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第25話 『厄災の大三角形』

〜前回の仮面ライダーラグナロクは〜

 ファフニールの始めたゲームに参加しつつ、ゲームそのものを終わらせるためにファフニールを探していた仮面ライダーたち。結果としてはファフニールの本当の狙いを防ぐことには成功した、だがこの計画の阻止の成功はゾロアスター全体に更なる怒りを積ませることとなった。

「これで、令和○年、卒業式を終了いたします」

   ☆ ☆ ☆

 卒業式を終えた後、校舎の前や校庭は卒業生と在校生が多く群がっていた。その群衆の中をなんとか潜り抜けてイザナギたちは理事長室に移動してメインホールへと向かった。

「会長、副会長、ご卒業おめでとうございます」

「おいおい涼風、俺たちはもう生徒会を退いたんだからその呼び方はやめなさいよ」

「そうでしたね、すいません。まだ慣れなくて」

「頼むわよ、新会長」

 卒業式の後、校舎の中にあるアメニティホールで新会長、そして新副会長が発表された。新しく会長に就いたのは涼風で、副会長に就いたのは氷室だった。

「今後、私たちは玉帝大学から現場に行かなきゃいけないから少しばかり到着に時間が掛かるかもしれないからそこら辺は頼んだわよ」

「分かりました、可能な限りで良いので戦いへの参加はお願いします」

「「任せなさい」」

   ☆ ☆ ☆

 朝日奈たちは大学に行った後のイザナギとしての活動をどう行っていくかを理事長と話すために玉帝大学に向かった。氷室たちはホールに移動した。

「朝日奈さんたちが居なくなると、なんか静かだな」

「どこの少女漫画の1ページのセリフよ」

 炎堂の一言に水崎は軽くツッコむ。

「確かについこの間に比べると静かだな、」

「涼風までそんな炎堂くんみたいなこと言うの?なんか怖いんだけど」

「氷室おまえ…ついこの間は少し落ち込んでたくせによ…」

 涼風は氷室のことを想って柄にもなく冗談半分に言っていたようだ。

「落ち込む?だれが?」

「お前…人がわざわざ心配してやったって言うのによお…」

 涼風はキレそうになるが、炎堂に後ろから両肩を掴まれてなだめられる。

「落ち着け涼風会長w」

「炎堂おまえ揶揄からかってるだろ?」

「あ、バレたかwごめんってw」

 笑って謝っているせいか炎堂に反省の色が見えず涼風は軽く右拳で殴る。

「あの2人も随分と仲良くなったよね~」

「本当だね、うらやましいな…」

 氷室は誰にも聞こえないように呟いたつもりだったが、隣に座っていた水崎には少し聞こえていた様子だったが、水崎は直ぐその場で触れようとはしなかった。

   ☆ ☆ ☆

「今日は玉帝の卒業式か…」

 黒瀬はスマホに映る日付を見てそう呟くと永倉が隣の部屋から古文書を読みながら出てくる。

応龍うちも今日は卒業式だよ、」

(この前の一件から俺は月夜のことを理解するように努めた。そして最近分かったことが1つある、それは…)

「…もしかして廻、卒業式に行きたかったとか?」

(月夜はかなりヤンデレ気質だということ、だ)

