表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
24/36

第24話 『想いは言わねば伝わらない』

~前回の仮面ライダーラグナロクは~

 ゾロアスターの幹部であり策略家の異名を持つファフニールが一般人を巻き込み始めたゲーム、疑狼ノ遊戯。その真の狙いはただ死に怯える顔を見たいからと黒瀬には言ったが黒瀬は他にも何かありそうだと疑っていた。そんな中イザナギのほうでは涼風が実母と偶然遭遇してしまい何やら一波乱起きていた…。

「はぁ…はぁ…はぁ…」

 街中に群がっていた大量のアスラを新たな必殺技で一気に屠ったラグナロク。だがやはりその技の神力の消費量は大きく、いくら神力の量が増えたラグナロクといえども急な消費は体力的にダメージはひどかった。それを察した八咫烏は地上に降りてエレボスに引き渡す。

「廻!大丈夫!?」

「さすがに神力の消費が大きかったな、」

 ラグナロクは変身解除する、それを見てエレボスも変身解除する。

「とにかくファフニールを追うぞ、これ以上、こんなふざけたゲームになんか付き合ってはいられない」

   ☆ ☆ ☆

「今の攻撃、ラグナロクの力だな、」

 アラマズドは変身解除しながらラグナロクの攻撃が飛んできた空を見上げる。

「こんな広範囲に必殺技を放てるとか、相変わらずとんでもない力ね」

 ヨルズも半分呆れつつ変身解除しアドラヌス、ナーイアスも続けて変身解除する。

「どうしますか会長、このまま黒瀬のもとに行きますか?」

「もしかしたらこのゲームの主催者のファフニールが居るかもしれないし、行く意味はあるわよね」

 炎堂の意見に水崎は賛成したが、朝日奈は冷静に今の状況を整理して最適解を見出す。

「いや、今は一般人の安全が最優先事項だ。黒瀬のことは氷室に任せる、そう決めただろ?」

 朝日奈の最もな意見、それに加えて納得のいく理由を聞いて3人は頷き朝日奈と草壁、炎堂と水崎の2組に別れてそれぞれ一般人の保護に移る。

   ☆ ☆ ☆

「会長たちが変身を解いた?やっぱり黒瀬くんが出した今の技で大半のアスラがやられたんだ」

 氷室は冰上ノ獣牙(グレイスウルフ)に乗って街中を走っていた。本来なら式神である冰狼ヒョウロウに乗ったほうが速いかもしれないが、黒瀬でも片付けきれなかったアスラが居るかもしれないのでそれは行わなかった。

「ん?あれは、もしかして」

 目の前に見えた2人の人影を見て氷室はバイクの速度を上げて一気に追いつく。2人の進行方向を先回りして数m先でドリフトターンのようにして停める。

「氷室か…何しに来た…?」

「黒瀬くんに、会いに来たの」

 氷室はヘルメットを外しバイクから降りる。永倉は黒瀬を右肩で支えていたが、少し離れて操力之指輪(レガリアリング)を左手薬指から右手中指に移し替えて神力を構える。

「廻と違って僕は君たちを完全に敵として認識してる。それ以上近付けば廻の命令関係なしに僕は君を殺す」

「……っ、でも話だけでも聞いてくれないかな?」

「どうする?廻」

 永倉は意識は氷室に向けて視線だけ黒瀬のほうを向く。黒瀬は壁に寄り掛かり答える。

「聞くだけだ。お前の望みに応えられる保証は無い」

「分かった、ありがとう」

 黒瀬の意見を聞いて永倉は右手を降ろし指輪を左手に戻す。

「この前、会長は黒瀬くんに負けたことで考えを改めてくれたの。そして皆んなは私に黒瀬くんとの和解をする役目を任せてくれた。だから黒瀬くん、戻って来て欲しいの、もうイザナギは黒瀬くんを殺そうとはしてない…」

