第38話.トゥルー ウーマン 小(ショウ)
「これで、全ての撮影が終了しました!和くん、円カン、春タン、緑ン、みんなお疲れ様!」
満面の笑みで俺たちに感謝の言葉を述べる咲夜。
その彼女の笑顔は、一介の男子高校生にとっては、アカデミー賞よりも遥かに価値のあるものに思えた。
「あとは、明日あたしが動画を編集して、明後日の日曜日にみんなで上映会ね。そんで、その後打ち上げパーティーをしましょう」
「高校生のパーティーといえば、”闇鍋”ですね」
「春子さんナイス、それ、採用で!」
春子のヤツ、また余計なこと言いやがって。
俺はタコパとかしてみたいんだけど···
「OK!上映会の後は闇鍋ね。みんな、各々”コレだ!”って食材を持ち寄りましょ!」
何故だろう。
美少女4人と鍋を囲む予定が、全然楽しみじゃないや。
「楽しみだね、お兄ちゃん!」
「楽しみですね、和哉君///」
「楽しみだね、和くん♡」
「ねぇ、青山君、私凄くイヤな予感がするんだけど···」
俺もだ緑川。
だが、安心してくれ。
1日1回までなら、スタンガンで蘇生できるぞ。
「咲夜、動画編集の件だけど、お前1人で大丈夫か?俺も手伝おうか?話きこか?」
「ピピー!下心警察です!お兄ちゃん、2人きりになってエッチなイベント期待してるでしょ!」
ちっ、バレたか。
「あたしのことなら大丈夫だよ。”爺や”にも手伝ってもらうし」
「”爺や”がいるのか、流石はお嬢様だな」
「てか、撮影1日目からずっとそこに居るけど。ほれ」
「あっ!ほんとだ!居る!全然気づかなかったんだけど!!」
咲夜が指差した先には、いかにも”爺や”といった風貌の初老の男性が立っていた。
すげぇ、米軍も驚愕のステルス性能だ。
「爺や、今回の動画撮影のMVPは誰だと思う?」
主である咲夜の問いに対し、爺やさんは優しい笑みを浮かべながら答える。
「はい、咲夜お嬢様のはじける笑顔がMVPに相応しいかと思います」
「そんな”おべんちゃら”は求めてないわ。本音を言いなさい」
「···では、失礼して」
爺やさんの表情が、キリッと”男”の顔に切り替わる。
「桃瀬様の”T”から溢れる”*”も捨てがたいですが、やはり、緑川様のデカ乳輪ですな。吉原,金津園,福原,中洲,すすきので、名うてのレビュアーとして名を馳せる私の目を持ってしても、あの乳輪のエロさは、いやはや眼福で御座いました。あれこそ一つの到達点。”極み”と称して差し支えないかと···この爺や、すっかり楓ちゃんのファンになってしまいましたぞ♡」
めちゃくちゃ早口で語るこの爺やさんは、とても信頼のおける御仁のようだ。
翌々日の日曜日の午後。
自宅まで、黒峰家のリムジンが迎えに来てくれた。
そして、青山家を出発して15分程度で、ある1軒の大豪邸の前に到着した。
その豪邸の門の前で、咲夜が俺たち兄妹を出迎える。
「和くん、円カン、ようこそ!」
「いや~、すげぇ大豪邸だなぁ。流石は黒峰家」
「ああ、コレはね、本邸じゃなくてあたしの15歳の誕プレで貰った家なんだ。高校入学を機に一人暮らししたいってパパに頼んだら用意してくれたの」
凄いスケールの話だ。
資本主義,格差社会の頂点に君臨する方々は、こんな世界で暮らしているのか。
「というわけで、普段はこの家には、あたしと爺やと、3人のメイドさんしか居ないの」
···それって、”一人暮らし”ではないだろ。
程なくして、緑川と春子も到着し、全員揃ったので、早速シアタールームで上映会が行われる運びとなった。
「···こんなの、シアタールームっていうか、普通に映画館じゃねーか!」
明らかに商業施設向けのドデカいスクリーンが備え付けられているその部屋は、優に50人は収容できるスペースがあった。
ただ、その部屋には、明らかお高いであろう革張りのソファーが3つ、贅沢なゆとりを持って並べて置かれているだけだった。
「この部屋は普段、あたしと爺やしか使わないからね。複数の座席は不要なのよ」
咲夜はミミ子や他のアニメを観たりするとして、爺やさんはこんな大画面で何を観ているのだろうか?
