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第3話.比翼連理のブラザー

「円香···お前、何やってるんだよっ···」


俺の部屋の、俺のベッドの上で、俺のパンツに顔を埋めて悶える痴女。


青山円香の姿に他ならないその者に、俺は声をかけた。


「···」


一瞬の静寂、の後。


「いや〜、ついにお兄ちゃんにバレちゃったね」


思っていたよりも、冷静な回答が返ってきた。

その堂々とした振る舞いに、逆に面食らいそうになる。


「バレたって、お前、何をしてたんだ」


「わかってるクセに女の子相手に質問攻めとは、お兄ちゃん中々のSっぷりだね~」


火照った顔でにやりと笑いながら、その艷やかな髪を掻き上げる。


「お兄ちゃんをおかずに、お楽しみの最中だったの」


・・・は?


オニイチャンヲオカズニオタノシミ。

何を言ってるんだ、こいつ。


「鳩がマシンガン喰らったみたいな顔してるけどさ、お兄ちゃんだって私をおかずにシコってるでしょ、それと同じことだよ」


「おまっ、シコってって、んなことしてねーよ!」


「隠してもダメ、私にはわかるから」


断言された。やはり女ってわかるもんなんだな。

反論が無駄なことを悟り、俺は口を閉じた。





ベッドのスプリングの反動を利用し、ひょいと立ち上がった彼女は、上半身裸で、下半身に下着だけの姿のまま、少しずつ俺に歩み寄ってきた。


朝の通学路でそうしてきたように、じっと俺の顔を覗き込む。

と、同時に、右手が俺の顔に向けて伸ばされてきたかと思うと、その人差し指で唇を横向きにスーと撫でられた。


ゴキュっと、思わず生唾を呑み込む。


こちらの緊張を感じ取ってか、またもや小悪魔のように、駆け出しのサキュバスのようにニヤリと笑う彼女の反応が悔しくて、その美しい瞳から目を反らして。


「とりあえず、何か羽織ってくれ。目のやり場に困る」


彼女の桃色の先端の突起をガン見しながら、俺はそう告げた。





「お兄ちゃんは、シスコンガ博士って知ってる?」


サイズが少し大きめな俺のシャツを着て、ベッドに腰を下ろした円香の口から、唐突にそんな質問が飛んできた。


なんだその狩猟ゲームのモンスターみたいな名前の奴は。


「いや、知らんけど」


「そっかー、まぁ、お兄ちゃん学が無いもんね」


お前、俺はいいけど、読者の皆様に謝れ。

誰も知らんぞ、そんな謎の博士。


「シスコンガ=シコルスキー博士。アニデイク細胞及び、それによって引き起こされる超能力理論の提唱者」


ちょ、超能力、だと?


「お兄ちゃん、私ね、超能力に目覚めたんだよ」


いや、超能力の話よりも、先程俺をおかずに致してた件についての説明を聞きたいわけだが。





「まぁ、それも含めて順を追って説明していくからさ」


大丈夫か?超能力の話から兄をおかずに致してた件まで話繋がるか?見切り発車してない?


俺の不安をよそに、彼女は話し始めた。


「1年前、私が10日間寝込んでたこと、覚えてる?」


「そりゃあ、覚えてるよ。マジで心配だったぞ、あの時は」


結局原因は分からずじまいだったと、当時親から説明を受けていたが。


「あの時私は、高熱が出てたとか、頭が痛かったとか、そういった類の病変は一切無かったの」


「じゃあ、あの10日間、いったい何があったんだ?」


「10日間、ざっと240時間、私はずっと絶頂し続けてたの」


そうだったのかー!とは、ならない。


なんだそのインディーズのエロゲーもびっくりな設定は。


「その10日間の後、どういう理屈かは詳しくは私も分からないけど、私はある3つの力に目覚めたの」


「ははっ、何だ、スプーンでも曲げられるようになったのか?」


「スプーンは曲げられないかな。お兄ちゃんのあそこは立たせられるけど」


俺の股間に接近する彼女の左手を回避すべく、一歩二歩と後退る。


ちぇっ、つまんないの〜、とでも言いたげな表情の彼女は、自分に宿った3つの能力について説明してくれた。


長い話だったので、読者の皆様には、俺の方でまとめた文章に目を通して頂きたい。





【シスコンガ博士による、アニデイク超能力理論】


・アニデイク細胞の発現により、発現者は10日間近くに及ぶ性的絶頂を体験する。


・その性的絶頂の終焉に伴い、アニデイク細胞が体内で活性化し、その異常な電気信号の影響で、超能力としか表現できない症状が宿る事が、過去の症例で確認されている。


・過去の事例で確認されている、俗に言う”超能力”は全部で10種類あり、その内の3種を円香が有している。


・アニデイク細胞の活性化を止める為には、アニナエル抗体を体内に取り込む必要がある。


・アニナエル抗体は、特殊性癖を有する20歳未満の女子、通称”性力の達人(スペル・マスター)”の絶頂時の体液内にのみ存在する事が確認されている。


・体外に放出されてから1時間以内の体液を採取し、その液中から抗体を抽出する必要がある。


・アニデイク細胞の発現により宿る超能力は、このアニナエル抗体を入手する為の一助となる作用であると推察される。





【青山円香に宿った3つの超能力】


①”性力測定”(カルマ・スケール)

・対象者が、”性力の達人(スペル・マスター)”か見抜く事ができる。


②”性癖暴露”(メルト・ダウン)

・”性力の達人(スペル・マスター)”の特殊性癖を、誤解なく理解できる。


③”快楽昇天”(パラダイス・マーケット)

性力の達人(スペル・マスター)”の絶頂に伴うアニナエル抗体の放出を認知し、その接種を実行することができる。






「···というわけだけど、理解してもらえた?」


「いや、まぁ、諸々の話や説明についてはこれから受け入れていくとして、現状1つだけ確かに言える事がある」


「なーに?」


「そのシスコンガ博士とやらの、超能力のネーミングセンスが壊滅的に酷いということだ」


「あー、超能力名は私が勝手に名付けたんだよね」


青山円香、高校1年生。

依然、中二病を発症中。

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