「それがどうした?」

「え…?」

 氷室の言葉を黒瀬は途中で遮る。

「俺がなんであのときお前の説得に応じなかったか分からなかったのか?」

「あのとき…」

 氷室の脳内に初めて黒瀬と戦った時の記憶が再生される。

「だってあのときは、黒瀬くんは自分が戻れば処刑されるからって…」

「ああ、確かにそう言った。でも理由はそれだけじゃない」

「ほかに、なにがあるって言うの?」

「それは言えない、言えばどうなるか分からないからな」

 そう言うと黒瀬は永倉に「行くぞ」と一言だけ指示を出す。永倉はそれに従い黒瀬の肩を持ってその場から離れる。

「………なんで、教えてくれないの?」

 氷室は説得できなかったことよりも本当のことを言えないほど自分に信用と信頼がないことへのほうが衝撃とともに悲しみが大きかった。

   ☆ ☆ ☆

「これで本当に全員なのか?もっと多かったはずだが?」

 朝日奈が創り出した結界内に避難させた一般人の数を見て炎堂は首をかしげていた。その疑問に対して水崎が答える。

「たぶん、アスラに殺されたんだと思う。現実的に考えて私たちと式神じゃ限界があったんだよ…」

「………そう背負い込むな、悪いのは水崎だけじゃない」

 炎堂は罪悪感に駆られる水崎の左隣に立ち右手で頭を撫でる。

「俺たちに落ち込んでいる暇はない、生きている人たちを家に帰すためにもこのふざけたゲームを終わらせるしかないんだ」

「うん…分かってる、ありがとう炎堂、元気でた」

   ☆ ☆ ☆

「母さん…」

「…颯、ちゃんとゆっくり話したいと思うけどそんな暇はないわよね」

 美琴はファフニールによって作られた現在いまの状況を見てそう判断する。

「それはつまり、戦いに行っても良いってこと?」

「ええ、でも今回の戦いが終わったら2人きりでちゃんと話をさせてくれる?」

「ああ、会長にはちゃんと伝えとく」

 涼風は頷いたあと空に向かって「翠蜂スイホウ!」と叫ぶ。翠蜂の背中に乗り飛んで朝日奈たちのもとに向かおうとすると美琴が「颯!」と名を呼ぶ。

「………気を付けて、行ってらっしゃい」

 あまり力の籠もっていない言葉だったが、確かに母からの愛情の籠もった言葉だった。それに涼風にとっては10数年振りの母の口から聴いた行ってらっしゃいだった。

「行ってきます!」

 涼風は今まで見せたことないほどの笑顔を見せて空高く羽ばたいて行った。

   ☆ ☆ ☆

「ダメだ!本当にいったい何処に居るんだ!」

「煌成うるさい、こっちの集中が途切れるから叫ばないで」

「それはごめん」

 氷室と涼風を除いたイザナギたちはファフニールの神力を探って居場所を特定しようと必死になっていた。だがファフニールは上手いこと神力の漏れを最小限に抑えるとともに、もともと今いる結界がファフニールの神力で構築されていることもあり、居場所の特定は難航を極めていた。だがその時、上から涼風の声が聴こえてきた。

