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第15話 『晴れる雷雲』

〜前回の仮面ライダーラグナロク〜

 日本に居る仮面ライダー達が各々の強化フォームを手に入れ5人の邪神を見事に斃した。そして黒瀬をはじめ氷室、炎堂、水崎は更に絆を深めていった。


「黒瀬くん。明日って一日暇だったりするかな?」

 冬休みになり、自分の部屋の席で本を読んでいた黒瀬は氷室から連絡が来た。

「どうした?」

「その、鳴上なるがみ先輩から連絡が来たんだけど。明日イザナギに来れたりするかな?」

「構わないが?なにかあるのか?」

「明日来てくれれば分かるから。じゃ、お願いね」

   〜〜〜

「……なんで、そんなガチで準備してるんですか?」

 黒瀬は氷室に呼ばれたのでイザナギに来たのだが、目の前の状況を飲み込めていない。今目の前では鳴上をはじめ他3人がクリスマスの飾り付けをしている。

「黒瀬くん。今日は何の日だ?」

 急に鳴上に問われるが黒瀬は答える。

「クリスマス…イエス降誕の日ですけど、」

「そう。つまりめでたい日な訳だが、今年は一味違う」

「なにか個人的なお祝いですか?」

「まあそうだね。実は今日…」

 黒瀬は特に身構えず続きを待つ。

「颯が仮面ライダーとして認められるかもしれないんだ!」

「………お祝い、しなきゃですね」

 黒瀬は持っていた風船を壁に貼る。

「反応うすーー」

「さすが黒瀬って感じね」

 サンタの帽子とトナカイのツノを被ってる二人。

「二人ともノリノリだな。高校生だろ?」

「「まだ未成年だからな」」

「サンタとトナカイ。普通逆だよな?姐さんが炎堂を背負うのか?」

「なに黒瀬。私のサンタコスが見たいの?」

「いや流石にいたぃ…そもそも無いだろ物が」

「続きを言わなかっただけ褒めてあげる」

 黒瀬の肩に手を置く水崎。黒瀬は「痛い痛い」とうめく。

「黒瀬くんが失言しそうになるなんて珍しいんじゃないか?」

 鳴上は脚立を降りながら隣に居る氷室に言う。

「私たちの前では気を抜けるってことじゃないですか?」

「そう思うと嬉しいね」

   〜〜〜

「あああ〜〜疲れた。少し休憩しようか。みんな何か飲みたいものあるかい?」

 鳴上は脚立から降り、伸びをしながら4人に訊く。炎堂は炭酸水、水崎はCCレモン、氷室はカルピスと答えた。

「黒瀬くんは?何も要らないのかい?」

「自販機見て考えたいので着いて行きますよ」

   ☆ ☆ ☆

 鳴上は自分用に紅茶を買ったあと3人の分を買う。そして隣の自販機を見つめる黒瀬の隣に立つ。

「決まったかい?」

「……先輩って、俺より背高いんですね」

「今さら?」

「いえ、こうやってゆっくり先輩と隣で話す機会って何気に無かったものですから」

「あー、確かに。こんなにゆっくりと話すのは初めてかもね。それにしても…」

 鳴上とは5センチほど身長に差があるため少し見下ろされる。

「なんですか?」

「黒瀬くんって顔可愛いよね」

「……俺、そっちのは無いんですが?」

「俺も無いよ。ただ可愛いんだよね、後輩って」

「先輩。後輩好きですよね」

「大好きだよ。後輩はみんな可愛いさ。それで、何が飲みたい?奢るよ」

「ブラックで」

「おっとな〜♪」

   ☆ ☆ ☆

「お待たせ〜」

 鳴上は炎堂、水崎に飲み物を渡す。黒瀬は氷室に手渡す。

「あらかた準備は済んでるし、みんなこの後は予定とかあるかい?」

「なにかまだやる事があるんですか?」

 炎堂が訊く。

「もちろん。正直この飾り付けよりも大事な準備がある」

「それは、なんですか?」

 水崎が訊く。

「それは…。クリスマスケーキの準備だ」

「「「「・・・」」」」

「なんでそんな反応薄いの?」

「いや、え?買ってないんですか?」

 氷室が訊く。

「買ってないよ。ギリギリまで手作りしようか悩んじゃってさ。でも俺、料理とか苦手なんだよね」

 黒瀬以外の3人が呆れてため息を吐く。

