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【R15版】妹よ、俺をオカズに致すなよ! 〜変態兄妹の特殊性癖女子攻略作戦〜  作者: カグラ
第6章 ボディペイント美術部【黄金井絵美】

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第48話.教えてやらない

「いてて、酷い目にあったぜ···」

この作品、俺に対してアメとムチの差が激しすぎやしないか?


「大丈夫ですか先輩?でも、治って良かったです。部室に石膏(せっこう)とパテとヤスリがあって助かりましたね」


「ああ、それだけが不幸中の幸いだったな」

まさかソレで顔面の修復が間に合うとは我ながら驚きを隠しきれないが、鏡を見る限り元の状態に戻っていたので、黄金井の腕前に感謝しておくべきであろう。


···いや、どうせならもっと、男前に仕上げて欲しかったなぁ。


「先輩の芸術的なお顔が、元に戻って良かったです!」

ニコッと可愛い笑顔を向ける彼女に対して、そんな不満を声に漏らすほど、俺も野暮な男ではない。






「こっちから行こうぜ」

「はい」


旧校舎から校門へ向かうには、この中庭をショートカットしていくのが最短ルートだ。


その中庭の丁度中央付近に(たたず)む、一体の銅像の横を通り過ぎる際に、並んで歩いていた黄金井が足を止めたので、俺も合わせて立ち止まった。


銅像を眺める黄金井の横顔に思わず見惚れそうになったが、俺もその銅像へと目を向ける。


裸の女性の像だった。

このテのものにしては珍しく、メリハリのあるワガママエチエチボディであり、なぜこのデザインの女性像が校内に存在しているかは、江口杉学園七不思議に数えられるとか数えられないとか···


「この銅像だって、”女体”をモチーフにした”芸術”作品だよな」


「私、そもそも芸術に興味を持つようになったきっかけが、美術館で見た、ある女性像のその女体の美しさに感銘を受けたことなんですよね」


「ほう、女性像がお前の原点なのか···」


”ソレ”が一番”答え”に近いとか、十分有り得る話じゃないか?






「黄金井、なってみるか」

「?」


「”像”になってみろ。お前がかつて心惹かれた”芸術”に近づく為に」


「私がですか···」

「そうだ、お前ならなれるさ。”像”になれ、黄金井!」


···


「···パ、パオ〜ン///」


···


···カワイイから、ヨシ!






翌日の水曜日の放課後。

美術部部室で、俺と黄金井は、黄金井が”銅像”になる為の準備を進めていた。


「カラダに塗る塗料は、こんな感じで良いですかね?」

「おお、良いじゃん、自然な感じで」


「”カラダ”はそれでOKとして、ポーズについては俺が考えてきた案があるんだ。コレを見てくれ」


「イスですか?」

「ああ、動けない状態でずっと立ちっぱなしってのも辛いかと思って用意してきたんだ。イスに座っているスタイルの像であれば、体力的にも楽だろう」


「流石です、先輩!いよっ、女体マイスター!」

「よせやい、照れるだろ。しかもこちら、座面に穴が空いているので、イスの内部にバケツをセットしておけばそのまま用を足せる優れものとなっております!」


「えっ···それは、ちょっと···普通に引きますね···」


急にハシゴ外すのはヤメて。

それ結構ダメージデカいから。






「で、最後は”意思疎通”の問題だ。何かトラブルが発生した時などに、黄金井から俺にサインを送れないかと検討した結果が、コレだ」


俺は、ポケットからケースを取り出し、その中から電極付きのチップを手に取った。


「なんですか、それ?まさか、それで脳波とかを飛ばしたりするんですか?なんて、そんなSFなこと、有り得ないですよねw」


「そのまさかだ、黄金井」

「ほえ?」


「これを首すじに突き刺せば、思考を俺のスマホに飛ばせるようになるんだ」






「じゃあ刺すぞ、黄金井」

「あ、はい、どうぞ」


ゆるふわボブを持ち上げている彼女のうなじに、電極を突き刺す。

ブスッ。


「あんっっ!♡」

「変な声を出すなっ!」


「だって、あっ!♡これっ、きもちいっ、あんっ!♡」


なんだ?この機械、快楽中枢にでも働きかけているのか?


「読者サービスの為の、あんっ!♡仕様ですかね?っん!♡」


こんな、”首すじに電極をぶっ刺す”シチュエーションにまで、求められてはいないだろう。


···ですよね?






