第19話.ドント セイ クレイジー
第3章 桃瀬春子編 最終回です。
ここまで読んで頂き、ありがとうございます!
引き続き、第4章に続きます。
少しでも面白かったと思って頂けたら幸いです。
評価,感想、お待ちしております!
「6に···してください···」
そう言って、目の前の桃瀬は、あの”大和撫子”の桃瀬春子が、俺に対して土下座をした。
まさに懇願であったが、俺はそれに応えることはできない。
「悪いな桃瀬、6にするのは、R18完全版までおあずけだ」
R15では、この5で限界だろう。
鬼畜ドS系主人公ではない俺は、彼女の願いを聞き入れることなく、スイッチを切った。
いやしかし、6にして欲しいという願いを無視する方が、この場合S度が高いのだろうか?
『6にして欲しいと土下座で懇願する彼女を無視しておあずけ』と、『願い通り6にして、彼女を快楽でブッ壊す』、どちらがS度が上か、俺は有識者じゃないので分からない。
どちらにせよ、今回の作戦の目的はもう果たせたのだ。
これ以上、彼女を刺激する必要はないだろう。
「円香、多分もう終わったぞ」
俺の呼びかけに応じ、円香が部室に入ってきた。
「桃瀬さんの性力は···14000!?ヤバっ!ちょっとやり過ぎたかな」
まぁ、あのまま行けば、R18に片足を突っ込んでたぐらいだし、やり過ぎと言われても仕方ないかもしれない。
「桃瀬さん、大丈夫ですか〜」
円香が、土下座状態のまま反応が無くなった桃瀬に声をかける。
しかし、まるで猫の”ごめん寝”状態のような彼女からの返事は無い。
「ダメだ、気絶しちゃってる」
そのままにしておくのも忍びないので、円香と2人で協力し、小上がりの畳の上に寝かせることにした。
曲げられた腰を伸ばし、上半身を起こす。
その時垣間見えた”大和撫子”の、美しさと醜さとエロさが共生したあのアヘ顔を、俺は生涯、忘れることはないだろう。
暫くした後、桃瀬がハッと意識を取り戻した。
「あれ?私はいったい···何を」
良かった、都合よく記憶が飛んでいるらしい。
「6にして欲しいと、土下座したところまでは覚えているのだけど」
全部しっかりと覚えているようだ。
つまりこいつは、理性が残っている状態で、土下座をしたということか。
とんだドスケベ変態女だ。
「和哉君、あなたがなぜこのような事を?」
「それについては、円香から説明してもらうよ」
「実は、かくかくしかじかで〜」
「なるほど、そういう事だったのね」
流石は円香、説明が上手くて助かるぜ。
この作戦の為に、夏えもんに遠隔でレベル変更ができる特注品を作成してもらい、持ち物検査をする振りをして、緑川が桃瀬の愛用品と取り換えた。
そして、俺が遠隔操作を行いレベルを上げ、強制的にイかせたという流れだ。
桃瀬は、毎日イってはいたものの、本当の絶頂には至っていなかった。
自分自身では、無意識下の予防線を越えることができていなかったようだ。
そこで、彼女のセーフティーゾーンを超える為の刺激を強制的に与えてやり、無事に真の絶頂を迎えれたというわけだ。
ちなみに、桃瀬ファンクラブの5人については、緑川が適当なウソをついて、本日は部室に寄らずにお帰り頂いた。
美人に弱い5人なだけあって、緑川の言うことはすんなり受け入れていた。
緑川を最初に仲間に引き入れて正解だったな。
俺のおかずになってくれるし。
乳輪もデカいし。
「話は分かったわ」
変態女達は、自分達が”異常”な存在である自覚があるからか、こちらの”異常”な状況に対しての飲み込みが早くて助かる。
「というわけで、ムフッ、桃瀬さんの、でゅふ、絶頂後の、その、体液をね、でゅふふ、頂きたいわけなんだけどね、でゅふふ」
「お兄ちゃん、そのキモい頼み方ヤメな」
「絶頂後の体液って”アレ”のこと?」
「いや、”ソレ”じゃなくていいよ。この作品R15設定だし」
聞かなくても分かる。
このドスケベ女の言う”アレ”は、おそらく”アレ”のことだろう。
「唾液とか、涙とか、体液であれば何でも良いんだけど」
「そう。青山さんの為に協力するのは全然構わないのだけど。和哉君、あなたにしてやられたままでは、私としては何か悔しいのだけど」
「別に、さっきのプレイは勝ち負けではないと思うが」
「お兄ちゃん、妹の命が懸かってる作戦を、”プレイ”だと思ってたんだ」
