第3話 『アポロンとアルテミス』
〜前回の仮面ライダーラグナロクは〜
軍神テュールとの戦いに一度目は滅多打ちにされたラグナロクはクラスメイトの氷室希愛が投げ渡したヘルメースの力で見事に勝利を手に入れた。
戦いのあと氷室から着いてきてほしいと言われ案内された場所は自分達が通う玉帝学園の理事長室。なんとそこから善神組織イザナギに転移出来る事と等が判明。そして、そこで氷室以外のメンバーに出会うのだが、。
「うちの組織では君の存在は非常に危険視されるものなんだよ」
「危険視?何故ですか?」
「氷室から聞いたんだけど君、神話に詳しいんだろ?じゃあラグナロクとは一体何なのかぐらい知ってるよね?」
「はい、ラグナロクとは北欧神話の世界における終末の日のことで、多くの神が死んだ現象のことですよね」
「そう、そうなんだよ。ラグナロクは多くの神が亡くなった現象。そのためラグナロクの力は我々善神からは非常に嫌悪される力なんだ」
(なるほど、だが鳴上先輩は俺を恐怖の目では見ていない。つまり俺の存在を嫌悪しているのは、)
「俺を危険視してるのは、上層部ですか?」
「ああ、その通りだよ。察しがいいね。でも俺は君を仲間だと思ってる」
「俺は違うがな」
鳴上の言葉に重ねるように隣にいた涼風は言った。
「俺はお前を仲間だとは思わない、俺はお前を邪神として見ている」
「こら颯!やめなさい・・」
「・・・すいません」
鳴上は涼風の強すぎる態度に対し注意をした。すると涼風は直ぐに謝った。彼の様子を見るかぎり涼風は鳴上の言葉には素直に受け入れるようだ。よく言えば先輩にはちゃんと敬意を払うタイプ、悪い言い方をすれば鳴上に依存しているようだった。
「とりあえず俺はコイツが来たことを上に報告して来ます」
「ああ頼むよ。・・すまないね黒瀬くん、颯は少し真面目すぎるとこがあってね」
鳴上は黒瀬に対して頭を下げて謝った。
「いや先輩が謝る必要はないですよ。それに気にしてませんし」
「ありがとうね黒瀬くん。出来ればこれからも颯とは仲良くしてくれればありがたい」
「まあ、可能であれば、」
(多分向こうは俺とは仲良くしようとは思ってないだろうけどな。俺はそもそも人とは仲良くできるようなタイプじゃないし。炎堂と姐さんが居るからどうにかなってただけだしな)
「そう言えば黒瀬くん聞きたかったんだけど。ヘルメースのほうは役に立ってくれたかな?」
「もしかして、このヘルメースって鳴上先輩のですか?」
「ああ俺から氷室に頼んで届けてもらったんだ」
「そうだったんですか、ならお返しします」
黒瀬は迅速之宝珠を鳴上に渡すとその手を自分の方に戻された。
「先輩?」
「これは君が持っていてくれ。悪いが俺はまだこの力を使えないんだ」
「使えない?それはなぜ、」
「説明はしたいんだけど今日はもう遅いからその事については帰りながら氷室に聞いてくれるかい?」
時間を確認すると時計の針は21時を回っていた。すると後ろから氷室に肩を叩かれた。
「私が連れて来ておきながらアレだけど、早く帰ろう?」
「ああ、そうだな」
「それじゃあ鳴上先輩、お疲れ様でした」
「おつかれ氷室。黒瀬くんをちゃんと家まで送ってくれよ」
氷室は「分かってますよ」と言って二人で部屋を出た。そんな氷室の背中を見て鳴上は、「氷室、少し性格が丸くなったかなあ」と呟いた。
☆ ☆ ☆
「なあ氷室、行きは理事長室からだったけど、帰りはどこから出るんだ?」
「帰りはコッチにあるアメニティホールからなの。前はさっきの部屋にあったんだけど実験とかしてる時に爆発で壊れたことがあったから移動したんだって。ちなみに外にある丘の上に出るよ」
「丘って、あの校庭にある丘にか?」
「そう。じゃあココに手を翳してくれる?」
「ああ」
