第2話 『疾駆のヘルメース』
~前回の仮面ライダーラグナロクは~
何も面白いことがなく人生そのものに飽き飽きしていた黒瀬廻がいつも通り家に帰っているとヴァルハラと名乗る謎の式神に出会いラグナロクと呼ばれる力を受け継げと言われた黒瀬は好奇心にかられて流れるままに受け継ぎ見事にモルペウスを倒し華々しい初陣を迎えた二代目ラグナロク。
この先彼、黒瀬廻に待ち構えている運命は如何に
登場人物
【主人公サイド】
黒瀬 廻:変わり映えの無い日常に飽き飽きしていたが、希愛やヴァルハラに出会ってから何かが変わる。
氷室希愛:突如、黒瀬たちのいる玉帝学園に転入して来た美女。仮面ライダーの存在を知っている様子。
炎堂武尊:クラス委員長をしている理性ある熱血バカ
水崎シズク:黒瀬の学年の姐さん的存在
ヴァルハラ:初代ラグナロクの相棒。
鳴上雷牙:玉帝学園3年生。生徒会の副会長
涼風 颯:2年生、生徒会の会計
ーーーーーーーーーー
「・・・まあ良いだろ。まず奴らはゾロアスターという邪神の組織を組んでいる。そのゾロアスターのボスがアンラ・マンユことアフリマンだ」
「アフリマン、絶対悪とまで評されるアイツが、ラスボス、」
黒瀬がそう言うと、ヴァルハラは急に黙りこくった。
「急に黙って、どうした?」
「お前が今日、モルペウスと対峙し、戦っているときにも思ったのだが、黒瀬廻よ、お前は何故そんなにも神話に詳しいのだ?」
「・・・そんなこと気にしてたのか?単純だよ。俺はただ本を読むのが好きで、神話とかも時々読むんだよ」
(俺が言っていることは本当だ。何度も言うが、俺はこの何も変わらない日常に退屈してたので現実逃避も兼ねて神話に手を出したのだ。そして気がつけばオタクと言って良いほどに神話を極めていたのだ)
「なるほどな、まあそれは置いといて続きだが、邪神どもの目的はこの世に存在する善神を完全に滅ぼし自分たち邪神の世界を築くこと。だがこの三千年の間は善神側が勝っていたため世は平穏を保たれてきた」
「善神って奴らが居るのか。その善神たちも何か組織があるのか?」
黒瀬は邪神側がゾロアスターという組織を組んでいるため善神側にも何かあるのではと思いそのことについてもヴァルハラに聞いた。
「察しが良いな。お前の言う通り善神側にも組織はある。その名を『イザナギ』と呼ぶ」
「イザナギ、日本を創った神様の名前か」
「ああ、そして今現在その組織にはお前の他に2人の神、つまり仮面ライダーが所属している。まあ、あと3人ほど修行中の者がいるがな」
(俺以外にも仮面ライダーが存在していているのか。となると実力で考えれば確実に俺は負けるな。戦闘経験はまだ無いとしても、神力の使い方などの細かいところの技術力で言えば俺より上だろうしな)
「神の力は他にどんなのがあるんだ?」
「もし増えたり減ったりしていなければ、火、水、風、雷、氷、土、光、闇だな。だが確か今は火と水は継承者がまだ決まっておらず空白のはずじゃな」
「なるほどな。ヴァルハラ、他には、」
黒瀬が他にも聞こうとしたら下から母が声を掛けた。
「廻くーん、夕飯の用意が出来たわよー」
「話の続きは明日でも良いじゃろ、今日はサッサと食べて寝てしまえ」
「確かに、俺もう既に眠いし今日はもういいか」
黒瀬は階段を降りようとすると突然止まりヴァルハラのほうに顔を向けた。
「てか、気になったんだけどよ。お前って何か食べなきゃいけないのか?」
「いや別にそんなことはないが、三千年生きてきた中で気に入った食い物はあるな。リンゴとかな」
禁断の果実繋がりか?と黒瀬は思ったが言葉を飲み込んだ。
「別にアダムとイブ繋がりではないからな」
「あ、伝わっちゃったか」
黒瀬は一階のリビングに行き、夕飯を食べて寝る準備をして一日を終えた。
☆ ☆ ☆
次の日、朝の支度を整えて黒瀬は家を出た。登校中いつもより周りの生徒たちの騒がしさが増してるなと感じていた。
「なんだかいつもより騒がしいな」
