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第16話 初めての盗賊

 翌朝、オレたちは何事も無く朝日を拝むことが出来た。


「では、さっそく行きましょう!」


 理由は定かではないが、時間に追われているアリエルは、まだ日が昇ったばかりの薄暗い時間から既に着替え終わって出発する気満々だった。ちなみにいま彼女が着ているのは昨日まで着ていた留学先の制服ではなく、可愛らしいデザインの私服だった。

 なんでも、昨日は本当に急に帰らなければならなかった為、碌に着替える間もなく制服のまま、文字通り着の身着のままで帰って来なければならなかったらしい。


「確認しておきますが、通るルートは本当にこの最短ルートで良いんですね?」


 オレは出発前に地図を広げていま一度、アリエルとラティナに確認を取った。いまから向かう道は領都への最短ルートであると同時に、最も危険なルートでもある。魔物の多く生息する森林地帯を突っ切るように造られた間道。魔物が多いだけでなく地形的にも難所が多い。

 特に危険なのが森林地帯の先、フィジーとエスタールのほぼ中間に位置する峡谷だ。ほぼ垂直に近い切り立った崖の上に造られた道。もし車ごと転落すれば100メートルほど転がり落ちた後に深い急流へと沈み、二度と上がって来れなくなる。その道を数キロ進んだ後にある小さな渓谷橋を渡り、谷を抜けた先には再び大森林が待ち構えている。その中を突っ切る様に造られた道を進んだ先は緩やかな草原と、その向こうに田園地帯が広がっていて、ここまでくればもう安全地帯。その先が領都エスタールだ。


「ああ。他のルートを選んでいる時間はない」

「危険な場所で申し訳ありませんが、よろしくお願いします」


 アリエルは申し訳なさそうにオレに頭を下げてきた。けど、どっちかと言うと危険なのは彼女らの方だろう。オレ1人だけならどうとでも切り抜けられるが、彼女らはそうはいかない。


「順調にいけば今日の夕方には領都に着ける。魔物の生息地域を抜けるのに4時間~5時間と言ったところか……お嬢様、その間は車から降りることは出来ませんが、よろしいですね?」

「はい、大丈夫です!」


 アリエルは即答したが、ホントに大丈夫か? 車に4~5時間って言葉で言うよりかなり辛いぞ? なにせその間、座りっぱなしな訳だしな。どうしようもない事態――例えばトイレとかは仕方ないにしても、その辺の草むらで、とかいう訳にはいかないぞ? その間、周辺を警戒するのは男のオレだぞ? その辺のこと判ってんのか、お嬢様?


「そうだ。シンさんにひとつだけ、お願いがあります!」

「なんでしょう?」


 何故か改まった様子でオレを――いや、オレの頭の上のモコを見ながら上気した顔で言った。


「領都に着くまでの間、モコちゃんを貸していただけませんか?」

「わふ?」


 首を傾げるモコの可愛らしさにやられたのか、アリエルの顔がますます赤くなる。そう言えば、最初に遭った時からモコのことをキラキラした目で見てたな。

 まあ、モコの可愛らしさは世界一だからな! それは仕方ない。


「すまない、シン。頼めないか? お嬢様は小さい頃からずっと犬を飼いたいと願っておられたんだが、伯爵様の意向で叶わなかったんだ」

「そうですね……」


 やれやれ、といった感じでラティナが言った。犬好きなのに親の都合で飼えない、か……オレもそうだったから気持ちは判る。


「モコ、構わないか?」

「わぅ……」


 けど最優先すべきはモコの意志だ。尋ねてみると、迷う様に視線をオレとアリエルの間でさ迷わせた。


「わんっ!」


 しばしの葛藤の後、モコは了承してくれた。


「良いみたいです」

「ホントですか!? ありがとうございますっ!!」


 太陽のように輝く笑顔でアリエルは飛び跳ねて喜んだ。犬好きなのは本当らしい。ちなみにモコは幻獣だが……


「わぁ、モコちゃん、フワフワで柔らかいですー❤」

「わふーん……」


 モコを抱きしめて頬ずりするアリエル。完全にメロメロだ。モコも嫌ではないようなので、取りあえずは一緒にいさせてやろう。それに、アリエルと一緒に車の中にいた方がモコにとっても安全だろうしな。


