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嘘の世界  作者: ねっしー
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授業

 学校について変だと思うことが多々あった。


 国語時間では、ひらがなで書けば文字画数が少なく済むのに、なぜか漢字で書くことを強制される。算数では生きる上で到底必要なさそうな三角形の面積や、円の面積を求める公式を覚えさせられた。

 そして極めつけは社会科だ。まったくお笑い物の授業は、どう考えてもおかしいのに、誰もそのことを指摘しない。なぜ戦争が悪くてアメリカ軍が悪いんじゃないのか。だって民間人がいるとわかっている場所に、爆弾を落として、皆殺しにしようとしたんだぞ。これを戦争が悪いというのか。俺は違うと思う。アメリカが悪いのだ。


 地理の授業もなんだか変だ。行く当てもない国の名前や、首都、国民総生産を知ってどうしろというのか。その国に助言でもしろというのだろうか。期末には試験をやってその国の名前を書かされるのだろうが、この時間の無駄さと言ったらない。歪だ。教科書はどこか変だと思わないか? 歯抜けのように大事な情報が抜けているような気がする。まるで、誰かがそうだと信じ込ませようとして書いているようじゃないか。

 今時ネットに情報はあふれ、それを疑って自分で調べ、真実かどうかを判断できれば、社会科の授業など必要ない。


 今日は先生の機嫌が悪くて、当てられそうだった。当てられれば、席を立って答えなければいけない。それがルールだ。もし答えられなければ、あいつは馬鹿だと思われるのだろう。

 勿論俺はスマホを授業に持ち込んでいる。学校では持ち込み禁止であるが、身体検査までするわけにいかず、すべては学生の良心に任せられているという現状、厚さ数センチの板の中に、世界中の情報が集約され、それは時に画像として表示される。


 マップアプリで最寄りの空港からその国の首都までの道のりまで検索できるのだ。ね?授業の意味はない。


「仁人。答えなさい」

「はい」


 答えは直ぐに出た。リヤド。人口は3422万人で日本の約6倍。その国土のほとんどを砂漠に覆われている。


 ただ、その答えを言う前に、何か引っかかることがあった。一本だけ飛び出た鼻毛みたいに。

 航空写真だ。その縮尺を指でいじったときに、ジグソーパズルみたいなズレがあった。砂漠の真ん中に。あるはずのない四角が、あった。


「仁人!何を机の下でやっている!」

「リヤド。リヤドです」


 答えどころではない。これは……なんだ?

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― 新着の感想 ―
[一言] 新たな物語りに感謝、映画アイランド……も悲しいものでしたね。
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