「確かに。普段と比べると、ながらスマホをしている者が多いな」
「ヴァルハラって俺に会うまで暇だったんだな。ながらスマホしてる人数が違うのを分かるとか。あ、学校では話掛けないでくれよ」
黒瀬はヴァルハラにそう言って校舎に入り教室に着くと珍しいことにクラスメイトの全員が小テスト前の自習をせずにスマホを見ていた。黒瀬は席に着くと、さすがに気になったので炎堂が話しかけた。
「なあ炎堂、今日はなんで皆スマホを見てんだ?」
「何だ黒瀬知らないのか?謎の仮面の戦士についてだよ。今朝はニュースにもなってたぐらいに話題だぞ」
黒瀬は何のことか分からずにいると水崎が自分のスマホを見せてきた。
「これよ、これ。突如現れた謎の怪人を撃退した仮面の戦士。この怪人が出たのって黒瀬の家の近く図書館でしょ?」
見てみると、そこに写っていたのは紛れもなく仮面ライダーラグナロク、自分の姿だった。バレるわけにはいかないので黒瀬は平然な態度をすぐに作った。
「昨日はウチの近所にこんなのが居たのか。知らなかったな」
「アンタねー。前から思っていたけど自分のことに興味無さすぎじゃない?」
「姐さん酷すぎないか?」
黒瀬と炎堂と水崎の三人がラグナロクのことを話題にしていると横に座っていた氷室が口を開いた。
「私、会ってみたい。この仮面の戦士に」
そう氷室が言うと水崎は驚き、何故なのかを尋ねた。
「え?希愛、どうして?」
「だってこの方は私たちの居るこの地域のどこかに居るんだよね?会えるなら会ってみたくない?」
(氷室って、意外にも好奇心旺盛なタイプなんだな。昨日は、ただの神話好きな人にしか見えなかったけど、いや神話好きな時点で好奇心旺盛なやつか。てかいつの間に炎堂と姐さんにもタメ口なのか。さすがのコミュ力だな)
黒瀬は自分の中で答えを出して心を落ち着かせた。すると水崎が、
「まあ確かに言われてみればそうだよね。私も気になるし会ってみたいかも」
(姐さーーーん?)
「俺も会ってみたいな。運動神経で勝負してみたい」
(変身後なら俺の圧勝だよ)
「「「黒瀬“くん”はどう思う」」」
(一斉に聞いてくるのかよ)
「俺は、会えても会えなくてもどっちでもいいかな。だってその人は怪人と戦ってるんだろ?巻き込まれでもしたら危ないしな」
黒瀬は、こう言うことで三人をラグナロクの存在から遠ざけようと考えた。
「それもそうかもねー。でもこの人のことも気になるけど、謎の怪人のほうも謎よねー。なんで突然こんなのが現れたのかしら」
炎堂と氷室は水崎の言葉に確かにと頷いていると担任が入ってきたのでとりあえず三人はスマホをしまい席に着いた。
「ヤベェな・・」
黒瀬は小声で言ったつもりだった。だから隣の席の氷室がコチラを見ていることには一切気がついていなかった。昼休みになると生徒たちは全員一気に食堂に走って行った。
「ようやく昼休みだな。今日も四人で食べるか」
「そうだね、ああ~疲れた~。黒瀬ー、希愛ー、早く行こー」
「ちょっとシズク待って、」
「ああ今行く・・」
黒瀬は早く三人のところに行こうと思った、その時ヴァルハラが耳元で囁いた。
「黒瀬廻、邪神が現れたぞ」
「・・・わるい今日は三人で食べてくれるか?」
「なんだ黒瀬、気になる本でも見つけてたのか?」
「ああ、悪いな本当に」
(炎堂の素直さは本当に助かるな、炎堂が言えば大半のやつはそうだと思ってくれるし)
「そっかあ、じゃあ行ってるね」
「黒瀬くん、じゃあまた五時間目に」
黒瀬は三人が行ったのを確認すると、すぐに屋上に走って行った。
「ヴァルハラ。場所はどこだ?まさかとは思うがあの煙が上がってる、」
「最悪なことに既に派手に暴れておるな」
「そうか、」
“宿命之帯”ラグナロク、ローディング”
「変身」
“The fate of death and destruction of the gods”(神々の死と滅亡の運命)
