第26話 『災厄の大三角形』
~前回の仮面ライダーラグナロクは~
玉帝学園と応龍学園で卒業式が行われたその日、突如として3箇所にファフニールを除く3人の幹部が現れた。最初は戦いを優位に進めていたイザナギも幹部の前には苦戦を強いられ氷室、炎堂、水崎の3人が一時的な戦線離脱を余儀なくされた…。
氷室は自身の毒に苦しんでいたときの記憶に魘されている。
「はぁ、はぁ、はぁ、」
頭の中に誰かの声が聴こえてくる。
「……あ……のあ……希愛!!」
その声が氷室の深層意識の中に眠る氷室に届き目を覚ます。
「はっ!?」
目を覚ますとそこには水崎、そしてその隣には炎堂が居た。
「しず……く…?えんどう、くん?」
「目が覚めたみたいだな、水でも飲むか?」
炎堂は円卓にあるペットボトルを取りに行く、その間に水崎は氷室の背中に手を回して身体を起こす。
「なんで私はここに?確かキルケーと戦ってて…」
「灰熊から受け取った情報だと毒にやられたみたい」
氷室は頭を抑えながら「そういえば、」と呟く。
「…って、戦いはどうなったの!?」
「キルケーの所には朝日奈さんが行って、俺たちの所には草壁さんが来てくれたんだ。今は体力と神力の回復に専念しろってよ」
「自分たちでもヤバくなったらちゃんと連絡するって言われたの」
「そっか、そう言えばゾロアスターの狙いとかって何か分かったりはしたの?私はキルケーには何度か問い詰めたんだけど、何かとはぐらかされて、」
「私と炎堂のところも一緒、ビアーに何度も今回の騒動の理由を訊いたけどなんにも答えてくれなかった」
「俺たちの所が手掛かり0となると、あとは黒瀬たちの所のヴリトラって奴から何か情報が得れてないか懸けるしかないな」
そのときメインホールの中に転移之渦が開く。それは今朝みたものと同じ、そうラグナロクのだった。
「「黒瀬!!」」
「くろせ…くん…?」
ホールに入って来たのは黒瀬と永倉だった。
「ヴリトラとの戦いが終わったんでな、その報告に来た」
「ヴリトラに勝ったの!?」
水崎は思わず黒瀬に近づく、勢いがありすぎた為か黒瀬との顔の距離が近いのに遅れて気が付き水崎はさっきよりも更に勢いよく後ずさる。
「勝ってはいない、また引き分けただけだ」
「幹部と引き分けるのもスゲエけどな。あ、そうだ黒瀬、ヴリトラから何か情報は得てないか?なんか今回の騒動に関することとかさ」
「関係があるかは分からないが、ヴリトラは去り際に”俺のやるべきことは済んだ”と言っていたな」
「やるべきこと、黒瀬くんは、もうそれが分かっていたりするの?」
「分からん、いくらなんでも手掛かりが少なすぎる。だから俺たちは今からビアーのもとに向かう、あいつのほうがキルケーよりも話は通じそうだからな」
そう言い残すと黒瀬と永倉はメインホールから出て行った。
「相変わらず言うだけいって直ぐに帰るわね」
「黒瀬っぽいよな」
☆ ☆ ☆
「涼風、まだ戦えるか?」
「正直、きついです」
「だよな、お前もここは一旦退きなさい」
「でも、朝日奈さんといえど1人は危険だと思いますけど、」
「問題ない、援軍が来ているからな」
ルドラは後ろを振り向くとそこには黒瀬が自分たちのもとに歩いてきている姿があった。
「くろせ、ヴリトラはどうした?」
「俺と戦って満足したからか帰って行ったぞ。ここは任せろ、猛毒之宝珠を貸してくれるか?」
「ああ、わかった。頼むぞ」
ルドラは風の転移之渦を開いて一時退散する。
「まさか君が俺と戦ってくれるなんてな」
「イザナギと協力するのは今回だけだ、あんたらのもとに戻るわけじゃない」
「そうか、まあ君をそこまで追い込んだのは俺が原因でもあるし、無理に戻れとは言わないさ」
黒瀬は「ふん」と少々機嫌を損ねながら変身する。
「変身」
”仮面ライダーラグナロクWITHバニッシュ”