「いや、そういう訳ではないよ…。ただ少し、な」

「ふーん、まあいいけど」

 見るからに少し不機嫌になっているのは中学時代に水崎から「この鈍感男」と言われたさすがの黒瀬でもよく分かった。そしてこの数日で機嫌の直し方も。

「そう怒るなよ月夜」

 不機嫌な雰囲気をその背中から感じ取った黒瀬は後ろから永倉を抱きしめて頭を撫でる。

「最近、僕が機嫌をそこねたらハグするかよしよし(・・・・)すればいいと思ってない?」

「そんなことはねえよ。嫌ならしないようにするけど?」

「……嫌じゃないって分かってるくせに///」

「まあな…」

 どこかしらいい雰囲気?になっているその空気を割く者がいた。

「この神力、ヴリトラだな」

「だね、行くの?」

「当然だ、今度こそあいつを斃して…」

「どうかした?廻」

 黒瀬はヴリトラの神力を感じる方向以外に2つ他の方角を見つめる。

「間違いない、これは…ヴリトラとキルケー、そしてビアーだ。ゾロアスター幹部の3人が一斉に動き出した!」

   ☆ ☆ ☆

「どうする涼風、この状況やばくない!?」

「ああ、幹部3人が一度に動くとは、おそらくファフニールの指示だろうな。自分の計画が失敗した腹いせか、もしくはまた違う計画か…」

「今はそんなことを考えてる暇はないでしょ、何処に誰が向かうかを考えなきゃ」

「水崎の言う通りだ、どうする?涼風」

 会長席に赴任して早々とんでもない選択を迫られた涼風は頭を抱えながら朝日奈と草壁の凄さを痛感する。

(どうする、この事態に黒瀬たちも気づいているはずだがいったい何処に向かったんだ?選択をミスれば誰もいけない状況に陥る可能性も…)

「毎回こんな選択をさせられてたんですね、お二人は…」

 一向に決断に踏み切れない涼風、その理由は3人も分かっていた。そのときメインホールの中に見覚えのある転移之渦(ブロードボルテックス)が開いた。そこから出てきたのは黒瀬と永倉だった。

「黒瀬くん…?」

「別にお前らと協力する訳じゃない、ただ今の状況は俺と月夜の2人でどうこう出来る状況でもない」

「ああ、その通りだな、俺たちイザナギの4人だけでも解決できるものでもない。実際、何処に誰を送るかで悩んでいたところだ。だがお前たち2人も加わってくれるとなれば話は別だ」

 涼風は席から立ちあがり黒瀬の前に立つ。

「一緒に戦ってくれるか?」

「今回だけな、俺と月夜はヴリトラのもとに向かう。氷室と涼風はキルケー、炎堂と水崎はビアーのもとに行ったほうが良いだろうな」

 そう言い残して黒瀬と永倉はホールを出て行く。

「一瞬で来て一瞬で出て行ったわね、しかも…」

「しかも…?」

 水崎が俯き身体を震わせているので炎堂はどうしたのかと声を掛ける。すると水崎は号泣しながらその思いを叫ぶ。

「あんた気付かなかったの!?黒瀬が私のことを”水崎”なんて呼んだのよ!!」

「確かに!?気が付かなかったな…」

「そういえばそうだね。黒瀬くん、変わっちゃったな…」

 4人は黒瀬の変化に驚きつつ現場に向かう準備をする。

「それじゃあ黒瀬の言った通りキルケーのもとには俺と氷室、ビアーのもとには炎堂と水崎が向かってくれ。もし戦況が悪くなったり、勝てないと思ったら直ぐに逃げろ。朝日奈さんと草壁さんにはお前たちのもとに救援に行くように連絡はしてある」

「いつのまに、」

「朝日奈さんが言ったように涼風は本トに優秀な会長(しごでき)ね。でもわざわざそこまでしてくれてありがとうね、行こう炎堂」

「おう!勝って戦利品でも持ってきてやるよ!」

 2人は元気よくホールを出て行く。

「よし、俺たちも行くぞ氷室、俺の式神で良いか?」

「ええ、お願い」

 涼風は翠蜂スイホウを召喚して現場に向かう。式神の速さは凄まじくものの数分で到着する。

「すでにかなりの被害がでているな、相手はキルケーだ、またこの前のように竜種ドラゴンや他の邪神を召喚する可能性がある、警戒して行くぞ」

「了解」

 2人は翠蜂から飛び降りて地面に着地する。

「あれが、キルケー」

「あの手に持ってるムチで操ることができるということか」

 キルケーを見て2人はまず視覚的に得られる情報を整理する、見られていることに気づいたキルケーは2人を見て待っていたとばかりに話しかけてくる。

「ここに来たのは冰と風の神か、」

「そうだ、戦う前に1つ訊きたい、なぜ急に幹部3人が各地で暴れ出したんだ?」

「……それについては言えないな、」

「そうか、なら無理やりにでも吐かせるまでだ」

 宝珠チャームを起動しながら2人は走って変身する。

「「変身!!」」

”仮面ライダールドラ・フレイヤ”