「ラグナロクの力を使えばワープホールを開ける。行く先をイメージして円を描いてみろ」
「そんなことが出来んのか、よしイメージな」
(行く先はいつも下校途中に通る商店街だ。イメージ、イメージ、)
「開いた!」
ワープホールこと転移之渦を潜るとイメージした場所に移動ができた。
「派手に暴れてるな。おいそこのお前、用があるのは俺か?」
「んんー?おー貴様がラグナロクか、我はテュール。貴様を消しに来た」
(テュール、北欧神話に出てくる軍神か)
軍神テュールの姿はその名から察せるに銀色の鎧のような物で身体全体が覆われていて武器として剣を所持しており、左腕のところに盾のような皿がくっ付いている。
「そうか、だが悪いな。簡単に殺られる気はねぇよ」
ラグナロクは攻撃を仕掛けるとテュールは焦る様子を一切見せずに攻撃を全て受け止めていた。それも一つのダメージを喰らわずに。不思議に感じたのでラグナロクは一旦距離を置きダーインスレイヴを出して思考回路をフル回転にした。
(攻撃が通じている感じがしない。何でだ?ダーインスレイヴも効かないとなれば、打つ手が無くなるな。頼むから効いてくれよ)
しかし残念なことにいくら攻撃をしてもダメージはおろか傷一つすら着く気配はなかった。それを目にしたラグナロクは背筋が凍った。
「コレが、テュール・・・。軍神と言われるだけあって流石の硬さだな、」
「ふっふっふっ、ラグナロクの力はこんなものか。そんな柔な攻撃では我には傷一つ着かんぞ。手札は尽きたようだな。なら次は我の番だ」
テュールは自身の剣を一振りした後に動き出した。
「はアッ!」
ラグナロクはコイツの剣を受け止めようとしたが、それは一切意味をなさずダーインスレイヴは吹き飛ばされてしまった。
「くっ⁉︎」
「フハハハハハ!手を超えて腕まで痺れが走り上手く動かせぬだろう?安心しろコレで楽にしてやるわ!」
テュールは何の迷いもなく剣を右から左に、斜めに振り下ろした。それはラグナロクの左肩にドンピシャに入りラグナロクはその場に膝から崩れ落ちてしまった。
「ぐっ、は、」
「無駄に耐えるか、。ただ苦しみが続くだけだ」
テュールは剣を上げて再び振り落とした。ラグナロクは既に避ける気力すら失っていたため彼は心の中で諦め掛けた、その時、テュールの攻撃を止めたのはヴァルハラだった。
「ぬっ?これは防御魔法か?」
「悪いが一旦退かせてもらうぞ」
「ぬあっ⁉︎」
ヴァルハラは防御魔法で攻撃を止めたあとに、衝撃波をテュールに向かって放ち、吹っ飛ばした。
「ぐあアァァァァ!!」
「黒瀬廻、ブロードを開け!」
「ああ、わかった、」
ラグナロクは転移之渦を開き、一時撤退した。
「逃げたか、まあ良い、次は確実に仕留めてくれる」
テュールはヴァルハラからの攻撃が多少効いていたためその場から引いた。
~屋上~
「ハァハァハァ・・・」
黒瀬は変身を解除したと同時にその場に仰向けで倒れた。
「あー・・。テュールのヤツ頑丈過ぎだろ。攻撃が一つも通じない」
「うむ、我も予想外であったわ」
テュールのヤツ明らかに三千年前より強くなっていたような。二発でやられた故か、さすがの黒瀬も一言も発さぬな。
ヴァルハラは黒瀬のことを憐みと同情の眼で見ていると黒瀬は、
「どうやって倒すかなぁ」
「・・・1ミリたりとも怯えとらんか、てっきりトラウマになったかと思っていたのだがな」
「確かにそうだな。俺も相手を舐めてた。あっさりとモルペウスを倒せたからって少し調子に乗ってた。少し対策を考えないとなあ」
黒瀬はそう言うと立ち上がり図書室の隣にある空き教室に行き、お昼にした。
「なあヴァルハラ、テュールの特徴とかは何か知らねぇのか?」
「テュールか、コレと言ったものはすぐには出ぬな。強いて言うならヤツはパワーを重視するあまりスピードが無い、ぐらいかの」
「スピードか・・。なあヴァルハラ、ラグナロクには他に使える力は無いのか?」
