第33話.ケツ振レユカイ
次の日の火曜日の放課後、撮影1日目。
俺は、緑川が今週1週間借り上げてくれた風紀委員室の前の廊下で待機している。
現在、咲夜と春子が室内で準備中なのだが、ドアの覗き窓には暗幕が張られているため、その様子は伺えない。
昨日に引き続き、先程、柳の下のドジョウ狙いと思われる用務員の門倉さんが通りがかったが、今日はスリングショット水着の痴女が居ないことがわかると、肩を落としトボトボと歩き去っていった。
彼は退職までの残りの期間、この学園内で”スリングショット水着JK”の幻影を探し続けるのかもしれない···
「OK!和くん、入っていいよー!」
その呼びかけに応じ、風紀委員室のドアを開ける。
と、目に飛び込んできたのは、本物の撮影スタジオさながらの本格的な撮影機材と、壁一面を覆い尽くすグリーンバックだった。
「スゲー、流石”黒峰のご令嬢”だな」
「はぁ~、そこで”咲夜”って言わないところが、非モテ男子だよね〜」
大げさに呆れたリアクションをとる咲夜の隣には、肌色成分強めの春子が立っていた。
青色のマイクロビキニ+太ももの両側面だけが覆い隠されている、衣類としていったい何の役目を果たしているのか謎な水色のスカートもどき+頭部のグレーのネコ耳が、魔法使いモモ子の戦闘衣装らしい。
「どうでしょうか、和哉君、似合っていますか?」
「あぁ、似合ってる。すごくエロいぞ春子」
「はぁ~、そこで”カワイイ”って言わないところが、非モテ男子だよね〜」
うるさいな、春子が喜んでくれれば、それで良いんだよ。
「ありがとうございます。私、和哉君の為にも撮影頑張りますね」
そう言って笑う彼女の笑顔は、俺が知っているどの映画女優の笑顔よりも素敵だと、素直にそう思った。
春子の、際どさ全開のマイクロビキニ(風の衣装)に目を向ける。
下半身側の布なんて、その細さはもはや完全に”紐”だ。
「春子、お前も緑川と同じで、”ひじき”は処理済みなんだな」
「この撮影の為に、昨日の夜、お風呂で自分で剃ってきました」
その光景を思い浮かべ、少しムラっとする。
「準備満タンです!目指せハリウッド!」
春子、準備は”満タン”ではなく”万端”だ。
そして、お前の向かう方向の行き着く先は、ハリウッドではなくFA〇ZAだ。
「和くんは、この衣装着て〜」
制服を脱ぎ、パンツ1枚でスタンバイしていた俺に咲夜から手渡された衣装は、肌色の全身タイツだった。
肌色の全身タイツって、これ、意味あるの?
「なぁ、咲夜、これって着る意味あるのか?」
「あるある、股間のあたりを見ればわかるよ」
股間の中央部に、ちょうど15cmぐらいの棒状のモノがスッポリ収納できそうなポケット状のスペースがあった。
「それ、ドウテイの”前しっぽ”なんだけど、そこに、和くんの”えのき”を差し込んどいてほしいの」
は?前しっぽ、とな?