「では、お嬢様。参りましょう」

「はい!」


 モコを抱っこしたままラティナに促され、アリエルはウキウキとした足取りで車の後部座席に乗り込んだ。どうでも良いけど、これから危険な場所を通るんだからな? 遠足に行くんじゃないぞ?


「では、行こうか」

「その前に、ちょっと良いですか?」


 アリエルが車に乗ったタイミングで、オレはラティナに話しかけた。どうしても彼女に確かめておかなければならないことがある。


「どうした?」


 アリエルには効かれないよう、少し離れた場所に誘ったあとでオレは小声でラティナに尋ねた。


「単刀直入に聞きます。お二人は誰かに狙われてませんか?」


 瞬間、ラティナの顔が強張ったのをオレは見逃さなかった。心当たりがある人間の反応だ。


「……どうしてそう思うんだい?」

「昨日、フィジーに着いた少し後からずっと誰かの視線を感じているんです。それも、明らかに好意的でない感じの……」


 最初に気付いたのは市庁舎に行った直後辺りだった。どこからか判らないが、誰かに見られている感じがずっとしていた。気のせいではないという証拠に、<悪意探知>と<敵意探知>がビンビンと反応している。なのに、どこから見られているのか、位置がつかめない。よほど隠蔽技術に優れているか、もしくは相当遠くから見られているかのどちらかだ。

 いずれにしても、普通の相手とは思えない。


「……間違いないか?」

「ないです」

「では、何故その時に言わなかったんだ?」

「どう考えても友好的な相手じゃあり得ないし、向こうに悟られたくなかったんです」


 アリエルはもちろん、ラティナも気づいてい無さそうだったし、だったらそのまま気付かないでいてくれた方が良いと判断した。少なくとも、こっちが気付いていることを悟られるのは悪手だ。


「それは、いまもか?」

「ええ。誰かに見られてます。確実に」


 それだけ言うとラティナは深刻な表情で黙り込み、なにかを考えるようにうつむいた。やっぱ思い当たることがあるみたいだな。ここはもう少し、追い討ちしてみるか。


「オレには監視される心当たりがまったく無いので、そいつの目的はお二人……っというより、アリエル様のはずです。誰かに監視されるか、狙われる心当たりはありますか?」

「……あるには、ある」


 小さな声だったが、ラティナはハッキリと認めた。


「それは、あなたたちが領都へ急ぐ理由と関係ありますか?」

「……ああ」

「じゃあ、アリエル様を亡き者にしたい――それによって得をする人物がいる、ということで良いですか?」

「いるだろうな。ほぼ確実に」


 認めやがった。

 早い話がアリエルは現在行形で誰かに命を狙われている可能性が高い、ってことだ。貴族を――伯爵令嬢を狙うとか、普通に考えて相当ヤバい奴だぞ。


「……理由を聞いても?」

「すまない。緘口令敷かれているので、話すことは出来ない」


 おいちょっと待て! いまなんつった!? 緘口令が敷かれてるってなんだよ!? そんなのよっぽどの非常事態だぞ!?


 詳細は言えないけど、緘口令が敷かれるほどかなりヤバい事態が発生している――そう言いたい訳か。それを伝えるだけなら確かに、緘口令違反にはならないからな。


「……アリエル様が殺されなかったとしても、もし時間内に領都へ戻れなかったとしたら?」

「エスタール伯爵家にとって、非常に不幸な事態が起こる」


 不幸ね。それはまた抽象的な言い方だこと。まあでも、相当ヤバいことに巻き込まれたってことだけは間違いないな。

 少なくとも、アリエルは本当に誰かに命を狙われていると考えた方が良さそうだ。

 ん? 待てよ?