そう聞くとヴァルハラは「無い」と言い切った。だがそのときヴァルハラは黒瀬には聞こえないほどの声量で「今はな」と呟いていた。
「元々はあったのだがな、三千年前、初代の消滅と共に全て消えたな」
「マジかよ、って、もうそろそろ時間だな。戻るか」
黒瀬は弁当を片付けて教室に急いで走った。
「お、黒瀬、遅かったな」
教室に入ると炎堂がすぐに出迎えてきた。
「つい読み込んじゃってな。まあ間に合ったし良いだろ?」
「まあ、授業開始5分前だし許しましょうかね」
「姐さん、それって1分でも遅れてたら?」
「んー、どうだろうねー」
水崎は笑顔を貼り付けてこちらを見てきた。
「シズク、なんか怖いよ?」
「大丈夫だよ。希愛に言ってるわけじゃないからさ」
それを聞いた希愛は、ほっとしたのか胸を撫で下ろした。
「なあ姐さん、朝から思ってたんだけど、いつの間に二人は名前で呼び合ってるよな。仲良くなるの早くね?」
「そりゃあもちろん。ようやく我がグループに女子が来たんだもん」
水崎は嬉しさが頂点に達したのか氷室に抱きついた。
「ちょっ、シズク苦しいよ⁉︎」
(姐さん、氷室が転入してくるまでは男二人で嫌だったんだな)
「ははは!水崎と氷室は仲が良いなあ!」
(相変わらず純粋というか真っ直ぐというか、炎堂は目の前の状況だけを受け取るだけだ
な)
「・・・」
「黒瀬くん大丈夫?急に静かになってるけど?」
氷室は水崎に絡まれながら、黙ってコチラを見ている黒瀬が気になり問いかけた。
「ん?ああ、いや、ただ何だか微笑ましいなって思っただけ」
「黒瀬アンタ、、成長したわね~。アンタがそんな感情を持つようになったなんて。ヨシ
ヨシしてあげる」
「いや、やめろ。もうすぐ授業だろ?」
そう言うと水崎は「こうゆう時ぐらい受け入れなさい」と無理矢理撫でられた。
☆ ☆ ☆
午後の授業が全て終わると、生徒たちは各々の部活動に行ったり、無い者は図書室や自習室に行ったりしていた。ちなみに黒瀬はバドミントン部に所属しているので今日は部活がある日だ。炎堂と水崎もバド部がメイン、というよりかは黒瀬が一人ぼっちにならないようにとメインにしているのだ。そして今日は氷室がバド部に入部したので、今現在、部員全員に自己紹介中だ。
「昨日この玉帝学園に転校して来ました。氷室希愛です。よろしくお願いします」
氷室が自己紹介をすると周りにいる先輩や後輩たちはザワザワしだした。聞いてみると「可愛いな」とか「キレイ~」とかなどと予想通りの反応をしていた。黒瀬と炎堂は受け入れられて?良かったなという目で見ていたのだが、水崎は違った。
「希愛に手ェ出したら絶対に消す・・」
「怖えよ姐さん」
「水崎、落ち着け」
水崎の言動を聞いて背筋が凍った二人は宥めるように水崎を落ち着かせた。
「だって今、希愛が自己紹介してる時の周りの反応はアンタらも見たし聞いたでしょ?可愛いとかキレイは分かるよ。当然の反応だと思うよ。でもあの卑らしい顔は見過ごせないね。抹殺対象」
水崎はもはや氷室の母親かの様な立場に立っていた。すると炎堂が、
「うーむ、水崎の意見は理解できるが抹殺は許してやれ。誰だって美男美女を見れば、不思議にもニヤけてしまうものだろ?」
「・・・」
(さすがは炎堂、曇りなき眼で姐さんに意見しやがった。俺には出来ねえ。姐さんも黙りきってんな。これは蹴りが来るまで5秒前、)
「イタッ⁉︎何をするんだ水崎⁉︎」
「なんかイラッときたからかな?」
(やっぱりか、まあ炎堂に諭されたら、なんかイラつくよな)
黒瀬たち三人が話していると、氷室がこちらに走って来た。
「三人とも、今何をしてたの?」
どうやら氷室は黒瀬たち三人が群がっていたのが気になったらしく急いで来たようだ。
「何を話してたか?んーと、希愛に手ェ出すヤツは何人たりとも許さないっていう話かなあ。大体合ってるよね?」
「まあ大体合っているな。合ってるよな、黒瀬?」
「俺にも確認を取るのかよ、。合ってるよ」