手を翳すと再び床に青銀色の魔法陣のようなものが展開した。氷室が言っていた通り校庭にある丘の上に出たあと昨日のように俺たちは二人で帰った。
「なあ氷室、さっき先輩が言ってたまだ力が使えないってどういう意味だ?」
「私たちイザナギの人間はね、代々自分の家の神の力を受け継いでいるんだけど、その力を受け継ぐには、ある程度の実力を必要とするの。だからその為の修行をしっかり行って試験に合格すればメインの力を継承出来て、自分の家にある宝珠は全て当主、つまり受け継いだ者が好きなように使えるの。黒瀬くんはもはや例外」
黒瀬は氷室からの説明を受けて察した。鳴上が黒瀬を受け入れてくれたのは、純粋に敵だと思っていないのもあるのだろうがおそらく今の自分はまだ戦えないから代わりに戦って欲しくて自分にヘルメースを預けたのだろうと。その後も氷室としばらく話している中で黒瀬はある疑問が浮かんだ。
「…てか氷室。一つ良いか?」
「どうしたの?」
「お前、イザナギの人間ってことは玉帝学園のことよく知っているはずだよな?」
氷室は頷いた。
「なんで鳴上先輩や涼風みたいに最初から学園に在籍してなかったんだ?」
「ああ、確かに疑問に思うよね。私も最初から学園には通おうと思っていたんだけど、お母さんが許してくれなくてね。ある程度の実力を付けてから高校生活を楽しみなさいって言われたんだ」
「そうか、大変だったんだな」
同情するかのように言うと氷室は首を横に振った。
「ううん。今思うと良かったなって思うんだ。だってお陰でコレからは黒瀬くんの戦いのサポートが出来るんだから」
そう氷室は笑顔を見せながら言った。
「そうか、ありがとな」
昨日の分かれ道に着いたので俺は氷室に「じゃあな」と言って家に帰ろうとすると後ろから声をかけられた。
「あ、黒瀬くんちょっと待って。渡しとかなきゃいけない物があるの」
なにを渡されるのかと思えば俺は左手を掴まれ薬指に指輪をはめられた。
「指輪?」
「操力之指輪。神力の操作がドライバー無しの状態でも扱いやすくなるの」
「なるほど、それは便利だな。ありがとう」
「いやいや、これは決まり事だから。わざわざお礼を言われるようなことじゃないよ。使うときは利き手の中指に移し替えると使いやすいからね。それじゃあまた明日、学校で」
「ああ、帰り気をつけろよ」
黒瀬は一応氷室が見えなくなるまでその場に残った。背中が見えなくなったのでその場に隠れてたヴァルハラの名を呼んだ。
「ヴァルハラいるんだろ?ホール開くから早く帰ろうぜ」
「やれやれ、転移之渦を下校のために使うとはな」
「夜遅いし良いだろこれぐらい。許せよそれは」
黒瀬はブロードで一気に家まで帰ると母に遅かったわねと言われたので炎堂や先輩がたと図書室で勉強してたと言い訳をすると母が泣きながら喜んだため黒瀬は少々良心を痛めながら眠りに入った。
☆ ☆ ☆
〜次の日〜
「なあなあ三人とも知っているか?」
「どうしたの、まあ何となく察せるけど、」
炎堂の言葉に水崎は分かりきった顔で返事をした。
「何かあったの?」
「なんだ氷室知らないのか?昨日また出たんだよ仮面の戦士が」
黒瀬と氷室は軽く視線を合わせた。当然お互い何を考えているのかは分かっていた。2時間目の授業が終わり次は化学なので化学室に移動をしていた。
「はあ〜次は化学かあ。あの先生の授業は眠くなるんだよなあ」
「炎堂いっつも頭フラフラしてるもんね」
「水崎が毎回脇腹にシャーペンを刺して起こしてるよな」
いつも通りの三人と今では氷室も入れた四人で移動をしているとヴァルハラが耳元で囁いて来た。
「黒瀬廻、邪神が現れたぞ。北東に5km先の場所だ」
「!? 氷室、先生には言い訳しといてくれるか?」
小さな声で氷室に言うと、
「遅れて来ても大丈夫だよ。私の力で上手いこと誤魔化せるから」
「そうか、助かる。じゃあ行ってくる」
「いってらっしゃい、気をつけて」
