第20話 『集団殺戮』
〜前回の仮面ライダーラグナロク〜
突如ある山の方に高密度の神力を感知したラグナロクとイザナギたち。そこに向かうとキルケーという邪神がある召喚の儀を行なっていた。魔法陣から現れたのは邪竜ラドン。邪竜を相手に仮面ライダーたちは各々の式神を使って応戦する。見事に勝利を手にしたがラグナロクこと黒瀬廻はキルケーの言い残した「ラドンの召喚は始まりに過ぎない」という言葉が引っかかっていた。
イザナギのある廊下で草壁は朝日奈に呼びかけられる。
「美土里。ちょっといいか?」
草壁は振り向く。
「どうしたの?」
朝日奈は着いてきてくれ、とでも言うように右手の人差し指で個室を指差す。
「なに?密談?」
二人は個室に入る。
「後輩たちには聞かれたくはない会話ではある」
「そう。それで話っていうのは何かしら?」
「ラグナロクの処刑についてだ」
「まだそんなこと言ってるの。いい加減意地を張るのはやめたら?」
朝日奈は何のことだ、と言おうとするが途中で遮られる。
「煌成はイザナギの教えに固執というか、縛られすぎよ。あの涼風だって帰ってきたらあんなにも変わっていたじゃない」
「…お前も、考えが変わってきたのか?」
「私は元から固執した考えなんて持っていないわ。組織にも情にも流される気はない。私は自分の意思に従うだけ。煌成に付いているのも今だけかもよ?」
「いざという時は見限るってことか…。怖えな」
「ま、そう言うことね。覚えておいたほうが良いわよ。でも今は煌成の味方でいてあげるから。それで、今から黒瀬廻を探しにでも行くの?」
そうだな、と言おうとすると草壁のもとに着信が入る。
「誰からだ?」
「光花からよ。もしもし」
草壁は天智から電話を受ける。
「邪神か?」
「ええ、でも、邪神と言って良いのかどうか、」
「どういうことだ?」
「向かいながら説明するから、氷室たちにも召集かけて」
☆ ☆ ☆
「めぐる〜なんかこの前から元気なくない?体調でもわるいの?」
黒瀬はベッドの前に胡座をかき、本を読んでいた。そんな黒瀬の頭の上に永倉は寄りかかっていた。
「いや、特に問題はない」
心配してくれてありがとな、と黒瀬は振り向かずに左手で永倉を撫でる。
「さっきから何を真剣に読んでるの?」
「森鴎外の短編小説『舞姫』だよ」
「へえ〜面白いの?」
「俺は面白いと思うが、月夜は本は読まないタイプか?」
「まあ、でも廻が薦めるなら読んでみようかな」
永倉は「ふわあ…」と欠伸をする。その直後、窓から小さい黒龍が入って来る。
「廻、始まったみたいだよ」
「みたいだな。じゃあ、行くぞ」
☆ ☆ ☆
現場に現地集合しようとするイザナギたち。
「なんて有様だ」
朝日奈は現場を目にして言葉を失う。目の前にはコンクリートの壁が崩れていて逃げ惑う人々のうち何人かは瓦礫に巻き込まれていた。百数メートル先から光線が飛んでくる。朝日奈と草壁は両腕を交差する。光線は二人を囲うように地面に当たり爆風が起こる。
「「くっ…」」
腕を退かし顔を上げると光線が放たれた方から煙越しに多くの影が見えた。
「あれが…」
「ええ、邪神と言っても個々の集団ではなく騎士団よ」
煙の中から姿を見せたのはフィアナ騎士団。ケルト神話に登場する騎士団であり全員、ダーナ神族の家系である。
「騎士団というが数は二体か」
「でもアスラを数多く連れてきてるわね」
「氷室たちは?」
「アスラたちの足止めに遭ってるみたい。もしかしたら他の騎士団のメンバーは向こうに居るかもしれないわね」
☆ ☆ ☆
氷室は操力之指輪を掲げてアスラたちを凍り付かせる。
