第21話 『超強化』
〜前回の仮面ライダーラグナロクは〜
ゾロアスターが今までとは違う邪神、集団の邪神を送ってきた。その名はフィアナ騎士団。フィアナ騎士団は一体ずつ撃破したとしても意味はなく、なんと全てを同時に撃破しなくては意味がなかった。途中までは苦戦を強いられるものラグナロクの完全模倣により誕生したジェノサイドの力を使ったエレボスとイザナギの協力により見事にフィアナ騎士団に勝利した。
その後はイザナギではラグナロクへの視野の当て方を変える朝日奈や草壁。今後さらにゾロアスターは戦力を増すと予想するラグナロクたち。その読みの通り怪しい行動を続けるゾロアスターたちと戦いはさらに激しさが増す様子だった。
「なによ、それ、」
「傀儡之宝珠だ。その名の通り、人を操ることができる」
「まさかそれで氷室を傀儡にするつもり!?」
「いいや、一番最初に傀儡にされるのは美土里、お前だ」
草壁は「は?」と一瞬困惑した隙を突かれた。
“導軌ノ刻、傀儡ノ聖刃”
朝日奈からの攻撃を喰らい草壁は目から光を失った。
「あとはあの四人も、俺の操り人形になってもらうかな」
☆ ☆ ☆
「月夜、お茶淹れたけど飲むか?」
「いいの?ありがとう」
永倉は前に自分の家から持ってきた文献の整理をしていたが、それを中断して席に座る。
「勝手に煎茶にしたけど、それで良かったか?」
永倉は一瞬考えるような顔をするが直ぐに笑顔を見せて「ううん、嬉しいよ」と答える。
「そうか、なら良かった」
黒瀬が茶を一口飲んだ後に、永倉は「あ、そうだ」と何かを思い出したかのような素ぶりを見せる。
「実はさっき文献の整理をしてた時に気になるのを見つけたんだ」
黒瀬の前に一冊の古文書のようなものを置く。
「このページなんだけど…」
「これは…」
永倉が指差したところには聞き馴染みのある言葉が記述されていた。
「超強化」
黒瀬は絶対攻略でボロボロの状態で読みにくくなった古文書を解読する。
「なんて書いてあるの?」
「…邪神だけでなく、俺たち仮面ライダーにも超強化を施す事が可能らしい」
「そうなの!?何か詳しいことは書いてあるの!?」
黒瀬は文献のページをあらかた読み漁ること数分。
「これと言って作り方などは記述されていないな。だが、永倉家に行けば何か分かるかもしれないな」
「僕の実家に?どうして?」
「引き継がなければいけない文献や伝承は必ずしも形にする必要は無い。分かりやすい例で言うなら仏教の祖であるブッダの口頭伝承とかだな。まあ当時は字というものがあまり普及していなかったのも理由だが、超強化に関してはある意味、禁じ手の一つだったのかもしれないな」
黒瀬は古文書を閉じる。
「禁じ手…。確かに、昔のイザナギは今よりもゾロアスターや邪神そのものを嫌悪していたから、邪神と同じ手段で力を手にするのを嫌がっていたかもね」
文字にするのも嫌だったのかなー?と永倉は続けて言う。
「口頭伝承にした理由は分からないが、お前の実家に行く価値は充分にある」
〜〜〜
「ねえ廻〜。そんな深く考える必要は無いと思うよ〜。わざわざ菓子折りなんていらないよ〜」
現在2人は和菓子屋に居る。そして黒瀬は手土産に悩んでいた。
「いや、初対面でいきなり超強化について教えろなんて言うのは失礼だろ」
長い時間を掛けた結果、黒瀬はどら焼きを選んだ。十個入りセットを一箱購入して2人は永倉家に向かう。
「じゃあ廻。ブロードを開くけど、良い?」
黒瀬が頷いたのを目視で確認した永倉は転移之渦を展開する。着いた先には和風の門があった。見た目は氷室家の物とは然程、変わらなかった。
「ここが、月夜の実家か」
「うん。父さんには予め連絡を入れておいたからそんなに畏まらなくてもいいよ」
永倉が門に手を触れるとギギギと音を立てて奥に開いた。
☆ ☆ ☆
メインホールにある円卓の席で朝日奈は足を組みながら座っていた。そして目の前には草壁を始め二年ズの四人が横に並んで立っていた。そしてよく見ると草壁のみならず四人の目からも光は消えていた。
「さて、それじゃあ早速だが黒瀬廻を処刑しに行こうか。誰と行くとするかな〜、ここは敢えての氷室にするかな」
