第18話 『深まる確執』
〜前回の仮面ライダーラグナロク〜
海外出張に行っていた朝日奈と草壁が帰って来たことでイザナギに在籍している戦力が日本に集結した。一度二人の力に追い詰められた黒瀬は光とは相反する力を持つ永倉月夜によって救われる。この事でラグナロクVSイザナギVSゾロアスターの三つ巴が出来上がった。
【ラグナロクサイド】
黒瀬 廻:仮面ライダーラグナロク。絶対攻略11月18日
永倉月夜:仮面ライダーエレボス。深淵暗底9月14日
木花咲耶:ヴァルハラ
【イザナギ】
氷室希愛:仮面ライダーフレイヤ。心体凍結12月18日
炎堂武尊:仮面ライダーアドラヌス。情熱調整8月9日
水崎シズク:仮面ライダーナーイアス。躱避如水6月24日
涼風 颯:仮面ライダールドラ。病源旋風7月14日
鳴上雷牙:仮面ライダーインドラ。雷電転送。2月12日 故人
草壁美土里:仮面ライダーヨルズ。重力強制7月27日
朝日奈煌成:仮面ライダーアラマズド。天啓未来4月21日
天智光花:代々イザナギに仕え、天使を使い邪神の索敵を行っている。10月4日
【ゾロアスター】
アンラ・マンユ:ゾロアスターの頂点にして絶対悪。通称アフリマン
ヴリトラ:蛇を操る武闘家
ビアー:執着気質な格闘家
ファフニール:龍に変化する策略家
キルケー:全てを操る調教家
ーーーーーーーーーー
〜ゾロアスター〜
「退屈だ…退屈だぞファフニール!!」
「声を荒げるなヴリトラ。暇ならそこらの岩でも斬ってこい」
「動きもしねえ物を斬ってなんになる!俺は戦いてえんだ!インドラと戦うことができるからと俺はアフリマンなんぞに従いゾロアスターに入ったんだぞ!それがなんだ!インドラのやつはラグナロクに先に殺された!」
「落ち着けヴリトラ…なら好きに暴れて来い、その怒りはラグナロクにでもぶつけて来い」
「いいんだな?」
「もともと我々の目的はラグナロクの消去。お前がそれを果たしてくれるなら丁度いい」
ヴリトラは満足気に出ていく。
☆ ☆ ☆
「廻、おっはよ〜〜!!あれ?まだ寝てるんだ、ふふっ♪」
永倉はベッドで穏やかな顔で眠る黒瀬を見て微笑む。
「僕のこと、信用してくれてるんだなあ〜」
黒瀬の頬をつつく。ガシッと急に腕を掴まれる。
「わあ!?廻、起きてたの?」
「まあな、あれだけ大きな挨拶が来れば起きるさ。元々俺は早起きだしな」
ベッドから降りて上着を羽織ると同時に黒瀬は「あれ?」と疑問が浮かぶ。
「どうしたの?」
「俺、普通にこれからは此処に居ようと思ってたけど、母さんの事どうしよう…。てか、正月の、新年の手伝いと仕事サボってた…」
「なら、今から行く?」
☆ ☆ ☆
「あーー、母さん、ごめん。正月の手伝いサボって、てか、勝手に外泊して」
「それなら気にしなくていいわよ。麓の方たちと一緒に作業したから直ぐに終わったから」
「ほんとごめん」
「だからそんな気にしなくていいのよ。母親としては息子が社交的になってくれて嬉しいわ」
菫は永倉のほうを見て頭を下げる。
「これからも廻と仲良くしてね」
「そんな、こちらこそですよ。顔を上げてください」
菫の肩に触れようとすると電気が流れる。
「イタッ!」
「おい大丈夫か?」
「うん、たぶん静電気」
「母さんの着てるやつモコモコしてるもんな」
「ごめんなさいね、平気かしら?」
「はい、でもやっぱり痛い…」
☆ ☆ ☆
「へえ〜永倉くんは応龍学園に通ってるんだ〜」
「はい。廻とは本屋で偶然会ったんです」
黒瀬家で茶を頂く。
「確かに廻は昔から本が大好きだからねえ。よかったわね、廻」
「あ、ああ。まあ」
黒瀬は一口茶を啜り本題に入る。
「母さん、実はこの冬休み中、いやたぶんそれ以降もしばらく続くと思うんだけど、」
「うん、」
「しばらくの間、月夜の家にお世話になることが続くと思うんだ。お泊まり勉強会的な?」
「冬休み中は友達と過ごすってこと?」
「まあ、そういうことかな」