「奴の鞭は俺がどうにかする、あんたはその隙にキルケーにトドメを刺せ」
「短期決戦で行くってことか、確かに奴らの狙いも探らないとだしな」
ラグナロクは禍々しく棘の生えた触手をキルケーに放つ、その触手はキルケーの振るう鞭を完全に縛り捕らえる。
「今だ!行け!」
アラマズドはトリアイナを使ってキルケーの放ってくる光弾を振り落として行く。
「この世に光を灯すのは、俺だ」
”導軌ノ刻、光輝ノ聖刃”
光の一閃をキルケーに向かって放つ、キルケーは後ろに吹っ飛ばされ壁にぶつかる。
「よし」
2人はキルケーの所に近づく。その場に倒れているキルケーは笑いながら2人を迎える。
「お前らやるな~」
「随分と余裕だな、これから殺されると言うのに」
”ヒュドラ、祓魔ノ刻”
「毒により溶解て死にたくなければ全てを話せ、今回のお前たちの目的はなんだ?今この場に毒を移せる者はいないぞ、移せたとしても俺のバニッシュの力を使えば直ぐに消せるからな」
「だから此処には君が援軍に来たという訳か」
ラグナロクの揃えた条件を前にキルケーは完全にお手上げという様子を見せた。
「まあもう基盤は完成したからな、もう話しても問題はないだろう、我々の今回の目的はな…」
☆ ☆ ☆
「まさかあんたが私の所に援軍に来てくれるとは思わなかったわ…」
「なにを今さら、それを言うなら来たときに言いなよ」
ヨルズのもとにはエレボスが援軍に行っていた。
「助けに来てくれたのは有り難いけど、これ以上戦うのはお互いキツイわよね」
「まあ、それはそう、」
エレボスの神力と体力は理由は不明だが黒瀬の力で回復はした、だがすでに厳しい戦いをついさっきまで行っていたという精神面での疲労までは回復はできなかった。
「ここは一旦退きましょう、結界を張るのお願いできるかしら?」
「たく、しょうがないな、君を助けに行けって廻からお願いされてるし」
エレボスは固有能力”深淵暗底”を発動する。この能力はその名の通りブラックホールを形成することが出来る。対象を飲み込んだあとは爆散することで対象を斃す。
「幹部ともなれば斃せるかは分からない、だがこの間に結界を確実に張ることはできる」
エレボスは黒鎌アダマスを地面に突き刺しそこを中心に闇色の魔法陣が展開される。この結界により一般人はエレボスの神力により邪神から攻撃を喰らってもそれ以上の怪我を負うことはない、建造物もそれ以上の崩壊をすることはない。結界を張れたことを確認したエレボスはブラックホールを爆散させる。
「今のうちに退くぞ」
「ええ、ありがとう」
2人は転移之渦を展開して一時退散する。
☆ ☆ ☆
草壁と永倉がイザナギのメインホールに戻るとそこには既に朝日奈と黒瀬も戻っていた。
「廻!!」
永倉は黒瀬に抱き着く、黒瀬は「おかえり」と出迎える。
「黒瀬が…おかえり…?」
「お前、そんなの俺たちにも言ったことないだろ」
「今はそんなことはどうでもいいだろ、全員揃ったぞ黒瀬、早くキルケーから聞いた今回の騒動の目的を教えてくれ」
水崎と炎堂の狼狽える姿を他所に涼風は黒瀬に催促する。黒瀬は壁に寄りかかりながらキルケーから聞きだしたことを話し始める。
「奴らの目的は…」
その場にいる朝日奈以外が息を飲む。
「日本を海の底に沈めることだ」
「「なっ、」」
「「えっ?」」
「噓でしょ?いったいどうやってそんなことを」
草壁は最もな質問をする。
「奴らは俺たちと長時間戦うことで自分を含め俺たちに大量の神力を消費させた、だがその戦場となった舞台の下にはある魔法陣が敷かれていた」
「いったい何の魔法陣が?」
氷室が訊くと朝日奈が「消費した神力を回収する魔法陣だ」と答えた。
「あいつらは回収した神力を一斉に解放することで日本の海の底にあるプレートを破壊するつもりだ」
「えっと…朝日奈さん、プレートを破壊したら日本って沈むんですか?」