「シズクも怖いけど、二人も怖いよ。何でそんな落ち着いてるの?」
しばらくすると顧問の高岩先生が指示を出した。
「よーし、じゃあ今日は走ったあとに体操、そしてラダーをやったあとにドライブ練習、ヘアピン、ドロップ、そしてスマッシュをやったらシングル最後にダブルスだ。それじゃあ練習始め!」
「「「お願いしまーす!」」」
男女で別れて6面コートの周りを走る態勢に全員がつきおわると、部員の一人が5分間に設定したタイマーのスタートを押した。
走り始めると、水崎は氷室に話しかけていた。
「ねえ希愛、バド部に入部したのは私たちがいるから?」
「うん、それもあるんだけど私、元々前の学校でもバド部だったんだ」
「そうなんだ、じゃあ結構実力があるのかなあ?」
水崎は揶揄い口調を混ぜながら問いかけた。すると氷室は当然かの様に言った。
「もちろん、私けっこう強いよ」
「言ったなあー、絶対に倒すからね」
水崎は笑いながら氷室の頭を撫でた。当然その行動は男子のほうからも見えていた。
「姐さんと氷室は走りながら何をやってんだ?」
「水崎が氷室の頭を撫でているように見えるな。はは、微笑ましいな」
タイマーが残り1分になると各々個人で走り出した。先頭では炎堂と水崎がトップの争いをしているようだった。一人で走っていると後ろから氷室が来た。
「黒瀬くん」
「ん?氷室か。どうした?」
「このあと体操でしょ、でも私まだ順番とかが分からないから隣は知ってる人が良いなぁと思ってたんだけど、シズクが先に行っちゃったからさ」
「ああ、なるほど、」
炎堂と水崎は何故か張り合うからな、
「じゃあ一緒に体操しようか」
「ありがとう、黒瀬くん」
タイマーが鳴ると部員全員が円になり体操を始めた。するとその最中、氷室は黒瀬に質問をしてきた。
「ねえ黒瀬くん。聞きたいことがあるんだけどいいかな?」
「聞きたいこと?ああ良いけど。どうしたんだ?」
「いま話題になってる仮面の戦士の正体って知ってたりする?」
黒瀬は驚いた。氷室には既にバレているのではと思った。
(いやいや、そんなはずは無いよな。俺は氷室と別れたあと家に帰っているなか山の中でヴァルハラに出会い、そこで力を継承したんだ。どう考えても氷室に見られるような隙などなかったはずだ)
「知らないな。俺はまずその仮面の戦士ってヤツを見てないし、そもそも俺はその時には既に家にいたと思うよ」
「そっか。ごめんね、変なこと聞いて」
「いや、気にしなくていいよ」
(これはバレてるのか?だとしたら一体いつ、)
体操が終わると、部長が指示を出した。
「次はラダーだ。一年生!準備を!」
一年生は直ぐにラダーを六つ用意し、並べて部員は一年、二年、三年、そしてそこから二組に別れてラダー練習は始まった。黒瀬は自分の番が来るまで待っていると後ろから炎堂が、
「なあ黒瀬、お前もしかして人見知りが治ったのか?」
「あ?なんでそう思うんだ?」
「まだ会って二日目なのに、さっきの体操のとき普通に氷室と話をしてただろ?」
「別に俺だって人と話はするわ」
(氷室はなんだか、話してると落ち着くっていうか、何なんだろうな)
少し考えすぎていたのか、黒瀬はボーッとしていて周りの音が聞こえず、炎堂に肩を叩かれてハッとした。
「黒瀬、お前の番だぞ」
「え、ああ、わるい」
(わざわざ悩むことでもないか)
いつも通りラダーをこなして、ドライブ練習をし、ヘアピン、ドロップ、スマッシュを終えて、いよいよシングル戦になった。黒瀬はこのバド部内で実力はかなり高いほうなので、基本的に運動神経の高い炎堂と組んでいる。
「黒瀬、実力は落ちていないよな?先週の土日はお前部活に来ていないらしいが、」
「どっから聞いたんだよ。落ちてないから気にせず打ってこい」
そう言っていつも通り炎堂とかるく打ち合いを始め慣れてきたら少しギアを上げて激しいドライブが続いた。
「なあ炎堂、少し右を見てみろ。スゲェ光景だぞ」
「ん?おお、水崎と氷室か。氷室もバドミントンが得意なんだな」