朝日奈は立ち上がり氷室の左肩に手を置く。
「行くよ、氷室」
氷室は小さく頷き朝日奈の後ろを着いて行く。
「他の四人はいつも通り過ごしていていいよ」
二人がメインホールを出た瞬間、残りの四人は正気を取り戻した。だが、四人は操られていた間の記憶が無くなっていた。
☆ ☆ ☆
「月夜様、お帰りなさいませ。黒瀬廻様もわざわざ御足労頂きありがとう御座います。先代が奥間でお待ちです。」
門を潜ると永倉家の従者の一人が早速、永倉と黒瀬を迎え入れた。
「こちらのお部屋で御座います」
従者は二人を奥間まで案内した後、通ってきた廊下を歩いて何処かに行く。
「廻…そんな緊張しなくてもいいんだよ?」
「いや、それは無理だ。ただでさえ俺は友達や知り合いの家に行ったことがないんだ」
「それってつまり…僕は廻の初めてを貰えたってこと…」
何やら意味深なことを永倉は両手で顔半分を覆いながら歓喜の震えと共に言っていた。
「月夜が先に入ってくれるか?」
「うん、いいよ」
永倉は特に仕来りなどはあまり気にするタイプではないようで、久しぶりに実家に帰省した感覚で戸を開ける。
「父さん、入るよー」
「月夜か…」
永倉月夜の父、永倉月輪は上段の間の目の前に胡座をかいて座っていた。
「廻はそこに座って。僕は父さんの隣に座るから」
「いやそういう訳にはいかないだろ、ここの当主は月夜なんだ。お前が座れ」
「分かった…でも廻より上に座る訳には…」
黒瀬より上の立場に座るのは気が引けるが、これも黒瀬本人からの命令なので、永倉は渋々上座に座った。黒瀬は月輪から少し距離を置いた下座に正座する。数瞬ほど時間が空き最初に口を開いたのは月輪だった。
「それで、ラグナロク殿、今回はどのようなご用件でいらしたのですかな?」
「急な来訪となってしまい申し訳ありません、こちらは詫びの意味も込めた手土産です」
黒瀬は先ほど買ったどら焼きの入った紙袋を月輪の目の前に置く。月輪は「どうもご丁寧に」と言いながら紙袋を受け取る。
「今回、俺が来た理由は超強化について知るためです」
超強化というワードが耳に入った瞬間、月輪は顔色一つ変えなかったが、身に纏っている神力に起きた多少の変化を黒瀬は見逃さなかった。
「やはり、ご存知なんですね」
「……ええ、もちろん存じ上げておりますとも。我が永倉家が先祖から代々口頭で受け継いで来たものです」
「では、その作り方を…」
「ですが、」
黒瀬の言葉を月輪は遮った。
「作り方をお教えすることはできません」
黒瀬と永倉は「え?」と驚いた。
「な、なんでよ父さん、廻が教えてって言ってるんだから教えてよ」
「…月夜、お前はラグナロク殿に相当惚れ込んでいるようだが、彼のお陰で永倉家がどれだけ大変な目に遭ったか分かっているのか?」
「そ、それは…」
「今の永倉家の当主はお前だ。お前の決定に関して誰も文句は言わない。だが、これ以上彼に味方をして意味はあるのか?」
永倉は何も反論ができなかった。だがそれは黒瀬も同じだった。
(俺は何を勘違いしていたんだ。普通に考えてそうだろ、今俺が置かれている状況は決して安全ではない、だがそれでも何故か月夜は着いてきてくれた。だが着いて来たのは月夜であって永倉家そのものじゃない。)
黒瀬は心の中で反省をしていた。だが永倉が一言だけ月輪にたいして意見をした。
「父さん、確かに僕の判断は永倉家全体に大きな迷惑を掛けたかもしれないよ。その件に付いては反省もしてる。でも…いくらこの家に迷惑は掛けても僕らの目指すところは前から変わらない。ゾロアスターを壊滅させるっていう目標は変わらない。この夢を叶えるには、どうしても超強化について知らなきゃならないんだ。お願い、父さん」
永倉は上座から降りて月輪に正座のまま頭を下げる。それを見て黒瀬も「お願いします」と言いながら頭を下げる。
「………はー、お前からそこまで言われる日が来るとはな。顔を上げなさい。当主がそう簡単に頭を下げるでない。ラグナロク殿も、客人に対して失礼な態度で対応してしまいすまなかった」
「いえ、気になさらないでください」
「父さん、てことは、期待してもいいの?」