「それは…おれ地理得意じゃないからな、黒瀬君はどうだい?」
「はぁ、そもそも日本列島は海底にある4枚のプレートが衝突し、互いにせめぎ合う極めて複雑な境界部に位置している、この活動が日本列島を海面上に維持している理由だ、これをプレートテクニクスという」
黒瀬の説明を聞いて水崎は、
「そうか、逆に言えばそれを破壊されたら、」
「そうだ、日本列島は完全に沈む」
「あー、でもよ、規模は分かんないけど3つ破壊しただけで沈むのか?」
炎堂の問いに黒瀬は1つ質問する。
「幹部が現れた場所、覚えてるか?」
「えっと、どこだっけ?」
案の定、炎堂は忘れていた。だが涼風はちゃんと覚えていた。
「キルケーは千葉県、ヴリトラは宮城県、ビアーは高知県だが、」
「県もそうだが、全員が現れた場所には共通点がある。その戦いの場の周辺はどんな景色があった?」
「……そうか、どの場所も海が見えていた」
「そうだ、千葉には相模トラフ、北米・フィリピン海プレート境界。宮城には日本海溝、北米・太平洋プレート境界。高知には南海トラフ、ユーラシア・フィリピン海プレート境界がある」
「これにより完全に4枚のプレートを壊すことが目的だとキルケーは言っていたな、それに基盤は完成したからとも」
2人から説明を受けると、他の6人は絶望的な顔をしていた、だが草壁が「待って、」と黒瀬に1つ質問をした。
「黒瀬の言う通りプレートを破壊してプレートテクニクスを止めれば日本列島は確かに沈むけど、それはあくまで長期的に見ればよね?」
「それは科学的にはだ、だが奴等は人間じゃない、神だ。その気になれば科学を越える結末を起こすことなんて簡単にできる」
「まあつまり俺らの今やるべき事は基盤を壊すことってことだよな?」
炎堂の問いに黒瀬は「それしかないだろうな」と答える。
「でもいったいどうすれば、魔法陣って壊せるものなの?」
水崎は涼風のほうを見て訊くと、涼風は「不可能ではない、だが問題がある」と答える。
「問題?」
「今回の魔法陣は俺たちが消費した神力が貯蓄されているという、つまり魔法陣を壊せば…」
「そうか、溜め込んでた神力が一気に解放されて…どうなるんだ?」
炎堂の疑問に氷室が答える。
「たぶん、核爆発並みの被害がでると思う」
「マジかよ!!え、どうすんだそれ?」
2年ズは黒瀬のほうを一斉に見る。
「お前たちの力を使ってもどうにもできない、だが、アラマズドやヨルズの力も対抗策の中に入れれば変わるかもな」
黒瀬は自分の目元を指差しながら言う。
「なるほど、そう言えば君の固有能力は絶対攻略とかいうかなりチートじみたやつだったな」
「あんたの天啓未来に言われたくはないけどな」
朝日奈と草壁の2人は黒瀬の前に立つ、黒瀬は2人を見て情報を読み込む。
「なるほど、今回はヨルズの力が役に立ちそうだ」
「何か対策が思いついたの?」
「ああ」
黒瀬は自分のことを見上げる永倉のほうを見て微笑みながら答える。
「その対抗策で我々が勝てる可能性はどれぐらいかな?」
「ヨルズの実力次第だ」
☆ ☆ ☆
「おいファフニール!これはいったいどういう事だ!」
「うるさいぞヴリトラ、何か文句でもあるのか?」
「この国が無くなれば俺はどこでラグナロクと戦えって言うんだ!」
「そんなの知るか、これはアフリマン様のためだ」
「俺を利用したんだな?ラグナロクに更なる神力の解放をさせるために…」
ヴリトラはファフニールに悪態をつきながら出て行く。
「……ビアー、ヴリトラを監視しておけ」
「はいはい」
☆ ☆ ☆
あの後、黒瀬たちはイザナギに「この策ができそうになければ言ってくれ」と言い残して校庭に出て行った。その理由はあまり長時間メインホールに居たくないからだと言う。
「どうだ美土里、黒瀬君の作戦は達成できそうか?」
「正直分からないわ、不可能ではないけど私の神力が保つかどうか」