「前の学校でもバド部だったらしいからな」
(そういや俺、氷室が前いた学校とか、アイツのこと何も知らないな)
「試合に集中してくれ黒瀬~。いまそっちにシャトル落ちてるから」
そのあとシングルを三十分ほど行い、ダブルスに移った。すると高岩先生が部員全員に報告があると言ったので全員、先生のもとに集合した。
「えー、実はな、今年からバドミントンの大会にミックスダブルスが追加されました。なのでこれからは練習の中に、ミックスも含めなくてはならない。とは言っても時間が限られているなかでやらなくちゃいけないので、男子女子のダブルスから各一組を選抜したいと思うのだが、やりたい者はいるか?推薦でも良いぞ?」
先生がそう言うと、部員はみな静かになってしまった。すると各男女の部長が、
「先生、俺的には男子からは炎堂と黒瀬のペアが良いと思います」
「ウチからは水崎と氷室のペアで良いと思います。今日見た感じでも連携が取れていたので」
「そうか、お前ら四人はそれでも良いか?」
先生は部長の二人から意見を聞くと黒瀬たちに合意かどうかを質問してきた。みな、どうしたものかと少し考えていると炎堂がいつもの如く先陣を切った。
「初めて行われるミックスダブルスに選ばれるとは光栄の至り。俺はOKです」
そう言うと水崎と氷室も続いた。
「まあ炎堂がそう言うなら私も良いですよ」
「来たばっかの私でも良いなら引き受けます」
この三人が良いと言ってしまったら黒瀬には断る理由はなかった。
「俺も大丈夫です」
「四人ともOKか、誰が誰と組むかは自分たちで決めてくれ。じゃあ練習再開!」
すぐに話が決まり解散すると、俺たちは壁の隅に移動した。仕切る者は当然のように炎堂だ。
「さて、誰がってことになるけども、ほぼ決まったようなものだよな」
「そうね、私が炎堂と組んで、黒瀬と希愛よね」
「まあそうなるよな。炎堂が攻めて姐さんがカバー。こっちはその逆。安定したペアのが良いよな」
黒瀬が簡単に配役を言うと氷室は黒瀬の肩を叩いて声を掛けた。
「ねえ黒瀬くん。私たちのペアは黒瀬くんが攻めるんじゃないの?」
「ん?いや、さっき氷室のシングルスを見てた感じ氷室のが俺よりスマッシュやドロップの使い分けが上手かったんだよな。あとこれは俺の私情だけど俺は元々炎堂と組んでたからサポートのが得意なんだよな」
理由を聞くと氷室は「おお~」と感心したような表情を見せた。
「黒瀬くん凄いね。あの短時間でそんなこと思ってたなんて」
「黒瀬は観察が得意だからね。お陰で私たちは基本的に負けなしなの」
水崎はそう自慢げに言った。
その後少しミックスダブルスの練習を四人で行い今日の部活は終了した。
〜〜〜〜〜
「注目、礼!ありがとうございました!」
「「「ありがとうございました!」」」
部長が号令を掛けて顧問に挨拶をすると各々のグループで皆んな家に帰って行った。黒瀬と氷室は2人に「また明日」と言って家に足を運んだ。しばらく歩いて氷室と別れたあと少し開けたところに移動した。そして周りをよく見てからドライバーを装着した。
「居るんだろ?テュール」
黒瀬は数本ある柱の一本に向けて言い放った。すると後ろからテュールが姿を見せた。
「バレていたか」
「わざわざ俺が一人になるまで待っているとはな。人がいた方がおまえには有利だろ」
「貴様が本気を出せる状況下で倒した方が我の強さを証明出来るというものだろう」
「なるほど・・」
宝珠を右手に持ちながらテュールを睨みつけた。テュールは剣を構えた。
「昼間は逃したが、次は無いぞ」
「次が無いのはお前だ」
“ローディング”
「変身」
“仮面ライダーラグナロク”“ダーインスレイヴ”
両者は再びぶつかった。ラグナロクは昼間での戦闘で得た経験をもとに戦い方を変えた。まともに剣を受け止めればまた吹っ飛ばされるので、攻撃を受け流しながらカウンターを狙っていた。
「くっ!」
