第8話.絶対開脚少女
「それでは、緑川楓攻略戦を開始します!」
学校から帰宅した後の、俺の自室で作戦会議。
「自らの命が懸かっているにしては、ノリが軽いな。」
「いやいや、辛気臭くしてても、問題は解決しないでしょ。同じ阿呆なら踊らにゃ損だよ。」
そりゃあ、そうか。人生ポジティブが1番。
確かに、同じ童貞でも、シコらにゃ損ってもんだ。
「それで、GPSを取り付けた甲斐はあったのか?」
「あった、あった、大ありだよ、オオアリクイだよ」
それは良かった。
委員長の黒Tバックのくだりを7話まで引っ張ってきた甲斐があったな。
「じゃあ、その成果について説明するね」
「ちょっと待ってくれ」
「何?これから真面目な話パートに入るんだけど」
「今回って、解説回だから肌色成分少なめですか?」
「うん、多分そうなると思うけど」
「ん〜、困ったな、そうなってしまうと、お兄ちゃん話の途中で眠くなっちゃうな〜」
「妹の命が懸かっているというのに、この猿は···しかたない」
はぁー、と露骨な溜息を俺に吐きかける。
円香は、ベッドに上がったかと思うと、ベッドに隣接する壁を背もたれにするように背中をあずけ座った。
自然と、下半身はこちらに向けて突き出される体勢となる。
そして、曲げられた両足を、左右に大きく開いた。
俗に言う、M字開脚である。
兄のベッドの上で、制服姿で股をおっぴろげてパンツを丸出しにしている妹。
「どお、これなら眠くならないでしょ」
以前の俺の願いが反映されてか、水色のシースルーパンツだった。
むちむちの太ももに食い込んだ黒のオーバーニーソックスによって、視覚的にトリミングされていることにより、露出部の肌色と水色がより鮮明に強調される。
厚い布地で太ももを締め上げる黒色と。
薄い生地でその向こうの肌色が溶け込む水色。
そして、その間の架け橋となる、現役JKの血色の良いよく肥えたもち肌。
「で?何でお兄ちゃんは、そんなに私から、いや、私のパンツから距離をとってるの?もっとかぶりつくように間近で覗き込むかと思ったのに」
「馬鹿野郎、パンモロは、生活感のある空間で、一歩引いた距離から見る方がエロいんだよ」
俺は、俗に言う後方彼氏面よろしく、円香が背をあずける壁と対面の壁に背を付け腕組みをした。
「さて、準備は整った。それでは、始めようか」
馬鹿野郎と大馬鹿野郎の、パンツ丸出しの妹とそれを腕組みしながら視姦する兄の、密談が始まった。
「まず、GPSで緑川さんの自宅を特定して、張り込みをしてみたの」
「学校内での調査はしなかったのか?」
「彼女の学校内での性力は常時8300前後だから、校内で致しているわけではないと踏んだの」
「待て待て、なんかよく分からん数値が登場したけど」
「説明すると、性力って、性力の達人を判別する為の指標なの。常人の場合、通常時が800性力,致してる時が1000性力程度なんだけど、これが性力の達人の場合、通常時が8000以上、致している時や直後が9000以上になるの。そして肝心のアニナエル抗体が放出される為には、絶頂により10000性力以上に達する必要がある。ここまで理解できた?」
妹パンツをガン見しているおかげで、思考はクリアだ。
俺が首を縦に振ったことを確認し、パンツ丸出しの彼女は話を続けた。
「私は、性力測定の能力で、緑川さんの性力を目視で判定できるけど、学校内で9000オーバーを観測することはなかったの」
「それで、自宅へ向かったわけか」
「単刀直入に言うと、緑川さん、自宅以外の場所でやっちゃってます」
やっちゃってますか。
「受験生ということもあって、週5日塾に通ってるみたいなんだけど」
「大変だな、受験生は」
「お兄ちゃんも、受験生でしょ」
受験など、妹の命を救う事に比べれば、わけはないだろ。
未来を見据えてる暇などない。
今は目の前のパンツに集中しよう。
「その塾の終了時間と帰宅時間から計算して、空白の1時間が存在しているのに加え、帰宅した時の彼女の性力は、優に9000を超えていたの」
「つまり、塾終わりの1時間にヤッている、てことか」
「その1時間で、緑川は何処に行ってイッてるんだ?」
「GPSで調査した結果、塾から自転車で10分程度の距離にある、駅前の繁華街エリアの外れの廃ビルに通ってる事がわかったよ」
そこが彼女の、夜の秘密基地というわけか。
「今夜はその廃ビルに先回りして、彼女を待ち伏せるよ!」
人の致している処に乗り込む事に躊躇がないな。
流石、つい最近自分が致している処に乗り込まれても平然としてた女だ、面構えが違う。
と、16門のカメラで致している姿を高画質撮影されている男が評した。
「待ち伏せして、それからどうするんだ?」
「私の能力性癖暴露の発動条件が、性力の達人が致している処を直接目視で確認することだから」
「緑川の致している処を見に行くというわけか」
「性癖暴露の能力で、緑川さんの性癖を誤解なく理解して、後日、彼女の絶頂条件をクリアしてイかせて、その時に体液を採取する、という流れになるね」
「ひとついいか?」
「何?」
「その···年頃の男子としては、彼女の致している姿が刺激的過ぎると思われるわけなんだが」
「これだから童貞は困るな〜」
年頃の男子と誤魔化したのに、直接言うな。
「そんなこと、問題ないでしょ」
「何か策があるのか?」
この哀れな猿に叡智を授けてくれ。
「目の前に、股おっぴろげてパンツ丸出しの美少女がいるんだから、それをおかずに抜いてスッキリしてから向かえばいいんじゃない?」
与えられたのは、叡智ではなく、頭の悪いエッチな提案だった。