「だからこそ黒瀬は朝日奈さんを草壁さんとペアにしたんでしょう。草壁さんのサポートに回すために」
「そこのところもちゃんとケアする辺り黒瀬君の能力は本トにチートだよな」
☆ ☆ ☆
黒瀬たちは校庭にある小さな丘の上に座っていた。
「ねえ廻、本当に今回の騒動って廻の力じゃ止められないほどのものだったの?」
「そう言っただろ?」
「確かに幹部3人の相手は大変かもしれないけど、魔法陣の破壊ぐらいならどうにかなると思うんだけど…」
「そうだな。でも俺には、これぐらいしかできないんだよ」
その言葉に永倉はなにか裏の意味があるのではと考えたがその答えは見つからなかった。
~~~
「黒瀬!」
名を呼ぶ声が聴こえたほうに目をやると涼風を始め全員がこっちに来ていた。
「答えは決まったのか?」
「ああ、お前の言ったその作戦でいくことにした。だが俺たちの中でその作戦に1つだけ問題がある」
問題?と訊き返すと涼風は深刻そうな顔で言う。
「俺たちはお前に比べれば明らかに弱い。だが今から強くなろうにもそんな一朝一夕にはいかない、だから、」
「現場に向かう編成を組み直したいってことか?そんなのやってもどうにもならないだろ、実際今度はどこにどの邪神が来るか分からないんだ」
「そう、だよな。すまない」
「だからお前らにこれをやるよ」
黒瀬は時空之巻物を右手の掌に展開する、そこから1つの神具が飛び出てきて6人のもとに届く。
「これは、覚醒之聖堂か」
「それを使えばお前たちも超強化を得ることが出来る。これまでの戦いも幾分かマシにはなるだろ」
「本当にいいのか?てか、これを6人分って、相当な神力を消費したんじゃないのか!?」
「問題ない、2ndまで解放したことで神力の量には余裕があるからな。これで作戦に対する心配はなくなったか?」
「ああ、なんの問題もない。作戦を決行する」
☆ ☆ ☆
高知沖には炎堂と水崎、宮城沖には黒瀬と永倉、房総半島沖には氷室と涼風が向かった。そして朝日奈と草壁は幹部に計画がバレるのを防ぐためにギリギリまでイザナギに居て、事が起き次第適宜その場に向かおうということになった。全員が配置に着いて10数分後、1番最初に邪神が姿を見せたのはキルケーで氷室たちの所に現れた。
「ラグナロクから我々の計画を聞いたうえで来たのか、無駄な努力だな」
「お前らにとっては無駄な努力でも、俺らにとっては何よりも優先すべきことなんだよ。いくぞ氷室、初っ端から全開でな」
”運命之帯、ルドラ・フレイヤ、フォシュターク、ローディング”
2人は黒瀬から受け取った覚醒之聖堂に各々の宝珠を装填する。
「「変身」」
”A sudden gust of wind sweeps away the enemy in just a few seconds.(突如として巻き起こった突風は、ほんの数瞬で敵を薙ぎ払う。)仮面ライダールドラWITHフォシュターク”
“The beautifully blooming snow flowers fascinate and bewilder all.(美しく咲く雪の華は全てを魅了し全てを惑わせる。)仮面ライダーフレイヤWITHフォシュターク”
「そうか、お前たちも超強化を得たのか。いいだろう、さっさと終わらせてこの魔法陣を発動させてやる」
☆ ☆ ☆
「ビアー、今度こそお前を斃す!」
”アドラヌス・ナーイアス、フォシュターク、ローディング”
「「変身」」
”The flames of passion burn vigorously and reduce everything to ashes.(激情の焔火は勢いよく燃え上がり全てを灰にする。)仮面ライダーアドラヌスWITHフォシュターク”