   ☆ ☆ ☆

「炎堂!あそこ!」

「やべえな、紅虎ベニドラ!急いでくれ!」

 数百m先に見えた光景はビルは崩れ、辺り一面に瓦礫が転がっていて前に戦ったフィアナ騎士団のときに出た被害とは比べ物にならないものだった。

絶対ぜってえ許さねえ!行くぞ!水崎!」

 2人は飛び降りながら変身する。

「初っ端から飛ばして行くぜえ!変身!」

”仮面ライダーアドラヌスWITHアグニ”

「サポートは任せな、変身」

”仮面ライダーナーイアス”

 勢いよく着地すると、その地響きに気づいたビアーが2人の方向に振り向く。

「あら?お久しぶりね2人とも」

「ビアー、俺たちをここに呼ぶためだけにこんなことをしたのか?」

「そうだと言ったら、いったいどうするのかしら?」

「俺の持てる全身全霊の力を使って必ずぶっ斃す!」

 アドラヌスは両手に持つ籠手こて武器ヤールングローヴィを1度ぶつけてからビアーに殴り掛かる。ナーイアスは「熱くなりすぎ」と頭を悩ませながら言った通りアドラヌスのサポートに回る。

   ☆ ☆ ☆

「よお、ヴリトラ。他の2箇所に比べてここはあまり被害が出てないみたいだな」

「お前が俺のもとに来ることは分かっていたからな、お前を誘い込むためにわざわざ街を壊すことに神力も体力も無駄に消費したくはなくてな」

 ヴリトラは黒瀬が自分のもとに来たことに満足気な表情を見せた。だが少し不満そうでもあった。

「だがやはりエレボス、貴様もいるのか。まあそれも分かり切ってはいた、だからお前はこいつの相手でもしていろ」

 ヴリトラの隣に現れた邪神は超強化(フォシュターク)を得るとともに復活したアテナだった。

「アテナか、奴は知恵と戦略の神だ。当然武力もそれ相応にあるから気を付けろよ」

「分かってるよ、任せて」

「「変身」」

”仮面ライダーラグナロク・エレボス”

 ラグナロクは魔剣ダーインスレイヴをエレボスは黒鎌アダマスを構えて邪神に向かって行く。

   ☆ ☆ ☆

「お前たちの相手はコイツに任せる、け!アイトーンよ!」

 キルケーが右手で指パッチン(フィンガースナップ)をした瞬間、キルケーの後ろから空を舞う巨大な大鷲が現れる。

「アイトーン?氷室、知っているか?」

「プロメテウスの肝臓を毎日(ついば)んでいたとされる幻獣よ」

「や、やべえ奴だな、それにしても大鷲か、」

 ルドラは悩む、現実の方では蜂の飛行速度は時速30~40km程度、鷲などの猛禽類は、水平飛行でも時速100km以上、急降下時には時速200kmを超える速度に達することがある。

翠蜂スイホウだけで相手取れるかどうか…)

「何を悩んでるのよ」

「え?」

「悩む暇があったら戦うしかないのよ、私たちは。キルケーの相手は私がする。涼風は翠蜂と一緒にアイトーンをお願い」

「で、でもお前1人で幹部を相手するのは危険だ!!」

「翠蜂じゃ勝ち目がないと思ったら私が冰狼ヒョウロウと一緒にアイトーンを相手するから、まずはあんたが行ってきて」

「俺に相手の能力を探って来いってことかよ、まったく、行くぞ翠蜂」

 ルドラは翠蜂に飛び乗りアイトーンに飛び掛かる。

「あんたの相手は私よ、キルケー」

 フレイヤは冰剣レーヴァテインを構える、キルケーは鞭を振り回す、フレイヤはかわしながら前に進んで行く。キルケーの間合いに入るとともに斬り掛かり、防御・反撃の隙を与えぬように攻撃の手を止めず連撃を加える。だがその剣撃の速さはお世辞にもラグナロク程の速さとは言えないものだ、キルケーほどの実力者ならば躱すのは容易なはずだった。それはフレイヤ自身も感じていた。

