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第15話 あなたは豆派?それとも栗派?お米と共演!秋の味覚スペシャルだまんごー。


「「わぁ〜美味しそうな(まめ)ご飯!」」



 まんごと桃矢は、声を揃えた。


 テーブルの上に(まめ)ご飯が(よそ)われた茶碗が並んでいる。茶碗に山盛りに盛り付けられたばかりの(まめ)ご飯はまだ温かく、湯気を出している。


 ツンと立った白いお米(おこめ)の中に、まん(まる)のお(まめ)がふっくらとしている。


 うっすらと上る湯気が、まんごたちの鼻を通り、まんごたちの食欲を刺激する。




 まんごと桃矢はおばあちゃんの家に遊びに来ている。


 今回は、パパとママも一緒だ。9月の大型連休に、みんなでおばあちゃんの家に遊びに来ているのだ。



「おぉ、うまそうな(まめ)ご飯だなぁ」


 父親の甜瓜(てんか)も、テーブルの上の(まめ)ご飯を見て、笑顔を浮かべる。



「美味しそうねぇ。あれ? でも、おかずはないのかしら?」


 母親の綾子は少し首をかしげた。


 食卓の上には、(まめ)ご飯しかない。



「ありますよ、綾子さん。今、準備するから、そこで座っていてくださいな」


 そう言うと、おばあちゃんは、()()()()のお(ひつ)から、(くり)ご飯を粧い始めた。



 すでに(まめ)ご飯盛られた茶碗が食卓に並んでいるのにも関わらず、おばあちゃんは、(くり)ご飯を茶碗に山盛りに粧っているのだ。



「えっ? これはどういうことですか?」


 綾子は首を傾げる。



「どうって、この(くり)ご飯がおかずなんだよ」


 おばあちゃんは、(くり)ご飯を粧いながら、答える。


 さも、それが当然であるかのように答えたのだ。



「なるほどな! 俺は理解したぞ!」


 甜瓜(てんか)は自信満々の笑顔を浮かべる。



「あら、さすがあなたねぇ〜」


 綾子は、甜瓜(てんか)に冷ややかな視線を送る。



「この場合は、(くり)ご飯をおかずに(まめ)ご飯を食べてもいいし、(まめ)ご飯をおかずに(くり)ご飯を食べてもいい。(まめ)ご飯と(くり)ご飯を食べ比べてもいいんだ。もちろん、混ぜてもいい。そうしたら、美味しい(まめ)(くり)ご飯になるはずだ! もちろん、(くり)(まめ)ご飯にしてもいいってわけだ!」


 甜瓜(てんか)は自信満々だ。


 それに、まんごと桃矢もウンウンと頷く。


 一方で、綾子は、無言で目をパチクリさせた。



「そうだよそうだよ、甜瓜(てんか)はよくわかってるねぇ。こないだまんごちゃんがくれた『おこめ券(おこめけん)』があったからねぇ〜。お米(おこめ)がたくさんあるんだよ。みんな、た〜んとお食べ」