「先刻よりは多少マシになったな。だが我には勝てんぞ!」
テュールは自身の剣に神力を溜めて斬撃型のエネルギーを放ってきた。
「ハアァァァ!!!」
(これをまともに受ければ・・。いや避ければ後ろの建物とかに被害が・・)
「仕方ない!」
ラグナロクは剣に宝珠を刺して必殺斬りを盾に代用した。
“終焉ノ一閃”
「うおオォォォ!‼︎‼︎」
ラグナロクは攻撃を上空に飛ばした。
「ハァハァハァ・・」
(三千年前にいた初代ラグナロクなら、テュールごときに苦戦なんてしないんだろうな。今の俺じゃあラグナロクの力を全て発揮しきれない。だから俺は、)
「いま出せる全力で・・お前を葬る・・」
「!?」
(神力が増加した?いや、此奴の感情が、戦闘欲のようなものがトリガーとなって、ラグナロクの力が少し戻ったのか。だがまだ・・・)
「行くぞ、テュール」
ラグナロクは先ほどよりも明らかに速いスピードと重い剣撃を見せた。だがテュールは再びエネルギーの斬撃を回りながら放ったためラグナロクは直に攻撃を喰らいその場に倒れた。
「ハァハァハァ、」
「いいスピードにいい攻撃だった。だがお前はまだラグナロクの全力を出せていない。故に我には勝てない」
「・・・そんなこと、俺が一番理解してるさ、」
ラグナロクは剣を杖のように地面に突きながらフラフラの状態で立ち上がった。すると何かが右肩に当たった。右下に視線を送ると何かが落ちていた。
「ん?なんだコレは?どこから、」
ラグナロクが手にしたのは終焉之宝珠によく似ているものだった。飛んできた方を見るとそこには見慣れた姿があった。
「氷室・・?」
「使って」
「は?」
「それは迅速之宝珠。早く」
「ヘルメース・・。なるほど、ありがたく使わせてもらう」
“ヘルメース” “ローディング”
「ヘルメース、力を貸せ」
“The name of the god who gained fame through speed is...(速さを力に名声を高めた神の名は…)
“仮面ライダーラグナロク”“WITH hermes”
「なんだその姿は?」
「ヘルメース、ギリシャ神話の中で最速とも評される神の力だな」
ラグナロクは剣を構えるとともに走る態勢を作った次の瞬間、ラグナロクはその場から姿を消していた。
「!?どこに消えっ、ぐはっ⁉︎」
テュールは目の前から消えたラグナロクに混乱していると、なぜか腹部に痛みを感じた。その次には背中、右肩、左肩などとありとあらゆる箇所にまるで斬撃のようなものが続いた。
「まさか貴様ァ、」
「そうさテュール、気づいたか。俺はいまお前の周りを走り続けている。お前の眼では決して追えないスピードでな」
「そうか。ならばまた、なっ⁉︎」
ラグナロクはテュールがまた回転斬りをするのを読み、それよりも先にテュールから剣を奪った、というよりも弾き飛ばした。
「貴様アァァ‼︎」
「悪いが、これで終わりだ。はっ!」
ラグナロクはとてつもないスピードでテュールを斬り刻みはじめた。何百何千回とも言える斬撃を。するとテュールの体の一部が欠損した。
「なに⁉︎」
テュールがさらに混乱している最中、ラグナロクはその隙を見逃さず、ダーインスレイヴにヘルメースチャームを装填した。
“祓魔ノ刻”
「華々しく散れ」
“迅速ノ一閃”
ラグナロクは欠損した一部を的確に貫き、テュールはその場で爆散した。
「おのれラグナロクゥゥゥーー‼︎‼︎」
ラグナロクは剣を一振りしてホログラムの巻物にしまい変身を解除した。
「はーっ。疲れたな」
「まあよく倒せたな」
「って、ヴァルハラ!お前どこに行ってたんだよ」
「お前が学校内では話しかけるなというから、そこらを探索してたのだよ」
不機嫌そうにヴァルハラは答えた。
「そうかよ、悪かったな。てかそれより、そこに氷室が居んだけど」
「ああ、お前に迅速之宝珠を渡したやつか。おいそこの娘、我が見えておるのだろ?コッチに来たらどうだ?」