ブォン。
スクリーンの電源が入る。
「あんっ///あんっ///いいっ、そこっ♡あんっ♡」
プツン。
電源が落とされた。
···
どうやら、直近のこの部屋の利用者は、他でもない爺やさんだったみたいだ。
「じゃあ、和くんたち4人は、そこの2つのソファー使っていいから、好きな所に座って」
「了解」
俺は、1番近くにあったソファーの左側に腰掛けた。
おぉ、素晴らしい弾力性だ。
座面のムチムチ感、背面のムニムニ感。
流石は高級ソファーといったところか。
「お兄ちゃん···」
「なんだ妹よ」
「ナチュラルに、私の膝の上に座るのヤメてもらっていいですか」
仕方なく、俺は円香の隣のスペースに改めて腰を降ろした。
そして、その俺の膝の上に、続けざま春子が腰を降ろしてきた。
春子の自重によって程よく圧力が加わり、俺の太ももに彼女の尻の感触がフニフニと伝わってくる。
き、気持ちいい···
「···なぁ春子、なんでココに座るんだ?」
「だって、好きな場所に座っていいと言われたので」
「お前、俺のこと、好きなの?」
「ええ、わりと」
「だからって、人の上に座るのは非常識だろ」
「お兄ちゃん、自分の事を棚に上げるプロだよね」
「あとな春子、せめてスクリーンの方を向いてくれないか」
春子は、俺の方を向いた状態で俺の膝の上に腰を降ろし、両手を俺の首すじに回している状態だった。
その様相は、さながらダッコちゃん人形のようであった。
「お兄ちゃん、対面座〇って言った方が分かりやすくない?」
そう言わないように説明していたのに、台無しにするな。
「とりあえず春子、もう上映が始まるから、降りてもらっていいか。続きは今度しような」
「はい」
「お兄ちゃん、さりげなく今後に繋げようとしないでよ。それも浮気だかんね!」
「では、そろそろ上映を始めさせて頂いても宜しいですかな?」
爺やさんの問いかけに対し、緑川が挙手をする。
「1つ確認させてもらってもいいかしら」
「楓ちゃん、失礼、緑川様、何で御座いましょうか?」
「この映画って、どれだけの上映時間なの?」
「およそ、1時間といったところです」
春子が続けて口を開く。
「爺やさん、先程ドリンクは受け取りましたが、何か小腹に入れるものを頂けませんか?ポップコーンとか、ポップコーンとか、ポップコーンとか」
この大和撫子、めちゃくちゃポップコーンを所望している。
「あたしも欲しいわ。爺や、直ぐに用意してちょうだい」
「かしこまりました」
そう言って一度席を外した爺やさんは、3分程で直ぐに戻ってきた。
「お待たせしました」
聞き慣れた、例のボイスメッセージを引き連れて。
「ハロ〜サティ♪できたての、ポップコーンはいかがかにゃ♪」
爺やさんが押す台車の上には、ドン〇やモー〇ーファンタジーで見かける、ヨンリオの看板キャラ”ハローサティ”のポップコーン製造機の筐体が鎮座していた。
春子が、前のめりで目を輝かせる。
「サティちゃんのポップコーンの筐体が自宅にあるなんて、夢のようですね!」
···そうか?このメロディーをずっと聴き続けるなんて、拷問以外の何ものでもないと思うが。
「こちらは、メイドが不始末を働いた際に、1日謹慎させておく部屋で稼働させているものになります」
やはり、拷問道具みたいな扱いで活用されているようだ。
「ハロ〜サティ♪できたての、ポップコーンはいかがかにゃ♪」
各々、ポップコーンを受け取り席に着く。
「では、上映を開始しますよ」
「あれ?咲夜はどこだ?」
3つあるソファーに、咲夜の姿は無かった。
「あぁ、お嬢様ならそちらです」
爺やさんは、俺たちの後方を指差した。
振り返ると、少し後ろのエリアに、咲夜の姿があった。
彼女は、アヒルさんデザインの”おまる”にまたがっていた。
「···何してんの?」
「いやほら、前に言ってたじゃん。あたし、素晴らしい作品を観ると漏らしちゃうって。だから、爺やに頼んで用意してもらったの」
スカートでおまるにまたがっているので露わにはなっていないが、おそらく”履いていない”であろう彼女の姿は、なんか、見てはいけないモノのように感じた。
それは別に、”性的に”というわけではなく、女子高生がおまるにまたがるその”残念な姿”は、見るに堪えなかった。
「さぁ、準備満タンよ!爺や、上映を開始してちょうだい!」
咲夜、準備は満タンではなく万端だ。
そして、君の膀胱内が満タンでないことを祈る。
爺やさんが電源を入れると、室内が暗くなり、上映が開始た。
そして、開幕後ものの5分程度で、俺の不安は完全に払拭されていた。
これはこれは、中々どうして、悪くない、いや、かなり良いデキなのではないか?
咲夜の撮影技量が俺の見立てよりもはるかに高かった事に加え、爺やさんの動画編集技術もプロ顔負けのレベルであった。
俺の目から見て、とても良くできたAVに仕上がっていた。
『ブラウン・アスタリスク・ボンバー!』
モモ子の尻から、黄土色に着色された爆風が噴射される。
『エクスタシー・ホエール・スプラッシュ!』
モモ子,ムム子,ミミ子の、天に向け突き上げられた下腹部から、真っ青な液体が噴水のように噴き上がる。
···何を見せられてるんだ、俺は。
そして、約1時間程で、無事に上映は終了した。
パチパチパチパチ
「素晴らしい作品でした。これならアカデミー賞も間違いなしですね!」
誇らしげに手を叩く春子。
その自信はいったいどこから湧いてくるのだろうか。
目ん玉腐ってんのか?
「今まで見た映画の中で、断トツで1番感動したよ···グスッ」
目尻に涙が光る円香。
お前は涙腺腐ってんのか?
情緒どうなっとんねん。
あと、お前が過去に見てきた映画のラインナップを教えてくれ、すげー気になるから。
「ブラボー!!!すんばらしい作品だったわ!あたし、”レモンティー”垂れ流しだったのは流石に初めての経験よ!」
途中、後ろからすげー音してたもんな、ジョーーって。
あと、そこはかとないアンモニア臭も漂っている。
無事、彼女の作品は、俺たちの作品は、お嬢様のお気に召すモノに仕上がったようだ。
流石の円香も気が引けたようで、咲夜の”レモンティー”には手を付けず、ろ紙を咲夜に咥えてもらい、染み込んだ唾液からアニナエル抗体を接種することを選択した。
「”快楽昇天”。よし、接種完了!」
これまでと同様に、性力の達人の体液が染み込んだろ紙を左手で握り込む円香。
これで今回も一件落着···と言っていいのだろうか。
この5章を締め括るには、まだ少し時期尚早かもしれない。
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