「どうだ黄金井、違和感はないか?大丈夫か?話きこか?」

「あ、はい。問題は無さそうです」

「なら良かった」


「ちなみに、この機械ってどこ産ですか?」

「我らがメイドインジャパンだ」

もっと言えば、江口杉学園3年赤崎夏希さん作だ。






「とりあえず、何かを発信してもらえるか?」

「了解です!」


ピロン♪

事前にインストールしておいたスマホの専用アプリの通知音が鳴った。


『こんにちは(*^_^*)』

「こんにちは」


「凄い!本当に届いてますね!では次は···」


ピロン♪

『カワイイよって言ってください(*゜∀゜)』


「可愛いよ、黄金井」


ピロン♪

『きゃー///うれしー♡♡♡(≧∇≦)』


なんだこのウザ可愛い生き物は···


ピロン♪

『じゃあ···スキだって、言ってもらえますか///』


···






「黄金井···」

「は、はい!///」


···

(すき)あり!!!」

俺は彼女の首すじから電極を抜き取った。


「今日のリハーサルはこれで終了だ。帰るぞ」

「ブ〜、先輩のイジワル〜」

「なんとでも言え」


「先輩なんて、頭悪いし、口臭いし、足臭いし、ダサいし、短小だし、包茎だし、童貞だし···」


「ちょっ、ほんとになんとでも言ってくれるね君···」


「でも···それでも、キライじゃないのは、何でですかね···」


···

「俺に聞くなよ···」


···

「さぁ、帰りましょっ、先輩!」


そう言って笑いかける黄金井の笑顔は、いつにも増して大人びていて。


「そうだな···」

俺は、この日のこの瞬間、確かに彼女に恋をしていたと思う。






「という事があったわけだが···」

帰宅後、自室で風呂上がりの円香に進捗を報告する。


「へ〜、考えている事を発信できる機械か···お兄ちゃん、ソレ、夏希ちゃんが作ったなら予備もあるんでしょ」


「ああ、アイツは昔からそういうところは抜かりないからな」


「私にも貸して!」

「ダメだ」

「なんで?」

「お前の考えている事を知って、得する事など何一つとして無いからだ」


「ブ〜、お兄ちゃんのイジワル〜」

「ふんっ、なんとでも言え」


「顔がキモい,頭悪い,性格悪い,口も悪い,ダサい,口臭い,足臭い,よく鼻毛が出てる,眉毛整ってない,爪が常に汚い,ヘソも汚れ溜まってる,短小,包茎,童貞」


「わ、わかった、貸してやるから、そこらでストップしてくれ、もうお兄ちゃんのライフは0だ···」


「ありがとう♡お兄ちゃん、大好き♡」


HP0 → HP3






「じゃあ、刺すぞ円香」

「うん、お願い、おもいっきり一気に奥までズブッと入れていいよ、お兄ちゃん///」


いや、そんな奥まで刺す仕様のモノではないが。


円香のうなじに電極を突き刺す。

ブスッ。


「あっっ!♡お兄ちゃん、激しすぎっ!♡」

「変な声を出すな!」


「だっ、だってコレ、あっ!♡きもちいぃっ!♡クセになっちゃうっ♡あんっ!♡」


夏希、コレは元来(がんらい)こういう仕様なのか?

相変わらず無自覚に恐ろしいR18玩具を発明しやがって。


···今度隙をついて緑川にぶっ刺してみるか。






「お兄ちゃん、いくよ!」

「はい、どうぞ」


ピロン♪

Rochani!(ロチャーニ)(≧∇≦)/』


「何語だ?」

「何語だと思う?」


「お前のことだから、ジンバブエとかその辺だろ」

「す、すごい、当たってる···もしかして超能力者?」


違う、俺はただの変態女マイスター兼お前(アホ)の兄だ。


「ちなみに正確には、ジンバブエなどの地域の主要な言語の1つ”ンデベレ語”で『こんにちは』を意味する言葉だよ!また1つ賢くなれて良かったね、お兄ちゃん!」


「正直、あまり活用できる場面には恵まれそうにないが···」


「これが後の”あの”展開の伏線になろうとはねぇ〜」


ンデベレ語が伏線になる展開は流石にねぇよ。






「じゃあ、次の問題ね!」


本来の趣旨から逸れている。

別にお前とクイズ大会を開催するつもりは無かったのだが···


というツッコミは無粋なので、喉元に留めておいた。


ニコニコと楽しそうに兄と遊ぶ妹との時間を守りたかったから、というわけでは当然なく、シンプルに、ショーパンから生えるムチムチの太ももと、ダボついたTシャツの襟元から覗くノーブラの胸元が眼福だったので、それに免じて見逃してやるだけである。


ピロン♪

『問題!お兄ちゃんの部屋のR18専用オカズ本棚には、一冊だけR18ではない本が収納されています。それは何でしょうか?』


ん?あの選りすぐりの面子(めんつ)の中に、そんなもの混ざってたか?