「会長!遅れてすみません!」

「「「「涼風!」」」」

 翠蜂スイホウから飛び降り着地すると同時に全員のもとに駆け寄る。

「今はどういう状況ですか?」

「この結界を創ったファフニールを探しているんだが、一向に見つからないんだ」

 朝日奈から簡単な説明を受けると涼風は「それなら任せてください」と返す。

「何をするきだ?」

「俺の式神”翠蜂”はその名と見た目の通り蜂です、蜂は毒を有する生物、それ故に邪神の悪意という名の毒には他の式神に比べて敏感に反応します」

「そうか、ファフニールは幹部クラスの邪神だから他の邪神に比べてその悪意ってやつの大きさはとんでもないってことか!」

 炎堂は涼風の言いたいことを理解した。

「その通りだ。それに蜂という生き物は集団で生活しているからこうやって、」

 翠蜂に指示を出すと翠蜂は標準サイズになり、その数は数百匹にもなった。

「一気に街を囲んでしまえばファフニールの奴も逃げ場を完全に失うと同時に見つけることが出来るはずです」

「なるほど、そんなことが出来るのか。よし、もう俺たちに残された希望はこれしかない、涼風、頼めるか?」

「任せてください、行け!翠蜂!」

 涼風の指示を受けて翠蜂は街中に飛んでいく。翠蜂が飛び立ってから数分後、涼風はかすかに動く神力を感知した。

「見つけた。会長、炎堂、式神を呼んでください」

 イザナギ一行は式神に乗り涼風の案内に着いて行く。

   ☆ ☆ ☆

「この気配は翠蜂スイホウの神力か?やけに増えているようだが」

 黒瀬は永倉から離れ自分で翠蜂の神力を感じたほうに歩きだす。

「廻、なんでそっちに行くの?」

「向こうから同じ方向に進む白龍と紅虎の気配がする、たぶんその行く先にファフニールがいるんだろう」

「待って廻!今の神力の残量じゃ戦うのは無茶だよ!体力だって、」

「俺には!…もう戦う道しか残っていないんだ…。それでも止めるというのなら、俺はお前を斃してでも行くぞ…」

「………わかった、行こう。でも無理して戦うようなら僕は廻を倒してでも連れて帰るからね?」

「ああ、それでいい。行くぞ」

 2人の意見が合うと永倉は転移之渦(ブロードボルテックス)を展開する。

   ☆ ☆ ☆

「そこまでだ!ファフニール!」

 涼風は何もない一本道の中央に円錐型の風の弾丸を放つ。すると途中で何もない空中に当たる、するとファフニールが姿を現す。それを見て草壁は「身体を透明化させてたってわけね」と言う。

「なるほど、単純すぎて逆に選択肢から抜けていたな」

「行きましょう、このゲームを終わらせに」

運命之帯ディスティニードライバー

 5人の各々の主神が鳴り響く。

”ローディング”

「「「「「変身」」」」」

”仮面ライダーアラマズド・ヨルズ・アドラヌス・ナーイアス”

”Those who do harm will scatter before the storm, and the wind will bring in new life.(害を成す者は暴風の前に散り、風は新たな命を運び込む)仮面ライダールドラ”

 ルドラは錫杖武器ケーリュケイオンを取り出す。ファフニールは呆れながらアスラを召喚する。

「………本当に聞き分けのない連中だ、大人しく私のゲームに参加してくれれば良いというのに」

 ファフニールはアスラたちに「行け…」と命令する。

「アスラの相手は会長たちにお任せします」

「ああ、任せておけ。お前たち、涼風をファフニールのもとまで必ず守れ」

 アラマズドの指示のもとイザナギが取るべき行動は決まった。ルドラはアスラを無視して突撃する、ルドラの周囲をアラマズドたちが囲い守護する。ルドラはファフニールに錫杖を振り下ろす。ファフニールは短剣による二刀流で真上から振り下ろされる錫杖を真正面から受け止める。

「ファフニール、お前の本当の目的は何だ!?」

「やれやれ、お前もそんなことを訊くのか?」

「お前も?黒瀬にでも訊かれたのか?」

「ああ、ラグナロクにも同じことを訊かれたよ。ラグナロクには私の娯楽のため、とだけ答えておいたがね」

「やっぱり、目的は別にあるんだな」

「………まあ今さら知ったとこでどうにもならんから教えてやろう」

 ファフニールは錫杖をはじき飛ばし数m後ろに退がる。

「私の本当の目的は人間の魂を使いアフリマン様の現世での活動を可能にさせるためだ」

「現世での活動?アフリマンは、お前たちはいったい何処に居るんだ?」

「お前たち人間に分かりやすく言えば黄泉比良坂(よもつひらさか)と言える場所だ」

「黄泉比良坂?なんだそれは?」

 ルドラは頭の上に疑問符を浮かべる、すると後ろからアスラたちを撃破した4人が歩いてくる。

「会長は知ってますか、黄泉比良坂って」

「知らん、氷室がいれば直ぐに分かるのだろうけどな。氷室はどうしたんだ?」

「たぶん黒瀬の所だろうな、今は何処にいるかは俺も知らん」

 アドラヌスは籠手こてを構え直す。

希愛のあなら多分大丈夫ですよ。って、今はそんな話してないんでしたっけ?」

「なんだ貴様ら、イザナギとかいう名前を背負っておきながら黄泉比良坂すら知らんのか。説明してやれ、ラグナロクよ」

 ファフニールは自身の左側に目を向ける、イザナギもその方を向くと黒瀬と永倉が居た。

黄泉比良坂(よもつひらさか)ってのは日本神話において生者の住む現世と死者の住む他界、つまり黄泉よみとの境目さかいめにあるとされる坂、または境界場所のことだ」

「なんとなく言ってることは分かったけど、てか黒瀬、希愛はどうしたの?会ってないの?」

「…会っていないな、」

宿命之帯(フェイトドライバー)