「一体どうする気なんですか?当日ともなればもう買うのなんて難しいと思いますけど?」

 氷室は少しキレ気味に言う。

「うん。だからさ、誰かケーキ手作りできる人は居ないかなあって思って」

 その言葉に3人は一斉に黒瀬を見つめる。

「なんで俺を見るんだ?」

「黒瀬くん確かお菓子作り得意だったよね?」

「あんた菫さんと私にレモンパイ作ってくれたわよね?」

「落ち着け姐さん。俺はホールケーキなんて作ったことないんだぞ」

「パイが作れるならケーキも作れるだろ」

「料理舐めんな」

「俺にだけ当たり強くない?」

 絶対に嫌だと拒む黒瀬の肩を掴む者が、鳴上だ。

「だめかな?」

「……材料費はどこから?」

「俺の財布だよ」

「分かりましたよ…。ハーフ&ハーフで良いですか?」

 何気にやる気がでてきたのか腕捲うでまくりをする。鳴上から財布を受け取る。

「じゃあ俺は材料買ってきますね」

「あ、なら私も行くよ。荷物多くなるでしょ?」

「そうだな。助かるよ」

 黒瀬と氷室はホールを出る。その2人の背中を見て炎堂と鳴上が。

「聖夜の日に男女2人が買い物に…。何か起こらない筈も無く…」

「あり得るねー。もしかしたら1…いや2時間は帰って来ないかも」

 現役男子高校生らしい会話をする2人に水崎は。

「あの2人に限って何も起こりませんよ。口動かす暇があったら手を動かしてください」

 飾りの風船等を渡される。

「「はい。すいません」」

   ☆ ☆ ☆

 黒瀬はスーパーの前で氷室を待っていた。

「やっぱり女性ってのは着替えに時間が掛かるんだな。うう〜さっむ」

「その発言は今のご時世不適切なのではないか?」

「相変わらず急に沸いて来るなお前は」

 急に黒瀬の後ろから出て来たのはアイスを食べてるヴァルハラだった。

「お前は相変わらず失礼な奴じゃな、黒瀬よ」

「うるせえな。人の発言にいちいち口を出すな」

「ぬっ、人がわざわざ心配してやってると言うのに!」

「うるせえこの甘党の子供舌が」

「和菓子好きの昭和舌に言われとうはないわ!」

「世の和菓子好きに謝罪しろ」

 二人はわちゃわちゃ口喧嘩をする。その場に氷室がやって来る。

「黒瀬くん、お待たせ。あ、ヴァルハラさんも居たんですね」

「ん?おお、氷室か。なんだお主らデートか?」

「デッ!ち、違いますよ、ただの買い物ですよ!」

「そうだぞヴァルハラ。お前は一人でそこらのスイーツ巡りでもしてろ」

 黒瀬と氷室がスーパーに入っていくのをヴァルハラは見届ける。

   〜〜〜

 二人は買い物を済ませた後、学校に向かって歩いていた。

「黒瀬くん、もしかして寒いの苦手な感じ?」

「いやこの寒さは誰でも震えるだろ。氷室は寒くないのか?」

「フレイヤですから」

「納得できる理由だな」

 しばらく歩いていると氷室がある店を指差す。

「黒瀬くん、あの店ちょっと寄っても良いかな?」

 氷室が指差した先にはジュエリーショップがあった。

「構わないが、何か欲しいものでもあったのか?」

 二人は店に入る。中には多くのネックレスやピアス、アクセサリーがあった。

「たくさんあるな。違いとかはよく分からんが」

「こういうの理解できるようになればモテるかもよ?」

「モテは求めてないんだが、氷室はこういったジュエリーの類は好きなのか?」

「んー、やっぱり興味はあるかな。実際こうして見るのは好きだよ」

 キラキラした目でジュエリーを眺める氷室。

「どれが一番お気に入りなんだ?」

 氷室は真剣に見て悩み、指差したのは雪の結晶のデザインのネックレスだった。

「これ、かなあ。どれも魅力的だけど、やっぱり雪の結晶のデザインには惹かれちゃうんだよねー。

「そうか…」

 黒瀬は近くに居た店員を呼ぶ。

「これ、貰えますか?」

「え?」

 氷室は困惑する。その間に黒瀬は会計を済ませており、二人は店を出る。

「やるよ」

「い、いいよ黒瀬くん!?た、高いよ!」

「日頃のお礼を兼ねたクリスマスプレゼントだ。受け取ってくれ」

 氷室はゆっくりと両手を伸ばして紙袋の持ち手に手を掛ける。