「……ひょっとして、ダムド・チェイサーの襲撃も偶然じゃなかったのかも」

「なんだって?」


 その事は考えていなかったのか、ラティナが酷く驚いた様子で声を上げた。


「思い返してみると、あいつは最初、助けに入ったオレよりもお二人の乗った車を追うのを優先しようとした節がありました。もしかしたら、もしかするかもしれません」


 あのダムド・チェイサーは、アリエルを狙う者が放った送り狼である可能性は捨てきれない。もちろん、これはあくまでオレの推測だったのだが……


「……」


 ラティナも黙りこくってしまったのを見ると、その可能性は無きにしも非ずと考えたようだ。

 だとしたら、いったい誰に狙われてるんだか。


「もしオレの想像通りなら、ここから領都へ向かう最短ルートに待ち伏せが潜んでいます。それでも行かれるんですか?」

「……私としてもアリエル様を危険に晒す真似はしたくないが、いま我々には選択の余地がない。アリエル様ご自身も同じ気持ちだろう」


 止めても無理か。こりゃオレも覚悟を決めるしかないな。


「判りました。微力ではありますが、オレもお二人が無事に着けるよう、最善を尽くします」

「……すまない。よろしく頼む」


 そう言うとラティナは深々と頭を下げてきた。こうまでされたらもう退くわけにはいかないな。


 貴族令嬢を暗殺者の手から守る、か。この世界はテンプレな中世異世界とは違い、機械もあれば銃もある。オレだけならどうにかなるかもしれないけど、戦う力もない女の子を守れるだろうか?


(いや、守れるだろうかじゃない。守るんだよ、絶対に!)


 シン道大原則ひとつ――一度誓った約束は死んでも果たすべし!


 この護衛依頼を引き受けた――守ると誓った以上、オレがやるべきことはそれを全力で実行することだけ。それだけを考えていればいい。それに、か弱い女の子を自分の利益の為に殺めようとしている人間なんて、クソの中のクソだ。そんな奴相手にビビったり弱気になったりするなんて、シンらしくない。


 必ずアリエルを無事に家まで送り届けて、命を狙っている奴らに吠え面掻かせてやる!



 そう心に誓ったオレはラティナが車に乗るのを見届けてから、ドライグに跨った。


 ★★★


 フィジーを出発した後、オレたちは予定通り領都への最短ルートを進んでいた。オレがドライグで先導し、ラティナが運転する送迎車がその後に続いている。

 それにしても、予想以上の悪路ぶりに辟易したくなる。舗装もされていない土が剝き出しの獣道。しかも凹凸も激しくスピードを上げることが出来ない。さらに舗装されていてもひび割れていたり穴が開いていたりと、下手に踏み抜けばタイヤがパンクしかねないような有様だ。無論、ドライグはその程度で根を上げるような軟な造りじゃないが、それでも泥が飛び跳ねて汚れるのは嫌なものだ。領都に着いたら念入りに洗車しよう。

 アリエルとラティナが乗る車も、伯爵令嬢の送迎車だけあって頑丈な造りとなっているらしく、悪路に苛まれながらもパンクすることなく付いてきている。


 そして事前情報通り、魔物が多い。

 フィジーを出発してから2時間ほど経つが、襲われた回数は2桁近くになる。幸いだったのは襲ってくる魔物はどれもLV10前後の弱いものばかりだったので、オレ1人で難なく対処できた。けどそれでもこれだけの数に襲われるとウザくてかなわない。


 と、言ってる側からまた1匹。ブラック・スパイダーとかいう蜘蛛の魔物が、木の上からこっちを狙っていた。人間と同じくらいの大きさの蜘蛛ってのは、蜘蛛嫌いが見たらそれだけで卒倒しそうになるくらい気持ち悪い。おまけに蜘蛛のくせに、何故かジャンプして飛び掛かって来やがった。