「変身」

”仮面ライダーラグナロク”

「………まったく、。変身」

”仮面ライダーエレボス”

「ファフニール、お前の目的だが、それが叶うことはない」

「なに…?それはどういう意味だ?」

 イザナギたちもどういうことだ?と首をかしげていた。

「お前の目的のために必要だと言っていた人間の魂、それを一気に集めるためにイザナギに例の場所に一斉に避難誘導させたようだが、俺が他の場所に移動させておいた。結界と式神に守らせてある」

「なぜ、あそこだと分かったんだ…!?」

「アスラを一気に消したときに空から見て違和感があった。なぜか一ヵ所だけ一般人が居るのに被害の出ていない場所があった、そこがのちにイザナギが人間を避難させた場所になっていた。疑わないほうがおかしい」

 ラグナロクの言葉を聴きアドラヌスは「でもなんで其処そこに集める必要があったんだ?」と訊く。

「人間の魂を集めるには大量の神力が必要になる、それを一気に集めるには魔法陣を使うしかない、だからイザナギと今回のゲームを利用して誘導させたんだ」

「でもそれならわざわざゲームなんか行う必要なんてないし、ましてや私たちや君たちを誘い込む必要もないんじゃない?」

 ヨルズはもっともなことを言う。

「その理由は簡単だ、こいつは根っこから性格が歪んでいる。儀式を行いつつ自分の娯楽も楽しみたかったんだろう」

 ラグナロクはファフニールの目的を全て見抜いていた。

「やれやれ、そこまで見抜かれているとはな、これ以上結界とアスラに神力を割いても無駄だな」

 ファフニールは左手に持つ短剣を右手に持たせて左手を高く上げる、それを見た瞬間ラグナロクはイザナギに向かって叫ぶ。

「今すぐ式神を人間のもとに送れ!」

 ラグナロクの言葉にアラマズドとヨルズ、そしてルドラはすぐに言葉の意味に気づいた。

「7割方は翠蜂スイホウに任せてください!さらに分裂させても式神ならひと一人ぐらい余裕で担げます!」

「分かった!頼むぞ!お前らも早く式神を送れ!」

 全員自分の式神に指示を出す。式神は一斉に自分の居る場所から避難場所に飛んで行く。その途中ファフニールの創った結界が完全に崩壊する。足場が崩れ一般人たちは恐怖におびえながら落ちていく、途中ルドラの式神の翠蜂が背中部分の服を脚で掴み宙づりにしてゆっくりと降下して行く。翠蜂でも間に合わない者たちは他の式神が各々の主人と協力して背中に乗せていく。

 そんな中、ラグナロクとエレボスはファフニールとの空中戦に入っていた。

”WITHバニッシュ・フォシュターク”

「いくら力を増したところで、私に勝てると思うな」

 ラグナロクは禍々(まがまが)しい触手を使い中距離から攻撃を仕掛ける、エレボスは黒鎌アダマスを使い近接戦闘にはなるが、超強化(フォシュターク)を得ていることもありファフニールとも互角の勝負を繰り広げていた。

「どうやらラグナロクは先ほどの大技と人間を一気に移動させたせいで相当神力を消費したようだな。貴様が居なければラグナロクを今ここで消すことも出来たかもしれないなー」

「おまえーー!!」

 エレボスは怒りに身を任せてファフニールとの距離をさらに近づけてしまう。

「…っ、月夜!!せ!」

「予想通り、貴様は乗せやすい」

 無警戒に近づいて来たエレボスにファフニールには自身のモチーフであるドラゴンを幻影で召喚してエレボスに向かって放つ、エレボスはドラゴンに嚙みつかれそのまま遠くに連れて行かれる。