“Any enemy will vanish into nothingness before the raging waves.(如何なる敵も激浪の前では無に等しく消える。)仮面ライダーナーイアスWITHフォシュターク”
「ほう、これは少し気になりますね。その力で私に決定打を打つことはできますかね?」
☆ ☆ ☆
「遅かったな、ヴリトラ」
「少し気分の悪くなることがあってな、だからお前との戦いで発散させて貰うぞ」
「僕も居ることを忘れてもらっちゃ困るよ」
黒瀬の隣には当然だが永倉も居る。
「まあいい、今回ばかりはエレボスも相手をしてやる」
”ラグナロク・エレボス、ローディング”
「「変身」」
”仮面ライダーラグナロク・エレボス”
3つの場所で戦いが起こる。そして1番最初に事が起きたのはキルケーの所だった。
「これが仮面ライダーの超強化か、なかなかやるな。俺の調教の貯蓄も不可能に、いやそれは属性の相性か」
「正解、黒瀬くんがそこは上手いこと割り振ってくれたからね」
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「俺が考え付いた策だが、やるべきことは単純だ。まず、わざと魔法陣を発動させる」
「そ、そんなことをしても大丈夫なの!?」
当たり前だが氷室を始めイザナギは驚きの声を上げる。
「こうする理由は俺たちの神力を使わせなければ、後々また別のことに利用される可能性があるからだ」
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「黒瀬くんはまた私が調教下に置かれる可能性を考えて私たちに覚醒之聖堂をくれた。超強化により私たちの冰と風の神法は力を増した」
「これによりお前の調教の力が身体に触れようとも凍結するか吹き飛ばされるって訳だ」
「わざわざ説明をありがと…なっ!」
キルケーの振るう鞭のスピードがさらに上がり、前もって使役していたアペヤキという全身が真っ赤に燃えているセミの怪異で火の蝉とも言われている神蟲を召喚した。
「行け!アペヤキ!」
その身に纏う火の火力を最大に上げた火球が2人のもとに向かって飛んでくる、一度躱してもその火球は追尾機能で2人をしつこく襲う。そのうえ面倒なのが火球はキルケーのことは自ら避けるのでキルケーは何も気にせずに2人に攻撃を仕掛けられる。
「そう来たか、だが俺たちの力はこんなものじゃない」
巻き起こった風に乗った冰の破片が次々と火球を落として行く。
「チッ、どうやらお前らをここで斃すのは無理なようだな」
キルケーは魔法陣の中心のもとまで一気に下がり、そこを破壊する。すると貯まった神力が地下に一直線に流れ込みプレートに向かって行く。
「来たか、」
ルドラは心通信で草壁に連絡を取る。
「今です、草壁さん!」
朝日奈が転移之渦を開き草壁は変身しながら移動する。
”Use the ground and rocks to restore everything that has been broken.(大地と岩石を行使して壊れた全てを復元する。)仮面ライダーヨルズWITHフォシュターク”
転移したヨルズは直ぐに魔法陣に手を向けて神法を発動する。前もって黒瀬から聞かされた策の通りに。
〜〜〜
「神力が足りるかどうかと言う疑問だが、その点は問題ない」
「一体どうすれば良いのかしら?」
「溜め込まれた神力を利用すれば良い、プレートを破壊できるほどの量だ。復元するのは簡単だろう」
「なるほどね、超強化を得た神法なら、相手の神力を操るのも可能ってことか」
〜〜〜
「なんだ、何をするつもりだ!?」
「いくら破壊されたとしても、私たちが創り直す」
ヨルズの大地を操る神法により、房総半島沖のプレートは復元された。
「チッ、これじゃあ骨折れ損だな」
キルケーは残ったアペヤキを4人に向かって放ち、土煙が舞っている間に姿を消す。