「……いいじゃない。青春ね!」
二人は驚き顔を上げる。
「い、いいの?」
「友達の家にお泊まりなんて、私も昔はよくしたわよ。当時の自分がしていた事を自分の子にはさせないなんていう教育なんか私はしません。楽しんでね!」
黒瀬は自分の部屋からキャリーケースに服などの日用品を入れる。
「じゃあ、しばらくは神社の仕事とか手伝えないと思うけど」
「気にしなくていいわよ、いってらっしゃい」
「行ってきます」
二人は山を降りて街中を歩く。
「廻のお母さん、いい人だね」
「ああ。とりあえずこれで自由に動けるようになった」
「この後はどうするの?」
「一旦荷物を置きに帰る。その後はその時に考える」
「りょーかい♪」
☆ ☆ ☆
「ねえ希愛、今さらだけど初詣に行かない?」
「初詣?良いけど、何処に行くの?」
「うーん、やっぱり東京大神宮とかじゃない。炎堂も行くでしょ?」
「ああ、やっぱ御神籤引かなきゃ新年は始まらないよな」
「御神籤よりも参拝がメインだから」
久しく見ていなかった炎堂と水崎の絡みが見れた。
「涼風はどうする?」
円卓に座りながら課題を解き進める涼風に氷室は話しかける。
「行ってもいいが、もう平気なのか?」
「うん…少しは落ち着いたかも」
「なら行くか」
東京大神宮に到着する。
「もう元日からだいぶ経ってるのにさすがの人だかりだな」
「人気観光地だし不思議ではないけど、それでもなかなかの数ね」
氷室は遠い目で本殿を見つめる。
「希愛ー?」
それに気づき氷室の前で手を振る。
「あ、な、なにシズク?」
「早く行こ♪」
「うん♪」
女子二人の背中を男子二人は追いかけていく。
「なあ炎堂」
「どうした?」
「お前はなんで戦うんだ?」
不意を突いた質問だったからか炎堂は情けなく「え?」と言う。
「この質問はまだ氷室が仮面ライダーとして認められない時に黒瀬にもしたんだが、その時あいつは自分でもまだよく分からないと答えたんだ」
「そうか、まあ黒瀬らしいな」
その後、少しして炎堂は答える。
「俺は、とにかく自分にできることならなんだってやりたいんだよ。色んな部活掛け持ちしてんのも俺が居ることでそのチームの役に立てんならっていうんで入ってるわけだしな」
「そうだったのか?俺はてっきりお前がやりたいから入ってるものだと思っていたが、」
「いやいや、いくら俺でもそんな欲張りじゃないぞ」
本殿から水崎たちの声が聞こえる。
「行くか」
「ああ」
4人は参拝する。
(黒瀬と仲直りできますように)
炎堂と水崎は同じ願いごとをしていた。
(イザナギと黒瀬との和解がどうか上手くいきますように…)
涼風も少し違えど黒瀬との仲直りを望んでいた。
(天照皇大神様、日頃から私たちを見守って下さり感謝御礼申し上げます。どうか、黒瀬くんとの和解が叶いますよう…どうか、どうかよろしくお願い致します)
氷室は誰よりも黒瀬のことを願っていた。氷室が顔を上げると三人は氷室が祈り終わるのを待っていた様子。
「ごめん、長かったかな?」
「ううん。じゃあ参拝終わったし帰ろうか」
4人は帰路に着く。
☆ ☆ ☆
「なあ月夜、この地下の隠れ家はいつ作ったんだ?」
黒瀬はソファに座り本を読んでいる。
「修学旅行から帰った後だよ。うちの従者に何かあった時に備えて作っておけって言っといたんだ」
「修学旅行…もしかして俺を旅館に運び届けたのって」
「そう、僕だよ。あの時は廻が脳内で誰かに助力を一瞬だけ求めてたでしょ?だから駆けつけたんだ」
「なんで俺の助けの声が聞こえたんだ?」
「それは僕自身もよく分からないんだ。多分だけど、このドライバーが関係してるんだと思う」
永倉の持ってるドライバーを見て黒瀬は驚く。
「宿命之帯?なんで、俺と同じドライバーを…?」
「ごめん、それも分からないんだ。ただ、僕は本当に廻の味方だから、信じてくれる?」
「ああ、信じるよ」
「よかった〜。僕、廻に嫌われたりでもしたら生きていけないよ」