 おばあちゃんは、そう言いながら、お(ひつ)から、次々に(くり)ご飯を粧ってゆく。


 おばあちゃんは、甜瓜(てんか)の母親であり、まんごの祖母である。この血筋はこういう家系なのだ。




 おばあちゃんは、小さな器からはみ出るように山盛りに、(くり)ご飯を粧う。



 その時、おひつから、ポロリと一粒の(くり)がこぼれた。



「おやおや、(くり)がこぼれたね……。」


 こぼれた(くり)は、畳の上をコロコロと転がった。


 黄色く焼けた畳表に、黄金色の(くり)が、身を隠す。



「おんやぁ〜、(くり)ちゃんよぉ、隠れん坊してんと、出てきんさいねぇ〜」


 おばあちゃんは、身を潜めた(くり)を探して、畳に手を添わす。



 コロン



 薬指にコツンと当たり、(くり)が畳の上を転がった。


 艶やかな(くり)が、畳の上で、ここだよ! と主張していた。



「おや、ここにおったんかいねぇ〜」


 おばあちゃんは、畳の上から、(くり)を摘まみ取る。




 (まめ)ご飯と同様に、(くり)ご飯も、茶碗にこんもりと山盛りに盛られた。



「ご飯に味があるときには、『おすまし』だよ」


 おばあちゃんは、続けて、お玉でおすましを粧ってゆく。


 高村家では、味付けご飯の時には、『おすまし』なのだ。今日の()は、若芽(わかめ)だ。




 最終的にテーブルの上に並べられたのは、(まめ)ご飯が5杯と、(くり)ご飯が5杯、そして、『おすまし』が5杯だ。



「「「「「いただきま〜す」」」」」


 みんな揃って、手を合わせる。


 それぞれ、箸を持ち、(まめ)ご飯と(くり)ご飯を食べ始めた。



「うん、美味しい!」


 まんごは、ふっくらとした舌の上で、ふっくらとした(まめ)を転がす。(まめ)の味が、ふっくらなお米(おこめ)と絡み合う。



「そうか、美味しいか。よかったなぁ、まんご。じゃあ、俺も……、あっ!」


 甜瓜(てんか)の茶碗から、一粒の(まめ)が転がった。


 ふっくらとした(まめ)は、テーブルの上をコロコロと転がってゆく。



「お〜い、お(まめ)ちゃん、どこいった〜? 恥ずかしがらずに出ておいで〜」


 甜瓜(てんか)は変なリズムをつけながら、(まめ)を探す。



「おっ、お(まめ)ちゃん、見〜つけた!」


 甜瓜(てんか)は尖った箸の先で、まん(まる)のお(まめ)を摘まむ。


 まん(まる)のお(まめ)は、箸の先で摘ままれ、皮が向けて中からほっこりとした実が顔を出す。



 そして、甜瓜(てんか)はそれを、口に運んだ。



 小さな(まめ)が、甜瓜(てんか)の舌の上を転がる。



「もぅ、パパ! お行儀悪いんだからぁ〜」


「はは。ごめん、ごめん。それにしても、美味しいなぁ〜これ」


 甜瓜(てんか)も、(まめ)ご飯に舌鼓を打つ。



「そうだろう? まだまだたくさんあるからのぉ〜。た〜んとお食べ」


 おばあちゃんは、久しぶりの賑やかな食卓に、嬉しそうだ。




 5人は、(まめ)ご飯と(くり)ご飯を十分に堪能した。




――――――――――――――




「ねぇ、お兄ちゃん。私は、明日はドリアちゃんと遊ぶ約束をしているからね」



「う〜ん、わかってるよぉ〜」


 桃矢はいつも通り熱々の風呂に入浴していた。


 まんごは、その熱々の湯船には入らずに、シャンプー中だ。


 秋になって涼しくなり、熱いお風呂が恋しくなる季節ではあった。しかし、やはり桃矢が入る風呂は熱すぎたのだ。



「明日は、私はドリアちゃん()に遊びにいくけど、明後日は、ドリアちゃんと一緒に帰るんだよ。ドリアちゃんが、うちにお泊まりしに来ることになってるんだからねっ」


 まんごは、目を瞑って頭を念入りにゴシゴシと洗っている。


 まんごはまだ小学3年生とはいえ、黒く長い髪の毛の手入れは重要なのだ。



 甜瓜(てんか)と綾子は仕事の関係で、明日、先に車で家に帰ってしまう。

 そして、明後日に、まんごと桃矢は、ドリアを連れて電車で家に帰る予定だ。



「それも、わかってるって。ちなみに、ドリアちゃんはどこで寝るんだ?」


「もちろん、私の布団で一緒に寝るんだよ」


「そうかぁ〜、仲良いなぁ」


「ま、まぁね……。」


 まんごは、少し言葉に詰まった。


 小学3年生くらいなら、友達が遊びにきた時に同じ布団で寝ても、いいのではないのだろうか? と思いつつも、少しやましいことがあったためだ。



「ねぇ、お兄ちゃんもたまには友達連れて来てお泊まりはしないの? そういえば、お兄ちゃんのお友達は誰も泊まりに来たことないよねぇ〜」


「まぁ、男同士だと、泊まりで遊びに行くことはないんじゃないかなぁ。それに、嫌だよ、他人と同じ布団で寝るなんて。女同士はいいけど、男同士は、無いぜ!」


 桃矢は大げさに首を振る。



「そうかなぁ〜。そう言うの好きそうな人たくさんいると思うけどなぁ〜」



「おい、誰のことだよ、それ?」


 桃矢は、まんごの方に目をやる。


 まんごは、シャンプーを終え、泡を流している。



「えっ? まぁ……、例えば、私の友達の沙耶香(さやか)ちゃんとか……。」


 まんごは、舌をぺろっと出しながら、答えた。



「そうかぁ〜、沙耶香(さやか)ちゃんは、そうなのか……。」


 桃矢は、腕を組み、ほぉ〜と頷いた。


 沙耶香(さやか)ちゃんはたまに高村家に遊びに来るため、桃矢とも会ったことがある。


 沙耶香(さやか)が、男同士の友情ものが好きだということは、桃矢にとっては驚きだった。しかし、あの子がねぇ〜という驚きに、どんなのがいいんだろうという興味の方が、勝っていた。



