第74話 桃矢たちはようやく登り始めたばかりだからなこの果てしなく遠い修行坂を!だまんごー。
「ふぁ〜、疲れたぁ〜。もぅダメ〜。」
桃矢は、汗だくになりながら床に座り込んだ。彼は、父親の甜瓜と一緒に不知火家の道場に来ている。稽古を始めた初日のことだ。
「おいおい、桃矢。大丈夫か?」
甜瓜も、汗だくになりながらも、桃矢を気遣う。彼も、久しぶりの運動ではあったが、桃矢の前では弱音は吐かないように頑張っていたのだ。
「う〜ん。しんどい……。」
「そうか、じゃあ、ちょっと休憩させてもらうか? 流石に初日から全部ついていくのは無理だろうからなぁ〜。」
甜瓜も、素振りの途中だったが、それを止め、桃矢に付き添う。そして、師範である不知火朱雀に視線を送った。彼は、その視線に気が付くと、口元に笑みを浮かべ、コクリと頷く。
門下生は全部で10数名いた。小学生が多く、中学生から大人の門下生は、甜瓜を含めて数人しかいなかった。
「もうへばっちゃったのかよ? 男のくせにだらしないなぁ〜?」
門下生の一人として近くで稽古をしていた不知火柘榴も、その手を止めて、桃矢に言う。
「っ……仕方ないだろ? まだ始めたばかりなんだぜ……」
息を荒げながらも、桃矢は言う。今は彼女の強い物言いにも言い返せるだけの元気はないのだ。
「そうか〜。じゃあ、今から、私が個人的に教えてあげるよ。ねぇ? パパ、いいでしょ?」
柘榴の声にも、朱雀は、コクリと頷いた。
――――――――――――――
桃矢と柘榴、そして甜瓜の3人は、他の門下生たちと距離をとり、道場の隅の方にやってきた。
「それじゃあ、一番基本の型を教えてあげるよ。うちの流派のオリジナルの型なんだ。『不知火の型』と呼ばれる型なんだ」
柘榴は、両手を上げて、腰を落とし、『不知火の型』を構えた。
「どうだ。強そうな型だろ? まぁ、見るだけじゃ学べないからな。自分でもやってみるか?」
柘榴の言葉に、桃矢と甜瓜は、「もちろん!」と言わんばかりに、大きく頷いた。
彼女はすぐに、桃矢と甜瓜の横に立ち、指導を始める。
「そうそう! 太陽を大きく包み込むように、両手を広げて……、そうそう。斜め上くらいで。そうそう、いいね! で、指先は揃えて。そう! そして、腰をちょっと沈めて。足は肩幅くらいに広げれば……、おぉ! いい感じじゃん!」
柘榴は、桃矢に笑顔で指導をする。桃矢の横では、彼と同じように、甜瓜も、『不知火の型』を構えていた。
「なんか、これ。昆虫の『クワガタ』みたいだね?」
桃矢は、言った。両腕がクワガタのハサミのように見えたのだ。
その言葉に、柘榴は、『ははは』と笑った。そして、2人の会話を少し遠くから聞いていた朱雀が3人に近寄ってきた。
「ははは、流石だなぁ。子どもの感性はすごいなぁ!。そうなんだよ、実はこの型は、元は『鍬型』っていう型だったんだよ。昔はうちも、『鍬形流』を名乗っていたからね。でも、的場さんのところの流派と名前が似ているから、うちの苗字から『不知火流』に変えたんだ。もちろん、型の名前もね」
朱雀は嬉しそうに、桃矢の肩をポンと叩いた。
「ふ〜ん、そうなんだ」
と桃矢も小さな笑顔を浮かべる。
「そうなんだよ。まぁ、名前も大事だけど、この型は、基本的な型だからね。ちゃんと構えられるようにならないとな。基本を疎かにしては上達できないからね。しっかりと頑張っていけば、すぐにうちの柘榴にも追いつけるかもな? なんてなぁ? はは」
朱雀は、笑いながら、柘榴の方に目をやったが、彼女は、面白くなさそうに少し目を細めていた。
「そう言えば、柘榴もそうだけど、桃矢君の妹のまんごちゃんも魔法少女だからね。ちょっと注意しないといけないんだよ……。」
「え……? 何でですか?」
朱雀の言葉に、桃矢は首を傾げた。
「魔法少女に変身できると、普通の人には使えない『魔法』を使えるようになるだろ。それだけで、例えば、同世代の間だと、圧倒的に強くなったように見えるわけなんだよ。肉体的、精神的な強さは同世代と大して変わらなくてもね……。そこで、慢心しちゃうと……。そのうち追い抜かれるかも……ってことなんだよ」
「そうか〜。まぁ、慢心とか驕りとかは、どこの世界でも、上達を拒む障害となりますからね〜。」
甜瓜は、首を縦に大きく動かす。
「まぁ〜、男は魔法少女になれないからね。その心配とは無縁なわけなんだけど……。」
朱雀が続けた言葉に、桃矢は、
「あっ……。」
と反応してしまう。