「あ、ありがと…」

「ん。じゃあ帰るか」

 二人はイザナギに向かってまた歩き出す。

「…黒瀬くんは、クリスマスにネックレスをあげる意味って知ってる?」

「なにかあるのか?」

「いろいろあるよ。貴女を独占したい、とか他の人に渡したくない、とか」

 氷室は黒瀬の耳元で囁くように伝える。

「あなたのことを心から想っている、とかもね」

 黒瀬の顔が赤く染まる。

「あれ、照れてる?顔が赤くなってるよ」

「寒いからな」

 素直じゃない黒瀬に氷室は続けて揶揄う。

「前にシズクが言ってたの覚えてる?黒瀬くんは執着系彼女が好きってやつ」

「あれか…」

「今日ので納得したよ。だって黒瀬くんは独占欲が強いみたいだし」

「ネックレスの意味については俺は知らなかったんだよ」

「執着系についてはもう認めるんだ」

「その時にもう認めてたろ…」

   ☆ ☆ ☆

 飾り付けが終わった3人は各々暇を潰していた。鳴上はパソコンゲーム、炎堂は腹筋、水崎はずっと待ちぼうけ状態だった。静寂な状態に痺れを切らしたのか水崎が、

「2人…遅くないですか?」

 そう言うと現役男子高校生2人が

「まあ…ほら、年頃だしさ」

「黒瀬も…男だったと言うわけだろう…」

 あははははは、と乾いた笑い声を出す現役男子高校生2人。呆れた顔をする水崎のもとに連絡が来る。

「ん?あー、なんか急に雨が降って来たから雨宿りしてるみたいですよ」

 よかったあ、と水崎は胸を撫で下ろすが、男子高校生2人は、コソコソと妄想を膨らませる。

「炎堂くん、雨宿りだって。いったい何処でなんだろうね」

「此処らはホテルなんてないですから、せいぜいネカフェでしょうかね?」

「ネカフェかあ、」

 そんな2人の間に1つの矢が飛ぶ。2人はゆっくり飛んできた方を振り向くと水崎がシャランガを構えていた。そして冷たい笑顔で「どうかしましたか?」と訊く。2人は身体を震えさせながら、「「すいませんでした」」と謝る

   ☆ ☆ ☆

「姐さんに連絡したのか?」

「うん。シズク私の連絡には一瞬で反応してくれるから。あ、既読ついた」

「早いな」

 黒瀬はスマホでウェザーニュースを開く。

「通り雨みたいだな。少し雨宿りしていくか」

「ブロードで帰らないの?」

「床とか濡らしたらよくないだろ?」

「先輩は気にしないと思うけど、」

「涼風がよく楽観的って乱用するぐらい楽観的な人だしな」

 しばらく雨宿りしていると氷室がジュエリーショップの紙袋をいじる。

「今着けてみても良いかな?」

「お好きにどうぞ」

 氷室はネックレスを箱から取り出して後ろに腕を回して着けようとするが、上手く丸環まるかんに留め具が入らない様子。黒瀬は氷室の後ろに回り、代わりに留め具をはめる。

「ありがとう。どう?似合う?」

 氷室は結晶の所を持ち黒瀬に訊く。

「ああ、フレイヤっぽさがより際立ってるよ」

「お洒落な褒め言葉だね。さすが文系」

「どーも」

 2人は笑い合う。この時間が続けばどれほど楽しく、幸せか。だが世の中そう甘くはない。

「…氷室」

「うん、分かってる」

 買ったものをその場に置いて行き激しく雨が降るなか2人は駆け抜けて行く。

   ☆ ☆ ☆

 男子高校生2人は水崎に正座させられていた。

「いや、その、すいませんでした」

 炎堂の謝罪が終えるタイミングで水崎のもとに連絡が来る。

「二人とも、希愛から邪神の気配があったと連絡が来ました」

「おっけー。じゃあ行こうか」

 鳴上の言葉と共に3人はホールを出る。

   ☆ ☆ ☆

 黒瀬と氷室は邪神を目にして驚愕きょうがくする。

「…なっ、お前は、テュール?」

「それに、ファスティトカロンも、」

 目の前に居たのはかつて自分たちが斃した邪神だった。だがその姿は以前とは少し変わっていた。主に色と神力の濃度が。

「なんでお前らが…。そうか、ラクタヴィージャが言っていたやつか」

“我々は今、ゾロアスターの頂点アフリマン様に忠誠を誓っている。その理由は復活を可能にするためだ。”