 もちろん、黙って見ている訳がない。


【エアリアルストライク】


 シンの基本剣技の1つで、簡単に言うと遠くにいる敵に剣を投げつける技だ。

 車輪のように高速回転しながら飛翔する《リンドヴルム》は、狙い違わず飛び掛かって来たブラック・スパイダーを空中で両断し、そのまま弧を描いてオレの手元へと戻って来た。キャッチした《リンドヴルム》を鞘へと戻し、二枚に卸され、地面に落下して湿った音を立てるブラック・スパイダーの死体を放置して先へと急ぐ。

 本来なら魔核(コア)を回収するところだが、今回は時間が押しているので放置だ。正直、いちいち倒した魔物の魔核(コア)を回収していたら時間がいくらあっても足りない。


 魔物と悪路に悩まされることおよそ約2時間半。森林地帯を抜けると、いよいよ最大の難所である渓谷に差し掛かった。

 山と山の間に出来た深い渓谷を沿うように造られた道。ほぼ垂直に近い崖の高さは優に100メートル以上あり、その下の渓流の流れも速い。万が一、車ごと落ちたら一巻の終わりだ。いちおう道幅は2車線道路くらいはあるのだが、舗装されておらず土が剥き出しな上、ガードレールなんて親切なものは無い。渓流の反対側には傾斜の急な岸壁が壁のように聳え立っている。

 話には聞いていたが、実際に見ると怖いな。ただ、場所が場所だけに魔物の襲撃は止んでいる。待ち伏せがあるとしたらこの辺りか。もしここで襲われたらヤバいかもしれない。気を引き締めて行かないと。


 そう言えば、護衛対象のアリエルは大丈夫だろうか? ずっと車に乗りっぱなしな上、魔物の襲撃も続いているし、見た目通りのお嬢様には精神的にかなりきついかもしれない。そう考えて<聞き耳>を発動させると――


『モコちゃ~ん、顎の下を撫でられるのが好きなんですね~❤』

『わふ~ん❤』

『うふふ、気持ち良さそうにしている姿も可愛いです~❤』


 前言撤回。全っ然参ってなかった!

 数時間も車に乗りっぱなしな上、悪路続きの危険地帯に連続する魔物の襲撃を受けてもケロッとしてやがる!

 思った以上に神経が図太いらしい。これは案外、大物かもな。


 それとも、モコの精神的癒し効果だろうか? 思う存分、モコをモフモフ出来るなんて至上の幸福だろうからな。


 く、悔しくなんかないぞ! オレだってモコをモフモフしたいなんて、これっぽっちも……嘘です。思ってます。めっちゃ思ってます! 

 オレだってモコを思う存分、モフモフしたいんだあああ!!


 なんてアホなこと考えてたら、前方に橋が見えてきた。一応、鉄骨で作られた頑丈そうな橋で、車でも十分渡れそうだ。

 あれを渡れば峡谷エリアも終わり。全行程の半分ほどを踏破したことになる。やっと折り返し地点だ。


 その時、突然<罠感知>が反応した。

 前方の道路になにか仕掛けてある!


 オレは咄嗟にラティナに止まる様に合図を出し、自身も急ブレーキを掛ける。急停車した反動でアリエルが「きゃあ!」と可愛らしく悲鳴を上げるのが聞こえたが、大丈夫そうだな。

 目を凝らして前方の道路を注視すると、道を横切るようにしてなにかが埋められているのが見えた。土の下から細い針のようなものが無数に飛び出している。

 スパイクだ。もし気付かずにこの上を通り過ぎていたら、全てのタイヤがパンクさせられていた。


 こんなものが仕掛けられているということは……


「チッ、勘のいいガキだ」


 オレの予想を裏付けるように周囲の岩陰から複数の男たちがワラワラと出てきた。数は20人ほど。

 着ている服は様々だが、中には軍服らしきものを身に付けている奴もいる。加えて全員例外なく武器を持っており、剣や槍、斧や曲刀といった前時代的な武器もあるが、半数以上は銃器を持っていた。元軍人かなにかだろうか? どちらにしろ、明らかに――先日のオズマたち以上に友好的でない類の人間たちだ。おまけに狭い道で前後を挟まれた形となった。

