第一章 海洋研究所 4 ヴァシリス様ご紹介
ヴァシリス様のご紹介があります
海の神様、タールーン様のヒーリング後、
癒しのパワーを使い果たし、私は意識を失った。
気がついたら、知らないお部屋で爆睡していた。
たくさん眠って、パワー充電回復し、目覚めたらしい。
ここはどこ?
研究所の医務室かなあ?
えっと、タールーン様を海まで見送って、おしゃべりして、
治療用プールに戻ってきた。
その後の記憶がない。
部屋のドアがノックされて、返事をすると、ヴァシリス様のお顔が見えた。
「気がついたか?」
ひぇっ!
「あっ、ヴァシリス様!!あの、、、」
「ヒーリングパワーを全て使って、意識がなくなっていたぞ。其方、無茶をするのは、何年たっても変わらぬな」
「申し訳ありませんでした」
トホホ、、またやってしまった。
「あの、ヴァシリス様、ここはどこでしょうか」
苦笑気味のヴァシリス様が、
「3日も眠っておった。長く眠ると想定し、私の離宮につれてきた。」
「ひえっ!離宮ですか?」
「すでにスタッフも返していたし、
私が其方の寮に入るわけにはいかぬし、
面倒くさいので、手っ取り早く離宮に連れてきた」
ヴァシリス様、普通はスタッフを呼ぶでしょう?でも呼びにくいかも?普通とは、ちょっと違うかもしれないし。
私のとがめるような表情に気がついたのか、
「私が、其方のことで、他人に助けを求めるはずがなかろうが」
「それにしても、、私はもう王立海洋研究所の職員になったのですから、公私混同はヴァシリス様のご迷惑に、、、」
ヴァシリス様が、膨れっ面気味になり、
「迷惑などではないが、倒れた其方が悪い」
「・・・」
「まあ良い。アリエッタ、
研究所で、初仕事で、あれだけ大きなヒーリングを行なったのだし、
其方は、次代巫女という極秘の立場もある。
それゆえ私の監督下にあるのだから、何を今更、公私混同なのだ!」
ちょっと苦々しく、かつ、呆れ顔になってらっしゃる。監督下だったのね、わたし。
ヒーラーのパワーは、使うと減る。
毒素などを吸い取ると更に減り、たくさん使うと無くなるので、結果、倒れる。
充電すれば復活し、また元気になる。
そして私の基本的な充電方法は、睡眠。
しかし、今回は、力加減はわかっていたはずなので、
自分の寮に帰る余力まで使ってしまっていたのは、私自身も意外だった。
そして、ヴァシリス様は、私が、よく、ぶっ倒れる、のを、以前からご存知だ。
そのヴァシリス様とは、
ヴァシリス様は、シーシェル王国の第三王子である。
シーシェル王国の王家の方々は、全て超特級ヒーラーで、
第三王子のヴァシリス様は、海洋に関するお力が特別に大きく、23歳という若さで、
王立海洋研究所を任され、束ねておられる。
幼い頃より神童と言われ、
王立アカデミーを首席で卒業、
海をこよなく愛し、研究大好き、学問にも美術音楽にも造詣深く、スポーツも当たり前のように何でもこなされる。
王子様らしく、見目麗しく、
社交もそつなく爽やか極まりない、ポーカーフェイス。
王子は、そのように育てられるから、そうなるのであるが、
ただ一点だけ、難あり。
恋愛や女性に全く興味がなく、フィアンセもまだいないらしい。
で、そんなすごい方と、わたくしが、どのような繋がりがあるかというと、
王立アカデミーの海洋生物学科の先輩というだけでなく、
家族ぐるみのお付き合いがあり、王宮で、幼なじみで兄妹のように育ってきた。
物心ついた時には、彼はほぼほぼ、兄同然だった。
対外的には王子様然としているが、
素顔は、いわゆるオタクで、ストイック、頑固君なので、
近しい人たちほど、王子様然とした表向きの顔と、素顔のギャップに苦労するわけだ。
私に接するときは、歯に絹着せずに、言いたい放題、容赦なし、ということ。
私が研究所に来てから、
呼び方が、
其方、アリエッタ、君、など、呼称がバラバラなので、
ヴァシリス様ご自身も、お転婆な妹が職場に乱入してきたようで、やりにくいのだろう
読んでいただきありがとうございます。
ヴァシリス様、王子でした。
少しずつ、秘密がとけていきますので、
次もみてくださると嬉しいです。
(o^^o)