「氷室、神法を使用するのは構わないが神力の残量も考えておけよな」
「分かってるよ!」
氷室たち四人は各々の武器を持ち生身での戦闘を行っていた。
「おいおい涼風、さすがにこれ以上生身での戦闘は無理があるんじゃないか?」
炎堂のほうに顔をやると更にアスラが湧き上がっていた。
「…そうみたいだな。致し方ない、会長たちのもとに早く向かう為だ。いくぞ」
“ルドラ、アドラヌス、フレイヤ、ナーイアス”
「「「「変身」」」」
“仮面ライダールドラ、アドラヌス、フレイヤ、ナーイアス”
「一気に片付けるぞ」
四人は各々の武器に宝珠を装填する。
“導軌ノ刻。疾風、火炎、冰麗、流水}ノ聖刃”
「よし、会長たちの所に急ぐぞ」
ルドラたち四人は走って向かおうとするが、斬撃が飛んで来る。
「あれは、フィアナ騎士団…」
「騎士団ってことは、あと何人か居るのか?」
「居るはず。でも此処に居ないってことは会長たちの所に居るのかも」
「あり得るな。わざわざアスラをあれだけ使ってきたってことはアイツらの目的は、」
「戦力の分断、とか」
ルドラの言葉を遮りナーイアスはふと呟く。
「つまりアレか、俺たち四人じゃ送られてきたこいつらには勝てないだろって言ってきてるってことか?舐められてんな」
「そんなにコイツらは強いの?」
ナーイアスの言葉にフレイヤは少々悩んでいる様子。
「そこまで大きな伝説がある訳では無いけど油断はしないで」
「「りょーかい」」
アドラヌスとナーイアスは自身の持つ武器を構え直す。
「相手は俺らと同じ四人。苦戦を強いられるようなら直ぐに俺か氷室を呼ぶように、」
念のためにと言っておくと、ルドラの言葉をアドラヌスが遮る。
「何言ってんだ涼風。なあ、水崎」
ルドラは思わず左側に立つアドラヌスの方を見上げる。その更に左側に立つナーイアスがアドラヌスに続き答える。
「ええ。わるいけど涼風、私たちは初陣の時より格段に強くなってるから」
「手助けは要らねえよ」
「そうか、分かった」
☆ ☆ ☆
朝日奈、氷室たちが戦い始める数分前。黒瀬と永倉も現場にバイクで向かっていた。その途中、二人は幾つもの神力を感知する。
「これは、フレイヤたちの神力か」
「アラマズドたちも戦い始めたみたいだね」
「今回は邪神の数が多いようだが、」
何者か特定できない中、八咫烏が黒瀬の下に戦況を伝えに戻ってきた。
「なるほど。相手はフィアナ騎士団みたいだ」
「フィアナ騎士団?強いの?」
「俺らなら余裕だろ」
この後、黒瀬はバイクを急停止する。
「ヴリトラ、」
「なんだ、貴様一人ではないのか」
「生憎な。何しに来たんだ?」
「そんなの貴様と戦いに来たに決まっているだろう」
黒瀬はため息を吐く。
「月夜、ヴリトラの相手は俺がする。お前はフィアナ騎士団の方に向かってくれ」
「わ、分かった。気を付けてね」
永倉は黒瀬のバイクを借りて現場に向かう。
「これで邪魔は無くなったな。さあ、サッサと変身しろ」
「そう急かすな。…変身」
“ラグナロク、ローディング。仮面ライダーラグナロク”
変身をした後、数秒間二人は見つめ合う。その間にラグナロクは魔剣を腰の左辺りに、転移之渦を開き取り出し、自身の頭上の上を通り右側に移動させる。
両者は特に始まりの合図などは掛けずに同時に動き丁度ど真ん中の位置で魔剣と杖がぶつかる。
「おお!この短期間で前の戦いよりも格段に力を増したな!」
「まあ色々とあったんでな」
ラグナロクは絶対攻略でヴリトラを調べ上げる。
(やはりパワースピード共に数値が高いな。そもそもコイツには攻撃なんてしても意味がない。となれば)
“バニッシュ、ローディング”
「変身」