「まぁ、ね。さてと、私もお湯に浸かろっかなぁ〜。ちょっとは冷めたかなぁ〜? うん、いけそう」


 まんごが、右足をゆっくりと湯船に入れると、まんごでもギリギリ入れるほどの温度になっていた。それでも、お湯は、まだ十分に温かい。


 まんごは、ビクビクしながら、ゆっくりと、湯船に浸かる。



 少し寒さの感じられる秋に、2人はゆっくりと温かいお湯を堪能した。




===============================




 私、高村まんご。小学3年生。



 マンゴスチン・ハートを持つ魔法少女兼同人作家とは、私のこと!



 またおばあちゃん()に遊びに来たよ。


 意外に近所なのかもね。




 さて、どうだった?


 初めてドリアちゃんの屋敷に遊びに行った時にもらった『おこめ券(おこめけん)』が使われる時がきたね。(第5話参照)


 伏線回収バッチリだねっ!



 ついに(まめ)ご飯の方も登場したね。



 え? (まめ)(くり)も同じだって?



 は?



 (まめ)(くり)は別物でしょ?


 ちょっと、なに言ってんのかわかんない!


 ちゃんと違いはあるよ!



 わからないの?


 わからないなら、ママに聞けばいいよ?



「ねぇ、ママ。(まめ)(くり)ってどう違うの?」



 はいーー。





 で、どうだった(まめ)ご飯と(くり)ご飯?


 漫喫(まんきつ)した?


 私は漫喫(まんきつ)したよ。


 私が漫喫(まんきつ)したのよ。



 でも、どことなく事故臭が漂っているわねぇ……。


 今回は、夕飯食べただけだからねぇ……。見所にかけるよね。ははは。



 ちなみに、ここは純文学の世界ではなくて、ローファンタジーの世界なのよ!


 (まめ)ご飯と(くり)ご飯の描写をしていいのは、純文学だけよっ!



 ジャンル詐欺?



 いや、そんなことはないよっ!


 そりゃ私も、できることなら純文学で勝負したいよっ!(本音)


 でも、ジャンル警察に怒られるのも嫌だから、ローファンタジーでガンバってるんだよっ!




まぁ、いいや。



 次回ねぇ、次回はドリアちゃんに会うからねぇ〜。



 ふぅ〜。



 え? ため息? ついてないよ。 ははは。



 久しぶりに会うからねぇ〜、嬉しいよ!


 嬉しいんだけどねぇ……。



 またドリアちゃんが変なことするんだ……。


 どうして普通におやつを食べられないのか〜?



 次回出てくるのは流行りの『タピオカ』だよ。


 タピオカミルクティーだよっ!



 流行りよ!



 この世界では、まだ流行ってるんだから……。




 え? なんで伏せ字なのかって?



 次回予告だからねぇ〜、ネタバレするわけにはいかないのよっ!



 深い意味は無いアルヨ〜。


 無いアル! 無いアル!




 それじゃあ、次回も、よろしくっ!



 それじゃあ、バイバイ!




 次回!


 魔法少女 マンゴ☆スチン

 『第16話 ストローが無いのなら、ち○○を使えばいいじゃないだまんごー』


 だよっ!



 絶対に読んでねっ!


 マンゴスチン! カジュー! ヒャクパーセントー!


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i488219
秋の桜子さまよりいただきました。
リンク先は『マンゴスチンから生まれたマンゴスチン太郎』です。
i471546
こちらもどうぞ!完結しました!
― 新着の感想 ―
[一言]  今は晩秋ですが。  秋といえば食欲の秋、天高く肥ゆる秋であります。  お米も美味しいし、栗もまた秋の味覚。  それをお箸でツンとつつき、摘まんで食べる。  実に旨い。  秋の味覚をまん…
[良い点] お米券 Σ( ̄□ ̄|||)wwwww [気になる点] お祖母ちゃんは広島弁? (*´▽`*) [一言] マンゴスチン! カジュー! ヒャクパーセントー! 巧いですねぇ……栗ご飯に豆ごはん…
[一言] いえ。違いはですね。 日本語で言うか、英語で言うか ゲフンゲフン
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