少し間が開く。
「月夜」
「うん、かなり強いのがきたね」
「行くぞ、お前バイク免許は?」
「ない」
「後ろに乗れ」
外に出て黒瀬は不落ノ八咫烏を呼び出す。永倉にヘルメットを投げ渡す。
「しっかり捕まってろよ」
永倉は黒瀬の腰に腕をしっかりと回す。
☆ ☆ ☆
バイクを走らせて十数分後、二人は現場に到着する。
「あいつは…」
(蛇のようで、蜘蛛のようでもあるあの容姿)
「ヴリトラか」
黒瀬たちがバイクを停めて自分の方を見ていることにヴリトラは気づく。
「お前がラグナロクか」
「そうだが、お前はヴリトラか?」
「そうだ」
(異常なほどの神力の量。ゾロアスター内でも相当な実力者と考えていいな)
そんな事を考えているとヴリトラが声を上げて問うてくる。
「貴様が、インドラを殺したんだな?」
「……そうだな。俺が殺した様なものだ」
「俺はこれまでずっとインドラと戦えるからと言われたからアフリマンに仕えたんだ。だがそのインドラは死んだ。ならこの怒りは貴様にぶつけるのが筋ってものだろう」
「そうか、掛かってこい。…変身」
“ラグナロク、ローディング、仮面ライダーラグナロク”
「廻、僕も戦うよ」
「じゃあアスラの相手を頼む」
ヴリトラの方を見るとアスラを数十体ほど召喚していた。
「分かった、任せて。…変身」
“エレボス、ローディング、仮面ライダーエレボス”
二人は各々分かれて攻撃に掛かる。アスラはヴリトラからの命令もあってかラグナロクは無視してエレボスに襲い掛かる。
ラグナロクが魔剣を振り下ろすとヴリトラは蛇が巻き付いたような杖で受け止める。ヴリトラは杖のリーチのみならず圧倒的な戦闘センスを発揮する。だがラグナロクもその戦闘センスは今や仮面ライダー内では群を抜いている。
「なかなかやるな。これなら思っていた以上に楽しめそうだ!」
ヴリトラは蛇の幻形を召喚する。ラグナロクは直ぐさまに八咫烏を召喚する。
「そうか、式神を持っているのか」
「蛇ってのはよく鳥の餌にされるよな」
ラグナロクは煽るがヴリトラは気性は荒くとも至って冷静なタイプだった。
「煽るならもっと上手く煽ってみろ!」
強者と強者のぶつかり合いは続く。
☆ ☆ ☆
「アスラも数が多いとめんどくさいなぁ」
宝珠を二回起動して広範囲技を発動させる。
“抹殺ノ刻、暗黒ノ轢破”
自身を囲うアスラたちの上に闇色の魔法陣が展開し、そこから毒々しい闇が降り注ぎアスラたちは身体が重くなり起き上がれず地面に圧死する。
「さてと、廻の手伝いに行こ♪」
☆ ☆ ☆
「ねえ、皆んなは会長の言葉を聞いてどう思った?」
「身内が殺されるって話か?」
水崎は頷く。炎堂は少し考えてから答える。
「正直言うと悩んじまったよな。黒瀬の命か身内の命。どちらかを選べだなんて言われたら、そう簡単に答えられるものじゃねえよ」
「ほんとね。なんで会長はあんなにも非情になれるのかしら」
「あの人は9割の善を救う為になら1割の犠牲を出すのも厭わない人だ。ましてや対して関わりのない黒瀬の命ぐらいなら簡単に捨てられるだろうよ」
「マジで恐ろしい人だな」
四人はそのまま参拝帰り中に邪神の気配を感じとる。
「! これって」
「ああ、邪神が現れたな」
氷室と涼風の二人は炎堂や水崎よりも早く気配を感じとる。
「俺らも神力の察知練習しないとだな」
「そうね、場所とかの特定はまだ苦手だわ」
「そんな反省は後にしろ、行くぞ!氷室は先にバイクで迎え!」
「え!?三人はどうするの?」
「式神にでも乗って向かう。炎堂、お前の式神を出せ」
「俺の?」
☆ ☆ ☆
氷室は先に現場に到着する。当然ラグナロクが居るのが見える。
「…今は邪神に集中しなきゃ」
“フレイヤ、ローディング”
「変身」
“仮面ライダーフレイヤ”
ラグナロクとエレボスの中に参戦する。二人はフレイヤには一切触れない。それはフレイヤも同じだった。だがヴリトラは今の状況に怒りを覚える。