“仮面ライダーラグナロクWITHバニッシュ”
(ヴリトラもダメージを受けないとは言えノックバックは受ける。それでどちらが最初に潰れるか)
「勝負だ…」
ラグナロクとヴリトラはどちらが先に潰れるかの持久戦に打って出た。
☆ ☆ ☆
その頃、永倉はフレイヤたちが戦っているであろう場所に着いていた。
「神力は感じるけど、いったい何処に」
永倉は周囲に目をやる。すると建物の奥のほうから地鳴りが聞こえた。
「あっちか。変身」
“仮面ライダーエレボス”
永倉は変身し地鳴りが聞こえたほうに向かって走り出す。
☆ ☆ ☆
「美土里!一気に決めるぞ!」
“導軌ノ刻、光輝・大地}ノ聖刃”
フィアナ騎士団のうち二体を斃す。
「さて、四人の所に急ぐか」
「その前に巻き込まれた人たちの救出よ」
「確かに」
☆ ☆ ☆
フィアナ騎士団はみな剣を武器に戦う。その為フレイヤは然程問題なく戦えていたが、他の三人は極端な近接格闘やリーチの差がありすぎる為か少々苦戦を強いられているとこがあった。そんな時にエレボスが到着した。
「フィアナ騎士団か。数は四体」
鎌状武器アダマスを取り出し最初にアドラヌスと戦っている騎士団に斬り掛かる。
「おわっ!?な、永倉⁉︎何しに来たんだ!」
「別に君を助けに来た訳じゃない。廻に頼まれたから来ただけさ」
アダマスを振るい一瞬で一体を追い詰め、細切れにする。その速さにアドラヌスは呆然としながら「すげえ…」と呟く。エレボスはアドラヌスのほうを振り返る。
「これぐらい一瞬で斃せないようじゃ廻のことは守れない」
エレボスはそう言い二体目に向かって走り出す、その途中エレボスを二つの怪しい煙が襲い掛かって来る。
「な、なんだ?」
エレボスを襲い目の前に現れたのは先ほどアラマズド達により斃されたフィアナ騎士団だった。当然その場に居た仮面ライダー達は困惑していた。
(こいつら、何処から湧いてきたんだ…?)
フレイヤは煙が飛んできたと思われる方向に振り返る。
「もしかして、会長たちが斃した奴らなの…?」
「なら何でここにいるんだ?」
アドラヌスは疑問に思う。
(斃したはずの邪神がまだ生きている。こいつらは騎士団。そこから結論付けるのなら…)
「全員同時に斃す必要があるって事かな?」
エレボスの一言にその場の四人のみならず、フィアナ騎士団も驚きを隠せなかった。
「なかなかに鋭いですね。まあ分かったところでどうにもできないでしょうが」
騎士団の内の一人が言う。そしてまた一人が、
「貴方達は五人、ですが我々は八人です」
陰から更に二人メンバーが出てくる。
☆ ☆ ☆
「はあはあはあ…」
「はあはあはあ…。なかなかやるな、ラグナロク…」
バニッシュの力でダメージは入らないラグナロクと生来の能力でダメージが入らないヴリトラの戦いは終盤に差し掛かっていた。
「次の一撃で、決めさせてもらう」
“葬送ノ刻”
「ふん、いいだろう。来い!」
ヴリトラは自身の神力を身体に纏う。
“消滅ノ滅波”
消滅の力を纏ったラグナロクの拳とヴリトラの拳がぶつかり巨大な爆発が起こる。ラグナロクとヴリトラはお互い後ろに吹っ飛び、地面に転がる。
「くっ、」
「っ、どうやらお互いに消耗し切ったようだ。だが久方ぶりに楽しめたぞ、またいつか戦おう」
ヴリトラは満足げにその場から立ち去る。
「…今は月夜の所に急ぐか」
☆ ☆ ☆
「全員救えたかしら?」
「ああ、怪我人は全員白龍に運ばせた」
「じゃあ氷室達のもとに急ぐわよ。どうやらついさっき私達が斃した邪神が復活しているみたいだからね」
「騎士団だから同時に斃さなきゃならないとは、面倒な性質だな」
☆ ☆ ☆