「見た目が変わってるって事は、その分強化でもされたって事か?」

 黒瀬は絶対攻略(フルスキャン)を発動する。

超強化(フォシュターク)。随分と力を増したようだな。気をつけろよ、氷室」

「黒瀬くんもね」

 雨を浴びながら2人はドライバーを装着する。

「「変身」」

“仮面ライダーラグナロク・フレイヤ”

 ラグナロクはテュールをフレイヤはファスティトカロンを相手にする。

「しばらくの間に随分と強くなったようだな!ラグナロク!」

「お陰様でな」

 2人はそのまま廃工場の中に入る。フレイヤたちはその目の前の廃工場内に入る。ラグナロクはテュールとの剣と剣のぶつかり合いに。フレイヤとファスティトは剣と触手のぶつかり合いになった。

  ☆ ☆ ☆

「ここら辺か?」

 その頃、鳴上達は雨の中を駆けながら現場に向かっていた。

「近くに黒瀬達の神力を感じるしあっているはずです」

 炎堂の言葉に鳴上、水崎は頷く。すると3人の周りにある建物の上から何かが襲い掛かって来た。だがその動きは停止し、3人に届く手前で倒れ込む。

「気づいていないとでも思ったのかい?」

 鳴上は右手に電気をまとっていた。得意技の筋肉硬直を使用したのだ。

「エリスにグレンデルにウォルトゥムヌスか。それぞれデータにあったものより神力の濃度が濃くなっているね」

「強化されてるって事ですか?」

「おそらくは。気をつけて行こうか」

 3人はドライバーを装着する。

「「「変身」」」

“仮面ライダーインドラ・アドラヌス・ナーイアス”

 エリスにはナーイアスが、グレンデルにはアドラヌスが、ウォルトゥムヌスにはインドラが向かった。

   ☆ ☆ ☆

「前にラクタヴィージャの奴が言っていたが、お前らはアフリマンの力で復活したのか?」

「その通りだ。アフリマン様が居る限り我々が死ぬことは決してない。貴様ら人間と違ってな!」

 ラグナロクは一旦距離を取る。

「そうか…。なら、サッサと死んで帰って来い」

 一瞬で距離を詰めてテュールの身体に剣を刺し、右上に斬り裂き背中を向ける。

終焉ラグナロクノ一閃(スラウター)

「なぜ…私は…強くなった…はずなのに…」

「他人から与えられた力なぞ、無いに等しい」

 テュールは一閃の裂け目から閃光が漏れ、爆散する。

「さて、次はファスティトか」

   〜〜〜

 フレイヤは上手く触手を避けたり剣で捌きながらファスティトの本体に近づいていた。

「小娘がアアアアぁぁァァァ!!!」

 だがファスティトも決して弱い邪神ではない。斬られたとしても直ぐに再生しフレイヤの行手ゆくてを阻む。

「本当に厄介だな、この触手」

冰狼ヒョウロウ守護者(ガーディアン)。召喚、冰狼”

「ワオオオオオオオオ!!!」

 冰狼は天に向かって叫ぶ。そしてファスティトに向かって激しい吹雪を吹かす。ファスティトは触手を重ねて壁を作るが凍りついたのをフレイヤが斬り裂いたためファスティトはもろに凍てつく吹雪を喰らい完全に凍りつく。

導軌ノ刻(ガイダンスタイム)冰狼(ヒョウロウ)ノ聖刃(サークレッド)

 冰狼は高く前足を上げてファスティトを頭上から押しつぶす。

「冰狼、お疲れさま。よしよしよし」

 冰狼は鼻先をフレイヤに近づけ撫でて貰う。

「わう♪」

 ラグナロクは微笑ましい光景だなと思いながらフレイヤに近づく。

「もう終わってるみたいだな」

 冰狼はラグナロクが居ることに気づき鼻先を近づける。ラグナロクは撫でてあげる。

「近くにインドラ達の神力を感じた。氷室はまだ動けるか?」

「うん。体力も神力も有り余ってるよ」

「よし、行くか」

   ☆ ☆ ☆

 元々の戦闘経験の差かアドラヌスとナーイアスは五分五分と言った様子。インドラは初陣でウォルトゥムヌスと戦ったこともあり順調に戦いを進めていた。

「魔法の練度が上がっているな。でも、俺のスピードはこんなもんじゃない」

“WITHヘルメース”