「残りは2箇所ね」
「そっちの方は頼みます。魔法陣がちゃんと消えたかは俺と氷室で調べます」
☆ ☆ ☆
アドラヌスは籠手武器ヤールングローヴィをビアーの腹部にぶつける。
「ぐっ、これはなかなか、エレボスが超強化を得たことは聞いていましたけど、あなた達はどこからそれを手に入れたんですか?」
「黒瀬からだが、なんでそんな事を訊くんだ?」
「超強化は言うなれば強制的に所持する神力の量を増やすことなんです。そしてそんな御業を最初に生み出したのは我らがボスのアフリマン、それを初代ラグナロクが固有能力を使ってデータ化し真似したんですよ。ですがそれはラグナロクが絶対悪に近づいたという事を意味します」
ビアーは「これがどういう意味かお分かりですか?」と2人に訊く。アドラヌスよりも先にナーイアスが言葉の意味を理解する。
「2代目ラグナロクになった黒瀬も、だんだんと絶対悪に近づいてるって言いたいの…?」
「正解です」
ビアーは言い当てたナーイアスに拍手を送る。
「黒瀬が絶対悪?そんなわけないだろ!!」
激怒したアドラヌスはビアーに殴りかかる。
「確かに今の黒瀬は氷室のことを傷つけたり俺たちのことを全然信用してくれなかったりと性格はかなり歪んじまったよ!でもな、俺たちなら自分の期待に応えてくれるって信頼はしてくれてるぜ」
「……ふっ、どこにそんな根拠が…」
ビアーの言葉を遮りアドラヌスは答える。
「あるぜ!それがこの覚醒之聖堂だ!これを使えば俺たちなら幹部にも勝てるって信じてくれたんだ!あいつはな!俺はその期待に応えるぜ!その期待に応えられなきゃ、親友失格だァ!」
アドラヌスとビアーは激しい殴り合いを続ける。アドラヌスの熱い想いにナーイアスは鼓舞される。
「あのバカ、でも、嫌いじゃない」
ナーイアスは弓状武器シャランガを使い攻撃力の上がった矢を放ちアドラヌスを援護する。
「しゃあ!キメるぜ!水崎!」
“加護ノ刻・導軌ノ刻“
アドラヌスは高く飛び上がり脚に炎を、ナーイアスはシャランガに水を纏わせる。
“焔火ノ洗礼・激浪ノ聖刃”
2人の放つ必殺技にビアーは吹っ飛ばされて魔法陣の中央にまで転がり、ビアーはその場に片膝立ちの体勢になる。
「強くなりましたね、ここは退かせてもらいます。でもタダでは帰りませんよ」
キルケーと同じようにその場を破壊してからビアーは逃げ去る。
「やりやがったか、草壁さん!」
ーーー
「! 煌成」
「はいよ」
ーーー
ヨルズは着いた瞬間、すぐに神法をかける。先ほどと同じようにプレート等を修復する。
「あとは宮城沖ね」
☆ ☆ ☆
「どうしたヴリトラ?戦わないのか?」
「さっきお前に言われたことがどうも引っかかってな」
ヴリトラはその場に胡座をかく、ラグナロクは敵意も殺意もないことを感じ取り変身解除する。
「やっぱりお前は、インドラと戦いたいんだな?お前は確かに俺との戦いで楽しさは感じていただろう、でも死の恐怖を感じることはできなかった。それが引っかかってんだろ?」
「その通りだ、お前は知っているかもしれないが、俺のこのバリアは陽が落ちるまでの残り5分の時にのみ解除される、その5分間しか、俺は本当の死闘が感じられない」
「だから迅速の戦いができるインドラとの戦いを求めているってことか」
「そのインドラは先にお前が斃してしまったがな、悪いが今回はとてもじゃないが戦う気は起きん、このファフニールの計画も失敗のようだしな」
ヴリトラは魔法陣を壊してから帰る。
「…廻、ヨルズを呼ばないと」
「そうだな」
黒瀬はヨルズを呼び無事にプレートの復元に成功する。その後、全員イザナギに集まる、黒瀬たちを除いて。
「やっぱり黒瀬は来ないみたいですね」
「ああ、覚醒之聖堂は好きにしろだってさ」
涼風に適当に答えながら朝日奈は椅子に座る。
「あ、でもちゃんと俺からお礼はしといたよ」