 やれやれ、予想通りここで待ち伏せていたか。


「車から出ないで!」


 背後でラティナやアリエルが色めき立っている気配がしたので、オレは鋭く声を上げて制した。この状況では、車外に出られるとかえって面倒だ。向こうも了解してくれたらしく、ひとまず車内に留まってくれた。

 さて、この状況。判り切ってはいるが、いちおう確認しておこう。


「……盗賊か?」


 と、オレが尋ねると、男たちは一斉に大笑いした。


「ひゃはははは! 盗賊か? だってよ!」

「おいおい頭大丈夫か、お前?」

「むしろそれ以外になんに見えるんだよ? 馬鹿じゃねぇの?」


 なんて酷い言われようだ。なるほど、やっぱり盗賊だったか。異世界に来て初めての盗賊との遭遇。ちょっとした感動を覚えるのは不謹慎だろうか?

 

「護衛役の子供が1人、車の中に女が2人……()()()()だな」

「女は好きにして構わないって良いんですよね?」

「おい、よく見たらあいつの乗ってるトライク、値打ちもんじゃね?」

「確かに。ありゃあ絶対高く売れるぜ!」


 情報通り?

 やはりたまたま通りかかったオレたちを襲った訳じゃない。こいつらにオレたちの情報を流して、襲う様に仕向けた奴がいるってことか……


「坊主、今日はツイなかったな」


 リーダーらしき元軍人っぽい盗賊が拳銃をオレの頭に向けるや、躊躇なく引き金を引いた。

 乾いた音と共に発射された弾丸は、狙い違わずオレの額に命中――する寸前に手でキャッチした。普通なら銃弾に対してこんな真似できる訳ないんだけど、高ステータスのお陰で亀みたいにゆっくりに見える。<銃弾耐性>あるから当たっても大丈夫だと思うけど、盗賊の攻撃を喰らうのってなんか嫌だしな。


「……は?」


 まさか銃弾を受け止められるなんて思ってもみなかったんだろう。盗賊たちがそれまでとは一転して、ぽかんとした間抜けな表情で固まった。


「終わりか?」


 キャッチした弾丸を指で弾いて奴らの足元に転がしてやると、それが合図であったかのようにリーダーが大声で叫んだ。


「こ、殺せ。殺せぇ!」


 リーダーの、半ば恐慌状態の悲鳴じみた声に押され、手下たちが武器を手に殺到――する前に、オレはその場からジャンプした。10メートルくらい跳躍したところで、オレを見上げる眼下の盗賊たちに魔法をお見舞いする。


電撃弾(スタンボール)】。


 雷系の初歩魔法で、相手を麻痺状態に陥れる小型の電撃を弾にして飛ばす魔法だ。それを頭上から盗賊たちにお見舞いしてやる。全員が避ける間もなく直撃を喰らい、悲鳴を上げてその場に崩れ落ちた。1人を除いて。


「な――」


 着地したオレの姿を、ただ1人残された盗賊のリーダーが信じられないような目で見ている。まあ、無理もないだろう。一瞬で手下が全員倒されてしまったんだから。


「化け物ォ!!」


 なんか、どこかで聞いたような捨て台詞を吐いて、リーダーがオレに背を向けて逃走を図ろうとした。

 逃がすわけないだろ――


 オレは高ステータスを活かして瞬時にリーダーの前方へと回り込む。


「ひィ!」


 逃げ道を塞がれたリーダーが恐怖に顔を引き攣らせる。


「今日はツイてなかったな」


 オレは奴が放った言葉をそっくりそのまま返した上で、容赦なく殴り飛ばした。

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