嫌な予感
「ごめんな家まで送ってくれて。」
ギプスで左腕を固めた帝夢がみんなにお礼を言う。
「ゆっくりしてくださいね。お疲れ様です!」
チームのみんなが白煙を上げて帰って行く。
…ガチャ
左腕を庇いながらドアを開けると、
「何しとんじゃーーーー!!」
「ゲッ!鬼婆!!」
「…なんだって?美しいお姫様って言ったか?」
顔をピクつかせながら母は言った。
「右腕もバキバキにしてやろうか?」
指を鳴らしながら近寄ってくる鬼に帝夢は、
「ご勘弁を〜」
土下座して許しを乞うた。
「夕飯あるから食べなよ。」
「お、おう。」
いつもの夜飯、いつも通り、それが幸せ、、、だったはずが帝夢の頭の中はあの少女の事でいっぱいになっていた。
「かーちゃんごめん、帰ってからまた飯食うから置いといて!」
徐ろに箸を置き玄関に走り出す帝夢
「そんな身体でどこいくんだい!?」
慌てて追いかけてくる母
「いつも美味しいめし作ってくれてありがとな!」
そう言って単車に跨り走り出す帝夢
「ちょっ!ちょっと待ちなさい!」
「クソ坊主ー!」
そう言いながら薄っすら涙を浮かべて微笑む母、、
「チェッ!左手が思うように使えねえ。」
いつもは滑らかなギアチェンジも骨折した左腕のせいで上手くいかず思ったよりスピードが出せない。
15分ぐらい走りあと一つ角を曲がれば少女がいた場所に着く。
「頼むからいないでくれよ。」
、、、嫌な予感は的中してしまう。
ヘッドライトに照らされた少女の頭からワンピースと同じ色の真っ赤な血が大量に流れていた。
急いで駆け寄り少女を抱き抱え
「おいっ!大丈夫か?おいっ!起きろっ!」
今まで出た事のない量の汗が特攻服に染み込んでいく。
慌てて寄り添う事しかできない帝夢
「こ、、の、、、ぬい、、ぐるみ。お兄ちゃんにあげるね。舞華のたい、、せつな宝物なの。」
か細い声で少女はクマのぬいぐるみを帝夢に渡した。
「喋らなくていい!今救急車がくるから!両親の為にも生きるんだ!!」
帝夢は堪えきれず涙を流す、、、
一粒の涙がクマのぬいぐるみに染み込んだ時、
バリン、パリンパリン
単車のヘッドライトが割れ周りの照明も次々と消えていった。
「何が起こっているんだ?」
帝夢が驚いてると、地面から煌々と輝く魔法陣が現れる。
「おいおい、なんだこれ?」
少女の身体が半透明になっていき消えてしまった。
「どうなってんだこれ?人は死ぬと消えちまうのか?」
パニック状態の帝夢はふと左腕を見るとギプスが半透明になっていることに気付く。
「やばいやばい俺も消えちまう。」
慌てる帝夢は跡形もなく消えてしまいその場に残されたのは単車と少女の血痕だけだった。