第43話.絵の才能の無駄づかい
第6章、開幕です!
先日、初めての感想を頂きました!
ありがとうございます♡
めちゃくちゃ嬉しくて、妻に自慢しまくりました。
読者の方の純粋な評価の妨げにならないように、質問や批判を含まない感想には返信しないスタイルでいこうかと思っています。
無反応でも、内心ではアホみたいに喜んでおります!
Xでは『感想貰えましたー!!!』と今後も叫んでいきます。
引き続き、応援宜しくお願い致します!
6月最後の週の始まりの月曜日、の放課後。
円香から呼び出しを受けた俺は、文化系部室棟と呼ばれる旧校舎を訪れていた。
正直、妹からの呼び出しなどかるく無視して、早く帰宅してドスケベ逆バニーガールのカエデちゃんのオナサポ動画をオカズに致しまくりたいところではあった。
しかし、今後の日程的には、夏休み編開始までに3人の変態女を攻略する必要があるらしく、この作品の主人公の立場としては、渋々ながらも集合場所を目指して歩みを進めざるおえない状況だった。
夏休みまでに3人攻略って、週に1人ペースか。
まさか俺の高校生活最後の1年が、こんな変態女漬けになろうとは思いもしていなかった。
これは、前世で徳を積んだ事に対してのご褒美か?
はたまた、犯した罪に対しての贖罪か?
「あ、お兄ちゃん、やっと来た」
先に待ち合わせ場所に到着していた円香が、廊下の壁に飾ってある絵を眺めながら待っていた。
「なんでこんなに遅かったの?」
「別にいいだろ」
「当ててあげようか。お兄ちゃん、ここに来る前にトイレで楓さんをオカズに一発抜いてきたでしょ」
「···何で分かったんだ?新手の超能力か?」
正確には2発だが。
「適当にカマ掛けてみただけなんだけど、当たってたか···」
そんな、”残念なモノ”を見る目で俺を見るな。
「そういうお前こそ、ここに来る前に俺をオカズに致してたりしないよな」
「私の方からお兄ちゃんを呼び出してるのに、そんな事してから来るわけないじゃん、バカじゃないの?」
まぁ、そりゃそうだよな、常識的に考えて。
「だから今日は、事前に昼休みに致してきたのだ!」
いや、そんなVサインしながら誇る事ではないが···
やっぱりコイツは、どこに出しても恥ずかしい非常識ガールだ。
「しかも、放課後ムラムラしないように、念の為2セットしたんだよ!」
···やっぱり兄妹だな、俺たちは。
「いやん///そんな熱い視線で見ないでよ///また濡れちゃうじゃん///」
違う、これは”非常に残念なモノ”へ向ける視線だ。
「お兄ちゃん、大発見!」
「···なんだ」
「『”また”濡れちゃう』って、ダブルミーニングだよ!」
聞いて損した。
『なんだ』と返答してしまった5秒前の自分を殴りたい。
「で、お前は何の絵を見ていたんだ?」
「醜い、醜い、それはそれは醜い男の絵だよ」
美術部の部室の入口横の壁に掛けられた、円香が眺めていた1枚の大きな水彩画に目を向ける。
写実的かつ、繊細で鮮やかなタッチで描かれている、酷くブサイクな男の絵。
題材選びのセンスは兎も角として、俺の素人目から見ても、かなりハイレベルな画力の持ち主が描いたであろうことは一目瞭然だった。
「それにしても、この絵の男、なんて気持ち悪い容姿をしているの。こんなゲロキモいヤツ、お兄ちゃん以外にこの世に2人と存在するとは思えないんだけど···って、この絵の男、間違いなく私の大好きなお兄ちゃんだよね」
お前今、お兄ちゃんに対して酷いルビを付けてなかったか?
確かに、目の前の肖像画のモデルは、”青山和哉”その人で間違いないであろう。
まるで鏡を覗き込んでいるかと錯覚するほど、その絵の男性の容姿は見事なまでに”俺”だった。
「こんなに絵が上手いのに、お兄ちゃんを描くなんて、宝の持ち腐れだよね」
描かれている本人の立場からしても、正直そう思った。
「どうせ描くなら、春子さんとか画になる人を描けばいいのに。あの人、とてつもなく美人だからね、黙っていればだけど」
その意見には禿げ上がる程同意するが、同じく”黙っていれば美人”カテゴリーのお前からどうこう言われる筋合いはないだろう。
「なんなら、スーパー美少女JKであるこの私を描いてくれてもよかったのに」
コイツ、自分の容姿に対しての自信が相変わらず凄いな。
緑川や春子みたいな明らか格上の美人たちと、トリプルヒロインを組んでも物怖じしないそのメンタルは見習いたいところではある。
「この私に匹敵するのは、春子さんと楓さんぐらいかなぁ。まぁ、私がエースである事は揺るぎ無いけど」
ただの痛い勘違い野郎だった。
自惚れが過ぎるぞ、妹よ。
客観的に評価して、容姿のレベルは、
緑川>>春子>>>>円香
ぐらい明確に差があるぞ。
といってもこの場合、円香が悪いのではなく、他2人が規格外過ぎるだけなのだが。
”千年に1人”と称して差し支えないレベルの緑川と、全国規模の美少女グランプリで優勝を狙えるレベルの春子。
こんなヤツらが野良で生息している、この学園のレベルが異常なのだ。
円香はそうだなぁ。
学園イチの美少女レベル。
もしくは、近隣の学校でもウワサされる美少女レベル、ぐらいだろうか。
お前があの2人相手に明確に勝っている事といえば、俺のオカズとして使用された回数ぐらいなものだ。
誇れ、妹よ。
そなたは美しい。
そんな醜い男の絵が収められている額の下に、表示が貼られていた。
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【第072回 全国高校生絵画コンクール】
審査員特別賞
タイトル:私の大好きな先輩
江口杉学園 美術部 1年
黄金井 絵美
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「お兄ちゃん、もしかして最近モテ期が到来してる?」
俺は、かなりクセの強いその”ラブレター”を前に、例のごとく深いため息をするのであった。




