、恐る恐る近づく俺。
「先輩、まぁとりあえず、座って下さいよ」
そう言って、絵美が座る目の前の座布団に座るように促される。
主導権がコチラには無いことを悟っている俺は、とりあえず指示通りに絵美の目の前に腰を下ろした。
少し緩めに浴衣を着こなしている彼女が、なんだか妙に色っぽく見える。
その姿を前に、こんな状況下でさえ、俺の男の感情は昂りを感じずにはいられなかった。
「んで、絵美、お前はいったいココで何を」
と口に出したところで、俺は彼女にいきなり押し倒された。
「うわっ!」
畳に仰向けに倒れ込む俺と、覆いかぶさるように押し倒す彼女。
「先輩···♡」
上から俺の顔を覗き込む彼女のその表情は、完全にオスに発情するメスのそれだった。
「先輩、私と一緒に、ココで子作りしましょ♡」
「···はい?」
とうやら、この部屋で最初に聞いた彼女の言葉は、俺の聞き間違いではなかったようだ。
俺に対してマウントポジションをとる彼女は、カバっと、着用していた浴衣を脱ぎ捨てた。
てっきりその下は全裸かと予想していたのだが、意外なことに彼女はブラとショーツを着用していた。
そして、更に意外だったことは、その下着が普通の形状をしていなかったことである。
ブラは、丁度乳首の部分にだけ穴が空いており、ショーツの方も、”アワビ”が露出するように穴が空いていた。
本来の下着としての役目を果たす気が全くない、オスを性的に興奮させることにのみ特化した、そんなドスケベで下品な布切れを身にまとう彼女。
「どうですか、先輩、この下着♡先輩は、全裸よりもコッチの方が興奮するんですよね♡」
まさに、彼女の言う通りだった。
全裸よりも”着エロ”派の俺にとって、その下品の化身たる下着姿は垂涎の存在で···
ピクピク、ピーン!
「ふふ♡先輩の”えのき”は、ほんと素直で分かりやすくてカワイイてすね♡」
俺の”えのき”が準備万端になってしまったが、彼女もまた、今現在既に”仕上がっている”状態のようであった。
なんでそう思ったかというと、その理由は至極単純なもので、ブラに空いた穴から、本来は陥没して見えないはずの彼女の可愛らしい桃色乳首がピョコンと顔を出していたからである。
”絶頂”に達した証たるそのピンクの突起であったが、彼女は果てているといった様子ではなく、むしろその逆で、今当に快楽の渦中にいるような様相であった。
「先輩のカラダもOKみたいですし、”子作り”しちゃいましょうか♡」
ひどくトロけたメスの顔で見つめられる。
この世界がエロ漫画の世界であれば、”♡”が描かれているであろう、そんな発情中の瞳を前に、俺は生唾を飲み込みかけてその寸前のところで堪えた。
「先輩の”練乳”を、私の”ナカ”に注ぎ込んでください♡」
立ち上がった彼女は、仰向けに倒れ込む俺の眼前に自らの股間を向け、見せつけるように”ソレ”を手で開帳してみせた。
くぱぁ。
”ひじき”は処理済みのため、遮るもののない、完全な丸見え状態。
人間の粘膜部特有の”ピンク色”の穴に目が奪われつつも、俺はなけなしの理性を総動員してなんとか言葉を発した。
「···絵美、お前の提案は男としては非常に魅力的なものだが、しかし、俺は兄として、なにより”青山和哉”として、妹である円香を裏切ることはできない···すまないが」
「分かってますよ、先輩の1番が円香ちゃんだってことは。それに、私だって大切な友達を裏切るつもりはありません」
「じゃあ」
「なので、私の”ナカ”に挿入して頂かなくて大丈夫です♡」
「え?」
「だから、”えのき”は挿入しなくていいので、”練乳”だけを”ココ”に流し入れてください♡そうすれば、先輩は円香ちゃんの為に童貞を貫いたまま、私に”種付け”できるでしょ♡」
おおっ!確かに、すげー名案じゃん!
ナイスアイディ〜ア!
···じゃなくてっ!
「何がどうなって、そんなぶっ飛んだ話になるんだよ!」
「まぁ、詳しい話は事後でいいじゃないですか。ほら、私のココ、先輩の”練乳”が早く欲しくて疼いちゃってますよ♡」
くぱぁ、と開かれたその”穴”の中は、確かにグニュグニュと締め付けるような動きを繰り返し、”俺”という存在を待ち構えているようであった。
ゴクリッ···いや、いかん!負けるな和哉!