   ~~~

「さすがは大鷲、翠蜂スイホウ以上の速さだな。だが戦いってのは速さだけじゃ決まらないってことを教えてやるよ」

 ルドラは風の神法を発動して翠蜂にまとわせる、翠蜂のもとの速度に風の勢いを乗せることで通常時の10数倍の速さを出すことができる。

「これなら互角ってところか、風が吹くように一瞬で終わらせてやる」

 アイトーンに向かって突撃するルドラ、序盤は身体と身体のぶつかり合い、だが操られている式神と主人あるじの指示に従いつつ自分の意思で戦い方を考えている式神とでは勝負の行く末は火を見るよりも明らかだった。

「これで終わりだ」

導軌ノ刻(ガイダンスタイム)猛毒ノ聖刃(ヒュドラサークレッド)

 ヒュドラの猛毒を翠蜂の針に集中させる、ルドラは自身の身に風を纏って空を飛ぶ、ルドラはアイトーンの後ろに回り背中に攻撃して大鷲の腹を翠蜂に向かわせる、すると翠蜂の針がアイトーンに刺さりアイトーンの体内にヒュドラの毒が注入される、アイトーンはその猛毒に耐えることができずに溶解ようかい死する。

「よし、氷室のところに急ぐぞ」

   ☆ ☆ ☆

「なかなかやりますね、でも以前と同じであなた達の攻撃は決定打に欠けるものしか打てていない。そんな攻撃しか放てないようじゃ、私を斃すことなんて夢のまた夢です」

「評論家気取りか、この野郎…」

「美土里さんから聞いた話じゃ、ビアーは格闘家の異名を持っているようだから、その辺も関係しているんでしょ」

 アドラヌスとナーイアスはビアーに対して攻撃を続けていた、だがビアーの防御力は凄まじく2人は自分たちの攻撃が通じている気はしなかった。

「だが確かにあいつの言う通り俺たちの攻撃は通じていない、同時に攻撃していくぞ」

「物理的に攻撃力2倍ってことね、面白いじゃん」

 先ほどまでのナーイアスがサポートに回る戦い方ではなく、2人は攻撃のタイミングを合わせていく。そのことでビアーはさばかなくてはいけない攻撃数が増えることとなった。

「戦況をみて直ぐに戦い方の変更、戦いにおける知識は充分に備わっている様子」

 ナーイアスは一旦距離を置き波浪之宝珠(トリトンチャーム)を取り出す。

”仮面ライダーナーイアスWITHトリトン”

 2人は固有能力(ユニークスキル)を駆使しながらどうにか戦いを優位に進めようとする。

   ☆ ☆ ☆

「いいぞ!いいぞラグナロク!さらに強くなったな!」

「ならさらに上をみせてやるよ」

 ラグナロクは魔剣を地面に刺した後、拳を握り腕をクロスに交わす。そして白銀色の神力を全身に纏い、唱える。

「リミット2nd(セカンド)解放」

 次の瞬間、ラグナロクから1st(ファースト)の時の解放量を容易たやすく上回る神力が溢れ出る。その神力の濃度はエレボスをはじめアテナをもその場にひざまずかせるほどのものだった。

「これがラグナロクの超強化(フォシュターク)か、凄まじいな」

 2ndの解放を終えるとともに破壊之宝珠(デストロイチャーム)を取り出す。

”仮面ライダーラグナロクWITHデストロイ”

 ヴリトラは非常に興奮していた、目の前に現れたのは今の自分と互角はおろか自分をの実力を上回るかもしれない強者だったからだ。

 2人は各々の武器を投げ捨ててこぶしのみでの戦闘に移行する。

エレボスはアテナと武器を用いた戦いを繰り広げていた。超強化(フォシュターク)を得ていたアテナの強さはかなりなもので、エレボスを追い詰めていく。

「なかなかやるな、ならこれでどうだ」

”エレボス、フォシュターク、ローディング”

「変身」

”WITHフォシュターク”

「あなたもですか、その実力みせて貰いましょう」

 アテナは槍と盾を構え直してエレボスに襲い掛かる、エレボスは黒鎌アダマスを取り出して槍を受け止める。槍をはじき返すとともにアダマスに闇色の神力を纏わせながら一振りして盾のほうを破壊する。

「なっ、」

「お前に勝ち目はない」

   ☆ ☆ ☆

 フレイヤはキルケーと1対1(タイマン)で互角の勝負を続けていた。

「なんで本気で戦わないの?いったい何が目的なの?ファフニールのようにまた人間の魂でも集める気?」