「ああ」
黒瀬は昨日と同じく屋上に行った。
“宿命之帯、ラグナロク”
「変身」
“仮面ライダーラグナロク”
「よし、。北東5kmってイメージ出来なくね。何があるんだ?」
「…バイクで移動すれば良かろう。ボルテックスを展開しろ」
言われた通りボルテックスを展開するとバイクが出て来た。
「八咫烏、なのか?」
バイクは八咫烏をモチーフにしたような形状をしており、メインカラーは当然のように黒色。名は不落ノ八咫烏
屋上から開いた状態のボルテックスを潜り道路に出たラグナロクはそのまま北東に向かって走り出した。
ラグナロクが移動しているなか、すでに現場ではイカロスが暴れていた。
「ははは、ラグナロクはまだ来ないのかなあ」
イカロスの見た目は青年のような容姿に顔の左側は面で隠されている。背中には翼を生やしていた。武器としては芭蕉扇のような団扇形状の武器を持っている。
「来ないならもう少し建物とか壊しちゃうよ〜、って、ワァ!?」
もう一度、芭蕉扇で建物を破壊しようとしたイカロスの背中をラグナロクが不落ノ八咫烏で体当たりした。ラグナロクはその場にバイクを停め、イカロスに言い放った。
「お前は誰だ?翼の生えた神なんて何人も居るから分からねぇんだよな」
バイクで跳ねられたイカロスはゆっくりと立ち上がった。
「僕はイカロス。ファフニール様から直々に命令を受けて君を潰しに来たんだよ」
(ファフニールからの命令ってことはゾロアスター内でのファフニールは幹部レベルの強さと権力を持っているってことか)
「そうか。潰せるもんならやってみろ」
ラグナロクは一気にイカロスの間合いに入り斬り込もうとした。しかし
「僕に近づこうとしても無駄だよ」
「うお?」
ラグナロクは元の位置に戻されていた。
「は?」
「ははは、ビックリした?これは俺の固有能力だよ」
「・・・」
(体感した感じ無理やり俺を元いた場所に転送したのか?それは間違いないのだろうが、移す場所は自由なのか?それを確かめる必要があるな)
ラグナロクは相手の能力の限界を探るために走り出す位置を変えようと思い十歩ほど左に歩いた。
(もしコイツが元いた場所にしか戻せないなら、)
「ハア!」
「だから無駄だよ。俺に攻撃は届かない」
ラグナロクは再び風を吹かれると移動した箇所に戻されていた。
(さっき移動した場所、じゃあやっぱりイカロスの吹かす風は対象がスタートした位置に強制送還する能力)
「地味に厄介だな。スピードで撹乱してみるか」
ラグナロクはヘルメースを出した。
“ヘルメース”“WITH hermes”
「へえ〜ヘルメースの力を使えるんだ〜」
「借り物だけどな」
ラグナロクはヘルメースフォームに変身し、イカロスの周りを縦横無尽に走りまわりながら近づいていった。
(万が一、全体に風を吹かれてもヘルメースのスピードなら対応出来るはず)
そう考えていたラグナロクのもとにイカロスは予想通り円状に風を放った。はずだったがイカロスのとった行動はラグナロクの予想を上まっていた。なんと一周するだけでなく上の方にも風を放ったのだ。
「えーーーい!」
「な!?」
(上の方にも風を⁉︎対応しきれない‼︎)
「ウッ!」
ラグナロクは大きな竜巻に巻き込まれてた勢いで壁に打ち付けられそのまま下に落ちた。
「しかも今度は転送させない普通の風かよ」
「そうだよー。俺は二つの風を起こせるんだ。それにしてもしぶといねー。俺もう面倒くさくなってきたからー・・・。良い加減くたばってくれない?」
「っ!?」
(イカロスのやつ本気で俺を殺しに来てるのは間違いないんだが前のテュールとは違って
コイツは遊び感覚で殺しに来てるな)
「一番危険な種類タイプだな」
(どうする?いま俺に使える武器は剣のみ。あとは近接格闘。飛び道具があれば、いや奴の風で防がれるだけか)