「俺とラグナロクの戦いに不純物が混ざり込むなア!」
胸の紋章から蛇の幻形を召喚して蛇は二人を咥えて壁に突っ込む。
「さあラグナロク、仕切り直そうか」
「ああ」
ラグナロクは魔剣を右手で回して構え直す。
☆ ☆ ☆
「邪魔だなこの蛇、ああもう!」
“黒龍、魔宴、召喚、黒龍”
エレボスは式神の黒龍を召喚して蛇を退かす。
「よし」
それを見てフレイヤも式神を召喚しようとするが体勢が悪く剣に宝珠を装填できない。そのときフレイヤに噛み付く蛇を退かすものが、炎堂の式神だった。
「よお、間に合ったか?」
「これが、アドラヌスの家の式神?」
「ああ、紅虎って言うんだ。かっこよくね?」
背中から三人が飛び降りる。
「遅れてすまない。炎堂のやつが召喚に手こずってな」
「思いのほか神力の操作が難しくて、最初は猫サイズが出ちまってよ。遅れてごめん」
「ううん、助かったよ」
「これはどういう状況だ?」
涼風が奥のほうを見てフレイヤに訊く。
「ヴリトラが突然現れて既に黒瀬くんと永倉くんが戦ってるみたい」
「そうか、とりあえずヴリトラをどうにかするぞ」
「「「変身」」」
“仮面ライダールドラ、アドラヌス、ナーイアス”
四人はヴリトラの所に向かって走り出す。すると突然空中にワープホールのようなものが開く。中からはアテナが出てきた。
「なんだこいつは」
ルドラがフレイヤに訊く。
「アテナ。黒瀬くんのデストロイとも五分五分の勝負をできるほどの邪神だよ」
「なるほど、相当な強者ってことか」
アテナは四人を相手にするが難なく渡り合う。四人はフォームチェンジする。
“WITHウル、ヒュドラ、アグニ、トリトン”
☆ ☆ ☆
「エレボス、邪魔をするな!」
眼から衝撃波を放つ。
「くっ!そういうわけにはいかないね」
エレボスが走り向かおうとすると、その道を阻むものが現れる。
「…アラマズド」
「永倉月夜。お前を斃す」
「この状況下で裏切り者の粛清が優先ってこと?イカれてるね」
「変身」
“仮面ライダーアラマズド”
アテナを相手にしていた四人も一度目を向ける。
「会長?」
「朝日奈さん、今は邪神の討伐を優先すべきです!朝日奈さんが居ればアテナも直ぐに斃せます!」
「涼風…そっちはお前たちに任せる」
ルドラの声は届かない。アラマズドはエレボスに襲い掛かる。
「くっ!闇と光がやり合っても、時間の無駄だろ!」
「なんだ、俺に勝つ自信でも無いのか?つーきーよーくん」
アラマズドは煽る。
「おっえ〜〜、気安く名前で呼ばないでくれる。僕のことを名前で呼んでいいのは廻だけだから」
「なんつーヤンデレ具合だよ。惚れてんのか?」
「違うね、心の底から慕っているだけさ!」
“祓魔ノ刻”
“導軌ノ刻”
二人の持つ鎌と槍から闇と光の斬撃が放たれぶつかる。
“暗黒ノ一閃、光輝ノ聖刃”
中央で爆発する。二人はまたぶつかり合う。その頃ヨルズこと草壁は。
☆ ☆ ☆
イザナギの索敵室と表記されている部屋におり、全員の戦闘を画面越しで眺めていた。
「煌成もよくやるわよねー。上に従順過ぎるのもどうかと思わない?」
草壁は真ん中に座る女性の右側に座っていた。
「て、聞いてんの?」
「上に従いたくないなら、邪神を斃すのを手伝ってきては?」
「あーーー、それはあり。じゃあ行ってくるねー」
草壁が部屋を出たあとその女性は小さく呟く。
「これだからイザナギは、」
☆ ☆ ☆
天空ではヴリトラの出した蛇と多くの式神が戦っていた。だがやはり幻形では式神には敵わない。全て破壊された。
ラグナロクはフォームチェンジをする。
“デストロイ、ローディング”
「変身」
“仮面ライダーラグナロクWITHデストロイ”
ヴリトラの持つ槍のリーチを無視して本体に殴り掛かる。だがそこでラグナロクはある事に気づく。
「これは…」
攻撃を止めるとヴリトラは不満気に言う。
「どうした?戦闘中に考えごとをするな、興が醒める」
「そうか、そう言えばそうだったな」
