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【R15版】妹よ、俺をオカズに致すなよ! 〜変態兄妹の特殊性癖女子攻略作戦〜  作者: カグラ
第4章 汗フェチバスケ部マネージャー【紫藤歩夢】

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第23話.黒子の春子

作戦本番の3日前の水曜日。

無事に岡部の弱みを入手した俺は、昼休みに茶道部の部室で桃瀬と密会していた。


「というわけだ、桃瀬。そのネタを使って、お前に岡部を脅してもらいたい。頼めるか?」


今回の作戦の肝である岡部攻略戦だが、2つの理由を考慮して桃瀬に頼むことにした。


1つは、念の為、俺たち兄妹が目立つのを避ける為だ。


今後、他の変態女を攻略する際に、思わぬ悪影響が生じる事を極力避けたいので、あまり学園内で悪目立ちしない方が良いと判断した。


もう1つは、緑川というカードを温存しておく為だ。


あいつは夜行性の変態だが、日中は才色兼備のスーパー美少女だ。

難関国立医学部を余裕でパスできる学力を有していることもあり、教師陣からの評価,信頼がとても高い。

そんな緑川には、今後俺たちの表の駒として動いてもらう予定だ。


というわけで、今回のような”教師を脅す”というリスキーな作戦は、この桃瀬に暗躍してもらいたいのだが。






「青山さんの件に協力するのはもちろん構わないのだけど、生徒が教師を脅すのは、流石に少し気が引けますね」


ノリノリでOK、とはいかないよな。


だが、こちらにはとっておきのジョーカーがある。


「桃瀬、今回の作戦に協力してくれたら、例の特注品、ローテで毎日使えるように、2号,3号をお前に提供するつもりだと言ったら、どうする?」


「やります!いえ、是が非でも私にやらせて下さい、和哉様!」


それはそれは、見事な土下座だった。

こいつ、プライドとか一切ないのか。


「現世で快楽を(むさぼ)る為、”プライド”はお母様の腹の中に捨ててきました」


将来、俺に娘ができたとしたら、こんな女にはなってほしくないなと、そう切に願った。






「よし、分かったから、顔を上げてくれ。あと、”和哉様”も止めてくれ。変なウワサと、俺のアソコが立つ」


「わかりました」


スッと立ち上がり、凛とした”大和撫子”の姿に戻る。


こうして黙っていれば、”傾国(けいこく)”は難しくても、この学園ぐらいなら余裕で傾けることができそうな美女なのに、ほんともったいないヤツだ。


「和哉君、前から少し気になっていたのですが」


「何だ?」


「私のこと、桃瀬ではなく”春子”と呼んで頂きたいのです。せっかくお友達になれたのですから」


ほんと、俺の友達にしておくには、もったいない女だ。






「という感じで岡部を脅して、土曜日の練習メニューの決定権を入手して欲しい」


御意(ぎょい)。お任せ下さい」


本当に、このポンコツ残念美少女に任せていいものか。

不安だなぁ。


「大丈夫なんだな」


「私は必ず成し遂げてみせます。ばっちゃんの名にかけて!」


茶道桃瀬流家元(いえもと)は、お前みたいな”ふしだら”な孫に、名をかけられたくはないだろう。






翌日の放課後、さっそく春子が岡部を校舎裏に呼び出した。

俺と円香は、岡部の死角に身を潜めている。


「お兄ちゃん、桃瀬さん、大丈夫かな?」


俺の口から『円香、春子のヤツ、大丈夫かな?』と出かけたところを、先に言われてしまった。


「大丈夫だ。春子を信じろ」


とりあえず、思ってもいない言葉で、妹をフォローしておく。


俺たち兄妹の心配をよそに、春子がミッションを開始した。






「岡部先生、今日は話があって、ここにお呼びしました」


「なんだ改まって、勉強の相談か?」


「いえ、そういうわけでは···」


「この前のテストも酷かったからな、桃瀬は」


「あら、そうでしたか?」


「大問3の2、答えが”清少納言”のサービス問題。お前は何て書いたか覚えているか?」


「忘れました。私、過去を振り返らずに生きるのがモットーなので」


「日本史教師に向かって、そんな事言わないでくれよ。お前が書いた答えは”清少納豆(なっとう)”だ。”言”と”豆”って、どんな間違え方だ」


「お腹が空いていたので」


「日本史の解答で初めて”納豆”と記入した女だよ、お前は」


「光栄です」


「褒めてないが」


春子のヤツ、顔は絶品だが、頭の中身は壊滅的らしいな。


「あと、時々テストの文字がヘロヘロになってて読みにくいんだが、あれは何だ」


「お兄ちゃん、それって···」

「ああ、あのアホ、テスト中にも時々ヤッてるみたいだな」






「ところでお兄ちゃん、岡部先生を脅すネタって、何なの?」


「あー、それはだな、岡部のヤツ、数学の望月(もちづき)と不倫してるんだ」


「へー、望月先生って、あの小柄でいかにも真面目ですって感じの先生でしょ。見かけによらず、やる事やってんだね」