「それはまだ言えないな、知りたければこの俺に勝ってみろ!」

 先ほどまでとは打って変わってキルケーの鞭を振るうスピードが上がる、フレイヤは一瞬でその変化に気が付く、だが頭では理解わかっても身体の反応が間に合わずまたたく間に鞭を喰らう。

「……っ、ああ…」

 フレイヤは膝から崩れ落ちる、キルケーはめたとばかりに歩み近づいて行く。

「ただ普通に殺すのも面白くはないよな」

 鞭をフレイヤの首に巻き付ける。フレイヤは自身の首を締める鞭を取ろうと必死に力を振り絞る、だがキルケーの神力が鞭の繊維の1本1本に流れ込んでいるため容易にはいかなかった。

「…かっ…ああ…」

(死ぬ…このままじゃ…たすけて……はや……)

「これで終わりだ」

 首に巻き付けた状態の鞭をそのまま引こうとするキルケー、このままいけばフレイヤは首と胴が泣き別れとなる、だがそう簡単に仲間を見殺しにするルドラではない。アイトーンを斃したルドラは錫杖武器ケーリュケイオンから風の弾丸をキルケーの手に向かって放つ。

「ぐあっ!?」

 ルドラはフレイヤの首にある鞭を取りキルケーが居る真逆のほうに投げ捨てる。

「大丈夫か、氷室」

「う、うん、なんとか」

「無理はするな、お前は援護を頼む」

”ヒュドラ、ローディング”

「変身」

”仮面ライダールドラWITHヒュドラ”

「俺の毒に苦しむといい」

 ルドラは固有能力(ユニークスキル)病源旋風(ヴェノムウィンドウ)”を使いキルケーに確実に猛毒を感染させる。キルケーは猛毒にもがき苦しむ。

「今なら斃せる!」

 ルドラは必殺技を起動してキルケーに飛び掛かる、だがキルケーは簡単にルドラの拳を受け止めた。

「なっ!?なんで動ける!?」

「お前の毒は俺には通じない、と言うことだ。そしてお前が俺の体内に感染させたこの毒は…こうすることができるんだよ」

 キルケーが手を構えたその先にはフレイヤが居た、次の瞬間フレイヤは胸を抑えてもがき苦しみだすとともに強制変身解除し、その場に転がる。

「うああっ、あああっ!!」

「っ!?氷室!!いったい何が?」

「お前の創り出した猛毒をそのままフレイヤに移したのだよ」

「なんでそんなことが、」

 2人は距離を取る。

「俺の異名は調教家、調教家とは主人の命令を聞くようにしつけることだ。なぜ俺がフレイヤに戦いを優位に進ませたのか、それは奴に俺の命令を聞く神法を掛けるための時間を稼ぐためだったのさ。そして今のは俺に感染した毒を代わりに貰うように命令したんだよ」

 キルケーは得意気に解説をした。そしてルドラに更なる追い打ちを掛ける。

「お前の固有能力(ユニークスキル)ができるのはあくまでも感染まで、そしてフレイヤの治癒能力はあくまでも他人の治癒、そうだろ?」

 キルケーの予想通りルドラの固有能力(ユニークスキル)病源旋風(ヴェノムウィンドウ)はあくまでも対象に猛毒之宝珠(ヒュドラチャーム)で生成した毒を強制感染させることしかできない。そしてフレイヤにもとから備わっている治癒能力、これもキルケーの予想通りあくまでも他人の怪我の治癒しか行えない。事実フレイヤはこれまで他人の治癒しか行っていない。

「もうフレイヤに助かる道はない。あいつを守ろうとしたお前の毒によって死ぬんだ」

   ☆ ☆ ☆

「!?」

「よそ見をするなラグナロク!」

 ラグナロクとヴリトラは長時間殴り合いを続けていた。基本的にラグナロクは戦いのなかでよそ見をしたり意識を違うほうに飛ばしたりはしない。ではどこに意識を向けたのか、それは毒に侵され変身解除してしまったフレイヤが居る方角だった。

「こっちに集中しろラグナロク!もっとだ!もっと全力で俺と戦え!」

「チッ!」

早急さっきゅうにコイツとの戦いに決着を付けるしかない!)

葬送ノ刻(フューネラルタイム)破壊ノ滅波(デストロイクライシス)

「来い!!!」

 前のヴリトラとの戦いではこの技では互いに反発しあい、決着は付かなかった。だが今のラグナロクはリミットを2nd(セカンド)まで解放している、だがヴリトラもまた常時身体にバリアが貼られている。この両者の必殺技のぶつかり合いの結末は誰にも予想ができない。

   ~~~