「ああああああ〜〜〜もうっ!ぜっんぜんキリがない!」
「本当にな、特に苦戦してる訳じゃねえのにコッチがどんどん削られていくな」
フィアナ騎士団の性質、同時に全ての邪神を斃さなば終わらない戦い。だがそこに如何なる状況下であろうとも終幕を齎す終焉ノ神が現れた。
「廻…ヴリトラに勝ったの!?」
「いや、引き分けだ。相手はフィアナ騎士団か…?」
「うん、八体を同時に斃せなきゃならないんだ」
ラグナロクは「そうか」と返しながら絶対攻略を発動する。その二人の様子をイザナギたち四人はただ見ているだけでその場からは一歩も動けなかった。
(どうして?あれだけ会いたかったのに…)
(あれだけ、今直ぐにでも連れ戻したかったのに…)
(あれだけ淋しくて会ったら直ぐに抱きつきたいと思っていたのに…)
(((なんで身体が動かないの・んだ⁉︎)))
フレイヤもアドラヌスもナーイアスもそう頭の中で、心の中で葛藤に飲まれていた。だがルドラだけはその場の空気には飲まれずラグナロクのもとに歩み寄って行く。
「黒瀬…何か対抗策はあるのか?」
誰もが、ラグナロク本人も一瞬驚く様子を見せた。それもそうだろう、現在はこの二組は対立している状態。だがルドラは。
「俺は、俺達は仮面ライダーだ。イザナギが第一に優先すべき事は人々の命を、幸せを護る事だ」
イザナギの三人は顔を上げる。
「だからここは…」
「私情は挟まずに邪神を斃す事を最優先事項に、か」
「ああ、頼む」
ラグナロクは絶対攻略を完了させ完全錬成を発動する。
(今は俺と月夜を加えても6対8…。ならば人数を増やすまで…。完全錬成は何も無条件で宝珠を生成できる訳じゃない。自分が使った事のある宝珠であるかどうか、それか、生成する為に必要な力を自分が所持しているかどうか。今回はラクタヴィージャの血液を使い分身を可能にする力を生成する)
ラグナロクは右手の掌を上に掲げる。そこには紫色の神力が集まり結晶化し一つの宝珠が生まれる。
「よし。月夜、使え」
「え、僕が?いいの?」
ラグナロクは頷きながらチャームをエレボスの前に差し出す。エレボスは「ありがとう」と言いながら虐殺之宝珠を受け取る。
“ジェノサイド、ローディング”
「変身」
“It mows down countless enemies with its killing power.(数多の敵も、その殺戮の力で薙ぎ払う。)仮面ライダーエレボス”
「全員、闇に沈めてやるよ」
エレボスはジェノサイドの力を発動し、分身を二体召喚する。
「これで8対8だ」
勝利という希望が目に見えたからか、他三人は奮起しラグナロクに続き八人は横に並ぶ。
「行くぞ」
一人一体、邪神を相手にする。
「炎堂!先走るんじゃないよ!同時に斃す必要があるんだから!」
「わーてるよ、水崎こそ先走んなよ!」
どこか楽しそうな雰囲気を感じる二人。
エレボスは新たに手に入れたジェノサイドの力で騎士団を追い詰めていく。その力は絶大で圧倒的な殺戮の力を次々に発揮して行く。ジェノサイドによる分身の力を自身の振るうアダマスの斬撃の数の増加にも応用する。
「一気に決めるぞ、月夜」
「うん!」
“祓魔ノ刻・葬送ノ刻。終焉ノ一閃、虐殺ノ滅波”
「華々しく、散れ」
「闇に沈め」
☆ ☆ ☆
「こっちも決めるぞ」
「「「おう!」」」
“導軌ノ刻。疾風・冰麗・火炎・流水}ノ聖刃”
「私が、看取ってあげる」
「痛いのは風が吹くように一瞬だ」
各々の斬撃、打撃で同時にフィアナ騎士団を撲滅する。六人は変身を解除する。すると黒瀬は直ぐにその場から立ち去ろうとする、その背中を氷室は追いかけようとするが、涼風に止められた。氷室は「なんで?」と訊こうとする前に涼風が直ぐに理由を言う。