「考えごととか随分と余裕があるね」
「ハッ!?」
気がついた時にはイカロスはラグナロクの間合いにおり芭蕉扇をラグナロクの首元に持ってきていた。だがイカロスは首元にチラつかせるだけでそこから動かさなかった。
「・・・どういうつもりだ?斬らないのか?」
「以外にもしぶといからさ、もう少し遊びたくなった。それにキミ結構考えるタイプみたいだから次は俺を斃す対策を見つけてから来てよ。じゃあね」
イカロスはそう言い残し風を自身に巻きつけて消えた。
「斃して欲しいのかお前は、」
ラグナロクはゆっくり立ち上がりながら変身を解除した。
「読めねぇ奴だな」
「イカロスは若いからな。多少まだ無邪気なところが残っているな」
「まあ確かに。とりあえず考える時間を貰えたのは有難い。情けをかけられたみたいでイラつくけど」
「ところで黒瀬廻、授業はよいのか?」
「…あっ、まあ氷室がどうにかしてくれるらしいし、」
黒瀬は風で飛ばされた不落ノ八咫烏を出して学校に向かった。
「ハァハァハァ、やっぱもう始まってるよな。まずは帰ってきたことを伝えなきゃか」
黒瀬は小さく転移之渦を開き後ろから氷室の肩を叩いた。気づいた氷室は自身の家の力、氷の力を使った。聞いた話によれば、氷を使った一部の記憶阻害を行うらしい。つまり今のうちにブロードで後ろから教室に入ってしまえば良いという訳だ。
「助かった氷室」
「これぐらい大丈夫だよ。あとでノート見せるね」
「ありがとう」
その後、四時間目が終わり昼休みになったら四人でお昼を済ませると炎堂と水崎は担任に呼ばれ黒瀬と氷室は二人きりになった。なので俺たちは先ほどのイカロス戦の話を廊下でしていた。
「それで相手は誰だったの?」
「イカロスだ。能力は風、武器として芭蕉扇を持ってたな」
「風か。対策はあるの?」
「いま思いついたものとしては、とりあえず飛び道具が欲しいな。また防がれる可能性は高いけど、飛ばすものが重ければアイツの風を突破することが出来るかもしれない、と思ったけど、どうだろうなあ」
どうしたものかと頭を抱えていると氷室が、
「黒瀬くん、多分なんだけど私の家に飛び道具になるものがあったかもなんだけど探して来ようか?」
「本当か?ぜひお願いしたいな」
「じゃあ学校終わったら探して来る。それまで耐えて」
「お、おお」
☆ ☆ ☆
放課後になると部活が始まるのだが、氷室は顧問に家庭の事情で帰りますと言って自分の家に帰って行った。なので今は三人で練習をしている。
「あれ、氷室はいないのか?」
「家の事情で今日は帰ったみたいよ」
「まあ、別に体調不良とかじゃないんだし気にしなくて良いだろ」
(俺がお願いしたからなんだけどな。あとで茶菓子でも送るか)
「じゃあ今日は少し寂しいけど練習始めるか」
「そうだね。私と炎堂のペアで黒瀬をボコボコにしようか」
「おいおい、」
一瞬冗談かと思ったのだがあまりにも水崎の眼が本気だったのでツッコもうとしたが、
「まあレシーブ力は上がるかもだし良いか」
「私その黒瀬の素直さは好きだよ」
「そりゃどーも」
「よーし、じゃあ俺から打つぞー!」
そこから二時間シャトルを打ちまくり部活を終えた。時計の針は19時を回っていた。
「氷室のやつまだかな。もしかして見つからないのか?」
俺はとりあえずイカロスがどこから現れるのかも分からないので人気のない所まで移動した。どこに行こうかは迷ったが昨日と同じ場所にした。
「ここなら人通りは少ないし大丈夫だな」
黒瀬は自分が居る場所を氷室に報告しとこうとしたその時、
「うぇ〜〜い!」
「!? 危なっ!」
イカロスが突然後ろから奇襲を仕掛けてきたのを察知し黒瀬はギリギリのところでそれを避けた。
「奇襲とはセコイことしてくれるな」
「君なら避けると思ってたしね。どう?俺を斃す算段はついたかい?」