「ああ、超強化について、第41代目当主である永倉月夜、お前に引き継ごう」
☆ ☆ ☆
朝日奈と氷室はそこらの街中を歩いていた。
「見つからないね〜。いっそのこと邪神でも現れてくれれば直ぐにでも見つかるのだろうけれど。こういう時に限って出てこないんだよな〜」
「………」
「操っている間は何一つ喋らないのが面倒だな」
☆ ☆ ☆
「それで父さん、僕たち仮面ライダーはどうしたら超強化を行えるの?」
「超強化には膨大な量の神力が必要だ」
「それは、どれぐらいの量がいるんですか?」
「言葉で上手く表現できるものではないし、個人差もあるからな、例えば仮面ライダーの変身に必要な神力の量を2Lの水1本ぶんとするならば、超強化を行うための神具『覚醒之聖堂』を完成させるには1000本ぶんは必要だ」
永倉は「1000本ぶん…?」と顔を青ざめさせながら少し引いていた。
「月輪さんから見て、今の俺たちは何本ぶんですか?」
「君は750本ぶん、月夜は730本ぶん、といった具合かな?」
「ど、どうする廻、今のままじゃ創れないよ」
黒瀬は絶対攻略を使いどうにか覚醒之聖堂を創るための神力を用意できないか検索する。するとまたどこからかヴァルハラが姿を現す。
「なにか困っているのか?黒瀬よ」
「ヴァルハラ、ちょうど良かった。お前の神力の量は…って見た感じ足りないな」
「なんだ?神力不足で困っているのか?それなら神力の解放を行えばよかろうよ」
二人、そして月輪も「かいほう…?」と首を傾げた。
「ああ、そういえば言っていなかったか。まあいきなり解放を行えば黒瀬自身の器が保たないからな」
「言い訳はいいから早く教えろよ」
「分かったわかった。そう焦るな。まずラグナロクとは終焉の力、世界を滅ぼす力だ。故に元々所持している神力の量は今の黒瀬の何百何千何万倍も上だ。だが我はいきなりそんな量を持たせては危ないと思いセーブを掛けておいたのだよ」
「どれぐらいにだ?」
「5段階ほどだ。まあそろそろ1段階ほど解放しても身体に負担はないだろう。やってみろ」
黒瀬は終焉之宝珠を右手に持ち主神に訴える。
(神力の…解放…)
眼を白銀色に光らせながら、黒瀬は唱える。
「リミット1st 解放」
そう唱えた次の瞬間、黒瀬から異常な量の神力が溢れ出した。その覇気を浴びた永倉と月輪はその場に膝から崩れ落ちる。
「ちょ…っと、めぐる…覇気を…抑えてくれないかな…?」
「わ、悪い!?今、抑える!!」
慌てて黒瀬は覇気を抑えるために神力を身体の内側に押さえ込む。月輪は膝に手をつきながら立ち上がる。
「これがラグナロクの力か…さっきの覇気から察するに今の君の神力の量は1800本ぶんといったところかな」
「余裕で覚醒之聖堂を創れるのに、残りの神力の量は初期の俺を上回るっていうのかよ、ヴァルハラ、お前どんだけラグナロクの神力にセーブを掛けたんだよ!?」
「だから5段階と言ったであろう?だが本当に我がセーブを掛けていなければお前は継承した瞬間に確定で死んでいただろうぞ」
「まあその点は感謝しておくよ。それで月輪さん、必要な神力は用意できましたけど、あとは何をすればいいんですか?」
「君の予想通り我々永倉家は代々口頭伝承で超強化に関する全てを受け継いできた。だが創り方に関しては脳に直接、情報を流し込んで来たのだ」
月輪は右手の掌を黒瀬と永倉のほうに翳す。すると二人はあたり一面真っ暗な空間に吸い込まれる。
「! ここは、どこだ?」
「たぶん父さんの、精神世界だと思う。ここなら父さんの頭の中にある情報を好きなように覗くことができるから、」
「その通りだ。そしてこれが、君たちの知りたかった情報だ」
月輪は空中に時空之巻物を出して、そこから一つのファイルを取り出して黒瀬たちのほうに投げ込む。すると二人は固有能力を受け継いだときのようにコメカミ辺りを抑え、痛みに耐える。
「この情報が一気に流れ込むのは慣れないな」
「本当にね、でも、これで覚醒之聖堂の創り方は分かったね」
「ああ」
☆ ☆ ☆
「この異様な神力の濃度…そしてこの方角…。そうか、永倉邸のほうに居るのか…」