「くっくっくっ、これで貴様を守る者はいないな。さあ、ラグナロクあとはお前だけだ」

 2人は地上に着地する。そのころ一般人の保護はイザナギと式神により完了していた。

「よし、全員助けたな。皆さんは今すぐ安全な所に逃げてください」

「煌成、記憶のほうはどうするの!?」

「あ、えっと、氷室は何処だ?」

 アラマズドは周囲を見渡す、すると後ろからナーイアスが「ここです!」と叫ぶ。振り向くとそこにはうずくまっている氷室が居た。

「氷室!一般人への記憶阻害を頼めるか…って、なにがあった?」

 氷室の様子を見てアラマズドは何かがおかしいと感じとる。後ろからヨルズが小さく呟く。

「氷室とは会ってないって言ってたけど、やっぱり会っていたみたいね。たぶんその時に何か言われたんだと思うわ」

「さすが美土里、よく気づけるな」

「あんたと違って後輩のことはよく見といてるのよ」

「うわー辛辣、とはいえ氷室がいま戦えない状態だと言うのならどうやって記憶阻害をするか…」

 どうしたものかと頭を悩ますアラマズド、だがここで意外な人物が声を上げる。

「私がやります…」

「希愛?無理しなくても、」

「無理なんかしてないよ。私はただ、今の自分に出来ることをするだけ、変身」

”仮面ライダーフレイヤ”

 フレイヤは右手をかかげ一般人に向けて吹雪を放つ。人々はみな今日一日なにが起きたのかを忘れてしまい直ぐにイザナギにより遠くに転送させられた。

「これで問題なくなったな、助かったぞ氷室」

「いえ、頼まれればいつでも」

「……そうか、」

 フレイヤからどことなく違う雰囲気をアラマズドは感じとったが、ルドラやヨルズから「早くファフニールのところに」とうながされる。イザナギはみなファフニールのところに走る。

   ☆ ☆ ☆

「たく、めんどくさいことこの上ないな」

”WITH デストロイ”

 破壊の力をその身に纏いラグナロクは水色の神力を拳にたずさえてファフニールに殴り掛かる。ラグナロクの拳をファフニールはかわしたり短剣でさばいたりする。だがこの戦いは長期戦にはならなかった、互いにラグナロクは広範囲の大技、ファフニールはゲームの結界とアスラの大量召喚による神力の消費が主な理由だった。

「次が最後の一撃って感じだな」

葬送ノ刻(フューネラルタイム)破壊ノ滅波(デストロイクライシス)

「華々しく、散れ」

 破壊の力を強めた右拳に向かってファフニールは短剣に自身の神力を纏わせて斬りかかる。拳と短剣がぶつかり衝撃波とともに爆発が起きる。衝撃波に2人は吹っ飛ばされる、ラグナロクは飛ばされた勢いで空中で変身が解け地面の上に転がり、ファフニールも同じようになった。

「…仕留めきれなかったか」

「そのようだな…今回は失敗したが、次は必ず成功させるぞ」

 ファフニールはドラゴンの幻影に包まれてその場から退散する、それと同時にエレボスを足止めしていたドラゴンも姿を消し、エレボスは解放される。エレボスは変身解除し直ぐに黒瀬のもとに駆け寄る。

「廻、もう今日は帰るからね」

 イザナギが直ぐ近くにまで来ていることを永倉は気配で感知し、永倉は急いで転移之渦(ブロードボルテックス)を展開して黒瀬の肩を持って潜り抜けて行く。

   ☆ ☆ ☆

「誰もいない、か」

「既に退散したようね」

 先ほどまで黒瀬たちが戦っていた現場を見て、アラマズドたちは変身解除する。

「これ以上ここに居る意味はなくなったな、今日はもうイザナギに戻ろう」

 朝日奈がそう言うと涼風が、

「会長たちは先に帰っていてください、俺は行かなきゃならないところがあるので」

「そうか、分かった、時間は気にせず好きなだけ話して来い。行くぞ、お前ら」

 草壁が転移之渦(ブロードボルテックス)を開き、涼風を除いた全員がイザナギに戻って行く。その場に残った涼風はついさっきまで居た場所に戻る、そこには美琴が立って待っていた。