「とにかく、理由もわからぬまま、無責任にお前を孕ませることなどできん!」
「わかりました。では、説明させて頂きます。もしその話を聞いて納得して頂けたら、先輩は童貞のまま私を処女懐妊させてくださいね♡」
どんな話であれ絶対に納得できないだろうなと思いつつも、俺は仕方なく頷いた。
俺の眼前で”くぱぁ”を晒したまま、彼女は語りだした。
「昨日、私と咲夜様は、あの”ドウテイ”トークを機にすっかり意気投合しちゃって〜」
···咲夜”様”?
ま、まぁいいか、とりあえず話を聞こう···
「んで、仲良くなった後、当然のようにガールズトークに発展したんですけど」
「うん」
「思春期の女2人だし、もちろん恋の話で盛り上がっちゃって」
「うん」
「あ、私たちの恋の話って、つまり先輩の話題なんですけどね」
「う、うん///」
なんか、そう言われると照れくさいな。
「その流れで、私が咲夜様に相談したんです。『先輩と円香ちゃんの関係の邪魔はしたくないし、この想いはどうやって割り切ればいいんでしょうか?』って」
「うん」
「そうしたら、咲夜様は私にこう言ってくださいました。『絵美ツン、身を引く必要なんてないよ!要はさぁ、入れなきゃセーフじゃね?』と」
「···ん?」
「『絵美ツンはさぁ〜、和くんのあの顔が好きなんだよね。芸術家として、”あの顔”を求めてるんでしょ。でも、和くん本人を手に入れることは叶わない···それならさ、ユー、新しく作っちゃいなよ!』と、私の進むべき道をお示しくださったのです」
「はい?」
「それは、迷える子羊に与えられた当に”神言”でした。”既存品”が手に入らないのであれば、新しく作ればいいんですよ!芸術的顔の先輩と、ハイパー美少女の私を掛け合わせて、新しい”芸術作品”を!」
「···もしかして、その新しい”芸術作品”って···」
「はい、もちろん私たちの子供です♡というわけで、先輩の”練乳”を私の”ナカ”に注ぎ込んで、”種付け”してもらおうという結論に至ったわけなのです。どうです、納得して頂けましたか?」
「んなアホな話、納得できるわけないだろ!」
「アホな話とはなんですか!先輩は円香ちゃんの為に童貞を守れるし、私は2人の芸術の”結晶”を手に入れる事ができる、これぞWin-Winじゃないですか!コレも全て、咲夜様の洗脳、もとい助言の賜物です!」
もう、自分で”洗脳”って言ってしまってるやん。
ダメだコイツ、早くなんとかしないと···
「お前、アタマ沸いてんのか!」
「はい、私、アタマ沸いちゃってますよ!もうバグっちゃってますよ!でも、片想いの辛さを乗り越えるには、もうアタマをおかしくするしかないじゃないですか!もうバカになって、割り切っていくしか、それしかないじゃないですか!!!」
俺が、このモンスターをこの世に生み出してしまったというのか···
···いやもう、なんもかんも全部咲夜が悪いな。
アイツが諸悪の根源である事に違いない。
俺たち2人は、共にヤツの被害者なのだ。
「さぁ、先輩!観念して私の”ココ”に”練乳”を注いでください♡私の”ピンク”を、先輩の”ホワイト”で染め上げてください♡」
「だ、ダメだ!そんな無責任な事は俺にはできん!」
「童貞のまま処女を懐妊させられるなんて、そうそうできる体験じゃないですよ!」
「そんなの、したい体験でもねーよ!」
「認知してくれとは言いません、ただ私が孕む為に”種”を頂きたいんです!さぁ、どびゅっと一発お願いします♡」
くぱぁ。
「お前、まだ1年生だろ、学校はどうすんだよ!」
「咲夜様が私の絵の実力を評価してくださって、懐妊後はお抱えのイラストレーター兼同人作家として雇って頂けることになってます!」
クソっ、なんでそんなところまで話が決まってるんだ。
コイツらマジでアタマ沸いてんじゃねーか。
「と、とにかく、俺はそんな事やらねーからな!!!」
起き上がり、前室へ向かおうと客間の襖に手を掛ける。
「ふっ、出口に向かっても無駄ですよ先輩。その先の扉は、咲夜様直属の人拐い集団”ブロッサム・ナイト”が堅く閉ざしています。ココは既に、咲夜様の手によって”後輩のJKに種付けしないと出られない部屋”と化しているのです!」
アイツ、個人的に人拐い集団なんてものを有しているのか。
ほんと、1人治外法権って感じだな···
しかし正攻法で無理なら、別ルートに賭けるしかない!
俺は、踵を返し、露天風呂へと向かった。
ただ搾り取られるのを待つよりかは、望み薄でも、なんとか壁づたいにでも逃げられはしないか賭けてみようと思ったのだ。
ガラガラガラ!
勢いよく露天風呂へ通じる引き戸を開け、絵美に追いつかれぬように飛び込むように駆け込んだ。
「あ、和くん!待ってたよ!さぁ、私と一緒にマットプレイでヌルヌルイチャイチャしよっ!♡」
さ、咲夜っ!?お前もココにいたのかよ!?