「随分と焦っていますね、どこか行きたい所でもあるんですか?」

「分かった上で訊いてくるとか性格悪っる、廻のところに決まってるだろうが!」

 アダマスを上に振り上げ一旦距離を取る。

「これで確実に終わらせてやる」

祓魔ノ刻(エクソシスムタイム)虐殺ノ一閃ジェノサイドスラウター

葬送ノ刻(フューネラルタイム)漆黒ノ滅波フォシュターククライシス

「闇に沈め」

 ジェノサイドの力によりアダマスの斬撃は無数に増え、アテナに何度も回転しながら黒鎌を振り下ろされる。無数の斬撃を叩き込んだ後、エレボスはアダマスをそこらに放り投げ、回し蹴りを首に叩き込む。

「これが…仮面ライダーの…超強化(フォシュターク)…」

 アテナは斬撃の溝を中心に爆散する。

「さて、廻のところに…」

 ヴリトラと交戦中のラグナロクの所に向かおうとするエレボス、しかし一歩足を進めたその瞬間、エレボスの体に闇色の電気が流れると同時に変身が解除され、その場に膝から崩れ落ちて片膝を付く。

「はぁ…はぁ…はぁ…」

超強化(フォシュターク)の使い過ぎた影響か?)

「…っ、身体が、うごかない、」

   ☆ ☆ ☆

「くっそ、が、固有能力(ユニークスキル)を使ってもこれかよ、情熱調整パッションコントロール、全然通じてる気がしねえ」

「ほんとうにね、あんたの能力スキルって相手の戦闘意欲を下げるんでしょ?むしろどんどん好戦的になってない?」

 2人は荒れる息をどうにか整えながら今にも倒れこみそうな身体を支えている。

「まだ分かりませんか、その理由が見抜けない限りあなた方に勝ち目はありませんよ」

   ☆ ☆ ☆

「まずいな、非常にまずいな」

「まさか私たちが卒業した瞬間に幹部3人が動くとはね」

「とにかく俺は涼風のもとに向かう、美土里は炎堂たちのもとに向かってくれ」

「分かった、最悪の場合は退避も視野に入れても良いわよね?」

「当然だ、その際は結界も敷いてくれ」

 朝日奈と草壁は各々キルケーとビアーのもとに式神に乗って移動する。

   ☆ ☆ ☆

「ここは一度引くしかないか、だが、」

 ルドラは周辺を見渡す、そこには邪神におびえ逃げ惑う人々が居た。

「そうだよなあ、お前たち仮面ライダーは一般人を置いて自分たちだけが逃げるなんてことはできないよなあ、不便だよなあ、可哀そうになあ、」

「このやろ…」

(俺にもっと力があれば、固有能力(ユニークスキル)の訓練をもっとしておくべきだった、)