それはそうでしょ、と涼風にツッコまれるとホールの中に笑いが生まれる。
「ははは、あそうだ、お前たちに言っておくことがあるんだよ」
「何ですか?また何か余計なことですか?」
「氷室、お前いくらなんでも冷たすぎるよ?」
「フレイヤなので」
「いや理由になってない…っイタァ!!」
早く伝えなさいと草壁に頭を叩かれる。
「はい…。んんっ!」
朝日奈は一度咳払いをして2年ズ全員の方を向く。
「俺と美土里は、イザナギ上層部を消すことにした」
2年ズは驚きのあまり言葉を失うが一番に反応を見せたのは氷室だった。
「いったいどうやってそんな事をするつもりですか?しかも2人でなんて」
「今の上層部は自分たちの先祖が築いてきたものに胡坐をかいているだけだ、大した実力は持っていないとは考えてる」
「確証はないけどね」
「とは言え上層部のもとに行くまでにはかなり監視が厳しいですよね?それは…」
「そこは心配ない、そこんところは天智がどうにかしてくれる」
「光花が日頃索敵に使用している天使を使ってカメラや門番の妨害をしてくれるようだから侵入までは簡単だと思うわ」
「それなら良いんですけど」
「とにかく明日にはこの策を実行するから」
4人に「はやっ!!」とツッコまれると朝日奈が「善は急げさ」と返す。
☆ ☆ ☆
「お疲れ様、廻。はいお茶どうぞ」
永倉から湯呑に入った緑茶を受け取り黒瀬は礼を言いながら受け取る。
「今回の戦いで敵方はかなりの神力を消費した、しばらくは動けないはずだ。それに今回の騒動を企てたのもファフニールだと言うことはアフリマンも今は動けないということかもな」
「確かに今回と前の戦いではアフリマンは動いてないよね、でももしかしたら次は動くかも」
「だな、その可能性はある」
黒瀬は少し心配になったのか緊張の色を顔に浮かべる。すると後ろから永倉が抱きしめてくる。
「大丈夫だよ、廻。たとえどんな敵が来ても僕が守るから」
「頼りになるな、俺の相棒は」
(この時の俺は気づいていなかった、幹部3人をも隠れ蓑に使った策略家の本当の狙いに)
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【仮面ライダーフレイヤに関する現在公開可能な情報】
『覚醒之聖堂』
身長198cm 体重99kg パンチ力65t キック力85t ジャンプ力80m(ひとっ飛び)走力2.3秒(100m)
【仮面ライダールドラに関する現在公開可能な情報】
『覚醒之聖堂』
身長202cm 体重99kg パンチ力70t キック力88t ジャンプ力95m(ひとっ飛び)走力1.9秒(100m)
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次回予告
上層部を壊滅させようと卒業生組が大暴れ!!そのとき街中ではファフニールが部下を連れて大暴れ!?なぜ急にファフニールが無作為に街を壊すのか?そしてアイツの狙いはラグナロク?いったい何が狙いなのか?
第27話:策略家ノ標的
仮面ライダーラグナロク第26話『災厄の大三角形』を読んで頂きありがとうございます。柊叶です。今回は「策略家ノ遊戯」に続く2話編成のお話となりましたが、いかがでしたか?たぶんサブタイトル負けしてない?と思うかたもいるかもしれませんね。それは許してください、作者なりに頑張っています。そして前半終盤を得て計画の阻止に成功した仮面ライダーたちですが、最後の最後に朝日奈たちが上層部を斃すと決意を口にしましたね、黒瀬たちのほうも永倉と今後も戦って行こうと決意していて両者ともいい感じです。
そして次回はまたまた策略家ことファフニールが何かして来そうな回になりそうです、楽しみにして頂けたら嬉しいです。『策略家ノ標的』でお会いしましょう。
柊叶