朝日奈は転移之渦を開き永倉邸へと向かう。ちょうどその時、黒瀬のこの異様な濃度の神力はイザナギに居る四人も感じ取っていた。
☆ ☆ ☆
「なにこの神力…」
草壁を始め四人は膝から崩れ落ちていた。
☆ ☆ ☆
黒瀬と永倉は永倉邸を裏口から出て、とある広場に移動していた。
「始めるか」
黒瀬は目の前の地面に白銀色の先ほど月輪から受け取った設計図に載っていた魔法陣を展開する。
「あとはこれに必要なぶんの神力を流し込むだけらしいが、おそらく途中で邪神が来るかもしれない。そのときは月夜…」
「うん、任せて。廻のことは絶対に守るよ」
黒瀬は神力を魔法陣に流し込む。一気に流し込めば覚醒之聖堂の内部の構造に不備が生じる可能性があるので、黒瀬は慎重に構築を進める。
☆ ☆ ☆
「朝日奈さま、申し訳ありませんが月輪さまが貴方だけは入れるなと仰られておりますのでお帰りください」
「そうか〜、なら氷室は入れてくれるのかい?」
朝日奈のこじ付けに従者の一人が困っていると屋敷のほうから月輪が出て来た。
「お、月輪さんお久しぶりです。単刀直入にお訊きしますけど当主である永倉月夜は今どこに…」
月輪に質問していると、朝日奈はまた違う場所で黒瀬の神力を感じ取る。
「あー、質問する必要は無くなりましたね。わざわざ外に出て来てもらってすいません。ではまた」
☆ ☆ ☆
「廻、この気配…。アラマズドの奴がこっちに近づいて来てるよ」
「そう急かすな。完成を急いで一気に神力を流し込めば覚醒之聖堂の内部構造に不備が生じてしまう可能性がある」
黒瀬の目の前には半分ほどまで覚醒之聖堂が浮かび上がっていた。
「もう少しだ…もう少しで完成する…」
その様子を見て永倉は安心し切っていたが、その時に朝日奈が現れた。
「おやおや、それはもしかして我々仮面ライダーにも超強化を施すことが出来るという覚醒之聖堂ってやつかな?」
「アラマズド…廻の邪魔をしようって言うのなら、」
“宿命之帯”
「そっちから戦いを挑んでくれるとは、こっちに大義名分が立つからありがたいねー」
“運命之帯”
“エレボス・アラマズド。ローディング”
「「変身」」
“仮面ライダーエレボス・仮面ライダーアラマズド”
エレボスは鎌状武器アダマスをアラマズドは槍状武器トリアイナを時空之巻物から取り出しぶつかり合う。
「廻の邪魔だけは絶対にさせない!」
「おーおー相変わらずのヤンデレ具合だなー!それにしても俺にだけ気を取られても良いのかな?」
「なに?」
エレボスは黒瀬のほうに目をやると氷室が黒瀬に近づいているのが見えた。
「フレイヤが、なんでアラマズドの命令に従って…」
黒瀬は覚醒之聖堂の創造にも気を配りながら氷室のほうに目を向けて、絶対攻略を使用する。
(固有能力の並列使用はなかなかにキツイな…脳が焼き切れそうだ…)
「……っ、なるほど、ヘラの力か…」
黒瀬の導き出した答えにアラマズドは戦いながら声を掛ける。
「さすがラグナロクの固有能力。もうバレたか、だがバレたところでキミにはどうにも出来ないさ」
「…チッ」
黒瀬は構築を急ぐ、それも内部構造に不備が生じなていどに。
☆ ☆ ☆
草壁たちは炎堂の式神、紅虎に乗って現場近くにやって来た。
「これって黒瀬の神力ですよね?」
水崎は草壁に訊く。
「そうでしょうね。それにしても煌成と永倉が変身している気配がするわね」
「草壁先輩!俺と涼風は先に行ってますからね!行くぞ涼風ェ!」
炎堂は全速力で走る。涼風は呆れながらも風の神法を身に纏い速力を高める。
☆ ☆ ☆
「氷室!さっさと黒瀬の邪魔をしろ!」
アラマズドからの命令を受け氷室は右手を黒瀬に向ける。そして固有能力:心体凍結を使用する。黒瀬は吹雪を浴びる、常人ならこの時点で凍結しているだろうが、黒瀬は終焉の力を身に纏い冰の神法に耐える。エレボスは黒瀬の助けに向かおうとするが、アラマズドに邪魔される。
「邪魔なんだよ!」
”ジェノサイド、ローディング。仮面ライダーエレボスWITHジェノサイド”
虐殺の力で分身を一体生み出して黒瀬のもとに向かわせる。アラマズドはその力の存在を知らなかったため困惑する。