 自分の未熟さを恨むルドラは目の前にある地面を殴る。戦意喪失したルドラを見下ろしながらキルケーは近づいて行く、そして先ほどフレイヤにしたように鞭を首に巻き付ける。

「なーに、そこまで死に対して怖がる必要はない。直ぐにお仲間のフレイヤも着いてくさ」

 キルケーがルドラの首を落とそうとしたその時、天空から白く美しく輝く龍から舞い降りる光がルドラを助けた。

「あさひな、さん?」

「遅れてすまない。なにがあったのか簡潔に説明頼めるか?」

「俺の創り出した毒がキルケーから氷室に移されました、俺はまだ戦えます」

「なるほどな、フレイヤの治癒能力はあくまでも他人に対してだけだったな。氷室のほうは俺がどうにかする、キルケーの相手をしばらく頼めるか?」

「はい、氷室のことお願いします」

 ルドラは錫杖を持ってキルケーを足止めする。その間にアラマズドは氷室のもとに近づき状態をうかがう。

「どうやってヒュドラの毒を移された?」

「…っ、キルケーの、調教の、ちから、で、、ああっ!!」

 呼吸が途切れ途切れになりながら氷室は必死にアラマズドに自分に毒が移る過程を伝えた。

「調教……あれを使えばイケるかもな」

 アラマズドは心通信で草壁に連絡を取る。

『煌成?どうかした?」

「美土里、傀儡之宝珠(ヘラチャーム)を貸してくれ」

『えー、まあ悪用はしないでよね』

 互いの転移之渦(ブロードボルテックス)を通じてアラマズドは草壁から傀儡之宝珠(ヘラチャーム)を受け取る。

「氷室、一瞬だけ俺の支配下に置かせて貰うぞ」

 アラマズドは槍杖武器トリアイナを取り出して傀儡之宝珠を装填する。

導軌ノ刻(ガイダンスタイム)傀儡ノ聖刃(ヘラサークレッド)

 氷室に対して傀儡の呪法を掛けて支配下に置く、先ほどまで猛毒に苦しんでいた氷室は完全に消えていた。

「こいつは俺の人形だ、俺の人形の中に毒などという不純物は必要ない」

 支配下に置いた氷室の前にホログラムの画面が現れる。そこには今の氷室の身体スペックが表記されていた。

「やはり毒に侵されているから身体スペックが著しく下がっているな」

 ホログラムの右下にある『身体内の問題を確認』と赤文字で表記されている欄を選択すると個体名「氷室希愛」の体内に猛毒を確認とあった。

「これか」

 毒を取り除きますか?YESorNO選択肢がでてくる。アラマズドは迷わずYESを選択すると氷室の中から緑色の毒が排出され氷室の上に滞留する。アラマズドはトリアイナでそれを一閃する。

「よし」

 氷室を傀儡から解放すると意識を取り戻した氷室は気を失ってその場に倒れる、アラマズドは直ぐに氷室を支え白龍に後を託す。

「氷室をイザナギに送れ」

   ーーー

「さすが朝日奈さん」

「俺に近い力か…」

   ☆ ☆ ☆

「見えた!2人ともだいぶ疲弊してるわね。変身」

 灰熊カイユウの上で変身したヨルズは空から飛び降りて金槌武器ミョルニルをビアーの頭に振り下ろす。

ようやく来ましたね、ヨルズ」

「ええまあ、アドラヌスも確かにパワータイプの仮面ライダーではありますけど、あなた程の実力があるかと言うとそれほどではない。だからこそ貴女あなたのような技術を充分に研磨させた者を待っていた」