「戦いは終わったの?」

「ああ、今日のところはな」

「それで、颯はまだ戦うの?」

 涼風は数瞬間黙り込み考える、自分はどうしたいのか、母のために仮面ライダーを辞めてイザナギを離れるべきか、人類のためにこのまま残るべきか、だが美琴に対して言うべき答えはどちらかを優先した返事ではなく、あくまでも自分の意思を優先した返事なのだ。

「…母さん、俺は」

 これを言えば母は悲しむかもしれない、でも嘘はきたくない、ここで嘘を言えば一生後悔するからだ。

「俺は、このまま仮面ライダーとして人々のために戦いたい」

「そう…」

「でもこれはイザナギの教育の影響とかじゃない、紛れもない俺の意思だ。俺は母さんの幸せも人々の幸せも守りたい、自分にできることをやりたいんだ」

 涼風の真っすぐな意思と思いを聞いて美琴はどこか満足そうな顔をした。

「ちゃんと、自分の意思を持っているのね。それなら私が無理やり貴方を引き留める理由はないわ」

「母さん、じゃあ…」

「ええ、自分の思うようにやりなさい。じゃあ、またね」

 美琴はそう最後に言い残してから涼風に背を向けて帰って行く。涼風はその背中に向かって「ありがとう!母さん」と大きな声で伝える。美琴は顔だけ振り向き笑顔だけ見せる。その顔を見た瞬間、緊張が解けたのか涼風はその場に仰向けに倒れ込んだ。

「ああ〜、緊張した…。母さんにあそこまで言ったんだ、絶対にゾロアスターを撲滅しないとな」

 両足を使って勢いを付けて上半身を起こして立ち上がり、転移之渦(ブロードボルテックス)を展開して、涼風はイザナギに戻る。

   ☆ ☆ ☆

「ただいま戻りました」

「おかえり涼風、大丈夫だった?」

 草壁は淹れたばかりのお茶を手渡す、涼風はお礼を言いながら受け取る。

「はい、俺の意思をちゃんと伝えたら、俺のありのままを受け入れてくれました」

「そう、よかったわね。疲れてるでしょ?座って」

 一礼してから席に座り茶を一口啜すする、すると涼風は小さく「不味い…」と呟いた。その感想が耳に入ると草壁はギクッと肩を揺らす。

「そんなに?」

「正直、こんなにも不味いお茶を飲んだのは初めてです。お前らは何とも思わなかったのか?」

「いや、言わないようにしといたというか、なんと言うか」

「本音を言えば黒瀬の淹れたお茶で口直ししたいかな、希愛は…」

 ホールの奥のほうに目をやると、氷室は何も言わず無言で草壁の淹れたお茶のすすっていた。その様子にその場に居た全員は驚愕きょうがくする。

「ひ、氷室!?無理して飲まなくていいよ!?淹れ直してくる!!」

 草壁は慌てながら氷室からお茶を回収し、給湯きゅうとう室に戻ろうとすると朝日奈に止められる。

「煌成?」

「お茶は俺が淹れ直してくるよ」

 どことなく気まずい空気に包まれたメインホールから朝日奈は素早く立ち去った。

   ☆ ☆ ☆

「もう廻は今日はサッサと寝て!!」

 黒瀬は永倉にベッドにぶん投げられる。

「とりあえず汗拭くから服を…ああいや脱がすからいいや」

 桶にお湯を溜めてタオルをお湯にひたす。黒瀬の上着を脱がした後、タオルを力いっぱい絞り黒瀬の身体を優しく拭いていく。

「わるいな、月夜」

「感謝は要らないから今日はちゃんと反省して、廻は確かに強いよ?僕らと違って覚醒之聖堂(アローザル)を使わずとも自分の中にあるリミッターを解除することで超強化(フォシュターク)を得ることができるし、他の神々の宝珠チャームを使うことができる。でもね廻、どれだけ強くても、どれだけ賢くても、どれだけ権力や財力があったとしても、人である以上は必ず限界があるんだよ」