桃矢は、出してしまった声を飲み込みながら、甜瓜に目をやる。甜瓜は、彼の目配せに、小さく首を振って応えた。
2人のやりとりを、朱雀は気にもかけず、話を続けた。
「でも……。まぁ、男でも、魔法をつかえる……、というか、魔法に匹敵する力を得られる方法はあるんだけどね。そういう『武具』が存在するんだ。……と言っても、どこにあるのか検討もつかないけどね。『四神の武具』って言うんだ。『青龍の剣』、『朱雀の弓』、『白虎の盾』、そして、『玄武のコテカ』の4種類だよ。一つでも凄い力を得られるし、全部集めると神とも戦えると云われているんだよ」
「そうなんだ……。」
「そうなんですか……。」
桃矢と甜瓜は、目を丸くする。2人は、朱雀には、自分達が魔法少女に変身できることは、まだ言っていないが、魔法少女である。それなりの魔法も使える。それでも、魔法少女にならなくても力を手に入れられる武具の存在は、気になった。
「そうなんだよ。私はそれを、ず〜っと探してるんだけどね。全然、見つかる気配すらないよ。ははは〜」
朱雀の笑いに、桃矢と甜瓜も、合わせて笑った。
「……と、まぁ、雑談はこれくらいにしておきましょうか。桃矢君もお父さんも、今日はお疲れ様です。初日の稽古、頑張りましたね。お疲れ様です! 今日はこれくらいにしておきましょう。コツコツを続けていくことが何より大事ですから」
「「はい! 今日はありがとうございました!」」
朱雀の言葉に、桃矢と甜瓜は、揃ってお辞儀をした。
こうして、2人の稽古の初日は平和に終わった。
――――――――――――――
一方、ちょっと時間は遡るが、高村まんごは、的場家の道場にいた。彼女も稽古の初日である。
稽古を始める前に、道着に着替えるようにと、彼女は的場から道着一式を渡された。そして、それを持って更衣室に入ったところまではよかった……。
道着に着替えるために、とりあえず、まんごは全裸になった。もちろん、穿いていた薄ピンク色のおパンツも脱いだ後だ。その時点で、まんごは、気がついたのだ……。道着一式の中に褌が入っていたことに。
そして、今、彼女は褌を手にして、困った表情を浮かべている。
「あれ……? これ……、どうやって穿けばいいの……?」
ドンッ!
次回へ続く!
===============================
私、高村まんご。小学3年生。
魔法少女兼同人作家。相棒の『マンゴスチン・ハート・アンドロギュヌス』の力で、魔法少女に変身できるんだ。そして、今日から的場道場の門下生になったんだよぉ〜。的場さんの道場で修行開始! ――って、まだ開始はしてないか。うん。開始しようとしてるとこだね。
お兄ちゃんとパパは、もう開始して、初日の稽古を終えちゃったけどね〜。ちょっと時間が戻ってるだけだからね〜。気にしないでね〜。
で? 『四神の武具』よね。うん。またしても広げるよねぇ〜。これ、全部出てくるまで終われねぇ〜ってことになっちゃうじゃん? それなのに……ねぇ〜?
まぁ、まだまだ続くから……。
そうそう。
いつも全裸待機ありがとうね〜。みんなにだけ全裸待機させるのも悪いから、今回は、私も全裸なんだよっ!
そうなんです! まんごちゃんは次回まで、全裸なんですっ!!!
ははははっ!!! そういうことっ!! 私にもどういうことかわかんないんだけどね〜。こうなっちゃってるのー。
まぁ、最近のペースだと3、4日くらいかな? 暖かくなってきたし。うん、大丈夫。
ノルウェーは、最近になって遂に20度に到達したらしいよ。真夏日!
おおっと! でも、この作品の中では、冬だよね……。確か、この間1月の終わりだったから、今は2月ってところね。確か、2021年だったかな?
そういうことだから……。ええっとぉ〜、私は真冬に全裸待機ってわけね?
ひっどいよね〜? とても魔法少女作品の主人公が陥る境遇ではないよね?
うん。でも大丈夫! なんとかなるなる! こういうの慣れてるからっ!
さぁて、ということで、次回は、まんごちゃんが褌を穿きます。
ってね〜。今日日、褌なんて穿かないよね〜。穿き方すらわからないよね〜。でも穿いちゃうんだ。
そういうことだからね〜。
そして、稽古開始! 長い修行の1日目!
波乱の予感ね(笑。
まぁ〜、そう言うことだから、次回もよろしこっ!
じゃあねっ!
次回!
魔法少女 マンゴ☆スチン Tropical Fruits
『第75話 真っ白なフンドシはお好きですか?だまんごー』
だよっ!
絶対に読んでねっ!
マンゴスチン! カジュー! ヒャクパーセントー!




