第13話.俺の恋はステープラー
連載再開しました!
第3章、開幕です。
本日19時、14話公開予定です。
朝、昨晩の緑川の乳揺れをおかずに楽しみ過ぎた副作用の眠気に抗いながら、いつものように妹を片腕に侍らせ、我らが江口杉学園の校門前に辿り着いた。
昨晩の痴態がまるで夢だったと疑うほど、いつも以上に凛とした出で立ちの風紀委員副委員長が俺たちを出迎えた。
「円香、おはよう」
「おはよー、楓さん!」
出迎えられていたのは、円香だけだった。
「おはよー、緑川!」
「···」
普通に、無視された。
「ダメだよお兄ちゃん、女の子に話しかけるなんて、そんな無謀なことしちゃ」
俺の人生ハードモード過ぎない!?
無謀より、無望という字面の方が相応しいのかもしれない。
「···私には、学園内の人目がある場所で話しかけるのはヤメて。変な噂が立つわ」
「夜な夜な、全裸露出アヘ顔ダブルピースキメてる女に、そんなこと言われると傷つくなー」
「っ!アヘ顔なんかしてない!」
つまり、ダブルピースはキメちゃってるのか。
この感じだと、アヘ顔の方も怪しいな。
ていうか、”アヘ顔”が普通に伝わるのか、このムッツリスケベめ。
「お兄ちゃん、私は毎日アヘ顔キメてるよ!」
メインヒロインが、グッドサインにウインクを交えてドヤ顔で言う台詞ではないと思う。
円香、お前のスケベはオープンが過ぎる。
いや、しかし、それにしても···
「な、何よ。人の顔ジロジロ見て」
「いや、改めて見ても、緑川ってほんとスゲー美人だなと思ってさ」
「なっ!?そ、そんなこと言われても、あなたに心は開かないわよ!」
「外で股は開くのにな〜」
「うるさい!」
そんな超美人のお前のその制服の下に、あのド下品なデカ乳輪が隠されていることを、俺は知っている。
すまし顔で俺の目の前に立っているこの女の乳輪が、鮮やかなピンク色であることを、俺は知っている。
緑川の顔を見ると、紐付けされた情報として、自然と記憶からあの乳輪を想起してしまうようになってしまった。
彼女の美しい顔の向こうに、その下品な乳輪が透けて見えるようだ。
それほどまでに、あの日目に焼き付けた乳輪は、あまりにも俺好みだった。
「緑川、俺は、お前の顔(とデカ乳輪の組み合わせ)が好きだ」
「はぁ!?ちょっ、円香ちゃんもいるのに、急に告白みたいなこと言わないでよっ!キモい!」
ん、円香?
マズい!失念していた!
妹の存在が、脳内に想起されたデカ乳輪に完全に覆い隠されていた。
「いや〜、円香さん、これは」
ボコっ!
「臭いから、口を開けるな、浮気者!」
顔面に重い1発をもらい、地面に仰向けに倒れ込む。
川柳調の捨て台詞を吐き、円香は歩き去っていった。
緑川は、倒れる俺を、腐敗して異臭を放つ生ゴミを見るような目で一瞥だけすると、円香を追いかけて直ぐに立ち去ってしまった。
緑川、俺は昨晩、全裸で尻丸出しで気絶するお前を紳士的に助けてやった男だぞ。
こんな扱いを受けるなら、あの時お前のケツの穴の皺の数でも数えておけばよかった。
R18完全版では、無事で済むと思うなよ。
「大丈夫?青山君。」
この学園内で、俺のことを青山君と呼んでくれるのは、いや、自らの意思で好意的に話しかけてきてくれる女子は、1人しかいない。
白河望美、委員長である。
おかずにするなら緑川だが、彼女にするなら断然委員長だ。
「どうしたの?朝から校門の前でお昼寝?いや、この時間だと二度寝になるのかな?」
委員長の口から”コウモン”という音が聴けて、少しムラっとする。
「いや、1発KOされただけだよ」
「そう、円香ちゃんにヤラれたのね」
「流石聡明な委員長、正解だ」
「簡単な消去法よ。この学園で青山君と話す女子は、妹の円香ちゃんと、幼馴染の夏希ちゃんと、青山君係の私だけでしょ」
···!?
聞き間違い、だよな。
「あ、青山君係···?」
「そう。先生に頼まれてるの。青山君を宜しくねって」
3年連続同じクラスだったのは、運命ではなく、彼女に架せられた十字架だったようだ。
俺は将来、小説を書こうと思う。
タイトルは、「学園で唯一俺に優しく接してくれた委員長に惚れたら、青山君係だった件」
そうでもしないと俺は、自分の青春に折り合いがつけられそうにない。
「じゃあ私、先に教室行くね」
そう言って、青山君係の彼女は、スカートを翻し方向転換。
俺は、仰向けに倒れたまま、彼女のスカートの中に目を向ける。
夢にまで見た、噂の黒のTバックだった。
委員長の肉付きのいい太ももから生える、その先のお尻と黒のTバックのなんと絶景たるや。
円香よ、勝負は俺の勝ちだ。
本日19時、14話公開予定です。