「ついた、と言いたいとこだが生憎その切り札がまだ到着していないんだ。最初は少し遊ぼうか」
“ラグナロク、ローディング”
「まあ良いけど。それはそれで楽しそうだし」
「どうも。…変身」
“仮面ライダーラグナロク”
「俺の風、突破出来るものならしてみな」
「やってやるよ」
魔剣を片手にラグナロクは突撃した。イカロスはそれを見てすぐさま風を放った。ラグナロクは強制送還されぬように避けながら近づいて行った。当然だが風は眼で確認は出来ない。これはラグナロクが自身の感覚を研ぎ澄ませて避けているのだ。当然イカロスは今まで無かった出来事が目の前で起きているため焦りを見せた。
「ハアァァァァ(怒)!!なんで避けれんだよォ!!」
「さあ何故だろうな」
(感覚を研ぎ澄ませているとは言ったが、仕掛けは至って単純だ。イカロスは神とはいえ神の部類の中では幼い、見た目が。だから動きも単純。風の大きさは横幅約3m縦は不明。つまりアイツが芭蕉扇を振ったら横に4mほど動けば良い。今の俺はただ時間を稼げば良い)
「くっ、」
(とは言ったものの避け続けるのはさすがにキツイ)
「・・・動きが鈍くなって来てるね。もう限界?」
「いーや、まだまだ余裕だよ。なんならもっと早く振って貰っても良いぐらいだ」
(出来る限りイカロスをココに留める。氷室が切り札を見つけるまで、)
「ふーん、じゃあこれでも喰らいな!」
(ここに来て横に広範囲の風か!)
“ヘルメース”
ラグナロクはヘルメースのスピードで高速で安全地帯に避けた。
「そういえばヘルメースが使えたんだったね。じゃあ昼頃にやったやつは避けれる?」
「っ、クソが、」
ラグナロクはあの広範囲の竜巻をぶつけると宣告されると無意味ながらも剣を構え直した。すると後ろから氷室の声が聞こえた。
「黒瀬くん!コレを!」
「氷室か!」
ラグナロクは投げ渡された宝珠を受け取るとすぐに起動した。
“アポロン、ローディング”
「変身」
“The brother-sibling arrow will eventually become the first arrow that pierces everything.
(姉弟の矢はやがて全てを貫く嚆矢となる) “仮面ライダーラグナロク、WITH Apollo”
「なんだよ、その姿は?」
「アポロン、いろんな名を持つ神だが特に有名なので言えば弓だな」
ラグナロクは時空之巻物(ホログラムの巻き物)を展開し弓を出した。
“アルテミス”
「アルテミス、アポロンの双子の姉がこの弓の名前か」
「黒瀬くん、簡単にアポロンの力を顕現させた。やっぱり凄い」
「黒瀬くん、アポロンは家に代々伝わる力だから氷の力が顕現されるの。多分、イカロスの風も貫けると思う」
「ああ、ありがとな」
「俺の風を貫ける?本気で言ってんの?舐められたものだね」
イカロスは己の力を侮辱されたかのように感じたのか、氷室に向かって風の斬撃を三枚ほど放った。
「!?」
ラグナロクはそれに向かって氷の矢を放った。すると風の斬撃は消えた。
「なっ、」
「コレがアポロンとアルテミスの力か、凄いな。氷のおかげで本当にイカロスの風も突破できる」
「ちょ、調子に乗るなよ!」
イカロスは横に広範囲に放った。俺は氷室の前に立ちアルテミスの弓で縦に斬った。それを見てイカロスは顔を青くした。
「なっ、なっ、なんで斬れるんだよおぉぉ」
「次はお前を斬る。避けるなよ?」
「うわあああァァァァ!?!?」
イカロスは恐怖が最大限に達したのか、自身の翼で飛んでいった。
「黒瀬くん!」
「問題ない。すぐに追いかける。不落ノ八咫烏!」
ラグナロクは転移之渦を展開し名を呼ぶとバイクが現れた。
「氷室は此処にいろ!すぐに斃してくる」
☆ ☆ ☆
「くっ、まさか、俺の風を斬られるなんて、」
(とりあえず今は一時退さん、。ハッ!?)