「一気に近づいてしまえばまた直ぐに離れられてしまう。だから、少しずつだ」
「…分かった。今は、我慢する」
「兎に角、今日はもう帰ろう」
「そうね、なんか今日はかなり疲れた」
☆ ☆ ☆
「あ、フィアナ騎士団の討伐が済んだみいよ」
「本当か?じゃあ帰るか」
二人はイザナギに帰って行く。
☆ ☆ ☆
黒瀬と永倉は河川敷を歩きながら帰っていた。
「廻、この力は僕が貰っていいの?」
「ああ、月夜は強化フォームが無かったからちょうど良いだろう」
「ありがとう」
永倉は黒瀬の左腕に抱きついてくる。だが黒瀬は特に何も指摘はしなかった。
☆ ☆ ☆
「会長、副会長、随分と帰りが遅かったですね。何処か行ってらしたんですか?」
涼風は朝日奈と草壁をイザナギで出迎える。
「少し二人で話していただけだ」
「それは…黒瀬のことをですか?」
涼風の予想を聞いて二年ズ三人は一斉に朝日奈のもとに駆け寄る。
「会長、今回と前の件で分かったはずです。黒瀬は私たちの敵ではありません!」
「そうですよ会長。黒瀬は今回も俺たちと一緒に戦ってくれました!」
水崎と炎堂は朝日奈に必死に訴える。朝日奈はため息を一つ吐き二人の一歩後ろに立つ氷室のほうに目を向ける。
「お前は何も言わないのか?」
「……言ったら、考えを変えてくれるんですか?」
「変えない。俺の中では黒瀬廻はすでに死刑対象だ」
朝日奈は円卓の席に座る。氷室は先ほどまで立っていた場所から朝日奈の目の前に移動して質問をする。
「それは、望月先輩の敵討ちをするためですか?」
「…いいや、例え黒瀬廻が雷牙を殺していなかったとしても、俺はいつか必ずアイツを殺していただろう。アイツは危険な存在だからな」
「随分と無理のある理由ですね。会長、貴方はやる気が無くても仕事においては私情を挟まずに合理的で真っ当な判断を下す人でした。でも今の貴方は明らかに私情を挟んでいます。望月先輩の仇を討つためにイザナギのルールを盾に黒瀬くんを殺す理由を無理やり作っているようにしか見えません!」
氷室は涙目になりながら朝日奈に対して真っ向から意見を述べる。
「俺が私情を挟んでいるだと…?ふざけたことを言うな!」
朝日奈は氷室の胸ぐらを掴み氷室を見下す。水崎は止めようと動こうとするがその動きを後ろに居た草壁に止められる。
「美土里さん…?」
「いざという時は私が止めるから、今はまだ動かないで」
水崎は草壁の言葉を信じてその場に立ち止まる。
「氷室、お前は俺に私情を挟んでいると言ったが、そう言うお前はどうなんだ?」
朝日奈に問いに氷室は顔色を変える。
「お前は確か黒瀬廻のことが好きなんだったよな?だから殺されたくないんだろ?だとしたらお前のほうが私情を挟んでいるんじゃないか?」
「それは…」
氷室は朝日奈から顔を逸らす。朝日奈は勝ち誇ったように笑い氷室から手を離し席に座り直す。正論をぶつけられた氷室は床に膝から崩れそうになるが、それを草壁が支え、水崎に託し朝日奈のもとに近づく。
「お前も俺に何か文句があるのか?さっき外で話したときは俺の意見に賛成だったろ?」
「……いいから少し付き合ってくれない?」
「少しだぞ…」
草壁と朝日奈はホールを出てどこかへ向かう。
☆ ☆ ☆
「月夜。今後のことなんだが、」
「うん…」
「今回ゾロアスターは邪神を個人ではなく集団のフィアナ騎士団を送ってきた。おそらく前回、ラドンを召喚したキルケーが奴らを呼び出したのだと俺は考えてる」
「どうしてそう思うの?」
「これまでだとゾロアスターは俺たちが斃した邪神を超強化を行い送ってきた。だが今回はまったく違う邪神を送ってきた」
