第45話.イニシエーション・裸婦(ラフ)
「先輩、どうですか、私の下着姿。その、興奮できますか、私のカラダで///」
「ああ、凄くエロいと思うぞ、黄金井」
「先輩の”ソコ”もちゃんと反応してくれてるみたいですし、良かったです」
制服のズボンを押し上げる俺の下腹部へ目を向け、微笑んむ黄金井。
「先輩、次はこの下着も脱いじゃいますね///」
「あ、ああ、頼む」
放課後,茜色の空,2人きりの部室,下着姿の後輩。
この雰囲気は···ドエロイ!!!
「私、先輩に見て欲しいんです、私のエッチな姿///」
「え?」
「私、先輩のことが···その、あの、えっと、きっと、かっと、ほっと、もっと、その···好きなんです!///」
「ええっ!?」
なんか途中に余計なモノが混ざってたような気もするけど、今確かに”好き”って言われたよな!?
「先輩のこと、実は前から好きだったんです。入学式の日にお見かけした時からずっと気になってて///とても個性的かつ独創的かつ前衛的な顔立ちに心が惹かれました///」
前回の咲夜についてもそうだが、性力の達人たちの間で、空前のブサイクブームが到来しているようだ。
女子から引かれることはあっても、まさか惹きつけることがあろうとは、俺の人生も、そう捨てたものではないのかもしれん。
「だから先輩、その···私のハダカ、目ん玉かっぽじって目に焼き付けてください♡」
惜しい、そのセリフチョイスで雰囲気が台無しだ黄金井···
ブラのホックを外し、ショーツを脚から抜き取り、白ソックスのみの姿となった黄金井。
「先輩、あの、私の胸、その、変じゃないですか?」
「?」
「いや、ほら、私、”陥没”してるじゃないですか。なんか、そんな不格好な乳首、先輩の好みじゃないかもしれないかと思いまして···」
「バカヤロー!好きに決まってんだろ!むしろ人生で初めて生で拝めて、内心ガッツポーズからのトリプルアクセルな気分だ」
「喜んで頂けたなら良かったです。でも私、自分のこの乳首が少しコンプレックスで···」
「···黄金井、お前にいいモノを見せてやろう」
俺は、スマホを取り出し、ある画像を見せてやった。
カエデちゃんの、ニップレスレス状態の、”生デカメロン”の拡大スクショ画像だ。
「な、なんですかこのクソ下品なデカ乳輪は!?こんなスケベな女が実在するんですか!?」
「ああ、実在するよ。黄金井、世の中にはこれほどまでに下品な乳も存在するんだ。だから、あまり自分を卑下するな。この乳輪のデカさに比べたら、お前の悩みなんてちっぽけなもんさ。そうだろ」
「はい、そうですね。このエグい乳輪に比べたら、私の”陥没”なんてカワイイもんですよ」
ありがとう、逆バニー戦士カエデちゃん。
君のおかげで1人の少女が救われたぞ。
「あの、私、下の方もちょっとコンプレックスがありまして···」
その要因は何かと聞かずとも、おおよその見当はついた。
「···その”ひじき”だな」
「はい、コレです」
俺たちの視線が向けられた彼女の下腹部には、見事に”ひじき”が生い茂っていた。
名うての”剛毛”マニア達が、助走をつけてシゴき出すぐらいの、そんな丘陵地帯。
「コンプレックスなのに、なんでこの状態なんだ?」
「脱毛のお店に行くのもなんか恥ずかしいですし、自分で処理するにしても、なんか気が引けちゃって···先輩は、その、こんな毛深いのは、お嫌いですか?」
「···好きだ、黄金井」
「ふえっ!?///」
「俺は、”ひじき”がある方が好きだ!」
「あ、ああ、そっちの話ですよね、ははは///」
「乳輪に関してもそうだが、俺は、本来隠しておきたいモノがはみ出して見えているというシチュエーションにエロスを感じる性癖なのだ。であるからして、”不毛地帯”よりも生い茂っている方が好ましいと思うのは至極自然な流れであり、ショーツやビキニのサイド、もしくは上部からはみ出す”ひじき”は俺にとってはそれこそ”芸術”なのである。そもそも、俺が水色のシースルーのパンツを好む理由からして、布地越しに透けて見える”黒”が最も映える色だからということもあり」
「せ、先輩!あの、お好きな気持ちは十分伝わったので、そろそろ語りを止めてもらってもいいですか」
「まだこれから小一時間は語るつもりだったのだが」
「その熱量が別の方面に活かされれば、何かしらの分野で大成できたかもですね···」
別の分野になど興味はないね。
なんせ俺は、妹公認の変態女マイスターだからな。
改めて、目の前の”依頼品”に目を向ける。
ゆるふわボブの似合う、可愛いフェイス。
”陥没”している胸。
少しだらしない腰まわり。
”ひじき”生い茂る丘陵。
文化部らしい、非筋肉質のムッチムチの太もも。
履かれたままの、純白のソックス。
「これほどまでに役者が揃っているのに、なんか決めてに欠けるんだよなぁ···」
「まるで、プロ野球チームの○○○○○◯みたいですね」
「おい、止めろ!野球と政治の話題は荒れるからNGだ!」
とりあえず、思いつく事を試してみるか。
「黄金井、そのリボンタイを付けてもらえるか」
「?わかりました」
本人はあまりピンときていないようだが、俺の指示に素直に従いリボンタイを首に付けてくれた。
「こんな感じですか?なんだかこうすると、ワンちゃんの首輪みたいですね」
エロい。
確かにエロい。
今すぐパンツを脱ぎ捨て見抜きしたいぐらいではあるが、まだ”上”があるように思えて仕方がない。
考えろ、考えるんだ俺。
彼女の、黄金井絵美の女体の魅力は、こんなもんじゃねーだろ!!!