ピロン♪

『確認してみれば?』


それもそうか。

「え〜と···あっ、これかっ!正解は、”中学の卒業アルバム”だ!」

「ピンポーン!」


「あまりにもナチュラルにオカズに使ってたから、すっかり忘れてたぜ」


「お兄ちゃん、夏希ちゃんが出でるページ、ガバっと開きすぎて開きグセついてるもんね」


「運動会の、あのゴールテープ直前の写真なんて、胸の輪郭の浮き出具合がたまんねぇんだよなぁ」


···

「今からちょっと使ってもいいか?」

「いいわけないでしょ」






「じゃあ、これが最後の問題ね!」


結局、100問も出題された。

我ながら、付き合いが良すぎる。


ピロン♪

『最近、お兄ちゃんが性力の達人(スペル・マスター)たちから”おモテ”になっていますが、なぜ”生産的男女関係”に興味が無いはずの彼女たちから求められているのでしょうか?』


確かに、なぜか最近”好意”を向けられる機会が多いような気がしている。

春子しかり、咲夜しかり、そして、黄金井もだ。


”非生産的性衝動”にのめり込んだ結果、性力の達人(スペル・マスター)にまで成ったはずの彼女達が、なぜ俺という”男”に好意を抱くんだ?


ピロン♪

『ヒントは、これまでに登場した性力の達人(スペル・マスター)の中では、汗舐めクソ女のみ、お兄ちゃんに好意を抱くことは無いってことかな』


「ん?緑川もだろ。アイツ、俺のことをあれだけ邪険に扱ってるし」


ピロン♪

『···お兄ちゃん、自分からはデカめの矢印出すクセに、人から向けられる矢印には鈍感だよね···』


「?」


ピロン♪

『お兄ちゃん、例の”カエデちゃん”の動画について、楓さんから何て言われたんだっけ?』


「他の人に見せたり、流出させるなって釘刺されてるけど···」


ピロン♪

『それってつまりさ、”お兄ちゃんなら見てもいいよ”ってことだよね』


「···そうなるのか」


ピロン♪

『それが、2つ目のヒントかな』


緑川が俺を?にわかには信じがたいが···


ピロン♪

『最後のヒント。お兄ちゃんのスペックがクソゴミ過ぎて、男としての魅力がゼロな事が、1番重要な要素だよ』


···まさか、俺がキモいブサイク童貞であることが、ストーリーの根幹に関わっていたとは。






「ん〜、さっぱりわからんなぁ〜。降参だ、答えを教えてくれ」


「だーめ、教えてあげない!」


そう言って、そっぽを向いたまま、円香は俺の部屋から立ち去った。


1人残された俺は、しばらく考えても答えは出せなかったので、そのモヤモヤを発散すべく、中学の卒アルをめくり、かつて恋していた当時の赤崎夏希をオカズにスッキリしておいた。





···

···

ピロン♪


眠りについていた俺だったが、スマホの通知音で目が覚めた。


そういえば、円香から電極を抜くのを忘れていたな···


寝ぼけたまなこをこじ開けながら、アプリを開く。


ピロン♪

『お兄ちゃんの今日のパンツ、いつにも増して臭いんだけど〜///うわ~、ここにでっかいシミできてんじゃん、オエッ♡キモっ♡』


ピロン♪

『んっ///くっさ♡お兄ちゃんパンツくっさっ♡お兄ちゃん///好きっ♡好きっ♡大好きっ♡』


ピロン♪

『らめっ///イくっ♡イっちゃう♡イグッ♡』


ピロン♪

『おっ♡おっ♡おっっっっ♡♡♡イグッ♡イグッ♡』


ピロン♪

『ビクンッ♡ビクビクンッ♡♡♡ビクッ♡』


ピロン♪

『ふぅ···』


ピロン♪

『次は〜、この”使用済みティッシュ”を(くわ)えて〜♡』


···


俺は、怪電波から目を背けるように、アプリをアンインストールしてから再び眠りについた。

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