 インドラは圧倒的なスピードでウォルトゥムヌスに斬撃を与え追い詰める。

「これで終わりだ」

加護ノ刻(ディヴァインタイム)迅速ノ洗礼(ヘルメースハピネス)

 高速スピードで四方八方から蹴りや金剛杵ヴァジュラによる斬撃を喰らわす。ウォルトゥムヌスは爆散する。インドラは倒れそうになる体を建物の壁に寄りかかり支える。

「はあはあ…」

 後ろから足音が聞こえ振り向くとラグナロクとフレイヤが近づいて来た。

「やあ二人とも。向こうで炎堂くんと水崎くんが戦っているから手伝いに行ってあげてくれ」

「分かりました」

 ラグナロクは先に行きフレイヤは神法を施すと途中でインドラが止める。

「ここまでで良いよ。早く行ってあげてくれ」

「分かりました。無理はしないでくださいね」

 フレイヤはインドラを壁に横たわらせて先に行く。

   ☆ ☆ ☆

「巨人相手とか、キツくね?危なっ!」

 アドラヌスはグレンデルを相手に苦戦していた。

「火力高めていくか!」

“WITHアグニ”

 左右にあるヤールングローヴィに炎を纏わせて徐々に追い詰めていく。

   ☆ ☆ ☆

 ナーイアスはエリスと戦っている。エリスはアフリマンの力によって強化され全体的な基礎スペックが向上しており、一撃一撃に重みが増していた。

「ラグナロク程の強さは無いようですね」

「へえー、ならこんなのはどう?」

“WITHトリトン”

 全体的な基礎スペックの向上と共に水流の神法にさらに磨きをかける。水の鎖でエリスを拘束しながら水の操作により雨が降る現状を上手く活かし地面の水溜まりの中に潜り込み違う水溜まりから現れ後ろから攻撃をするという異色な戦闘を行う。

「くっ…。なんと面倒な、」

「これが水の神様の力だよ」

   ☆ ☆ ☆

加護ノ刻(ディヴァインタイム)

 アドラヌスとナーイアスはほぼ同時進行で必殺に入る。

猛火アグニ波浪トリトンノ洗礼(ハピネス)

 グレンデルの頭上から、エリスの腹部にライダーキックを叩き込み邪神は爆散する。

「やったな水崎ーー!!」

 アドラヌスはナーイアスのもとに駆け寄る。二人は熱く抱き合う。お互い単独撃破を出きたことが嬉しかった様子。二人が喜びを分かち合っているとラグナロクとフレイヤが二人の居る廃工場内に入って来る。

「二人とも、大丈夫?」

 フレイヤが先に駆け寄りラグナロクはその後ろを歩いて着いていく。四人お互いの距離が丁度真ん中あたりの所で集まり変身を解除する。

「あれ?鳴上先輩は何処だ?」

「少し向こうの所で脚を休めてる。特に心配はいらないだろうな」

「鳴上先輩の扱いがひどい…」

 水崎が少しばかり引き目で黒瀬を見る。

「まあまあ。みんなで迎えに行こうぜ」

「そうね。風邪引く前に早く帰りましょうか」

 四人は帰路に着く。だがその行手を阻む者が現れ、黒瀬を奇襲する。黒瀬は反応が遅れ何者かに頭を掴まれそのままトタンの壁を突き破り土砂降りの中に連れ込まれる。三人は直ぐに外に出る。

「「「黒瀬!?」」」

 黒瀬は邪神の振りかざしてきた拳を受け止めていた。

「お前は……アテナか…!?」

 黒瀬は腹部を蹴りアテナを数歩後退りさせたのち立ち上がる。

「ええ、その通りですよ」

「今更何しに来た?」

 アテナは槍と盾を構える。

「貴方を殺しにですよ」

 槍をひと突き喰らわす。黒瀬は直ぐに変身する。

“WITHデストロイ”

 三人もただ見てるだけではない。直ぐに変身して飛びかかる。

“WITHアポロン。仮面ライダーアドラヌス・ナーイアス”

 フレイヤ以外は先ほどの戦いでの消耗が激しかったので初期フォームで応戦する。

   ☆ ☆ ☆

 その頃、鳴上は突如神力が現れたのを感知したので壁に手をやり足を引きずりながらなんとか歩いていた。

(4人の神力の濃度が濃くなった。変身したのか?となるとそれだけの数が来たのか、それだけ強い奴が来たのか…?)