その時、俺に電流が走った···
プロ棋士は時に、己の思考を遥かに凌駕する、”奇跡”としか考えられないような天啓を授かることがあるという。
その道に、人生を捧げた者にのみ与えられるギフト。
”神の一手”
童貞としてこの心身を”エロ”に捧げてきた俺にも、”その時”が訪れたのだ。
「黄金井、パンツをもう一度履いてもらってもいいか···」
「え?」
「いいから、履くんだ!」
「は、はい!」
ショーツ+白ソックス+リボンタイ姿になった黄金井。
「わりぃ、黄金井、今履いたパンツをもう一度脱いでもらっていいか」
「?分かりました」
両手でパンツを掴み、ずり降ろす黄金井。
「ストップ!そこで止まってくれ!」
「は、はい!」
パンツを脱いでいる途中の彼女の手が止まった。
「それが、俺が天から与えられた”神の一手”だ!」
”両脚の太ももの間にブリッジを築く脱ぎかけおパンツ”
これが、俺の導き出した”答え”だ。
「さあ、描いてみろ。黄金井、コレがお前という女体の100%だ!」
「はい、わかりました!」
もの凄い筆さばきで鏡に映る自らのカラダを描き始める彼女。
ほどなくして、驚異的なスピードで1枚の裸婦画が完成した。
リボンタイ+白ソックス+太もも脱ぎかけパンティーの美少女の絵。
俺が求めていた”女体”が、確かにそこにあった。
「すげー!すげーよ、黄金井!コレこそまさに”芸術”!伝説の裸婦画の完成だ!」
「は、はぁ···先輩が喜んでくれるなら、私としてもそれは嬉しいです」
「ん?黄金井本人的にはあまり刺さってない感じか?」
「はい···なんか、”コレだ!”って感じはしないですね···」
「そうか···俺がどれだけ感銘を受けても、結局お前本人に刺さってないなら、コレは”答え”ではないんだな」
「そうみたいですね···」
ふむ、やはり”裸婦画”というシンプルなモノが正解ではなかったか···
「それにしても良く描けてるなぁ。黄金井、この絵、もらってもいいか?俺のオカズコレクションに是非とも加えたいのだが」
「あ、はい、どうぞ///その、使って頂けるなら、その、私も嬉しいです///」
「そういうことなら黄金井、この紙にサインを書いてもらえるか」
「なんですか、コレ?」
「黄金井の”あたシコ許可証”だ。俺がお前をオカズにシコることを許可してくれ」
「はい、もちろんOKです。でも先輩、いつの間にコレを用意したんですか?話の展開的に難しいと思うんですけど···」
カテゴリー”コメディー”の作品の整合性を深く言及するのは勘弁して下さい。
黄金井は、許可証にスラスラと名前を書いてくれた。
よし、これで緑川と春子に続き3枚目の許可証を手に入れたぞ。
咲夜からも貰っておけばよかったなぁ。
「じゃあ、今日はもう遅いし帰るか」
「先輩、あの···」
「ん?」
「先輩の”ソコ”、苦しそうですし、ここで”スッキリ”してから帰るのはどうでしょうか?」
「ほえ?」
「だから、その···///」
「?」
「その絵じゃなくて、目の前の女子をオカズにスッキリしてから帰るというのはどうでしょうか、と言ってるんです///」
時刻は19時15分。
静まりかえった旧校舎の片隅で、美術部にはまだ明かりが灯っている。