「月夜…」

「だから廻、もっと仲間を…僕のことを頼ってよ。僕だって必死なんだよ、気が付いたら廻はずっと先を行ってる、廻の助けがなかったら僕はとっくに足手まといだ!それでも僕は廻のそばに、隣に居たい」

 永倉は黒瀬の上に泣き崩れる、その姿を見て黒瀬は永倉はただただ自分の中に聴こえる何かの声に従って自分に味方しているのではなく、今ではちゃんと自分の意思に耳を傾けて自分に付いて来てくれていたのだと知る。

「ごめんな、月夜」

 仰向けの態勢から上半身だけ起こして目の前で泣いている永倉の頭を黒瀬は右手で撫でる。

「お前がこんなにも俺のことを想っていてくれたなんてな、俺はお前のことを分かっていたつもりだったが、何にも分かっていなかったみたいだな、ちゃんとこれからはお前のことを見るようにするから、今日のことは許してくれ、な?」

「ーーっ、廻って本トにずるいよ。僕が廻のお願いは断れないってこと知ってるくせに」

「ごめんって言ってるだろ?」

 黒瀬は微笑みながらまた謝る。でもこの謝罪はさっきまでのとは違い、どこか温もりと優しさを感じ取れるものだった。

「……ゆるす」

「ありがと」

   ☆ ☆ ☆

 イザナギは朝日奈の淹れ直したお茶で口直ししていた。

「今回の件から推測できることと言えば、幹部が動いたということは敵もいよいよ本腰を入れ始めたと俺は考えてる」

「そうなるわね、ゾロアスターの頂点アフリマンを現世での活動を可能にするために人間の魂を儀式の材料にしようとした。今度はいったい何をしてくるのか予想もつかないわ」

「目的がなんであれ俺たちのすべきことは変わりません、一刻も早くゾロアスターを撲滅する。そうでしょう?」

 あの涼風がここまで言うのは2年ズより一年付き合いのある3年ズからすれば驚き以外のなにものでもなかった。

「お前がそこまで言うとはな」

「涼風の言う通りごちゃごちゃ考えている暇があったらやるべきことに集中を置くほうが効率いいわよね」

「はい、と言うわけで卒業式ならびに生徒会選挙における必要な準備はこれでいいですか?確認をお願いします」

 涼風は机の上から束の資料を取って朝日奈に手渡す。

「………ヒューー、優秀な役員(しごでき)

 仕事がしたくないからか草壁は2年ズのほうに駆け寄り水崎の肩を持つ。

「邪神のほうは私たちに任せな。ね?水崎!氷室!」

「え?あ、はい」

「任せてください、会長」

「お、俺もいますからね!?」

 こちらは完全に結託していた。

「おまえら…洗脳した恨みですか?」

ーーーーーーーーーー

【仮面ライダーアドラヌスに関する現在公開可能な情報】

 火の神アドラヌスの力を受け継いできた火神家に伝わって来たバイク

業火ノ兜羅(ヘルタイガー)

全長2.13m 全幅0.70m 全高1.20m シード高0.93m 乾燥重量178kg 最高時速895km

ーーーーーーーーーー

次回予告

 ゾロアスター幹部の1人、策略家のファフニールの陰謀を防いだのは束の間、3年ズが卒業式に加えて次の生徒会長が誰なのかなどと大事なことが終えたと思いきや、なんと敵の幹部が一斉に各地で大暴れ!?今回はいったい何がどうなっているんだ!?

第25話:厄災の大三角形(トライアングル)

 仮面ライダーラグナロク第24話『想いは言わねば伝わらない』を読んで頂きありがとうございます。柊叶です。今回はファフニールの計画を潰しつつ、涼風の心の引っかかりと決着をつけ、そして各々言いたかったことを言う。人にとってやっておいたほうが良いことを強調する少しばかり勉強になる回?でした。

 そして次回はサブタイトルにはトライアングルとありますが、いったい何が起きるのか!?楽しみにしてくれていたらとても嬉しいです。

柊叶

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

↑ページトップへ