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第1話.妹のなく頃に

「なぁ和哉、どうしてこの世にはイケメンが存在するんだ···」


「その方が女が喜ぶからだろ」


「神様は意地悪だな」


「まったくだ」


お前を見てたら心底そう思うよ。


カラオケからの帰り道。

新月のため月明かりはなく、辺りは薄暗い。


時刻は現在、20時を少し回ったところ。

予定よりも2時間も早い帰宅である。


何があったかというと、前略、中略、後略。

話せば長くなるので、割愛しておこう。


野郎共の醜い鎮魂歌など、とりたてて聴こうとする必要はないのだ。


モテない集団がリア充グループの盛り上がりを見て興が削がれようが、俺が初代歌下手王になろうが、そんなことは知ったことではないのである。


既にプロローグも読み飛ばされている可能性だってある。

知ってるか、あの委員長が黒のTバック履いてるんだぜ。





「あ~、せめて円香ちゃんが来てくれたら、もっと楽しめただろうな〜」


今回ばかりは激しく同意せざるおえない、不本意ながら。


そういえば、そのお姫様に王子の凱旋が早まったという一報を入れ忘れていたな。


俺より早く帰宅しているだろうか?

とかなんとか考えているうちに、家の前まで辿り着いていた。


俺の部屋にだけ明かりが灯る、家の前。


あれ?おかしいな、今朝出かける前に電気は消したはずなんだが。


「あ、和哉の家ここだっけ。そんじゃ、また明日!」


「おう、また明日」


おそらく明日以降の出番は無いであろう、遠ざかるその背中を見送った。





鍵を開け、ドアを開く。


円香の靴は···ある。


ああ、これは、あれか。

夜、妹しかいない家に、兄が予定よりも早く帰宅。

となると。


ラッキースケベ発生確定フラグなのでは!?


視界の端に目を凝らしても、セーブアイコンが見当たらないことが悔やまれる。


神様、フルプライスでも構わないので、もう少しシステム面を充実させてください。


つまりは、ミスが許されない、ということか。





物音をたてないように息を殺して、この界隈ではド本命の脱衣室へ向かった。


俺の部屋に居ると見せかけて、あれはおそらくダミーだ。

この千載一遇のチャンスを棒に振るミスリード。


この展開は、脱衣室で着替え途中の妹とばったりエンカウント、これだ!


リアル”きゃー!お兄ちゃんのえっち!”を味わえるに違いない。


これで、今日のおかずはゲットだぜ。

さぁ、俺に視姦されるために育った、その美しい乳を拝ませてもらうとするか。


Fカップ、おいでませ!


ガラッ。


···あれ?いない?


おかしいな〜、定番イベントのフラグもビンビンだったのに。

はあぁ〜。


となると、やっぱり、あいつはいつものように、俺の部屋に居座ってるだけか。


どうせ、ゲームしてるか漫画読んでるか、そのどちらかだろう。


わかってたぜ、変に期待するだけ無駄だってことぐらい。


やはりこの世界は全年齢版だったのか。

黒のTバックが限界かもとは、薄々感じていたけど。





しかし、しかしだ。

このままではつまらんだろ。


せいぜい妹のパンチラが見られる程度であれば、それはもう兄としての日常だ。


兄は常日頃から、妹のパンツぐらい見放題なのである。

といっても、見飽きたことはないけど。

 




ん〜この後どうしたものか···

いったいどうすれば、ここからエロい展開へ繋げることができるのだろうか?


今どきは、課金しないとエロイベントは発生しない仕様なのだろうか?


いつになく真剣に、無い知恵を絞ってみたものの、名案など思いつくわけもなく。

とりあえず、何もしないのも癪なので、意味もなく驚かせて憂さ晴らしをしようと思う。





その場の空気と一体になりながら、息を殺して2階へ上がり、自室のドアノブに手を掛けた。


手首をゆっくりと下へ動かし、ノブの可動域限界で止める。

これで、音を立てずにドアを開けることができる。


スッ。


俺にだけ聞こえたであろう空気の動く音と共に、隙間が生まれ。


そこから差し込む光の向こうに。

はたして、妹がいた。


それも、俺の予想を大きく裏切る姿で。





··· ··· ···

絶句した。


言葉が、出なかった。


それは、目の前の出来事があまりにも衝撃的だったから、というわけではなく。


当然、それもあるのだけれども。


それ以上に、ただただ純粋に、彼女に見蕩れてしまった、というだけのことだった。

言葉を見失うほどまでに、目を奪われた。





俺の部屋の、俺のベッドの上で。


ひどく見慣れた、先日も着用していた記憶のある、俺のパンツに顔を埋め。


露わになったその巨乳と、下着越しの陰部を夢中で弄る。


それは間違いなく、間違えるわけもなく、俺の実の妹、青山円香だった。






これは、快楽のウロボロスに出逢い,惹かれ,美しく狂った妹の物語。


優しい虚影にアイを重ねた、愚かな兄妹の軌跡。

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