「なんだその力は!?」
「昨日、廻が僕のために創ってくれた力さ」
氷室はエレボスの分身に取り押さえられ、心体凍結は止まる。
「廻!今だ!」
「よくやった、月夜」
心体凍結が解けたことで思考回路がいつもの速さを取り戻す。
「完成した…。これが、覚醒之聖堂…」
完成した覚醒之聖堂を両手に持ち見惚れていると、本体のエレボスと戦っているアラマズドがエレボスを去なし黒瀬のもとに走り近づく。
「それを寄越せ!」
黒瀬は転移之渦でそれを躱す。
”宿命之帯”
「月夜、これはお前が使え」
「え、僕が?いいの?」
「俺は後ろに居るヴリトラを相手する」
エレボスは後ろに振り向くとラグナロクの言う通りヴリトラが立っていた。
「ほう、俺が来ていることに気づいていたか。それにしても随分と力を増したなラグナロク、さあ戦おうか」
「ああ、やってやるよ。変身」
”仮面ライダーラグナロク”
黒瀬は変身した後、氷室に向けて神法を発動してアラマズドにより掛けられた傀儡呪法から解呪させる。氷室は呪いから解けた反動でその場に倒れこむ。
「月夜、アラマズドの相手は頼んだぞ」
「うん、任せて。これ使わせてもらうよ」
エレボスは覚醒之聖堂に暗黒之宝珠を装填する。
”エレボス、フォシュターク、ローディング”
「変身」
”The darkness within that person deepens, gaining even greater strength.(その者の闇は深みを増し、更なる強さを手に入れる。)仮面ライダーエレボスWITHフォシュターク”
「さあアラマズド、光と闇の決着をつけようか」
「いいだろう、来い」
☆ ☆ ☆
炎堂たちは黒瀬たちの所に向かっていた、だがその行く手を一人の幹部に阻まれていた。
「こいつ…強い…」
「この強さ、そして理にかなった格闘技術。間違いない、こいつがゾロアスターの幹部の一人、ビアーね」
「こっちの方が数では増さっているのに、格闘家なだけあって強いですね」
ナーイアスは弓状武器シャランガを構え直す。
「だが、固有能力を使えば勝機はある!」
ルドラはヒュドラフォームに変身し、病源旋風を発動する。
「よし、なら俺は」
情熱調整を発動する。それによりビアーは戦意が急減少し身体が崩れ落ちそうになる、がビアーは一枚上手だった。
「な、なんで立ち上がれるんだ!?」
「さあ?何故だと思う?」
☆ ☆ ☆
超強化を得たエレボスの強さは異常だった。アラマズドは徐々に追い詰められていく。
「これで決める」
”葬送ノ刻、漆黒ノ滅波”
「闇に沈め」
アラマズドは光の神法で光の壁を構築する。だが超強化により神力の増加とともに全スペックが向上していることもあり、光の壁は一瞬にして破れアラマズドはエレボスのキックをまともに喰らい貫かれた。
「ぐあああああ!!!」
アラマズドは変身が解けその場に倒れこむ。
「これが…覚醒之聖堂による超強化を得た仮面ライダーの力か…。想像以上だな…」
朝日奈はなんとか立ち上がり、氷室を置いて転移之渦でその場から退散する。
「仲間を置いて逃げるなんて、相変わらず光の神のくせに腹黒だな」
☆ ☆ ☆
「向こうにもう一体邪神の気配がするな。向こうに居るのは誰だ?」
「ビアーだ。俺とある意味似通っている奴だが、奴は俺と違って格闘家で常に勝利にのみ執着している」
「お前は違うのか?」
「俺は武闘家だ。常に己の成長にしか興味はない。だから常にお前のような強者を求めている」
ヴリトラは杖を投げ捨て己の拳のみで殴り掛かって来る。
”WITHデストロイ”
二人は真っ向から殴り合う。当然いまの時間帯ではヴリトラに攻撃、ダメージが通らないことはラグナロクも充分に理解している。だがラグナロクは決して無駄な行動はとらない。あくまでも斃せる可能性があるから戦っている。
「そんなバリアなんざ、この力で打ち破ってやるよ」
”葬送ノ刻、破壊ノ滅波”
「いいぞ、来いラグナロク!」
「華々しく、散れ」
互いの拳がぶつかり、爆発が起こる。
「廻!」
エレボスは直ぐにラグナロクに駆け寄る。
「大丈夫?」
「ああ…。やっぱりバリアのその先には届かないか?」