「危なっ!」
イカロスが後ろを振り返るとラグナロクがバイクに乗りながら弓で氷の矢を撃って来た。
「チッ、避けたか」
「しつこいなあァァー!!吹っ飛べよ!」
イカロスが無作為に弾丸のような風を打ち続けてきたのでラグナロクは左右に避けながら前に進み続けた。
「これ以上空に居られると面倒だな。悪いが地上に降りてもらう」
ラグナロクは弓をイカロスの翼にロックオンした。
「堕ちろ」
ほんの一瞬だった。アルテミスの氷の矢がイカロスの翼を両方とも射り落とした。その時イカロスは恐怖で全身を包まれながら墜落した。
「ああ、ああ、嫌だ嫌だ」
「恐怖で埋め尽くされたか」
ラグナロクはその場にバイクを停めて降り、弓を構えた。
「これで終わりだ。イカロス」
「嫌だ、やめてくれ、」
「安心しろ。一瞬で楽にしてやる」
ラグナロクはそう言いながらアポロンチャームをアルテミスに装填した。
“導軌ノ刻”
「・・・ァァアア、くたばれェェェ‼︎」
イカロスは最期の抵抗のつもりなのか横に高密度の神力をこめた斬撃をだした。それをラグナロクは更に高密度の神力を纏ったアルテミスで難なく斬り裂いた。そしてラグナロクは一気に近づきほぼ0距離の状態で弦を素早く引いた。
「華々しく、散れ」
“冰矢ノ聖刃”
「うあアアァァァァ‼︎」
ラグナロクは目の前で爆散したイカロスを見つめながら呟いた。
「安らかに眠れ…」
ラグナロクが変身を解除するといつも通りどこからかヴァルハラがやって来た。
「なかなかに容赦のない殺り方じゃったな」
「ヴァルハラか。別にこれぐらい普通だろ。そもそも俺が本気で倒しに行かなきゃ返り討ちにされてた」
「我が言った容赦の無いはそういう意味ではない。お前はやけに神話に詳しい。だから知っていたのだろ、イカロスがかつてはどのように死んだのか」
「…まあな」
黒瀬はそう答えながらバイクに跨り氷室のとこまで戻った。
☆ ☆ ☆
「お帰り黒瀬くん。大丈夫?顔色悪いけど、」
氷室は俺の顔を見ながら心配そうに声をかけた。
「ああ大丈夫だ、さすがに少し疲れたのかもな」
わざとらしく右肩を押さえながら黒瀬は腕をグルグル回した。
「そっか、ごめんね。私たちまだ先代から認められてないから戦えなくて、。でも私、もうそろそろ合格が降りるかもなんだ。だから待ってて」
氷室は自信満々に右手の拳を握りながら言った。
「そうか、楽しみにしてるよ」
「うん。あ、黒瀬くん。この後学園に行って報告しなきゃなんだけど来れる?」
「ああ行こうか、てか鳴上先輩たちまだ学園に居るのか?」
黒瀬は少し驚きながら訊く。
「まあ何時まで残ってようが関係ないからね。そういう家だし」
「成る程な。なあ氷室、ブロードを開くのをお願いして良いか?」
「疲れてるもんね。いいよ」
氷室に学園内の理事長室前まで転移之渦を展開してもらい俺たちはそのままイザナギのメインホールまで移動した。中に入ると先輩が出迎えてくれた。
「黒瀬くんお疲れ様。疲れてるところすまないね」
「いえお気になさらず。先輩こそ疲れてるように見えるんですけど休んでますか?」
黒瀬は鳴上の目の下にある隈を見て心配そうに質問した。
「ははは、これはいつものことだよ。それはさて置き、黒瀬くん報告を頼めるかな?」
鳴上に席に座ることを勧められ椅子に腰を下ろすと氷室が人数分のお茶を持って来てくれたので一旦一息ついてから報告を始めた。
「相手はイカロスでした。芭蕉扇のようなものを使い風を引き起こしました。風には2種類有り、相手を元の位置に強制送還させるものと単純に吹き飛ばすものとして使うものです」
「成る程ね。それでどうやって斃したんだい?」
このあと黒瀬が発した言葉で二人は一瞬黙ってしまった。それもそうだろう。さっきヴァルハラが言っていたように黒瀬は容赦の無い、慈悲の無いような斃し方をしたのだから。
「翼を、アイツの翼を矢で射り落としました」
「そうか、君はそれが最善と判断したんだね?」