「ドウテイは、その前しっぽの”ペニッシュ”に魔力を溜めて闘うの。だから、戦闘中はその”えのき”、小さくしたらダメだかんね!」
隣りにいる春子へ目を向ける。
このスケベ衣装を見るに、途中で萎えて縮こまる心配は無さそうだが···
逆に、誤爆しないか心配だ。
ドウテイ、俺は君を演じるに相応しい”ペニッシュ”の持ち主か不安だよ。
「じゃあ、シーン1-1から、ヨーイ、アクション!」
そうして、俺と春子の、ドウテイとモモ子の撮影が開始された。
内容的には、ミミ子とムム子が不在で、モモ子が1人きりの時にドウテイに襲撃された、というくだりのようだ。
原作通りの台詞,ポーズを真似ながら、咲夜の独自の構想,解釈の指示を反映させ、俺たち2人はなんとか撮影を進めた。
「うまいうまい、2人ともやるじゃん!」
嬉しそうな咲夜の笑顔を見て、つられて喜びの感情が湧き上がる自分に少し恥ずかしさを感じはしたが、不思議とイヤな気分ではなかった。
「次は、いよいよ戦闘シーンの撮影開始だよ!春タン、お尻を和くんに向けて突き出して!」
「はい、わかりました」
春子は、咲夜が指示した通り、腰を屈めるようにして俺に向けて尻を突き出した。
そのか細いマイクロビキニのT字の布のサイドから、”*”の周囲の茶色の色素がチラ見えする。
春子の尻の淡い白さと対を成す、その下品な濃い茶色のコントラストに、俺の理性は崩壊しかける。
落ち着け、俺。
こんな時こそ、かつて顔にぶっかけられた春子のゲロの臭いを思い出して踏みとどまれ。
「じゃあ、シーン5-1、モモ子がお尻を振って魔力をチャージするシーンを撮ります!ヨーイ、アクション!」
どうやらこのモモ子という痴女,もとい魔法使いは、マイクロビキニ風の戦闘服を着用した状態で、自身の尻を振ることで魔力を貯めることができるらしい。
これが国民的アニメとは、この国はどうかしている。
「さぁ、モモ子、全力で尻を振りなさい!」
「はいっ!」
フリフリ、フリフリ、フリフリ。
俺の目の前で、俺に向けて、春子が尻を振る。
左右に、上下に、そのT字に縁どられた尻を振り続ける。
うおっ!VRのエロ動画なんて比べ物にならねぇ!
完全生!これが、リアルガチ女体!
美少女JKが俺の眼前で、マヌケな痴態を晒しているという事実に、腹の底から興奮が湧き上がってくる。
フリフリ、フリフリ、フリフリ。
尻の動きの反動で、T字部分にズレが生じ、”*”周辺の茶色のシワが先程よりもより顕著な状態となっていた。
緑川、乳はお前の方が下品だけど、尻は春子に軍配が上がりそうだ。
「春タン、シーン5-3、エネルギーがチャージできたら、次は呪文の詠唱だよ!呪文の言葉は覚えてる?」
「ええ、バッチリです。お任せください」
「OK!じゃあいくよ、ヨーイ、アクション!」
フリフリ、フリフリ、フリフリ。
再びケツ振りを再開した春子は、そのまま呪文の詠唱を開始する。
「ぽしこしこおちん」
「ぽしこしこおちん」
「ぽしこしこおちん」
「ぽしこしこおちん」
尻を上下左右無作為に動かしながら、わけの分からない文字の羅列を繰り返し唱える春子。
「春タン、詠唱が終わったら、そのまま尻で”印”を結んで!尻文字で、”LOVE”を描いて!」
「承知しました」
スー、クイッ、プリッ、クイッ、スッスッスッ、クイッ。
春子は、尻文字で”RABU”と描いた。
”ラブ”と聞いて、ローマ字で記入する間違いはレアかもしれない。
「春子、文字を間違えてるぞ」
「え、BじゃなくてVでしたか?」
「いや、そもそも、LOVEで、ラブだ」
「なんと、これは失礼しました。でも、それならRを描いた時点で教えてくれれば良かったのに」
悪いな春子。
だって教えないほうが、美少女の尻文字をより多く見れてお得だろ。
マイクロビキニ尻文字を堪能したら、いよいよ今回の撮影はクライマックスだ。
「春タン、魔法をドウテイに喰らわせるよ!技のエフェクトは後で編集して付けるから、ポーズだけお願い」
「お任せください」
「和くんも準備いい?」
「OKだ」
「じゃあ、シーン5-4、いくよ、ヨーイ、アクション!」
膝をつき、目線の高さが低くなっている俺の顔の間近、真正面、鼻息がかかる距離に春子のぷりぷりの尻がある。
春子は、両手で自らの尻の両端を掴むと、それぞれを外側に向けて開くように力を加えた。
その結果、T字の布地の横から、今日イチの茶色のシワがお目見えする。
「さぁ、春タン、その体勢のまま、必殺技名を叫んで!」
「ブラウン、アスタリスク、ボンバー!!!」
ぷぅ~〜、ぷぴっ。
春子の尻から噴出した”ガス”が、俺の顔に直撃した。
「す、すみません!お尻を振っていたから、腸が刺激されたみたいで···」
恥ずかしそうに頬を赤らめる春子。
一応、恥じらいの感情はまだ有しているらしい。
春子、俺から1つ、君にアドバイスを贈ろう。
普段の食生活を見直し、肉食をもう少し控えることをお勧めする。