「・・・貴方がヴァルハラさんですね。初めまして氷室希愛と言います」
少しかしこまった態度で氷室はコッチに歩いてきた。
「我が見えてるということは貴様は神力の使い手、そしてイザナギの人間だな?」
「さすがですね。なら話は早いです。黒瀬くん、ヴァルハラさん少し着いてきてください」
黒瀬とヴァルハラはとりあえず言われるがままに氷室について行った。するとまさかの案内された場所は玉帝学園だった。
〜〜〜〜〜
「ここだよ」
「ここって理事長室か?」
2人は理事長室に案内され中に入った。
「ここに手を翳してくれる?」
理事長の机の上にある右側の小箪笥を氷室は指さして言った。言われた通りにすると氷室は左側の方の小箪笥に手を翳した。すると床に青銀色の魔法陣のようなものが展開して3人は謎の輝きに包まれた。
「何が起きたんだ。って、ここは、」
目を開けると黒瀬は謎の部屋に居た。驚いて呆然としていると氷室は説明を始めた。
「ここは我々善神たちが対ゾロアスターの為に作られた基地みたいな場所なの。名は『イザナギ』。ヴァルハラさんから聞いてない?」
「ああ聞いたよ。まさか学園の理事長室から移動するとは思わなかったけどな」
「移動と言っても違う場所に来たわけじゃないよ」
予想もしなかった返事が返ってきたので黒瀬は「え?」と間抜けな顔をしてしまい氷室はかるく笑った。
「黒瀬くんもそうゆう顔するんだ。気になるだろうから説明するね」
「ああ頼む」
「まず私たちが今いるこの場所は学園の真下にあるの。理由はこの学園の庭が人工的に四神相応の地になってるのいるから。その為ここは神力が集中しやすいの。まあ理事長が故意的に設計したんだけどね」
「故意的にって、つまり理事長もイザナギの人間ってことか?」
「察しがいいね」と言って説明を続けた。
「そして今現在この世に存在する仮面ライダーは5人いるの。実を言うと玉帝学園の生徒会メンバーなの。会長と副会長二人と会計、そして黒瀬くん」
マジかよ・・。という表情をしていると、この部屋にあるなかの一つの扉が開き2人の男が入ってきた。それは先ほど氷室から聞いたなかの二人だった。
「君か、噂の仮面ライダーは。凄いね。これからもよろしく頼むよ」
「鳴上さん、俺はまだ認めてませんからね」
(認めてない?何をだ?)
「颯は真面目過ぎなんだよ。良いじゃんか、戦ってくれるなら何でも」
(戦ってくれるなら何でも?)
「あの何の話ですか?認めてないとか、戦ってくれるなら、とか」
「ああ、知らないのかい?実は君が使っている力は神のものではなくてね。うちの組織では君の存在は非常に危険視されるものなんだよ」
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【仮面ライダーラグナロクに関する現在公開可能な情報】
『迅速之宝珠』
身長200㎝ 体重93㎏ パンチ力9t キック力33t ジャンプ力35m(ひとっ飛び)走力0.8秒(100m)
必殺技 迅速ノ一閃
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次回予告
ラグナロクの力は神様のものではないと玉帝学園生徒会、副会長の一人である望月雷牙から告げられた黒瀬廻。そのため生徒会、会計の涼風颯からは常に嫌悪の眼で見られてしまう。認められようとは思わないが、馬鹿にされるのは気に食わない黒瀬は見返してやろうと新たに現れた敵を倒そうと奮闘するが、。
第3話:アポロンとアルテミス
日頃から仮面ライダーラグナロクをご愛読いただきありがとうございます、柊叶です。今回はスピードフォームが登場したわけですが、皆さんはスピードフォームは好きですか?僕は大好きです!スピードはロマンの塊。スピードが自分より格上の存在に勝ったときにはそりゃあ興奮します。今後もそんな展開を頑張ってできる範囲で書いていこうと思います。今後も引き続き宜しくお願いします。
柊叶