「なるほど、狙いは私ってことか、なら」

 ヨルズは後ろを向いて2人に声を掛ける。

「2人とも、ここは私に任せて一旦イザナギに帰りなさい」

「で、でも美土里さん1人だけじゃ危険です!」

「確かに、私も幹部と差しで勝負するのは初めてだから勝てるかは分かんないけど、」

 ヨルズはミョルニルを地面に置く、その際に地面は重さに耐えられずヒビが入る。

「私はあんた達より明らかに強いから安心しなさい、灰熊2人をイザナギまで」

 灰熊は2人の首根っこを加えて背中に放り投げて乗せる、そして空を駆けて行く。

「さあ、掛かって来なさい。ヨルズ!」

 ヨルズとビアーの拳がぶつかったその時、激しい閃光が散る。

   ☆ ☆ ☆

「どうした、ラグナロク、もう動けないのか?」

「それはお前も同じだろうが、」

 ラグナロクとヴリトラは激しい殴り合いの末、神力と体力がほぼ底を尽きその場から動けないでいた。

「今回も引き分けか、」

「引き分けだ?な訳ねえだろ、俺は変身状態を維持するためにドライバーにも意識を向けてるし、なによりデストロイの力は神力の消費が激しいんだぞ?俺のが技術てきには上だろうが」

 そんなラグナロクの熱弁を聴くとヴリトラは高らかに笑う。

「はっはっはっ!!お前がそんな子供じみたことを言うとはな、イイ!実にイイ!やはりお前は最高だ!俺を武闘家として満足させられるのはお前のようだな!」

「……それは違うだろ、確かに現状いまお前と互角の勝負を繰り広げられるのは俺だ。だが俺でもたどり着けるのは互角の勝負だ、お前を確実に斃せるのは……」

「白けることを言うなラグナロク」

 ヴリトラはラグナロクの言葉を途中でさえぎる。

「俺は常に今しか見ていない、過去など、一切の興味はない。とにかく今日のところは終わりだ、俺のやるべきことは済んだからな」

 そう言い残してヴリトラは蛇の幻影に包まれて消えた。そのことを確認したラグナロクは変身を解除する。

「俺のやるべきことは済んだ?どういうことだ?」

 去る際にヴリトラが言い残した言葉の意味を黒瀬は引っかかっていた、だが途中、永倉のことを思い出し直ぐに駆け寄る。

「大丈夫か?月夜!」

「うん、まあまあかな。ちょっと神力を使いすぎたみたい、回復するまでは少し時間が掛かるかも」

「そうか、とりあえず立てるか?」

 黒瀬は永倉に肩を貸す。すると永倉は黒瀬に触れた瞬間、身体が軽くなる。

「あれ?身体が軽い?神力も、充分なぐらいに復活してる?」

 永倉と黒瀬はどういうことだ?と目を合わせる。黒瀬はさらに頭を悩ませる、だが突然永倉が自分に抱き着いてくる。

「さっすが廻!神力の復活ができるなんて凄いや!」

「おわっ!?いや、俺もなんでか分からないぞ?」

「いいじゃん!そんな細かいことはさ!」

ーーーーーーーーーー

【仮面ライダーナーイアスに関する現在公開可能な情報】

波浪ノ王者(ウェーブビクター)

全長2.00m 全幅0.72m 全高1.05m シード高0.87m 乾燥重量164kg 最高時速885km

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次回予告

 一度に3箇所で幹部と戦闘を行うこととなり、その結果、氷室、炎堂、水崎の3人が戦闘不能になった。現状戦えるのは残り5人、黒瀬と朝日奈は敵の狙いを探りながら戦いに挑むことになる。さあ、この大規模騒動の結末は如何に!!

第26話:災厄の大三角形(トライアングル)

 仮面ライダーラグナロク第25話『厄災の大三角形』を読んで頂きありがとうございます。柊叶です。今回はファフニールを除いた3人の幹部が一度に動くカオスな回となりました。なぜこの様な回にしたかと言うと、幹部1人ごとに回を作るとなると後半に本当に書きたかったことなどが、しわ寄せになってしまう可能性が考えられたからです。なので今回はこれまでも何回かありましたが、ほぼフルで戦闘シーンとなってしまいました。(m´・ω・`)m <㋮イッカ

 そして次回は『災厄の大三角形』厄災は個人レベルでの不幸、災厄:社会全体;大規模の被害と言う認識で書かせて頂きますので次回のお話も楽しみにして頂けたら嬉しいです。

柊叶

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