「私と勝負して勝ったら体液をあげる、というのはどうでしょうか?」
「で、何をするんだ」
「そうね···アレを使いましょうか」
”アレ”と聞いて一瞬ドキッとしたが、彼女が持ってきたのは例のお題サイコロだった。
「出たお題に対して、私が認めたらOK、和哉君の勝ちということでいいわ」
「がんばってね、お兄ちゃん!」
まぁいい、やってやりますか。
サイコロを投げる。
出た目は、
”おもしろい話”
「やったー、お兄ちゃんの得意分野じゃーん!ラッキー!お兄ちゃんの話マジでおもしろいからね〜、桃瀬さん覚悟した方がいいよ〜」
妹よ、少し黙っててくれないか。
「あら、ちょうど分かりやすいお題が出てくれたわね」
そう言った桃瀬は、さっき円香が渡していたペットボトルのお茶を口に含んだ。
「んーんんんーんんーんんーんー」
「いや、何言ってるか分からんが」
桃瀬は、ごくん、と口に含んだお茶を飲み込んだ。
「私がお茶を口に含むから、私を笑わせて、吹き出させたら和哉君の勝ちということでいいですよ」
桃瀬のやつ、見た目に反してバカなのかもしれない。
「なるほど、桃瀬さんが吹き出したお茶に含まれる唾液から、アニナエル抗体を採取すればいいってことですね」
「なるほど···そういうことらしいわ!」
やっぱりこいつ、多分バカだ。
「さぁ、スケベ女vsキモ男の世紀の一戦が幕を開けようとしています。実況は私、スーパー美少女JKの円香ちゃんでお送りさせて頂きます」
何かよく分からんテンションで始まってしまったが、体液には”絶頂後1時間以内”の縛りがあるため、さっさと終わらせるとしよう。
「お兄ちゃん、いや、キモ男はいったいどんな面白話を繰り出してくれるのか楽しみですね〜。」
そんなフリをされて、面白い話ができるヤツなどおらんわ。
というわけで、俺は別ルートから攻めさせてもらうとしよう。
「おーと、キモ男がスケベ女に顔を近づけて行くー!これはあれか、チューしようとしているのかー!?許せません!これは浮気です!」
違うぜ円香。
俺は”話”ではなく、”顔”で笑わせるつもりさ。
変顔、これで勝負を決める。
そしてあわよくば、桃瀬が口に含んだお茶を、顔面にぶっかけてもらうんだ。
でゅふふ、桃瀬の口腔内で、唾液と混ざり合い熟成されたお茶。
さぁ、しかと見よ!
これが俺の渾身の変顔だー!
「出たー!キモ男の変顔だー!キモい、キモい、キモすぎるー!!!見るに耐え難い、こいつの妹であることが恥ずかしい、親の顔を宇宙ステーションまで見に行きたい、そんなレベルのキモい変顔を、スケベ女は耐えることができるかー!?
ゲロゲロゲロゲロ。
「なんとスケベ女、キモさに耐えられずゲロを吐いたー!その嘔吐物が、キモ男の顔面に直撃!」
ん〜、熟成され過ぎぃ!
流石の俺も、嘔吐物に欲情する程の胆力は無かった。
「勝負は、レギュレーション違反ではありますが、お兄ちゃんの勝ちです!やったー!」
お前が喜んでくれるなら、お兄ちゃんとしてはもうそれでいいよ。
俺がゲロまみれになった顔を拭いている隣で、そのゲロを含ませたろ紙を円香が左手で握り込み、能力を発動する。
「快楽昇天。よし、抗体を接種できたよ」
これで今回も一件落着か。
ゲロを吐いてどこかスッキリした面持ちの桃瀬に話しかける。
「今日は悪かったな。疲れただろ。もう帰ろうぜ」
「あの、最後に1つ確認しておきたいのですが」
「何だ?」
「私の中の”アレ”って、このまま頂いてもいいのかしら?」
そういえば、スイッチを切ってはいたが、入れっぱなしのままか。
「ああ、いいぞ。好きに楽しんでくれ」
そう言って、彼女にスイッチを手渡した。
「ありがとう、ふふ」
俺に向けられた彼女の笑顔があまりにも可愛くて、恋に落ちそうになりかけたが、先程のゲロの臭いを思い出し踏み留まった。
別れを告げ、歩き去る桃瀬を見送る。
さて、彼女は今、スイッチをどのレベルに合わせているだろうか?
俺の予想は、十中八九当たっていると思う。
が、真実は桃瀬にしか分からない。
その夕日に照らされた”大和撫子”の背中は、答えを語ることはなかった。
第3章
バイブレーション茶道部
桃瀬春子編 完
Next Episode
第4章
汗フェチバスケ部マネージャー
紫藤歩夢編
to be continued