「とにかく、急がないと」

   ☆ ☆ ☆

「うおっ!」

「きゃっ!」

 アドラヌスとナーイアスは槍の一閃を喰らい壁にぶつかり地面に落ちるとともに変身が解ける。先ほどの戦いの疲労も重なりその場から立つこともキツい様子。だが炎堂はもう一度変身しようとチャームを構える。だがそれを止める者がいた。

「鳴上…先輩?」

「そう連続で行えば、脳への負担が重なり、焼き切れる危険もある…。ここは先輩に任せておきな。…変身」

“WITHヘルメース”

 二人が巻き込まれる可能性も視野に入れ、迅速移動で二人を廃工場内の少し奥に移動させる。インドラは脚を抑える。

(やっぱり、負担が大きいか。でも、今氷室に頼めば黒瀬くん一人に任せることになる。今はとにかく、相手を退しりぞけることができればいい!)

 インドラは迅速移動でアテナの盾を奪い取った。

「なっ!?」

 そして次は槍を奪い取ろうと走る構えをとる、が限界に近かったのかその場に足から崩れ落ち、脚を抑える

「ぐあアアアアア!!!」

「「先輩!!」」

「氷室は先輩を、ここはどうにかする!」

「分かった、お願い」

   ☆ ☆ ☆

「ひむろ…俺のことはいいから…はやく、くろせくんのとこに…」

「そんなことを言ってる場合じゃありません!」

 フレイヤは急いで治療を行う。

   ☆ ☆ ☆

「一人で私に敵うとでも?」

「どうにかしてやるさ」

 ラグナロクは自分の身に神力を纏う。その身を水色の神力が囲う。そしてアテナに殴りかかる。アテナは躱したり受け止めようとするが、デストロイのパワーは異常だった。徐々に押され始める。

(イケる、この力なら)

 誰もがそう思った。だが、ラグナロクの過剰な破壊の衝動から生まれた力は、やがて本人の意識すらも破壊する。

「…っ、あっ…」

 ラグナロクの動きが止まる。アテナも他四人も何が起きたのかと不思議に思う。次の瞬間ラグナロクの目が淡く怪しく染まりアテナに襲いかかる。そのパワーは先ほどの数倍、いや数十倍とも思えた。

「な、なんだ、何が起きたんだ」

 インドラはなんとか上半身を起こす。するとフレイヤがボソッと呟く。

(黒瀬くんの戦闘スタイルじゃない。あれは…)

「暴走…?」

「暴走か。それは、危険だね」

 インドラはありがとね、と言いながら立ち上がる。

「氷室。炎堂くんと水崎くんを連れて少し離れておくんだ」

「え…?なにを、する気ですか?」

「いいから。頼んだよ」

 フレイヤの肩に手を置く。

「分かりました。気をつけてくださいね」

 フレイヤの背中を見送りインドラはラグナロクのもとに急ぐ。

   ☆ ☆ ☆

「自我を失った瞬間これほどまでに力を増すとは。やはり危険な存在ですね」

 アテナは槍の先の方を掴み首元に刺そうとする。だが手前で止める者が居た。

「!?…インドラ!邪魔です、退きなさい」

 眼から放たれた衝撃波に吹っ飛ばされる。

「こうなったら…。やるしかない」

“WITHトール”

 トールの力でスピードのみならずパワーも上げてアテナにタックルを喰らわし仕返しのごとく吹っ飛ばす。そしてラグナロクを真正面から押さえつける。

「黒瀬くん!俺だ!鳴上雷牙だ!」

 ラグナロクは暴れる。インドラにも殴りかかる。

「だめか、なら」

 インドラは電気を、電圧を上げてラグナロクの脳に直接流し込む。

(デストロイの力に脳が飲まれているなら、俺の雷の力で、脳への過剰な刺激を与えれば)

「戻ってこい…黒瀬くん…」

「ぐあアアアアア!!!!!!」

 過剰な電圧に苦しむラグナロクはインドラを引き剥がそうとチャームを起動する。

破壊デストロイノ滅波(クライシス)…”