と驚きつつも、駆け込んだ童貞は急には止まれない。
俺の右足、次いで左足と順に、ローションが塗りたくられているマットの上に着地する。
ここで1つ、お伝えしたい事がある。
ローションが塗られた”マット”というモノのは、それはもうめちゃくちゃ滑る。
もう、とんでもなく滑る。
冗談抜きで、”死ぬほど”滑る。
なので、ソープランド未体験の方には特に気をつけて頂きたい。
どれだけヤる気が荒ぶっていても、どんなに気が逸っていても、ソープでは決して勢いよくマットに飛び乗ってはいけない。
走りながらマットに両足着地なんて、もってのほかだ。
めちゃくちゃ滑る足場でそうした場合、いったいどうなるだろうか。
答えは簡単、めちゃくちゃ吹っ飛ぶのだ。
そう、俺のカラダは、めちゃくちゃ吹っ飛んだ。
「ぬわぁーーー!!!」
「か、和くんが飛んだー!!!」
そして、宙に放たれた俺のカラダは、重力の導きで露天風呂の洗い場の硬い床に叩きつけられた。
「ぐえぇー!!!」
「和くんが頭から叩きつけられたー!!!」
そして、俺の意識は、俺の頭から吹き出す血飛沫の中で遠のいていく。
「和くん!大丈夫!和くん!」
「先輩!しっかりしてください!先輩!」
美少女2人に見届けてもらえるなら、俺の人生の最後もそう悪いものでは無かったかな。
俺の心は、不思議と満たされていた。
咲夜と絵美に看取られながら、俺は穏やかに息を引き取った···
チュンチュン、チュンチュン。
小鳥のさえざりで目が覚めた。
朝、か···
どうやら、俺は死んではなかったようだ。
あの出来事は夢だったのかと思ったが、頭に巻かれた包帯が、それが事実だったことを物語っていた。
この世界が”ギャグ漫画時空”なおかげで、頭の傷は完全に完治していた。
ココは、おそらくは334号室の和室の寝室だろう。
俺の隣には、畳に敷かれた布団で眠る、美少女の寝顔が。
パチリと、その可愛い顔が目を覚ました。
まだ眠たいのか、目を擦りながら大口を開けて欠伸をする彼女。
俺は、そんな彼女に一言だけ伝える。
「おはよう、円香」
遅い起床となり、朝食バイキングの時間を寝過ごしてしまった俺たちは、チェックアウトを済ませた後、駅に向かう道中のラーメン屋で、高山ラーメンを食した。
クセの少ない優しい味わいのラーメンが、寝起きの身体に染み渡る。
帰路の道中のオヤツとして、みたらし団子と五平餅を購入した後、俺たちは名古屋行きの特急電車に乗車した。
走り出した電車の窓を流れゆく岐阜の景色を眺めながら、彼女に語りかける。
「なぁ、円香」
「なに、お兄ちゃん」
「俺たちが兄妹じゃなかったら、俺たちは、どんな関係になってたかな?」
「わかんないよ、そんなの」
「···そうか」
「だって、お兄ちゃんはお兄ちゃんでしょ」
「そうだな···」
「もう一つ聞いてもいいか」
「なに?」
「お前、今回の絵美の”攻略”について、答えどころかヒントも無しだったけど、アレって、絵美に俺と過ごす”時間”というか”猶予”を与えたかったってことだったりするのか」
「···そんなんじゃないよ。私は、そんな優しい女じゃない···」
車窓を眺める彼女のその横顔は、何故だがどこか淋しげに見えて。
「だって、私はお兄ちゃんを誰にも譲る気は無いから···」
ソレから目を逸らすように、俺も車窓を流れる景色へと視線を戻した。
岐阜駅に停車した際に、見慣れた顔が俺たちの座る席に近づいてきた。
それは、スケベジジイ、もとい爺やさんだった。
「おお、これはこれは、青山様に和哉殿、偶然ですなぁ」
「あ、爺やさん、こんにちは!どうされたんですか?」
「昨日、用事があった咲夜様を目的地へお送りした後で、しばしの暇を頂けたので、ちょっと”お風呂”に入って癒されようかと岐阜駅へ参ったのです」
「へ〜、この辺りにも温泉があるんですか?」
「いや〜、温泉とはまた違った”お風呂”なのですが···」
「どんなところてすか?」
「”金津園”という場所なのですが、それはもう素晴らしい”桃源郷”でして···」
円香にそんな話を語るスケベジジイの声を子守唄に、再び走り出した特急電車の中で、俺は目を閉じて眠りについたのだった。
第6章
ボディペイント美術部
黄金井絵美編 完
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唾液バイトテロJD
朱里詩織編
to be continued
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