ラグナロクは何かを思い出したのか、気づいた様子だった。
「ヴリトラ、お前ダメージが入ってないな?」
「……そう言えばそうだったなぁ。すっかり忘れていたよ。俺のこの糞みたいな能力のことを」
「確か夕日が完全に落ちきる五分ほどの時間しか、その完全なバリアは剥がれないんだっけか?」
「嫌な事を思い出させるなお前は。お陰で完全に興が醒めちまったよ。次会うときは本気で殺し合おう」
ヴリトラは蛇の幻形にトグロを巻かれて消える。それを見届けたラグナロクはエレボスの助けに向かう。だがその道を阻む者が居た。
「草壁さん…」
「少し、話を聞いてもらえるかしら?」
「……いいですよ」
ラグナロクは変身を解除する。
☆ ☆ ☆
アテナと戦う四人は各々の武器に宝珠を装填し必殺技を起動した。
“導軌ノ刻”
武器から各々の神力の色を纏った斬撃、拳、矢、弾丸が放たれる。
“吹雪、猛火、波浪、猛毒}ノ聖刃”
アテナは臆することなく手に持つ剣を振るい跳ね返す。
「なっ、そんな」
フレイヤは驚く。
「ついこの間の戦いでも私に敵わなかったあなた達の攻撃が、通用するはずないでしょう」
二人の動きが一瞬止まる。だがルドラとアドラヌスは諦めずに叫ぶ。
「攻撃の手を止めるな!勝機は必ずある!」
「しゃあ!!!行くぜエ!」
☆ ☆ ☆
「永倉、なぜお前は黒瀬廻の味方をする?」
「そんなの知ってどうするのさ?」
「特に理由はない。ただ、興味があるだけだ」
二人は一旦距離を取る。
「…僕が廻に味方するのは、エレボスがそう言っているからだ」
アラマズドは何を言っているのか理解できてない様子。
「僕の頭に何かが直接言ってくるんだ。ラグナロクがピンチだ、直ぐに助けに迎えって、お前はラグナロクの味方であれ、って」
「そうか、お前にも致し方ない理由でもあれば同情の余地があったが、お前も処刑させてもらう」
「やってみなよ」
☆ ☆ ☆
「最初に言っておくけど、私は貴方を本気で殺したいわけじゃないの」
「俺を殺したいのは会長と上層部だけって事を言っておきたかったんですか?」
「確かにそれはあるわね。でももう一つ理由があるわ」
「もう一つ?」
「どうか煌成のことは責めないであげて欲しいの」
草壁は続けて言う。
「私たちは常に上から監視されている、今この時もね」
草壁が空を指差す。その先には何かが飛んでいた。
「あれは索敵班よ」
「そんな者が居たんですか。どうりで俺の居場所が分かるわけだ。誰が操作しているんですか?」
「天使よ。今は私たちと同じクラスの天智光花が当主についているわ」
「上はその索敵班を通じて常にイザナギを監視してるって訳ですか」
「ええ」
「逆らった場合、何か罰でも与えられるんですか?」
「…おそらく、身内の誰かが殺されるわ」
このとき草壁は嫌な記憶が蘇る。
「煌成は氷室や涼風たちに辛い思いはさせたくないから、戦っているの。多数の善を守るためなら少数の犠牲を出すことなんか厭わないわ」
「そうですか。なら俺は全力であなた達を迎え撃ちます」
“仮面ライダーラグナロク”
「まあ、そうなるわよね」
“仮面ライダーヨルズ”
三つの場で戦闘が続く。先に決着が着いたのは四人の仮面ライダーとアテナが戦う場だった。軍配が上がったのは仮面ライダー側だった。
「どうにか、勝ったな」
〜〜〜
アテナと攻防を続けるなかルドラが作戦を出す。
「固有能力で奴の力を削ぐ。炎堂の力で奴の戦意を落とし俺の毒に蝕まれやすくする。体が弱れば氷室の心体凍結に消費する神力の量も減らせるはずだ。俺と炎堂は、気合いで乗り切るぞ」
「おう!分かりやすくて助かるぜ!」
「水崎は俺と炎堂が能力の方に集中できるように式神を召喚して援護してくれ」
「りょーかい」
“蒼鯨、守護者、召喚、蒼鯨”