「そのようだな、だが非常に楽しかったぞ。また戦おう」
前の戦いのときとは違い、ヴリトラは満足げに立ち去って行った。
「…今日のところはもう帰ろう。ヴリトラは斃せなかったが、そもそも今回の目的は覚醒之聖堂の作成だ」
「確かに、任務は達成してるもんね。ところでフレイヤの奴はどうする?」
ラグナロクは立ち上がりながら変身解除して後ろに振り向きうつ伏せになって気を失っている氷室を見る。
「イザナギのやつに任せよう」
黒瀬は右手を翳し転移之渦で氷室を草壁たちが居るであろうところに転送する。
☆ ☆ ☆
「ん?ヴリトラは退散したようですね。なら今回の私の役目は終わりですね」
「なに?どういうことだ?」
アドラヌスはビアーに問う。
「ファフニールからヴリトラがラグナロクとの戦いに集中出来るように貴方たちの邪魔をするように頼まれたんですよ。最初は面倒だなと思いましたが、そこのヨルズとアドラヌス、貴方たち二人のことを知れたのは幸運でした。また機会があれば戦いましょう」
ビアーは薔薇の幻想を身に纏い消える。それを確認してから四人は変身を解除する。
「まんまと足止めされたってことですか、でも向こうからは特に被害の気配は感じないし、問題はないでしょう」
「なにを言ってんの涼風…」
「どうかしたのか、水崎?」
「どうかしたかですって?あんた気づかないの?今ここに希愛が居ないのよ!まさか誘拐!?いやもしかしたらとうとう黒瀬の件で引きこもりとかに!?」
水崎はまさに右往左往の具現化をしていた。
「落ち着きなさい、水崎。氷室ならすぐ側にいるわ」
草壁が指差したほうに目を向けると氷室が壁に手をやりながらなんとか歩いて自分たちのほうに来ていた。水崎と炎堂は直ぐに駆けつけて肩を貸す。
ーーー
「氷室が邪神の気配を感じておきながら現場に駆け付けないのは、明らかにおかしいですね。副会長」
「ええ、それに私たちには数時間前の記憶が抜けている」
「会長が何かをしたとしか俺は考えられないですけど、副会長も利用されたみたいですね。それでもまだ会長には味方をしますか?」
「それは…今から煌成と直接話して決めることにするわ」
☆ ☆ ☆
「傀儡之宝珠?何なのそれは?」
黒瀬たちは自分たちの拠点に戻り先ほどの件について詳しく整理していた。
「ヘラは人を操る力を持つ。おそらく氷室はその影響を受けたんだろう。だが氷室がそんな目に遭っているのに水崎が何もしてこないのは明らかにおかしい。おそらく直前まで残りの四人もヘラの影響を受けていたんだと俺は考えてる」
「アラマズドの奴はかなりの腹黒だから、人を操り人形にしてもおかしくはないよ。とは言えそこまでするってことはアイツかなり焦っているね」
「今後は完全にイザナギと戦うことになるのも視野に入れておいたほうが良いかもな」
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【仮面ライダーエレボスに関する現在公開可能な情報】
『覚醒之聖堂』
身長200cm 体重95kg パンチ力60t キック力95t ジャンプ力85m(ひとっ飛び)走力2.2秒(100m)
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次回予告
仮面ライダーアラマズドこと朝日奈煌成は仮面ライダーラグナロクこと黒瀬廻を斃すためにヘラの力を使い数による物量押しの戦法に出る。イザナギたちによる固有能力や各属性の神法を前に苦戦を強いられるラグナロク。さあ、どうするラグナロク…
第22話:光の狙いとその行く先
仮面ライダーラグナロク第21話『超強化』はいかがでしたか?どうもみなさん、柊叶です。
朝日奈煌成の腹の底の真っ黒さ、そして相変わらずの黒瀬廻の異様な強さ、そしてラグナロクの力の底知れなさが感じて貰えていたら大変嬉しく思います。
そして次回は本格的に朝日奈が黒瀬の討伐に動き出しそうです。このまま黒瀬たちは和解ができずにどちらかが死んでしまうのか、ぜひ『光の狙いとその行く先』を楽しみにしていてください
柊叶