「やらなければアイツはあのまま逃げ切っていました。なので致し方なく、」
「分かった。報告書は俺が打ち込んでおくから今日は帰っていいよ」
鳴上は笑顔を崩さずパソコンを持ってどこかの部屋に向かった。その場で二人きりになると氷室が両手にお茶を持ちながら、。
「射り落としたって、本当?」
「ああ」
「さぞかし怖かっただろうね。イカロスは。ただでさえそういう死に方だったのだもの」
「そうだな」
(イカロスはギリシア神話に登場する人物の1人。蜜蝋で固めた翼によって自由自在に飛翔する能力を得るが、太陽に接近し過ぎたことで蝋が溶けて翼がなくなり、墜落して死を迎えた。
俺はそのことを知っていた。アイツの翼を落とせば簡単に倒せると思ったから。その時のことを思い出して動けなくなると思ったから。案の定アイツは恐怖で埋め尽くされ簡単に斃せた。でも、)
「倒すためとはいえ、さすがにやりすぎたよな。わるい」
「謝る必要はないよ。どんなやり方だったにしても黒瀬くんの行動は多くの人を救うことになるんだから。それで良いんじゃないかな」
「・・・そっか、ありがとな。なんか楽になった。あ、アポロンのやつ助かった。忘れないうちに返しておくよ」
冰矢之宝珠を氷室の前に出すと前回の鳴上と同じことを言われた。
「私が無事にライダーになれたらその時に返してもらうから、それまでは黒瀬くんが使ってて」
「そうか、分かった」
その後はゆっくりとお茶を飲み氷室に転移之渦で家に送ってもらった。
「家まで送ってくれてありがとな」
「これぐらい大丈夫。夜はゆっくり休んでね。おやすみ」
「おやすみ。気をつけてな」
黒瀬は氷室を見送ってから家に入った。
「あら?廻くんおかえり。今日も図書館に寄って来たの?」
「ああ。遅くなってゴメン」
「気にしなくていいのよ。私は廻くんが友達と遊んでくれるようになってくれて嬉しいの。あ、でも友達はちゃんと選んでね。夜遊びはダメだからね」
「分かってるよ。風呂行ってくる」
着替えを取りに2階に行くと後ろから「夕飯用意しとくねー」と聞こえたので軽く返事をして直ぐ風呂に入り母が用意してくれた夕飯を食べて部屋に向かった。
「廻くん、おやすみ」
「おやすみ、母さん」
母が部屋に入るのを見てから黒瀬は自分の部屋に入った。やはり疲れ切っていたのか直ぐにベッドに倒れて秒で眠ってしまった。それを見たヴァルハラは呆れながら布団を掛けようとするがあまりにも大きいので無理だった。
「うーむ。しょうがない」
するとヴァルハラは自分の身体を女性の容姿に変えた。
「これなら余裕じゃな。さて、ゆっくりと休め」
ヴァルハラは黒瀬に布団を掛けて自分は椅子に腰を下ろしてその場で寝た。明日の朝、黒瀬が起きたらどうなるかも知らずに・・・。
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【仮面ライダーラグナロクに関する現在公開可能な情報】
『冰矢之宝珠』
身長200㎝ 体重98㎏ パンチ力12t キック力38t ジャンプ力35m(ひとっ飛び)走力3.5秒(100m)
必殺技 冰矢ノ聖刃
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次回予告
次の日の朝、黒瀬が目を覚ますと自分の部屋の椅子に見慣れぬ女性が寝ていた。なんとその正体はヴァルハラ!?黒瀬はどう対処するのか?そんななか炎堂から遊びに行こうと連絡が、この4人の休日回をお楽しみに!
第4話:父と娘
仮面ライダーラグナロクの第3話を読んで頂きありがとうございます。柊叶です。さて今回はラグナロクに属性が付与されるフォームの登場でしたがいかがでしたか?これまで仮面ライダーというのは相手を斃す為に色んなやり方が登場してきましたが、ラグナロクは相手のトラウマを呼び起こすという策を取りました。個人的には今までにない仮面ライダーを作りたいという意志があるので、暖かく見守ってください。次は4話でお会いしましょう。
柊 叶