見かけによらずということであれば、学園2大美少女の事例の方が、その比ではないだろう。


「でも、日本史×数学か〜、禁断の恋だね〜。この後世界史と古文がどう絡んでくるか見ものだよ」


お前の教科カップリング論は知らんが、世界史の中山と、古文の長澤を勝手に巻き込まないでやってくれ。


「望月先生ってさ、数学教師だし、職業病で『私のπ(パイ)θ(シータ)で、あなたのタンジェントをコサインしてあげる』とか言ったりするのかな?」


「いや、そんなクソみたいな事は言ってないと思うが」


お前、覚えたての言葉使いたいだけだろ。

コサインとかタンジェントとか、使いたくなる気持ちは分かるけど。


「って、お兄ちゃんがクソつまんない話してる間に、向こうが劣勢になってるみたいだけど」


いや、クソつまらん話をしていたのはお前だ。






「桃瀬、先生も忙しいから、特に要件が無いようであれば、もう戻っていいか?」


マズい、逃げられる。

春子のヤツ、早く”不倫”のカードを切れ。


俺は、ブロックサインのように、右手で作った拳を、自らの胸に3回、トントントンと当てた。


事前に取り決めていたわけではないが、伝わってくれ、俺の思い。

行け!不倫の話題を突きつけろ、春子!


俺のサインを見た春子は、コクリと自信ありげに頷いた。


良し、こちらの意図は伝わったようだ。






「胸を3回叩く、つまりは”おっぱい”。色仕掛け発動の合図ですね」


え!?このサイン、そんな意味があるの!?


サインを勘違いしたアホは、制服のボタンをスルスルと外すと、ガバっと、胸を岡部に向けて(さら)け出した。


「見なさい、岡部先生!」


学園最高峰の美少女のCカップを包みこんでいたのは、それはそれは可愛らしいデザインのブラだった。


具体的に言えば、ファンシーキャラクターグッズメーカー”ヨンリオ”の人気キャラクター”ペムペムプリン”モデルのブラだった。


黄色ベースに、フリル調の茶色のアクセントラインが映えるそのデザインは、”中高生の下着”というよりは、”小学生の水着コーナーにありそう”だと思った。


そのデザインで色仕掛けは流石に厳しいというのが、俺の率直な感想だった。


「ペムペムプリンモデル、ちょー可愛いじゃん!私も欲しいけど、私のサイズだとああいう可愛いデザインのブラ売ってないからな〜。羨ましい〜」


隣から、煽り性能の高い言葉が漏れ聞こえてきたが、聞き流しつつ、岡部の出方を伺う。






岡部は、春子に背を向け、後ろ向きに立っていた。


なん…だと…

俺は、目の前の岡部の奇行に驚愕していた。


美少女が自ら胸を見せているのに、それから目を背けるとは、コイツ気でも狂ったか?


「どうした急に、止めてくれ、桃瀬!こんなところを望月先生に見られたら誤解されるだろ!」


シンプルに、不倫相手に見つかったらマズいという、保身からきた行動だった。


「先生、実はお願いがあるのですが」


「あー、なんだ、それを聞いたら、お前は服を着てくれるんだな」


「はい。お願いというのは、女子バスケ部の今週土曜日の練習メニューについてなのですが、その内容をマネージャーの紫藤さんに一任して頂きたいのです」


「女バス?紫藤?それがお前と何の関係が?」


「あと、その日は練習に顔を出さず、不在として頂きたいのです」


「だから、何でそんな事を」

「先生、このブラはフロントホック仕様です。それ以上詮索するようであれば、私はそのホックを外す覚悟があります」


「わかった、わかったから、お前の言う通りにするから。先生の方から紫藤に今の件を伝えておけばいいんだろ。じゃあ、先生もう戻るからな」


そう言って、岡部はそそくさと退却した。

その間、彼は一度も春子の下着姿に目を向けることはなかった。


そして俺は、その間、春子の下着姿から目を逸らすことは一度もなかった。





「一時はどうなるかと思ったが、成功したから良しとしよう。ありがとな、春子。お疲れ様。でも、何で不倫について言及しなかったんだ?」


「不倫?何の話です?」


「いや、不倫ネタで岡部を脅して欲しいと昨日頼んでただろ」


「あー、”不倫”だったのね。私はてっきり”プリン”だと思ってコレを着用してきたのだけど」


そう言って、その可愛いプリン君デザインのブラの上部を指で摘んだ。


「お兄ちゃん···」

「ああ、みなまで言うな、妹よ」


桃瀬春子、こいつ、間違いなくアホだ。


「じゃあ、私たちも戻りましょうか」


そう言って、桃瀬はポケットから取り出した例の”アレ”のスイッチを切った。


「お、お兄ちゃん···」

「···言うな、妹よ」

【作者の余談】

作中に登場した清少納言のくだりですが、作者の高校時代、隣の席の可愛い女子が実際に先生と繰り広げていた内容をそのまま採用させて頂きました。

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