「そうか、もしかしたらこれからは今まで見たことない邪神が出てくるかもしれないってことか」
「それか時間を掛けて更に超強化した邪神が来るかもしれないな」
「キルケーの言い残した通り、これからが始まりなんだね…」
「ああ、」
(今回の戦いで月夜は更に強くなった。俺も、さらなる強さを手に入れる)
黒瀬は左拳を強く握りしめる。
☆ ☆ ☆
「……煌成」
「なんだ?」
「このままじゃ氷室は完全に潰れてしまうわよ、なんであそこまで酷いことを言うの?」
「俺は、自分に歯向かう者は完膚なきまでに叩き潰さなきゃ気が済まないんだよ。俺がこんな性格なのはお前が一番よく知っているだろ?付き合ってんだし」
「……付き合ってるの意味が違うわよ」
付き合ってる=交際× 付き合ってる=付き添う○
「私は確かに黒瀬廻の処刑に関しては同意したわ。でもそれは氷室たち他の二年生の身の回りの安全を守るため。でも貴方はさっき氷室のことを傷付けた」
「だとしたらどうするんだ?」
「昼間に言ったけど、これ以上貴方の味方ではいられなくなるわよ」
(こいつの腹黒さを少し甘く見ていたわ…。煌成は氷室たちの身の回りの安全なんて何にも考えていなかった…)
「……分かったよ。氷室が立ち直ればいいんだろ?」
朝日奈は転移之渦から一つの宝珠を取り出す。
「なによ、それ、」
☆ ☆ ☆
「おいファフニール、フィアナ騎士団が殺られたみたいじゃねえか」
「そうみたいだな。だが大した問題ではない。殺られるのは想定の上だ」
「なら何のために送ったんだ?」
「超強化を行うためだ。奴らイザナギは勝利を重ねる度に自分たちの首を絞めているのだ」
「なるほど。つまり今回フィアナ騎士団はわざと斃されたってことか?」
「そういうことだ…」
(ジェノサイドとかいう力の誕生は想定外だったが…まあ今は様子を見るとするか…)
ファフニールは右手に槍状の武器を持ちながらアフリマンのもとに向かう。
「アフリマン様、今後はどのように致しますか?」
「今はこのままで良い。このまま我々ゾロアスターの戦力を増強していく」
「畏まりました」
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【仮面ライダーエレボスに関する現在公開可能な情報】
『虐殺之宝珠』
身長200cm 体重95kg パンチ力50t キック力85t ジャンプ力65m(ひとっ飛び)走力2.4秒(100m)
必殺技 虐殺ノ滅波
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次回予告
ラグナロク側は新たな力を手にして戦力を増強させた。それに対してイザナギは数少ないながらもこれまでのラグナロクの行動を見て朝日奈と草壁は黒瀬に対しての見方を変える。その頃ゾロアスターは自分たちの戦力の拡大を進めていた。
第21話:超強化
仮面ライダーラグナロク第20話『集団殺戮』を読んで頂きありがとうございます。柊叶です。今回はエレボス専用、的な立ち位置のフォームの回でしたが、皆さん集団殺戮と書いてジェノサイドと読みますよ。はい、もともとはフィアナ騎士団が一般市民を集団殺戮してことに対してラグナロクがガチギレする予定だったのですが、私の母がそれをニチ朝でやるの?と問い詰められたので、当て字を振ると共に脚本のほうも変更をしました。
そして次回は超強化と書いてフォシュタークですが、今後いったいどのような展開になるのか楽しみにして頂けたら嬉しいです。それではまた21話でお会いしましょう。
柊叶