ナーイアス単騎でアテナと戦う。蒼鯨はそのナーイアスを援護する。蒼鯨は口から鉄砲水を放ったりと途轍もない力を見せつけた。ナーイアスは躱避如水を使いアテナの攻撃を受け流しながら戦う。アドラヌスは集中する。手と眼に神力を集中する。すると段々とメーターのようなものが見えてきた。
「これだ!」
一気に右手を左に動かす。するとアテナの身体が少し揺れる。
「これは…」
「よし、効いてるな」
ルドラも遅れず能力を発動する。ヒュドラの力で開発した毒を感染させる。アテナの呼吸が乱れてくる。
「氷室!」
フレイヤは右手を翳して吹雪を放つ。ナーイアスは避ける。吹雪を浴びたアテナの動きが停止する。
「よし、決めるぞ。水崎頼む」
「はいはい」
“導軌ノ刻、蒼鯨ノ聖刃”
蒼鯨はアテナに近づき身体ごと振り、尾で攻撃する。アテナは結晶のように弾け飛んだ。
〜〜〜
「これで終わりにしよう」
アラマズドは槍を投げ捨ててドライバーにある宝珠を起動する。
「いいよ、やってやるよ」
“加護ノ刻・葬送ノ刻”
二人は宝珠を回し空に向かって飛びライダーキックを放つ。
“光輝ノ洗礼・暗黒ノ滅波”
光と闇の神力がぶつかり合う。決着は付かずに中央で爆発が生じて二人は強制変身解除しながら地面に落ちる。それをヨルズとラグナロクは見逃さなかった。
「煌成!」
「月夜!」
それぞれ倒れてるほうに駆け寄る。
「全員が全員疲弊し切ってるようだし、今回はお開きとさせてもらうぞ」
「ええ、そうさせてもらうわ」
ラグナロクは永倉を姫様抱っこして下から上へと白銀の魔法陣が上がりその場から去る。朝日奈以外の五人は変身解除する。
「朝日奈さんは?」
涼風が問う。
「気を失ってるだけね。炎堂くん頼める?」
「大丈夫っすよ」
草壁から朝日奈を受け取り、左肩に背負う。草壁は転移之渦を開く。
☆ ☆ ☆
ラグナロクは永倉をベッドの上に置く。永倉は目を覚ます。自分が何処に居るのかを察して黒瀬に謝る。
「あ、ごめん廻。僕、足引っ張っちゃって」
「別に、迷惑とは思ってないから気にするな」
黒瀬は永倉の頭を撫でる。
「ん…廻に撫でられるの、気持ちいいなぁ」
黒瀬の胸に凭れ掛かる。
「そうか、ならもう少しこうして居ようか」
☆ ☆ ☆
「それじゃあやっぱり…上層部の判断は…」
氷室を始め、涼風、炎堂、水崎は草壁からの説明を受けて絶句した。
「ええ、私たちに課された命令は黒瀬廻、永倉月夜、両名を殺すことよ。煌成もたぶんこの命令には従うでしょうね。黒瀬廻にも言ったことだけど煌成は多数の善を守るためなら少数の犠牲なんか何とも思わないわよ」
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【仮面ライダーエレボスに関する現在公開可能な情報】
『暗黒之宝珠』
身長198cm 体重93kg パンチ力15t キック力38t ジャンプ力48m(ひとっ飛び)走力2.7秒(100m)
必殺技 暗黒ノ滅波、暗黒ノ一閃、暗黒ノ轢破
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次回予告
上層部からの脅迫を受けたイザナギの面々はラグナロクを殺すことを決意する。そんななか、黒瀬と永倉は二人で川沿いを散歩したりと楽しそうだ。冬休みを終えたイザナギたちは生徒会の仕事も再開する。これからますますどうなって行くのか目が離せないぞー!!
第19話:式神対決
仮面ライダーラグナロク第18話『深まる確執』を読んで頂きありがとうございます。柊叶です。今回は本格的にラグナロクVSイザナギの形が確定する回となりました。とは言えこの流れはあまり長くしようとは考えていません(実際どうなるかは分からないけど)理由としてはこの形式に回数を消費してしまうとこれから書きたいと思っている話を書けずにしわ寄せしてしまうとメンドイからです。
まあ、でも短すぎないようにもしようと思ってはいます。なので次回『式神対決』も楽しみにして頂けたらうれしいです。ではまた次の話でお会いしましょう
柊 叶




