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嘘の世界  作者: ねっしー
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 答えが知りたい。


 その歪なヒントは、ネットの画像が見せたバグだと思うこともできた。しかしその小さなひずみはかなり古い本にもあった。いったいどうして。


 学校の図書館にその干からびた本が登録されたのは今から24年前。

 それも一冊だけではない。出版社も筆者も全く違う本なのに示し合わせたように写真には小さな黒点がちりばめられていた。


 何かがおかしい。


 四角、あるいは丸の黒点は所々欠けていたがそれは規則的に並んでいるように見えた。


 カウンターからテプラで名前の入れられたハサミを奪い、それで写真を切り取った。本を切るのは気がとがめたが、どうせ誰も読まない古い世界地図の本だ。かび臭い本はどういう訳か学校だととても価値が高い。


 切り取ったページは何か重要な手掛かりになる気がした。みんな何か隠している。テレビのニュースキャスターは知りもしないことを知ったような口で述べることで金を得て、報道の自由を報道しない自由とはき違えている。世界では戦争が起きているのに夏野菜の高騰の方が彼らには重要なのだ。子供よりも賢いはずの先生は教科書の文字列を黒板に書く機械と化している。ネットは最近答えに行きつくまでに余計な知識と広告が付与されはじめた。それどころか答えがないページまでざらだ。


 なぜか。知られちゃまずいことがあるのだ。


 手の中の写真が風に吹かれて床に落ちた。カサカサと音のなる薄っぺらい紙は綿埃と一緒になって汚れた。


 しかしそれらは重なり合って一つの形を作っていた。


 それはアーチだった。橋の形。写真は丸と四角が同じ位置に重なると緩やかな曲線を描く……。


 全身を虫が這いまわるような悪寒があった。


 アーチを組み合わせるとどうなるのか。それは球面になる。

 なぜ、写真を球面に組み合わせなければいけない。なぜそれを写真として残さねばならない。


 球体をわざわざ写真にとって引き伸ばしているのだ。

 引き伸ばした際に球面にするための目印は拡大され四角い跡として残る。


 この地球の風景は作られた物だ。それに気が付いた。

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― 新着の感想 ―
[一言] 時に、真実とは毒でしかなく── 偽りこそが安寧を齎せる。 人の心とは、よく出来ている。許容出来る範囲を逸脱した瞬間、主人公がどうなるのか……興味は尽きない。
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