 インドラは吹っ飛ばされ、変身が解ける。それと同時にラグナロクも変身が解ける。

「…おれは…なにを…。…はっ、先輩!」

 地面に仰向けに倒れる鳴上の上半身を支える。

「くろせくん…よかった…」

「先輩…おれ…。…っ!?」

 鳴上の身体が黄色の粒子になり始める。

   ☆ ☆ ☆

「神力の密度が減った?」

 氷室は二人を置いて二人のもとに急いで戻る。

   ☆ ☆ ☆

「先輩!?おれが、」

 黒瀬は先ほどの自分が必殺技を喰らわした映像がフラッシュバックする。

「きみはわるくない。よかった、ほんとうに、」

 鳴上の身体が完全に消滅した。その瞬間を、戻ってきた氷室も目撃した。

「せん…ぱい…?うそ、なにが、」

 氷室は黒瀬のもとに駆け寄り真正面から両肩を掴み揺らす。

「教えて黒瀬くん!なにが、なにがあったの!」

 黒瀬は小さく呟く。

「分からない。でも、俺が悪いんだ。俺が…俺が…」

 脳内で何度も何度も先ほどの必殺技をインドラに喰らわした自分が再生される。

「俺が…俺が…」

「とにかく帰ろう。詳しい話はイザナギで…」

「無理だ」

 氷室が喋っている途中で黒瀬は食い気味に言う。

「え…?」

「鳴上先輩を殺したのは俺なんだ。涼風に会うわけにはいかない」

 黒瀬は右手にある操力之指輪(レガリアリング)を光らせ転移之渦(ブロードボルテックス)で姿を消す。

「待って黒瀬くん!」

 氷室は二人のもとに戻る。二人は疲れ切ったのか起きない。

「あ、雨が止んでる…」

 天気は晴れているが、氷室の気分は曇りきっていた。そしてインドラが亡くなったからか、雷も完全に聞こえなくなっていた。

   ☆ ☆ ☆

 氷室は二人を連れてイザナギに戻る。目の前には昼間に鳴上の提案で準備されたクリスマスパーティーの飾りがあり、その手には黒瀬が作ってくれると言って一緒に買いに行ったクリスマスケーキの材料が入った袋。そして首には黒瀬がクリスマスプレゼントにとくれた雪の結晶のネックレスが着けられていた。

   ☆ ☆ ☆

 その頃、涼風はイザナギに急いでいた。

ようやく仮面ライダーとして認められた。鳴上さん喜んでくれるかなあ〜」

ーーーーーーーーーー

【仮面ライダーアドラヌスに関する現在公開可能な情報】

猛火之宝珠(アグニチャーム)

身長205cm 体重98kg パンチ力65t キック力90t ジャンプ力33m(ひとっ飛び)走力3.1秒(100m)

必殺技 猛火ノ洗礼(アグニハピネス)猛火ノ聖刃(アグニサークレッド)

【仮面ライダーナーイアスに関する現在公開可能な情報】

波浪之宝珠(トリトンチャーム)

身長200cm 体重95kg パンチ力45t キック力65t ジャンプ力58m(ひとっ飛び)走力2.4秒(100m)

必殺技 波浪ノ洗礼(トリトンハピネス)

ーーーーーーーーーー

次回予告

 仮面ライダーインドラこと鳴上雷牙が亡くなったと氷室から聞かされ激昂げきこうする涼風。その頃、黒瀬は一人当てもなくそこらを歩いていた。そのとき涼風が現れる。特に長く話すこともなく涼風は変身する。さあ、いったいどうなる!?

第16話:吹き荒ぶる風、き消す紫煙しえん

 仮面ライダーラグナロク第15話『晴れる雷雲』を読んで頂きありがとうございます。柊叶です。えー、さて今回は…はい、クリスマス回を書かせていただきましたが、はい、やっぱり仮面ライダーのクリスマス回といえば、誰か死ぬものなのでしょう。我が作品、仮面ライダーラグナロクのなかで選ばれた死人は雷の神様である鳴上雷牙でした。

 そして、次回はサブタイトル的にはまた何か一波乱ありそうな感じですが楽しみにしていただけたら嬉しいです。それではまた第16話『吹き荒ぶる風、掻き消す紫煙』でお会いしましょう。

柊叶

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